石野純也の「スマホとお金」

アップルの発表会直前、iPhoneを少しでも安く買うには? お得な購入方法をおさらい

 アップルは、9月9日(現地時間)に新製品発表イベントを開催します。何が出てくるかはその時までのお楽しみですが、ほぼ間違いなくiPhone 16シリーズ(仮)はお披露目されるでしょう。WWDCで発表されたAI機能の「Apple Intelligence」を全面的に採用することが予想され、それを動かすためのチップセットの進化などにも期待が集まります。

 現状、このiPhoneがいくらになるのかは不透明ですが、昨今の円安ドル高の為替レートを踏まえると、少なくとも23年に発売されたiPhone 15シリーズより安くなることはないでしょう。同シリーズは、1ドルあたり140円台のレートで日本円が設定されていました。仮に米国での価格が据え置きでも、昨年並みか昨年より高くなる可能性はあります。

9日(現地時間)の発表会で、iPhone 16シリーズ(仮)の登場が予想される。その前に、お得な購入方法を頭に入れておきたい

 一方で、さまざまな手法を駆使すれば、少しだけiPhoneを安く買える可能性もあります。新しいiPhone発表直前に打ち切りになってしまう手法もあるため、ここであらためてその方法をおさらいしつつお得にiPhoneを購入することをお勧めします。

リセールバリューの高いiPhone、最安はアップル直購入か

 前提として、iPhoneをどこで買うのかという話があります。少しでも価格を抑えたいのであれば、アップルから直接購入するのが正解。キャリア各社もiPhoneを販売していますが、軒並み価格はアップルよりも高くなっています。納入価格にもよりますが、直営の方が中間コストを落としやすくなるぶん、安くなるのは一般的な商習慣に照らし合わせても理にかなっています。これはiPhoneに限らず、ほかのスマホもおおむね同じです。

Apple Storeとキャリアだと、前者の方が安いことが多い

 どのぐらい違うのかというと、売れ筋だった「iPhone 15 Pro」の場合、発売時のアップル価格は15万9800円から(128GB版)。これに対し、NTTドコモは19万2060円、auは18万5860円、ソフトバンクは18万5760円、楽天モバイルは17万9800円という価格をつけていました。キャリア版最安の楽天モバイルで2万円、最高のドコモで3万2260円もの差があったというわけです。

価格は、アップルが最安。キャリア版はそれぞれ差があるが、楽天モバイルが最安を打ち出す傾向がある

 いやいや、でもキャリアには下取りを前提にした端末購入プログラムがありますよね……と思うかもしれません。確かにそれは一理あるものの、iPhoneの場合、元々のリセールバリューが高いため、下取りで免除される残債と、市中の中古店での買い取り価格がさほど変わらないケースがあります。それならば、安いところから買い、高いところで売った方がいいということになります。

 たとえば、ドコモはiPhone 15 Proを1年で機種変更可能な「いつでもカエドキプログラム+」の対象機種にしていましたが、1年で下取りに出した際に免除される残債は、残価の9万5040円と11回分の分割支払金である4万6398円(金額はいずれも発売時の数値)。合計すると、14万1438円になります。ただし、1年での下取りには早期利用料が1万2100円かかるため、実質的には12万9338円で売却できるのとイコールになります。

ドコモがiPhone 15 Pro発売時に発表していた価格。1年で下取りに出すと、14万円程度の残債が免除される

 では、約1年経った今、iPhone 15 Proの128GB版がいくらで売れるのかというと、使用感がある程度の良品には、11万円から12万円程度の買い取り価格がつけられています。これだけを見ると、ドコモで免除される金額の方が大きいように思えますが、元々の価格が3万円以上高かったことを踏まえると、差し引きした場合はアップルから買い、中古店で売る方が安いことになります。実際には残債が免除されるわけではないものの、この場合の実質価格は4万9800円から3万9800円程度まで下がります。

 キャリアの方が、付属品やパッケージがなくても減額されなかったり、多少の傷は許容されたりとメリットがあるため、一概には言えないものの、キレイに使ってキレイなまま売れる自信があれば、アップルから直接購入した方がいいことになります。この前提を踏まえつつ、以下の技を組み合わせると、さらにおトクにiPhoneを購入することが可能になります。

 また、ソフトバンクの「Pixel 9」のように、10数万円程度の端末なら、発売時点での価格がいきなり実質36円(と早トクオプション)になるケースもあります。必ずしもアップルからの購入が最安になるわけではないことも、念頭に置いておいた方がいいでしょう。

ソフトバンクは現在、iPhone 15 Proを1年実質36円で販売している。1年後に下取りに出すと、1万2100円の早トクオプションがかかるが、それでも安い。iPhone 16シリーズにも期待したいところだが……

Apple Gift Card購入はポイント還元を狙う、簡単なのは楽天市場

 アップルから購入することを決めた場合でも、支払い方法によってはポイント還元によって、実質的な価格をさらに下げることが可能になります。それが、Apple Gift Cardを購入するという手です。通常は画面通りの金額が必要になりますが、販路によってはポイント還元を実施していることがあり、これを加味すると実質価格を抑えられます。

 そのチャンスが多いことで有名なのが楽天市場。こちらでは、ほかの商品と同様、購入に対して楽天ポイントが付与されます。楽天モバイルへの加入や、楽天のサービスを使うことで還元率が上がるSPU(スーパーポイントアッププログラム)も対象になっており、やり方次第では、10%を大きく超える還元を狙えます。

楽天市場でもApple Gift Cardを販売。しかもポイント還元の対象になる。筆者の場合、9月3日時点で8%まで還元を受けられる

 たとえば、筆者が本稿執筆時の9月3日に購入しようとすると、まず通常のポイントが1%つきます。また、購入するクレジットカードを楽天カードにすると、通常ポイントが1%、特典ポイントが1%上乗せされます。さらに、筆者は楽天モバイルのユーザーでもあるため、4%のポイント還元が受けられます。9月3日は、楽天イーグルスやヴィッセル神戸が勝つと1%ポイントが上乗せになるキャンペーンの対象日だったため、1%がさらに追加。これだけで、8%還元が実現します。

 また、9月11日までの間、楽天スーパーSALEが開催されており、買い回りのポイントが7000ポイントまで上乗せされます。これに乗せられて不要なものを買ってしまうのは本末転倒ですが、元々買おうと思っていた商品の購入先を楽天市場にすれば、そのぶん還元率が上がり、Apple Gift Cardでよりポイントを得ることが可能。経済圏にどこまで浸かっているか次第ではあるものの、比較的簡単かつ定期的にポイントを得ることができます。

楽天スーパーSALEでは、買い回りによるポイントアップを実施している。必要なものを買い足していけば、Apple Gift Cardの還元率がさらにアップする

 なお、初回購入は1万円まで、46日目以降は5万円までという制約もあります。一度購入すると、以降10日間ほど買えなくなるなど、不正を防ぐための対策が取られています。そのため、今から始めて買うとなると、残念ながら新しいiPhoneの発売には間に合いません。過去に購入したことがあったり、年内に入手する予定があったりする場合には、コツコツと“アップル貯金”をしておくのをお勧めします。

初回購入や連続購入には制約もあるため、注意しながらアップル貯金を貯めていきたい

キャリア決済のキャンペーンも実施中、回線契約で割引も

 キャリア決済のポイント還元キャンペーンを狙う手もあります。実は9月9日まで、ドコモ、KDDI、ソフトバンクがそれぞれキャンペーンを行っています。アップルの発表日前日までというのは、偶然なのでしょうか……。各社条件が異なりますが、おおむねキャリア決済をApp Storeに設定すると、それで決済したぶんが還元対象になるという点は同じです。

 たとえば、KDDIは初めて「auかんたん決済」で購入した場合、5万円で5000円ぶんのPontaポイントが必ず付与されます。2回目以降の場合は抽選になりますが、1万円ごとに1万ポイントが当たります。より大盤振る舞いなのがソフトバンク。こちらは5万5000円でPayPayポイントが5000ポイント付与されます。ソフトバンクも基本は初めて「ソフトバンクまとめて支払い」もしくは「ワイモバイルまとめて支払い」を利用したユーザーが対象ですが、なんと前回の支払いから3カ月が経っていれば初めて扱いになります。

ソフトバンクは、5万5000円のキャリア決済で、5000ポイントのPayPayポイントを還元する。3カ月間をおいていれば、以前還元を受けたユーザーも利用可能

 ドコモは残念ながら抽選のみ。同社も10%程度の還元を実施することはあるため、来週のiPhone発売には間に合わなそうですが、情報はチェックしておいた方がいいでしょう。ちなみに、App Storeでキャリア決済を利用する場合、Apple Gift Cardではなく、アカウントへのチャージという形になります。Apple Gift Cardも最終的にはここにチャージし、端末購入時に利用する形になります。

App Storeで支払い方法にキャリア決済を追加し、Appleアカウント残高にチャージすればOK
ウォレットアプリでも、残高を確認できる

 また、店舗のApple Storeで、ドコモ、au、ソフトバンクの回線契約をした場合にも、8800円の割引を受けられます。ソフトバンクはオンラインも対象。契約と言っても新規に回線を持つ必要はなく、機種変更でもOKです。先に例として挙げたiPhone 15 Proの場合、その割引率は5.5%程度になります。

 ただし、この割引は支払い方法がペイディに限定されています。iPhone 15シリーズ発売時には支払い方法を問わず、現金やクレジットカードも対象になっていましたが、その後、仕組みに変更が入りました。残念なのは、ここまで挙げてきたApple Gift Cardと併用ができなくなったところ。Apple Gift CardやAppleアカウント残高へのチャージでポイント還元を受けるか、直接8800円の割引を受けるか、どちらか一択になってしまったというわけです。

大手3キャリアなら、機種変更で8800円の割引を受けられる。アップル価格からの割引になるためおトクだが、ペイディの分割払いに支払い方法が限定された

 楽天モバイルが含まれていないのは残念ですが、Apple Gift Cardなどのポイント還元を逃した場合には、有効な割引手段。今後発売されるiPhone 16シリーズ(仮)でも同様の施策が行われるかどうかは未知数ですが、これまで数年にわたって継続的に実施されてきたため、対応する可能性は高いと言えるでしょう。円安時代でiPhoneの価格が上がっているからこそ、お得な方法を予習しておくことをお勧めします。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya