本日の一品
骨伝導なのに音に臨場感あり! ワイヤレス骨伝導イヤホンcheero「TouchBone」
2020年11月17日 06:00
ヘッドホンをつけて仕事をしていたり、動画を見ていたりすると、ほぼ別の部屋の音が聞こえなくなる。そのため、チャイムが鳴っていることに気づけず、在宅なのに荷物を受け取れない。「これは遺憾」と思いつつ、スピーカーからの音では耳に届くまでの間に別の音の干渉を受けてしまい、よく聞こえない。
こんなジレンマを解決するツールを先日入手した。cheeroの「TouchBone」だ。名前からだいたい想像できるが、“骨に触れる”、つまり骨伝導タイプのワイヤレスイヤホンである。
形状は耳かけタイプ。音の鳴る場所(骨伝導アクチュエーター)は、耳株(下図参照)に近いところに位置するように設計されており、これを装着した状態で自転車に乗っていると、遠くにいる警察官がやって来そうだが、近くまで来ると耳孔を塞いでいないことがわかり、何事もなかったかのように離れていきそうな、そんなデザインである。
電源ボタン、ボリュームボタン(曲送り/曲戻しにも対応)、充電のためのmicroUSBコネクター、ヘッドセットとして使う際のマイクなど、コントロール類はすべて右側に集約。ボリュームボタンは、電源ボタンを挟んで上下に位置しており、上に「+」、下に「-」状の突起がある。もっとも指先の感覚だけでは、+か-かというのは判別できないのだが、電源ボタンの突起が大きめのため、装着したままでも操作は簡単だ。
汗っかきなわたしでもガンガン使えるIPX5レベルの防水性能あり。汚れたら、さっと水洗いできるのもうれしい。ファブリック素材のヘッドホンでは、数日使うと塩が吹くことがあるし、合皮タイプではわたしの汗の成分のせいですぐにボロボロになる。いずれにしても見栄えが悪くなるのだが、その心配は無用そうだ。
実をいうと、骨伝導タイプのイヤホンに良い思い出はなかった。「骨伝導というより、ただのスピーカーでは?」と思うような製品に当たり続けていたからだ。そういう製品ではこもった音しか聞こえない上、周りに自分の趣味がだだ漏れてしまう。実に残念だった。
しかし、TouchBoneでは、その残念さがなかった。もちろん、ものすごく性能が高く、お値段も高いイヤホンやヘッドホンを使っている人からすれば、「うーん」と言われてしまうのかもしれないが、ながら聞きでは全く問題のないレベル。また、心地よいボリュームでも、周囲に音が漏れていない(正確に言えば、かなり耳を近づけないと聞こえない)というのもありがたい。
どこからどこまでを高音質というのか、定かではないが、画面内を鬼が激しく移動するような動画を見ていても、音だけで移動しているのが判別できるし、深みはあったし、臨場感もしっかりとあった。骨伝導アクチュエーターの肌に当たる部分が柔らかいため、よく密着し、骨に音を響かせやすいのだろう。決してわたしの顔が丸いからではなく。
ただ、接続先がFire HD 10タブレット(第9世代)でBluetooth 4.2 LE規格だったので、TouchBoneの5.0というポテンシャルを活かしきれていなかったのかもしれない。それにしても、「はぁ……Bluetoothイヤホンもここまで進歩したのね」と技術の進歩に感慨深さを抱いてしまうほどには、よくできていると感じた。
装着感は、というと、TouchBoneのバッテリーが切れるまで(テレビ放映用に作られたアニメでいえば12回分ほど)使っていたことがあるが、耳が痛い、こめかみに圧迫感を覚える、ということはなかった。
とはいえ、ネックバンドが長めに作られているためなのか、あるいは装着の仕方が悪いからか、髪の毛が邪魔をするからなのか、位置が定まらない場合、ちょっとした違和感があった。着け方の研究の余地がありそうだ。
家の中のことに気遣いながら、在宅で仕事をし、時には息抜きに動画を見たり音楽を聞いたりオーディオブックに耳を傾けたりするのに、耳をふさぐことなく、しかも周りのお宅に迷惑をかけてしまうほどボリュームを上げなくても音が耳に入ってくる。チャイムの音にも気付けるようになった。「骨伝導タイプのイヤホンをバカにしていてごめんなさい」と心の中で謝ったのは言うまでもない。