本日の一品

レトロフューチャーでちょっとパンクかつクリアな腕時計を買ってみた

WebをクロールしていてPROTO X:CUSTOM BAND MODELという腕時計を見つけた

 3度の飯より好きかどうかは自分でもよく分からないが、腕時計大好きな筆者が暇に飽かしてWebサイトを巡り、偶然見つけて気に入って買ってしまった腕時計を今回は本日の一品としてご紹介したい。

 買ったお店の名前は「830時計店」(ハチサンマル トケイテン)。なんだか、シカゴ出身のブラスロックバンドの“Chicago”の超有名な曲「長い夜」の原題である「25 or 6 to 4」(4時25~6分前)みたいだ。

レトロフューチャーも少しはマジってる筆者のチープ腕時計コレクションの一部

 830時計店は、70年代のレトロフューチャー腕時計や受注生産のデジタル腕時計、ICサーキットのアクセアサリーからニキシー管腕時計まで、いろいろな商品を企画販売している。2022年末に購入した「PROTO X:CUSTOM BAND MODEL」(以降:プロトX)もレトロフューチャーな雰囲気溢れる受注生産腕時計モデルだ。

 受注生産と言っても、フルカスタマイズの製品ではなくあらかじめ決まったパーツのコンビネーションをいくつかおこない提供する仕組みのようだ。価格的にも極めてリーズナブルで、製造納期も受注してから1カ月程度だ。余剰製品を持つことなく、メーカーとユーザーが折り合えるなかなか良い仕組みだと思う。

 「レトロフューチャー」と言うのは一般的には「過去の人々が思い描いていた未来像」のことだ。H.G.ウェルズの小説「タイム・マシン」がその好例だ。現代でも、レトロフューチャーのイメージを取り込んだ建築や家具、電化製品、腕時計からステーショナリーまでその対象商品は極めて広い。腕時計世界ではけっこうレトロフューチャーの概念は今もデザイン面で幅を利かせている。

超シンプルなアクリルパッケージで届いたプロトX腕時計。裏面にはモデルロゴ。ベルトは専用ツール無しで取り付け取り外しの出来るイージーレバーを採用している

 プロトXは、クリアなパッケージに入って届けられ発注時にさまざまな仕様をWeb上でカスタマイズ可能だ。筆者の購入したプロトXでは、基盤カラーが3色(白・黒・レトロ)、バンドがノーマルとカスタムの2種類。カスタムバンドには上にのっかる半導体部品カラーが2種類(モノ・カラー)提案されているので、組み合わせとしては全部で9種類となる。

 筆者の購入したモデルの基板のカラーは“レトロ”(普通のグリーンの基板)でベルトがカスタムカラーモデルという、もっとも見かけが派手でミーハー、サイバーパンクなモデルだ。もちろん、ベルト上のボタンなどを押しても機能上何も変化は起こらない。

カスタムベルトのカラーモデルのイメージだ

 ベルト上にカラーの派手な色のケーブルやレジスターがのっかるカスタムモデルであっても、それらコンポーネントがのっかるのは腕時計のベゼルの上下2~3cmほどの範囲だ。なので腕への装着が困難でもなく、プロトXを装着している自分もプロトXを眺める他人もそのイメージが良く見える配置なのだ。

 プロトXを駆動するバッテリー(ボタン電池)は、コンビニでも簡単に手に入る200円ほどのCR2032が1個で1~2年が交換サイクルだ。交換は最上面のアクリルカバーの4個のネジを外してバッテリーホルダーの上から下にバッテリー本体を押し出し交換する。

バッテリー交換の場合は最上面の四葉のクローバー型アクリル板を取り外す

 プロトXの操作ボタンは、上面のアクリルカバーの左右にアクリル面より2mmほど飛び出している2つの黒いボタンだけ。左側のボタンを押すと現在時刻(HH:MM)が約5秒間表示される。時刻調整は表示がされている5秒間の間に右側のボタンを長押しすると時刻設定モードになる。あいにく、カレンダー機能はないので必要なら昭和レトロな“ウォッチバンドカレンダー”を併用するしかない。

操作ボタンは2個だけ。左側のボタンを押すとHH:MMイメージで時間:分が5秒間だけ赤く表示される。カレンダー表示機能は無いので昭和なWATCHBAND CALENDARが役立ちそう

 プロトXはユニークな腕時計であると同時に、手作りなのである程度サイズは大きい。底面のベゼルサイズは45mm×40mmサイズだが、上面のアクリルは最大外周は1辺50mm程度のサイズになる。

 ただ、透明のアクリル板なので腕へ装着後のイメージは実測より小さく感じる。腕に装着している時間よりも、修理期間の方が長い筆者の“Devon”より遥かに軽く小さく枯れたオールドテクノロジーとシンプルな構造はきっとトラブルも少なそうだ。

外形サイズ的には使ってる期間より修理期間の方が長いDevon Watchに近いが枯れたテクノロジーのプロトXの方がきっと腕時計としては安定している

 メーカー側のスペックでは防滴(日常生活で水滴がかかる程度の防水)対応とのことだが、意匠裁判で某海外製高級ブランドに勝訴した日本製のジョークブランド同様に“完全非防水”と考えたほうが賢明で、基本的には水には要注意だ。クォーツ式の赤色LEDの表示は昼夜とも視認性は極めて良く、時刻の認知はまず問題ない。

赤いLED表示は昼夜とも視認性には問題なさそうだ

 腕時計にせよ家具にせよ、レトロフューチャーなアイテムは意外とコンビネーションするほかのアイテムとのコーディネイトやバランスが難しい。現代を代表するようなテクノロジーアイテムにもあう場合があるが、同じレトロフューチャー系のアイテムでもミスマッチ感がある時もある。

プロトXの一番の楽しみはプロトXにマッチする新旧のアイテムを探し出すことだ

 プロトXは単体で活用してもほかのアイテムとのコーディネイトを考えても極めて面白い本日の一品だ。

製品名発売元実売価格
PROTO X:CUSTOM BAND MODEL830時計店1万800円