中国のスマホ共同購入専門サイト

KDDI総研 河村公一郎
 KDDI総研主幹研究員。中華圏、ロシア、アフリカなどをウォッチ。担当地域がみごとに散らばっているが、将来それぞれ世界でどうなっていくのか興味深く見守っている。


 日本でも物やサービスを団体購入すると割引を享受できる通販サイトはたくさんあるが、中国でも「団購網站」といって、こうしたサイトが相当数ある。有名どころでは拉手網満座網糯米網など。「お手をつないでどうぞ」、「お早めに満座に」、三つ目は「もち米のようにくっついてご来店を」という意味だろうか。なかなか上手い名称だ。

 日本の団体購入サイトを検索しても私の腕前ではヒットしないようだが、中国にはスマートフォンなど携帯電話端末の共同購入専門サイトがある。例えば、888楽団網紅火網。庶民の平均的所得からみてスマートフォンはまだ高価ということだろうか。

888楽団網

 ちょっと888楽団網(拠点:広東省深セン)を探訪してみよう。中国の共同購入サイトではよくあるが、購入期限までの“カウントダウン”がリアル表示されている。割引率4割超もあるし、ケータイマニアならこのカウントダウンが気になってしまうかもしれない。割引は中国では“折扣”というが、掛け率の方が記載される。「折扣:8.4折」とは84%の価格ということで、つまり、16%オフの意味。

 888楽団網の説明を読むと、仕組みは複雑ではない。定数が集まらなければならないが、集まるなら赤の他人でも構わない。サイトの表示例は、機種ごとに「共同購入は成立中、31人が注文し31台が販売済み。数に限りがあるのでお早目にアクションを」といった感じ。買いたいスマートフォンをクリックすると詳細な機能の説明が出る。その気になったら「購入」をクリック。そこで登録済みの「顧客名」と「パスワード」を要求されるので、利用する前に「登録」しておくと便利だ。

 支払い方法は、Alipay、Tenpay、主なネット銀行の3種類があるとのこと。割引購入証書(ウェブ画面からプリントアウトか証書上の情報を手で記録)を持って実際の店舗(サイトで提携店舗を募集している)に出向くと購入できる。アフターケア等の周辺サービスとしては、カスタマーセンター(無料電話)、7日以内なら返品可能、2年の保証期間、といったものがあるし、店で現物を見て買えるので、結構安心感があるかも。

 ちなみに、最近の中国インターネット情報センター(CNNIC)の記事「団購という軽ビジネスモデルは「重」へ変貌中(2011.8.31)」によると、有名な共同購入サイトは、自分で倉庫、配送拠点やコールセンターまで持つ本格派に変わりつつあるという。拉手網の従業員数は推定で6000人もいるそうだ。その分、サイトの淘汰も激しいみたいだ。

(河村公一郎)

2011/9/28 10:00