本日の一品

外出先でも自宅でもフルに使えるモバイルWi-Fiルーター「+F FS040W」

 新しい生活様式が提案され、テレワークやリモートワークで働く人が増えてきている。筆者のようなフリーランスのライターは、元々、自宅だけでなく、国内外の各地に出向き、現地で取材し、移動中に原稿を書き……といった働き方だったので、あまり目新しい印象はないけど、それでも周囲の人たちからは「テレワークは意外に気を遣うことが多くて……」「結構、いろいろ準備しなくちゃいけないし……」なんていうグチも聞こえてくる。

 先日も知人にテレワーク中のインターネット回線について、相談を受けた。コロナ禍の影響で、勤め先がテレワーク中心に切り替えたため、急遽、自宅のインターネット環境を見直さなければならなくなったという。これまでは基本的に会社を往復する毎日だったため、自宅に帰っても基本はスマートフォンのみ。まれに在宅中に仕事でパソコンを使うとしても短時間なので、スマートフォンのテザリングで十分。だから、自宅には固定のインターネット回線(光回線やCATVインターネット回線など)を敷設していなかったという。賃貸住宅なので、工事で大家さんとの交渉が面倒だったことも関係しているようだ。

富士ソフト「+F FS040W」、約76mm(高さ)×76mm(幅)×19.6mm(厚さ)、約142g(重量)、オープン価格

 おそらくこうした環境の人は多いだろうけど、仕事でのパソコンの使用頻度によっては、スマートフォンのテザリングだけでは不十分なケースがある。テザリングでインターネットに接続していたため、スマートフォンに掛かってきた着信に出たら、あまり電池が残ってなかったとか、充電しながら使っていたら、端末が熱を持ってしまって、驚いたなど……。スマートフォンのテザリングは便利だけど、基本的にはサブとしての利用がベターで、テレワークなどで長時間、インターネットに接続するのであれば、やはり、何らかの専用のインターネット環境が欲しいところ。

 今回試用した富士ソフトの「+F FS040W」は、こうしたユーザーに適したモバイルWi-Fiルーターだ。本体はSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターで、国内の携帯電話事業者としてはNTTドコモ、au、ソフトバンクの4Gネットワーク、NTTドコモとソフトバンクの3Gネットワークに対応する。ちなみに、国際ローミングには非対応のため、国内での利用が前提となる。キャリアアグリゲーションに対応しているため、複数の周波数帯域を束ねた高速通信が利用できる。楽天モバイルについては正式なアナウンスが出ていないものの、旧機種の「+F FS030W」が対応機種に挙げられており、筆者が契約する楽天モバイルのSIMカードを挿したところ、動作した。

SIMカードはnanoSIMカードを電池パットを取り外した中央部分の凹みにさし込む
SIMカードを自動認識し、適切なプロファイルが自動的に適用される。ただし、すべての通信事業者が登録されているわけではない

 各社のSIMカードを挿したときの動作については、出荷時にプロファイルがあるものは自動的に認識して、接続できるが、それ以外はブラウザで本体のIPアドレスをURLに入力し、「FS040W設定ツール」のWebページで設定する。今回、筆者が試した範囲ではUQモバイルやワイモバイル、IIJmio、mineo、BIGLOBEなどは自動的に認識されたものの、OCNモバイルONEやNTTドコモ(spモード)などは、APNを手動で設定する必要があった。このあたりはAndroidスマートフォンのような一覧から選ぶ形式ではないため、サポート情報として、出荷時に設定されている主要なSIMカードの対応情報を明示して欲しいところだ。

「+F設定ツール」を利用すれば、スマートフォンから電池残量やデータ使用量などをいつでも確認できる
細かい設定はブラウザーでWebページで設定が可能。楽天モバイルのSIMカードは自動的に認識された
Wi-FiネットワークのSSIDは2つ設定が可能。Wi-Fiので利用する周波数も個別に選択できる

 本体の前面にはディスプレイが備えられており、モバイルネットワークの電波状態やWi-Fiの状態、接続端末数、電池残量、データ通信量などを画面で確認できる。本体に搭載されるバッテリーは、3060mAhと大容量のもので、約20時間の連続通信が可能。本体の背面カバーを開けたところに着脱式の電池パックが備えられているので、予備の電池パックを購入しておき、いざというときは交換するという使い方も可能だ。

 Wi-FiについてはIEEE 802.11a/b/g/n/acに準拠し、2.4/5GHz両対応となっている。接続は前面ディスプレイに表示される暗号化キーを入力するか、簡易設定のWPSを利用する。意外に便利なのが「無線LAN QR接続」と呼ばれる機能で、Androidプラットフォームか、iOS向けに提供されている専用アプリを利用し、本体のディスプレイに表示されているQRコードを読み込むと、面倒な暗号化キーの入力をすることなく、すぐに接続することが可能だ。

「+F設定ツール」を使い、本体のディスプレイに表示されたQRコードを読み取れば、Wi-Fiの設定が可能。AndroidやiOSの標準機能でも読み取りが可能

 同様のQRコードによる設定はAndroid 9/10搭載のスマートフォン、最新のiOSデバイスでもサポートされているが、専用アプリを利用しなくてもQRコードでWi-Fiの接続情報を読み取ることができた。ちなみに、本体のみで利用する場合、Wi-Fiは最大15台まで同時接続が可能で、USB Type-Cポート接続で1台がUSBテザリングを利用できる。

 「+F FS040W」で、もうひとつ便利なのがオプションで販売されている「+F FS040W 専用ホームキット」というクレードルだ。モバイルWi-Fiルーターの場合、ポータビリティを考慮するため、コンパクトな端末が多く、アンテナに制約があり、Wi-Fiの速度が制限されていたり、電池容量が限られている機種がある。「+F FS040W」では専用ホームキットに端末を装着することで、クレードル内のWi-Fi用アンテナも利用できるため、通信速度が大幅に向上し、同時接続台数も最大32台まで増やせるという。

オプションで販売される「専用ホームキット」に装着すると、クレードル内のアンテナが有効になり、Wi-Fiが高速化される
専用ホームキットの背面にはWPSボタン、充電用のUSB Type-C端子、1000Base-T対応LANポート、電源ボタンを備える。ACアダプターは「+F FS040W」に同梱されているものを利用する

 また、専用ホームキットには背面に1000Base-T対応のLANポートが備えられているため、パソコンや家庭用ゲーム機などはLANポートに接続しつつ、スマートフォンやタブレットはWi-Fiで接続するといった使い方も可能だ。自宅などでテレワーク中はパフォーマンスを活かしたホームルーターのように使い、気分転換で近所のカフェやコワーキングスペースなどに出かけるときは端末のみを持って行くこともできる。

 今回は木造住宅で、専用ホームキットに接続した状態の「+F FS040W」をほかのフロアにあるパソコンから接続してみたが、2.4GHzであれば、少し離れた場所でもそれほど大きくパフォーマンスを落とすこともなく、通信が利用できた。市販のホームルーターなどに遜色のないレベルと言えそうだ。「+F FS040W」を専用ホームキットに接続してから、端末が利用できるようになるまで、約30秒ほど時間がかかるが、モバイルWi-Fiルーターをホームルーターとしても活用できることを考慮すれば、専用ホームキットをいっしょに購入して、利用したいところだ。

製品名発売元実売価格(税込、ビックカメラ)
+F FS040W富士ソフト1万9800円
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