本日の一品

安さだけが魅力じゃないカシオのデジタルウォッチ

カシオの低価格デジタルウォッチ。ファンの間で「チプカシ」と呼ばれているのを知り、思わず購入

 よくホームセンターやディスカウントショップなどで見かける安価な腕時計。ありきたりなアイテムだが、その中のカシオ製品については“チープカシオ”、略して「チプカシ」と呼ばれることがあるそうだ。少なくないファンがいるらしく、ウェブを検索してみると結構な数のページが見つかる。広く知られるほどではないものの、ひとつのカテゴリーとして成り立っているようなのである。

 筆者は以前、デジタルウォッチを中心に腕時計を集めていた時期がある。もう手元にはないが、低価格帯のカシオ製品もオモチャのような質感や徹底したシンプルさに魅力を感じ、いくつか所有していたのだ。それが今、ファンたちの間で「チプカシ」と呼ばれ、親しまれているのである。元コレクターとしては黙って見ているわけにはいかない。遅ればせながらこの流れに乗るべく、新たに購入することにした。

 「チプカシ」は安価なカシオ腕時計の通称ではあるが、とくにスタンダードタイプのデジタルウォッチを指す場合が多いようである。筆者は、その中から見覚えがあるデザインのベーシックなモデル「F-84W-1」を選んだ。オートカレンダー、アラーム、ストップウォッチといった機能をそなえ、購入価格は980円。あらためてコストパフォーマンスの高さに感心させられる。

 外観や質感は、筆者が過去に所有していたモデルから大きく変わった様子は見られない。変える必要のない、製品としての完成に近い形なのかもしれない。このあたりもファンを惹き付けるポイントのひとつなのだろう。

 腕に巻いてみると、とにかく薄くて軽い。袖口に引っかかることはないし、手首の動きを妨げることもない。着けているのを忘れてしまう気楽さである。以前は見過ごしていたが、ベルトの留め金がプラスチック製なので、作業中にデスクの表面やノートパソコンのパームレストを傷つけにくいという点も気に入ってしまった。これからはコレクションなどではなく、実用品として「チプカシ」を愛用することになりそうである。

 安価なデジタルウォッチには興味がないという人も少なくないだろう。しかし、筆者は個人的な趣味とは関係なく、この「F-84W-1」を高く評価したい。時刻を知るためのツールとして、非常にリーズナブルで使いやすいからだ。ありふれてはいるが、だからといって軽視はできない一品なのではないだろうか。

ほかのカシオ製品でもよく見られる角形のデザイン。左に2つ、右に1つボタンが配置されている
飾り気のない見た目は好みが分かれそう。機能的には上位のデジタルウォッチに引けをとらない
重量は21g。筆者が集めてきたデジタルウォッチの中では、もっとも小さく、軽い製品のひとつだ
裏側はステンレスのパネルで覆われている。ほかの部分はベルトの留め金を含め、ほとんどが樹脂製
照明はELではなく、横から液晶パネルを照らす旧来の方式。こういったレトロな雰囲気も捨てがたい
製品名製造元購入価格
F-84W-1カシオ計算機980円

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