本日の一品
300mmズームで全域F2.8という驚異の明るさのコンデジ
(2015/6/16 06:00)
スポーツ観戦で写真を撮るのが趣味、という人は少なくないだろう。家族や友人が出場するアマチュアスポーツの試合で彼らの姿を収めたいという目的もあれば、プロスポーツの試合で迫力あるカットを撮りたいという向きもあるはず。筆者の場合は後者で、プロ野球の観戦に出向き、要所要所でプレーを撮影するのを楽しみにしている。かつてはスマホレベルでも満足していたのが、ズームが欲しくなり、続いて明るいレンズが欲しくなりと、徐々にエスカレートしつつある。
そんな筆者が野球観戦用に購入したデジカメが、カシオEXILIM「EX-100」である。野球観戦に適したカメラの要件は、まずは望遠に強いこと。一般的に、300mm相当のズームが可能であれば、内野スタンドの上段からでも、マウンドおよびバッターボックスが画面いっぱいに写る。600mmあれば選手のバストショットを撮ったり、あるいは外野からホーム付近を拡大して撮ることも可能だが、現実的には300mmあれば十分だ。
もうひとつは、夕暮れ時やナイターなど暗い環境でも、動きがブレなく写ること。そのためには限界までズームした状態でF2.8前後の明るさは欲しい。もちろんデジタル一眼レフに相応のレンズを追加すればいくらでも実現可能だが、筆者の場合はあくまでも趣味としての撮影であり、気が向いた時だけバッグやウェストポーチからサッと取り出して撮影するので、コンデジクラスで気軽に持ち歩けることが条件になる。
実際に探してみると、この条件がかなり無理難題であることはすぐ分かるのだが、まさにこの条件にジャストフィットなのが、このカシオEX-100である。ズームにこだわらなければソニーのDSC-RX100M3や、明るさにこだわらずズームだけを重視するならニコンのCOOLPIX S9900という選択肢もあるが、28-300mmの全域にわたってF2.8という明るいレンズは、この製品のほかに選択肢がまったくないのが現状だ。
実際の作例について、肖像権の関係でズバリそのものの写真は載せられないのだが、以下のサンプルで雰囲気は掴んでいただけるはずだ。これは内野席の中段付近から撮影したものだが、外野に選手が立っていればじゅうぶんに表情まで捉えることができるし、ホームにカメラを向けると選手の全身が収まらないところまで拡大できる。
また本製品の連写モードを使えば、バットが始動してボールに当たり、その後のフォロースルーの最後あたりまで、30枚の連続写真に収めることも可能だ。パスト連写機能を使えばシャッターを切る前後の枚数も自在にコントロールできるので「あ、これはスイングするな」と思った瞬間にシャッターを押すだけで、スイングの過程のほぼすべてが収められる。インパクトの瞬間が完全に止まって見えるほどではないが、コンデジに多いF6前後のレンズに比べると、その違いは一目瞭然だ。
その他の機能についても紹介しておくと、チルト構造の液晶は上だけではなく下にも可動するので、ローアングルからの撮影に加えてカメラを高く掲げて撮影する際も不自由しない。キーの割当もカスタマイズ性が高く、メニューを呼び出すことなく2種類の連写モードと通常の撮影モードを切り替えられるので、試合を観ながら撮り分けるのも容易だ。またテレ側も50cmまで寄れるので、野球観戦のお供のほかに、薄暗い飲食店で料理を撮る用途にも使ったりと、オールマイティに活躍している。
コンデジにしては総重量約389gとヘビー級なのと、親指の収まりが悪くグリップしにくい本体のデザインなど、マイナスポイントはあるにはあるが、それを補って余りあるスペックであり、満足感は非常に高い。実売6万円前後とやや値は張るが、それだけの価値がある一台だ。筆者のようにプロ野球をはじめとしたスポーツ観戦に使えるカメラを探している人は、候補の一つとしてチェックしてみてほしい。
製品名 | 販売元 | 購入価格 |
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EX-100 | カシオ | 6万円前後 |