本日の一品
やってきた冬場の乾燥時期には必須の“フエキ糊”?
2019年1月28日 06:00
“フエキ糊”という“でんぷん”を主原料とする糊をご存知だろうか? 主に紙と紙を接着するのが目的で用いられるごく一般的な水溶性接着剤だ。日本でも古来から使われており、穀物や芋類などの植物からとれるでんぷん質から作られている。
歴史もあり安全な内容成分ゆえ幼稚園や小学校などの授業で使うことが多いように理解しているが、製品ブランド名である「フエキ糊」(不易糊工業株式会社製)は関西方面で良く聞く名前。一方、関東圏では“ヤマト糊”というのが一般的だ。
小学校の図画工作には必須のでんぷん糊も、大人になると、オフィスや学校でも指先の汚れることのないスティック糊や、テープ糊系の商品に徐々に移行してゆくのが一般的だろう。
しかし、でんぷん糊は、今も紙の接着や、特に和紙の接着などに便利に使われている。購入したまま使うこともできるが、接着するアイテムによっては水で薄めたりしてより効果的に、また特徴を生かして芸術的に活用することもできる便利な糊なのだ。
そんな学校市場でも大人気のフエキ糊の中でも“どうぶつ糊のフエキくん”は極めて有名な存在で同社の“ブランドキャラクター”だ。既にフエキくんをパッケージやイメージに使用したデスク糊やメモ、付箋紙、筆記具、クリアホルダーなどのステーショナリーが人気で、ファンも多く筆者もいくつか愛用している。
明治19年(1886年)創業の不易糊工業株式会社が戦後、でんぷん糊をポリエチレン製のチューブスタイルにリ・パッケージしたのは昭和33年(1958年)頃らしい。長く見慣れたフエキ糊のチューブスタイルは既に60年の歴史あるアイテムなのだ。
それゆえ、シニアから幼稚園児まで、そのクラシカルでカラフルなデザインは幅広く人気だ。実はそんな“フエキ チューブ糊”そっくりの“ハンドクリーム”が不易糊工業株式会社から発売されている。新しいモノ大好きの筆者はもちろん速攻で購入して、会う人すべてに見せて自慢している昨今だ。
チューブに入っているのがでんぷん糊なのかハンドクリームなのかは絞り出して手に付けてみるまでは極めて分かりにくい。絞り出したその時だけは色の違いや匂いを認識できるが、しばらく間を置くと間違いなく忘れてしまう。
よくもまあこんな“紛らわしい商品”を昨今のクレーマーだらけの世の中で発売したなぁ? というのが正直な印象だが、そんなことをものともしない同社の“遊び心”に元大阪人として目一杯の賛辞を送りたい。
もちろん間違って買うことや買ってから間違って使うことのないように、チューブのあちこちに“これはハンドクリームです”“これはのりではありません”としつこいほど書いてある。昨今の面倒くさい時代に対応した万全の対策だ。
最初、筆者は黄色いチューブに入ったハンドクリームを買ったが、それでは先に使っていたピンク色のチューブ糊と誰でも容易に判別ができて全く面白くなかった。そこで追加で同じピンク色のチューブハンドクリームを購入し、余計なお世話(親切)の注意書きシールを全部剥がしてしまった。
注意書きシールを表裏ともすべて剥がしてしまうと、全く同じサイズの外形、手触り、仕様なので、どっちがどっちなのか全く区別がつかなくなってしまう。購入時はでんぷん糊は内容量が55g、ハンドクリームが40gなので多少の重量差はあるが、それも使ってるうちに全く分からなくなってしまう。おまけに元々でんぷん糊用の全く同じチューブを使っているので、表面にはご丁寧に55gとエンボスされている。
でんぷん糊とハンドクリームの両方を絞り出して比較するも、見ただけではそれほど顕著な差は見つけにくい。匂いを嗅いでもそれほど顕著な違いに気づかない人も多そうだ。
たとえ多少慣れてきて認識できるようになってもあくまで一時的なモノで、時間が経過するとスッキリと忘れ去ってしまう程差の異だ。さて、今年の新年会や飲み会では、”フエキ糊 罰ゲーム”で盛り上がること間違いなしだ。
製品名 | 発売元 | 価格 |
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FC ハンドクリーム | 不易糊工業 | 450円 |