本日の一品

ノッチレスのテープディスペンサー(テープカッター)を買ってみた

 グローバルに伝わるように格好良く言えば「テープディスペンサー」、気取らず和製英語風に言えば「テープカッター」や時には「テープ台」と呼ばれるセロハンテープやメンディングテープを必要且つ目的の長さにカットする為の道具はご存知だろう。

 テープカッターと聞くとモビリティの高いハンディなタイプ、テープ台と言えば、デスク上に固定して片手でテープの端を引っ張って切ってもカッターそのものはビクともしない重量級のイメージを持つ人も居るだろう。

一般的なセロハンテープなら片手でグイと引っ張っても1Kg以上の重さのあるテープディスペンサーならテープ台はついてこない。一つの目安だ

 趣味と実益を兼ねて不必要なくらいテープカッターを在庫してしまった筆者だが、作業道具として実用100%に使うには1Kg以上の重量のあるテープ台が理想的だ。ただ、残念ながら設置するだけで嵩張ることが欠点だ。

 もちろん軽いテープカッターなら机の表面に、3M社とかの強力な両面テープでテープカッターの底をくっ付けるのが有力手段だ。

スコッチなどのメンディングテープをギザギザカットでは無く真っすぐに切れるノッチレステープディスペンサーを買った

 今回、ご紹介するのは、その手の大型重量級のテープカッターではなく、モビリティ性のある「notchless」(ノッチレス)と名付けられたテープディスペンサーだ。2011年以来世界の多くのデザイン賞を受賞した製品で、パッケージからしてなかなかこだわりのあるオシャレな商品だ。

さすがに2011年以来、世界各国のデザイン賞を取っているノッチレスはパッケージからしてお洒落だ

 本体はマットな表面処理をしたアルミニウム素材を用いて柔らかいテープのイメージを表現した動的なデザインだ。側面の透明度が高く光沢のあるアクリルカバー(ポリカーボネイト)とのコンビネーションはなかなか斬新だ。

 シンプルなデザインと構造は必要且つ合理的なモノだけを最小限配置した机上のテープディスペンサーとしては最高だ。その反面、暖かさや楽しさを引き出す要素は全くないクールなイメージなので好みは分かれるだろう。

テープを引き出したようなウェイブシェイプがユニークだ

 ノッチレスの対象となるテープはメンディングテープ(アセテート素材)、セロファンテープ、紙製マスキングテープの3種類だ。今回、筆者は代表的なスコッチ社のメンディングテープ(18㎜幅、7.6m)を使って試してみた。

 スコッチ社のメンディングテープにオマケで付属しているカッター部分と、ノッチレスの特許取得済みのカッター部分を拡大比較してみるとその差は大きい。

今回、ノッチレスのテストに使ったScotch社の幅18㎜のメンディングテープ

 スコッチ社のカッター部分は、ごく一般的なセロハンテープカッターに近いが、メンディングテープ独特の素材と粘着度の差から、一般的なテープカッターの刃のように金属製の薄刃ではなく、より立体的な引き裂く系のイメージだ。

ノッチレスは一般的なテープカッターと異なり、刃が先端で下を向いている
メンディングテープに付属のカッターとノッチレスのカッター部分(右)は大きく構造が異なる
Scotch社のメンディングテープのオマケのカッターは普通のセロハンテープカッターに似ている
ノッチレスはカットするテープをしっかりと面でくっつけて、身動きできないようにして、テープを強く押し下げて割くイメージだ

 一方、ノッチレスの刃は殆んど刃という感覚を感じることのない形状をしている。実際に指先で縦横に刃の部分を擦ってみてもそれほど痛くも痒くも無い。実はこの特殊な形状の刃は、小さなカッター刃のようなものが横一列に22個並び、刃と刃の間にはほぼ同じ間隔で小さな浅い溝が掘られている。

 あくまで想像の域を出ないが、メンディングテープをノッチレスのカッター部分で切る時には、押し付けられたメンディングテープにちょうど切り取り破線のドットに当たる部分にだけ刃が当たる。

 続いて、下側にメンディングテープを引き下ろす指先の動作で、ドット刃に当たった部分と浅い溝に引き込まれた部分との間にギャップが生まれ、メンディングテープのドット刃の部分から左右に引き裂かれる力となる。隣の刃との短い間隔部分がちょうど指先でメンディングテープを引き裂くのと同じ効果となり、綺麗な直線でカットされるようだ。

 実際にノッチレスでカットされたメンディングテープの断面を見てみると、スコッチのカット部分とは大きく違う。当然、ギザギザ断面には埃がつきやすく、見えにくいのが特徴であるはずのメンディングテープがかえって目立ってしまうというマイナス面も出そうだ。また剥がす時にはギザギザ面が縦裂けを誘発し、一度でスムースに剥がれないという問題も起こしそうだ。

実際にノッチレスでカットしたメンディングテープ(左)とScotchのオマケのカッターで切った切断面(右)
実際に色の付いた部分に貼ってみるとその差は顕著だ

 悪ノリついでに、推奨テープのメンディングテープ以外の、セロハンテープや紙製マスキングテープもトライして見たが、取説にもあるように、ノッチレスが最大の効果を発揮できるのはメンディングテープだけのようだ。

 ダイソーの安価なセロハンテープで試してみたが、まずカットするのに、テープを摘まんだ指先にかなりの力が必要だ。実際にはどれだけ力を加えても伸びるだけで切れる感じがしない。これは金属のギザギザ刃でカットして使うことが前提の粘着性の強いセロファン素材を引き裂こうとしても無理なのだろう。

 また紙製マスキングテープは、やはり紙という特殊な素材ゆえ、22個の小さな刃で引き裂くことが機能のノッチレスのカッター刃では、まさに紙テープを引き裂いたという結果になった。

やはりノッチレスは切断の構造上、マスキングテープには向いていない

 やはりノッチレスは指先で引き裂くことでも使えるメンディングテープに最適化されたテープディスペンサーだと考えるべきだろう。ただ切り終わったテープの先端部分は、かなり大きな面積でノッチレスに粘着した状態なので、次回使う時に、テープの引き剥がしが少し面倒だ。

ノッチレスはカット後、テープがカッター部分にだけ少しくっつく仕組みでは無く、面でしっかりとくっつく構造なので、次回使う時にまず剥がすのが儀式となる。この構造が、実は綺麗に引き裂ける機能要素でもある。

 テープディスペンサーの世界も、ノッチレスのように機能特化型製品やファニーな文具系アイテムも増えてきてなかなか楽しい世界だ。目的を間違わずに使えば、ノッチレスは、便利で効果的、人に自慢できるクールなテープディスペンサーの逸品だ。

製品名発売元購入価格
ノッチレス テープディスペンサー菊池-安國建築設計事務所2200円