本日の一品
iOS 11化した「iPad Pro」、仕事に使うか? デレステに使うか?
2017年10月18日 06:00
6月13日、10.5インチ版の「iPad Pro」を購入しました。購入後、知人になぜ買ったのかと尋ねられたのですが、「ビジネスシーンで活躍してくれるだろうと踏んだからですね! 結構高くて財布に響いたんですが、投資だと思って買っちゃいました」といった感じで答えました。
もちろん建前です。本当は「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下、デレステ)を快適に遊びたいがためです。というのも、当時Android 7.0を搭載したタブレットを使っていたのですが、大きな不具合が発生しており(6月23日にデレステのアップデートで解消)、楽しくプレイできないという不満を抱えていたのです。さらに、「デレステするなら選択肢はiPhone/iPadしかない」という噂も囁かれていたため、その真偽を確認してみたいという欲にも負け、購入に至りました。
価格は、10.5インチのiPad Pro本体(Wi-Fi/256GBモデル)が購入当時で8万800円(10月現在は値上がりして8万6800円)で、Apple純正カバーであるSmart Cover(5800円)と合わせると税込で計9万円超と、大変痛い出費となりました。デレステの場合、一定期間内に300回(10連3000円と仮定すると9万円分)回すと、対象アイドルのなかから好きなアイドルがもらえるシステムを実装しているため、だいたいそのお金があればお目当てのアイドルを確実にお迎えできたはずだったと考えるとつらいです(iPad Pro購入当時は未実装でしたが)。しかし、現状かなり快適なデレステライフを満喫できているので、後悔はしていません。
さて、前置きが長くなりましたが、本記事ではiOS 11にアップデートした10.5インチ版iPad Pro(以下、iPad Pro)における、(デレステの)使用感などをレビューしていきます。なお、記事執筆時点におけるOSの最新バージョンはiOS 11.02ですが、一部iOS 11.00の状態でレビューしています。ご了承ください。
iOS 11にアップデートしても動作に影響なし
“プロデューサー”(デレステユーザー)の方々が一番気になる点は、OSをiOS 11にアップデートして動作に不具合はないのか、ということではないでしょうか。デレステに限らず、Android/iOSのゲーム・アプリは、最新版OSが利用可能になってからすぐにOSのアップデートを行うと、挙動が狂うなど不具合が起こることが多く、ゲームによってはまったく動作しなくなることもあります。冒頭でお話したAndroid 7.0での不具合もその類のものです。なので、iPad ProユーザーでもiOS 11にしていいかどうか迷い、OSのアップデートを先送りにしている方は多いかと思います。
9月19日にデレステ内で発表された情報によると、iOS 11へのアップデートを行うと、一部の動作において正常に動作しないなどの現象が発生する可能性がある、としています。ですが、記事執筆時点における私の環境に関して言えば、現状でプレイに支障はありません。ノーツがカクついて流れたり、フリック操作に反応しなかったりなど、不具合は起こりますが、発生頻度はiPad Pro購入時よりは改善されている印象です。
その他スタージュエルの購入、ガシャ、コミュの閲覧など一通り操作を試しましたが、アップデートの影響は特にないように思えます。一度だけスタージュエル購入の処理が正常に完了しませんでしたが、デレステを再起動すると、プレゼントボックスに購入したスタージュエルが入っていましたし、その後はそういったことは起こっていません。
ただ、記事執筆時点で公式にiOS 11に対応したという発表もないので、アップデートをおすすめしているわけでもありません。安全に事を運ぶなら、やはりデレステの公式発表を待つ方が良いでしょう。
iOS 11が載ったiPad Proの動作を確認してみた
「公式対応をうたっていないので、本当に動作が安定しているのか、そんな話だけでは信用できない」と思うでしょう。私もそう思います。なのでCPUとRAMの使用率、バッテリー残量を監視するアプリをバックグラウンドで動作させながら、LIVE時の様子を確かめてみました。なお、CPUのコアごとの使用率や、バッテリーの温度も同時に調べたかったのですが、そうしたアプリは見当たりませんでした。
調査方法は、iPad Proのバッテリーをフル充電してから電源を切り、1時間ほど置いて端末内温度をできるだけ落としてから、記事執筆時に開いていたイベント「Twin☆くるっ★テール」をプレイしてみました。1回のプレイを監視してもあまり実情に沿ってないように思ったので、20回連続でプレイし(所要時間は1時間程度)、その状況を調べています。
難易度はMASTER+、LIVEの設定は「3Dリッチ」、ノーツの落下速度は9.2、タイミング調整は0、ディマーは「暗め」、室温は約27度の環境でプレイしています。なお、採用した監視アプリがバックグラウンドで3分以上動かない仕様だったので、1回プレイするたびに監視アプリを呼び出す作業が入っており、完全に連続してプレイできたわけではありません。また、当時はiOS 11.00の状態であったこと、ご了承ください。
LIVEをプレイしたログは、以下の通りです。白い縦線のようなスペースが監視アプリを、グレーの部分がデレステをプレイしている時間を意味します。また、赤のグラフがCPU使用率、青がRAM使用率、緑がバッテリー残量を示します。CPU/RAMともに1回のLIVE内で上下しますが、各LIVEごとのログを見比べても変動の仕方は一定し、動きは安定している印象です。
バッテリーに関しては、約1時間のプレイで10%減少しています。9回目を境にしてバッテリーがガクっと減るようになったので、単純に連続で10時間プレイできるわけではないものと思います。また、7、8、10、17、18回目のプレイでは一部のシーンにおいて、プレイに影響はない程度ではありますが、処理落ちが発生しました。また、ノーツのカクつきなどは見られず、プレイに支障はなかったといえます。
LIVE 1回のログを拡大表示した画像を見てみると、RAMは安定しているように見えますが、CPUは20~50%付近をうろうろしています。これは、背景の処理の重さに起因しているのかもしれません。iPad ProのSoC「Apple A10X Fusion」で採用されているであろうbig.LITTLEアーキテクチャ風なCPUコア構成の影響もあるのかもしれませんが、判断材料が少なすぎて何ともいえません。
「『3Dリッチ』の設定でLIVEしないから参考にならない」という方もいるでしょう。そうですよね。ということで、LIVE設定を「2D標準」にして、「3Dリッチ」の時と同じ条件で20回連続プレイした時のログも取りました。その結果は以下の画像の通りです。
当然と言えば当然ですが、「3Dリッチ」の時と比べてRAMの使用率が低く、バッテリーの減りも遅いのがわかります。LIVEの背景で動きが少ないからか、CPUの使用率は大きく変動することはないのも特徴といえます。プレイした感覚としては、LIVE内すべてのシーンでノーツのカクつきが見られることが多かった感じです。しかし、iOS 11.01にアップデートしたくらいのタイミングから、「2D標準」でのカクつきはあまり見られなくなったので、このログは役に立たないかもしれません。
「そこまでしたなら、ついでに『LIVE PARTY!!』(オンライン協力プレイ)のログも欲しい」という方、いますでしょうか。いるかどうかはわかりませんが、オマケとしてやってみました。「3Dリッチ」「2D標準」を各4回ずつ、難易度をMASTERに設定してプレイしています。「3Dリッチ」だとCPU使用率の変化が大きく、「2D標準」だと小さい、RAMの使用率は「3Dリッチ」の方が高いなど、これまでと同じような傾向が見えます。通常のLIVEよりカクつくかと思いましたが、これといった影響は特に感じず、快適にプレイできました。
「おいおい、縦画面でLIVEする新モード『SMART LIVE』についてはどうなの?」とお思いの方、すみません。この原稿を書いている時にはSMART LIVEは実装されていなかったので、どうにもなりませんでした。
ごちゃごちゃお話しましたが、ざっくりまとめると、LIVEはどの設定でも1時間くらいは問題なくプレイできそう、ということになります。ちなみに、ログを取っていたわけではないのでデータはありませんが、「3Dリッチ」の設定で2時間ほど連続で遊んでいたところ、プレイがままならないほどノーツのカクつきが悪化しました。iPad Proの背面がかなり熱くなっていたので、サーマルスロットリング(発熱によりチップセットが意図的に処理速度を落としている状況)が発生したのだと思います。なので、「3Dリッチ」でプレイできる連続プレイ可能な時間は、このくらいなのだと思います。
iOS 11の新機能がデレステに与える影響
iOS 11になったiPad Proでは、いくつものアプリや機能が追加されました。プロデューサーが気になる機能としては、画面を録画する機能「画面収録」を挙げるかと思います。画面を録画するアプリは特段珍しいものではなく、プリイン機能という点でも、たとえばASUSの端末では「Game Genie」というアプリを搭載しているので、正直なところ新鮮味は薄いといえます。
ほかにも、録画設定が変更できない、録画終了時にコントロールセンターの画面が絶対映る、そもそも人によっては本機能の有効化ができないのではないか、という懸念があるなど、不満点はあります。という欠点があるとはいえ、iOS 11対応端末なら誰でも気軽に画面の録画ができるようになったのは歓迎すべきことです。デレステでいえば、LIVEを録画してミスした部分について振り返ったり、ガシャの様子を録画してSNSなどで公開したりする使い方がよくあるパターンなのかと思います。
画面収録機能の挙動については、現時点では少々不安定です。ゲーム内では問題ないのに、録画した映像を見ると音がずれていたり、音が途中で流れなくなるといった現象がちょくちょく起こります。また、「3Dリッチ」の状態で録画するのが大変負荷がかかるようで、だいたいLIVE3曲分、8~9分程度録画しているとiPad Proの背面が熱くなり、ノーツの動きが不安定になります。
ガシャの模様を録画する際も、スタージュエルの購入作業(Touch ID画面の表示)を挟むと音が消えています。デレステ以外のアプリでもSlide Over、Split Viewなどを行うと音が消えたので、画面収録機能の不具合(仕様?)により、マルチタスクの類の操作が入ると音が入らなくなるのではないかと思っています。
試しに「3Dリッチ」で3回LIVEを行い、その様子を録画しながら、監視アプリを動かしてみました。1回目のLIVEの後に録画を停止・開始する操作を入れ、2回目・3回目は通しで録画したログが、以下の画像です。RAMの使用率がLIVE時に80%を超えていること、録画の停止・開始いずれかの操作でCPUの使用率が跳ね上がることが見て取れます。RAMの使用率が低い「2D標準」「2D軽量」の設定の方が、LIVEの録画には向いているでしょう。画面収録機能でデレステを絶対録画できるとは言いづらいので、気軽に短時間の動画を録画したい時に使うのが良いかと思います。
余談ですが、友人から「iOSのマルチタスク機能を使ってゲームを2つ同時にできないの?」と聞かれました。デレステに関してはできませんし、つねに指を動かし続けるデレステと他のゲームを同時に遊ぶというのはなかなか厳しいものがあります。マルチタスク機能を使うなら、デレステでイベントのコミュをオートで再生しながらWeb検索する、Twitterを楽しむ、くらいが現実的でしょう(個人的にはコミュに集中したいのでやりませんが)。
iPad Proでの操作に慣れるのに時間がかかった話
ここからは、AndroidタブレットからiPad Proに変更した時、感じたことについてお話します。今までデレステに使っていたAndroidタブレットのディスプレイサイズは約7インチで、アスペクト比は16:9だったのですが、購入したiPad Proのディスプレイサイズは10.5インチ、アスペクト比は4:3です。このディスプレイサイズ・アスペクト比の違いが、こんなにも見た目の印象やプレイに影響を及ぼすものなのか、ということを改めて実感しました。
見た目の印象に関しては、iPad Proのディスプレイが一般的なアスペクト比のディスプレイと比べると左右の幅が狭いことから、デレステをプレイすると画面全体に表示するアイドルのイラスト、LIVE、MV、コミュなど、どのシーンでも窮屈さを感じました。スマートフォン・タブレットにおけるアスペクト比は16:9がメジャーで、4:3はマイナーという点から、だいたいのゲーム・アプリは前者に合わせて設計され、デレステもその例に漏れていないことも影響しているのでしょう。今でこそ慣れましたが、MVでアイドルが見切れるなどといったことが起こると、なかなかがっかりします。
LIVEにおいてはディスプレイサイズが違いすぎるので、プレイの方法も変わってきます。私の場合、どちらの端末でも卓上に置いて両方の人差し指でプレイする、というスタイルに違いはありませんが、手の位置が異なります。Androidタブレットの場合は卓上に手のひらの付け根を置き、指を動かしてプレイしていましたが、iPad Proの場合はディスプレイサイズが大きすぎるため、そういったことがしづらいです。
そのため、手首を浮かせてプレイするスタイルに落ち着きました。最初は疲れて嫌だなと思っていましたが、指だけでなく手も動かせるようになったので可動域が広がり、難しい曲でもクリアしやすくなりました。常用はしていませんが、肩や腰を回して無理やり手を移動させるのも可能ということもあり、画面サイズはこれくらいの大きさの方が自分には合っているのだと思います。
画面サイズ・アスペクト比だけでなく、タップのタイミングも違和感を覚えました。これは単純に私のせいだとは思いますが、Androidタブレットでのタイミング調整が甘かったのか、iPad Proの購入当初はあまりタイミングが合わず、苦労しました。もともとリズムゲームが苦手という個人的事情もあり、慣れるまでに時間がかかってしまいました。
Snapdragon 835以上を積んだタブレットが出たら比較したい
「デレステするなら選択肢はiPhone/iPadしかない」という噂については、iPadだけでいえば同意しかねます。以前はデレステをAndroid端末で遊ぼうと思ってもSoC(GPU)を選ぶ傾向にあったのですが、今は対応SoCが広がりました。
たとえばHuaweiのKirin搭載端末でもジャギーが起こらなくなっており、そこまでAndroid端末がダメ、とも思っていません。また、iPad Proが良いと思えたのはディスプレイサイズと高めなスペックから来るものであり、iPad Proと同等のディスプレイサイズとスペックを兼ね備えたAndroidタブレットが発売されれば、そちらでも良いのでは、と思います。
ただ、iPad Proと同等のディスプレイサイズとスペックを兼ね備えたAndroidタブレットは、記事執筆時点では国内で販売されていないはず。もし貯金に余裕があった時にSnapdragon 835以上のSoCを積んだAndroidタブレットが発売されたら、購入して比較してみたいな、と思っています。
製品名 | 販売元 | 購入価格 |
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iPad Pro(10.5インチ/Wi-Fi/256GB) | アップル | 8万800円 |