たった19g、179円の電卓付き腕時計を使ってみた

　古くから世界中で見かける電卓腕時計は、常にある程度の市場ニーズはありそうだ。今回ご紹介するのはこの夏に筆者がtemuで179円で手に入れた電卓機能付きシリコン素材の腕時計だ。

　中国系のAliExpressやtemuの販売商品には、洒落た名前や型番、ニックネームなどを冠しておらず、商品の特徴であるタグワードだけを羅列した商品がかなり多い。この腕時計も全く同様だが、具体的な商品名無しでは説明進行が面倒だ。ここでは見た目そのままだが「電卓付きシリコンウォッチ」とした。

　電卓キー付きの腕時計は、国内外で過去にもいろいろな商品がたくさん発売されており、それほど珍しいモノでは無い。ただ今回の電卓付きシリコンウォッチは、腕に付けてみてその軽さに驚くだろう。筆者が今まで人生で一番軽いと思っていたあのカシオ「F-91W」よりまだ1gも軽い19gだ。腕に装着せず指先で持っていてもその感動は変わらない。

　最新の販売WEBを見ると「ストップウォッチ機能」が搭載されているように記載されているが、筆者の手元にある電卓付きシリコンウォッチは、どのボタンを押してもストップウォッチには画面が切り変わらない。家族にもいろいろ試みてもらったが同じだった。

　基本的に搭載されている機能は、時：分：秒表示の時計機能と、ONボタンを押すことで時計から切り替わる電卓機能だけだった。電卓機能から時計機能に戻るにはMボタンを押す。時刻表示の時にMボタンを押すことで、時刻と月日のカレンダー機能がトグルする設定のようだ。

　電卓機能は8桁で、一般的な人の生活関連の計算には必要十分だろう。四則演算は問題なく動作するが、またしても筆者の電卓付きシリコンウォッチは「√」（ルート）ボタンが機能しなかった。普通に押すとCLEARボタンとしてしか機能しない。とは言っても普通の生活でルート計算はそれほど出番が無さそうなので今回は大目に見た。

　スペックと異なる点が2つも見つかると多少ぐったりとしてくるが、気を取り直して素材の吟味をやってみよう。今回購入した電卓付きシリコンウォッチの外装カラーはホワイト。他にブラックやピンク、パープルブルー、グレーなどが用意されているが、人気のカラーは売り切れていたりするので、買うタイミングはけっこう大事だ。

　本体のカラーは違っても、ボタンのカラーや標記は全て同じ。本体もベルトもスマートウォッチではありがちなシリコン系の素材だが、もちろん多少チープで薄っぺらだ。しかしそのお陰でフレキシブルで軽いというメリットもある。

　ベルトのベゼルへの出荷時の接続は、一般的な腕時計とは逆で、尾錠のある方が正面から見て下側にくる。筆者が使うスマートウォッチと比較しても上下は逆だが、腕への装着で難があるかと言えばそうでもなさそうだ。慣れれば片手で難なく装着できる。黒いボタンの出っ張りをベルト穴に押し込むのに少し力とコツが要るかもしれない。

　夏の暑い時期はシリコンベルトは何となく汗ばんで不快感のある人も居るだろう。しかしこれからの季節なら電卓付きシリコンウォッチはピッタリなのかもしれない。通勤や通学途上で電卓があれば便利なことも多い。

　もちろんスマホやスマートウォッチには標準的に電卓機能は搭載されている。しかしちょっとした計算の為にポケットからスマホを取り出したりスマホやスマートウォッチの電卓アプリを起動するのも面倒だ。

　そんな時に出番がありそうなのが、今回ご紹介した電卓付きシリコンウォッチだ。一般的な電卓には絶対にある、CEやGTなどと言う高機能なキーは用意されていないが、いつも腕に装着していれば出番のあるガジェット腕時計だ。

　今回の件は製品個体差による筆者だけのことかもしれないが、ストップウォッチ機能が見当たらないこととルート演算ができないという、宣伝スペックとの差異があった。加えて、購入履歴の中で紹介されているPDF版ユーザーマニュアルが全く別の機種であることも愛嬌かもしれない。

　まあいろいろ些細な問題はありそうだが、軽さたったの19gで、通常の時刻表示とカレンダー機能に加えて電卓機能があって179円なら、お目こぼしでも良いかなと思えてきた。

　厳しい目で見るなら、今、一部で流行りのAliExpressやtemuでの商品購入と、同じ製品を目利きして選んで国内のAmazonや楽天などで売っている販売店で買うのとは、価格や保守サービス、返品のやりやすさなどで違いがあるだろう。

　いつの時代も、価格とサービスなどのアンバランスはつきものだ。もちろん国内での購入も心配が皆無とは言えない。リスクを抱えてでもとにかく安く珍しいモノを人より早く買いたいか、多少の安心感をもって同じ製品を遅れて多少高く購入するかは、消費者に与えられた最大の自由だ。