本日の一品

表示内容をフルカスタム! 高性能サイコン「Wahoo ELEMNT」はいいぞ

「Wahoo ELEMNT GPSサイクリングコンピュータ」

 米Wahoo Fitnessの「Wahoo ELEMNT GPSサイクリングコンピュータ」をご存じだろうか。海外発売時に自転車乗りの間でちょっぴり話題になった製品で、7月から日本のAppleの公式サイトで販売されている。

 技術基準適合証明が通った本製品を購入できる場所は、記事執筆時点ではおそらくここだけ。しかし、ひっそりと発売されたからか、日本での注目度は低い。価格も税別3万9800円と高く、Appleの製品紹介ページもやや説明不足。購入を躊躇するネガティブな要素が揃ってしまっているが、実はとても良い製品なのだ。

付属のハンドルバーマウントを使って自転車に装着。ステムマウント、エアロバーマウントも同梱している
実測105g。ゴツい見た目の割には軽い

 本製品は、サイクリング時の走行スピードや距離、走行ルートなど各種情報を表示・記録するサイコン(サイクルコンピュータ)の一種。別途用意したケイデンス(1分間あたりのクランクの回転数)を計測するセンサーやスピードセンサー、心拍計、パワーメーターなどと、ANT+/Blutooth 4.0で接続できる。

 ついでに言うと、SRAMのRED eTapやワイヤレスユニットを装着したシマノのDURA-ACE 9070 Di2にも対応し、ギアの位置やバッテリー残量のリアルタイム表示も可能だ。

 内蔵のGPS機能により、測位や走行ルートの記録、スピードセンサーがなくても速度計測を行える。GPS以外にも、GLONASS/BEIDOU/Galileoおよび準天頂衛星みちびきもサポート。さらに温度計・気圧計も搭載と、ハイスペックな性能を誇る。

Garmin Edge 1000Jと大きさを比べると、本製品の方がやや小さめ。厚みはそんなに変わらない

 専用アプリ「ELEMNT」を通じ、Android/iOSデバイスとのBluetooth接続も可能だ。ファームウェアアップデートから各センサーとの接続、スピードセンサー使用時に設定するタイヤ周長など、あらゆる設定をアプリから実行できるのは素晴らしい。専用アプリが用意されたサイコンでも、設定時には本体側でボタン操作するものが多いなか、スマートフォンでスイスイと操作できるのはユニークかつ便利だ。

本製品の起動時に表示されるQRコードを、専用アプリで読み込ませることでペアリングを行う
タイヤ周長は自動設定も可能だが、合うものを手動で一覧から選ぶこともできる
連携可能なサービスは豊富に用意されており、複数のサービスとの連携も可能

 また、Wi-Fiの自動接続にも対応。Garmin ConnectやStravaといった、自転車乗り御用達のフィットネスサポートサービスと連携しておけば、Wi-Fi接続時に自動でそれらサービスに走行データをアップロードできる。……のだが、9月に入ってからGarmin Connectにはアップロードできなくなっている。本製品の不具合というよりは、Garmin側が自社製品以外からのアクセスを遮断しているように感じるが、詳細は不明だ。

 ディスプレイはモノクロ表示かつサイズも2.7インチと大きいため、視認性は高い。もちろんバックライトも内蔵しているので暗所でも見やすい。表示する情報量はアプリを使ってカスタム可能だ。表示する情報を追加・編集して“ページ”単位で保存する仕組みで、本体の使用中にページの切り替えも行える。トレーニング時はケイデンスや心拍数などを配置したページを映し、通勤時は現在時刻と会社までの残りの距離を表示するなど、用途に合わせてページ内容を変更するのも良い。

カスタムした画面レイアウトの“ページ”一覧画面
ページに追加できる情報は細かくジャンル分けされている
地図だけはプリインの“マップ”ページでのみ閲覧可能

 画面のレイアウトは、表示する情報の項目数によって自動で変化する。項目数が少ないと各項目が大きく、項目数が多いと小さく表示。本体右側面にある2つのボタンを押すと、表示する項目数を減らして拡大表示したり、1画面内に収まらなくなった項目を表示するよう、縮小表示させることができる。アプリ上で編集しているページ内容は即時反映されるので、ページの見やすさを確認しながらカスタマイズ可能なのはうれしい。

筆者はこんな感じのレイアウトにした
シンプルすぎるくらいに情報を絞って大きく表示するのもアリかも?

 ルートデータの取り込みもOK。GPXファイルをアプリ経由で本製品に送信する、もしくはStravaなどのサービスで作成したデータを本製品を使ってWi-Fi経由でダウンロードする、といった方法が用意されており、どのルートデータを使用するかはマップページから選択する。おすすめされたサイクリングコースや、自分で設定したロングライドのコースを走る際にはぜひ活用したい。

マップページ画面で左側のボタンを押すと、ダウンロードしたルートデータ一覧を表示

 本体はバッテリー内蔵でmicroUSBポートから充電でき、連続使用時間は公称17時間。休憩を含めて8時間ほど走った時は残量が40%となっており、実際は単純計算で13時間以上は使えそう。この日は気温が高く直射日光も厳しい猛暑日で、内蔵の温度計では平均35度を記録した過酷な環境だったから、タフネス性能も十分と言える。IPX7相当の防水性能も備えているので、急に雨に降られても安心だ。

充電用microUSBポートは本体背面に配置。非使用時はカバーで覆って浸水を防いでいる

 不満点は、価格以外にはほとんどない。強いて挙げるなら、平均ケイデンスの算出方法がクランクを回している時の平均から割り出すという一般的なものではなく、回していない時間(下り坂や信号停車時など)も加味してはじき出しているであろうこと。おそらく現状では算出方法を変えられないので、その点だけはほんの少しだけモヤっとしている。

 まだまだ紹介しきれないほど多機能で、画面の見やすさやアプリの使い勝手の良さも考えると、高価なのもうなづけるのではないだろうか。高性能すぎて、そこまで必要ないと思う人もいると思うが、用途がぴったり合いそうなら本製品は超が付くほどオススメだ。

走行データはアプリ内にもしっかり保存される
ディスプレイ上部・左側にはLEDを配置し、光と色で現在の速度の目安などがわかる仕組みもある
製品名販売元購入価格
Wahoo ELEMNT GPSサイクリングコンピュータWahoo Fitness3万9800円(税別)