スタパ齋藤の「スタパブログ」

 オライリーの「Handmade Electronic Music――手作り電子回路から生まれる音と音楽」という本を読んだ。まだ途中までですけど。安価な部品をつないだり、身近な電気製品(とくに玩具)を改造して、電子音を出してみよう!! みたいなチャレンジングな本ですな。

 書籍名の「Handmade Electronic Music」から内容を想像すると、手作り電子音楽で、楽器を作るのかな? とか思いがち。作ってはいるんですけど、実際は想像よりずっと野蛮で強引で大胆な作り方。出てくるサウンドもそうだ。「電子楽器を作ってみたいから」という理由でこの本を読むとちょっと違うかも。「そもそも電子音ってどういうコトなの?」的な観点で読むと「おおっコレは試したい!!」てな実践が多々載っていて楽しめる。

 この本の目次を見ると、なんとなくわかるかも。かなりプリミティブな電子楽器~電気的振動の実験、てなイメージですな。個人的には「9章 クレジットカードを演奏する」に似た実験をして、磁気カードでスクラッチをしたことがあるんですけど、そういうノイジーなサウンドをアノ手コノ手で出す作例を載せた本、でもある。

 もうひとつ個人的に、「2章 ハッカーが守るべき7つのルール」にある「コンセントに直接つながっているものは分解しない」という一文に頷いた。この本の中ではけっこー無茶な改造や体験をしていく感じなんですけど、確かに100Vはヤバいですな。また改造する機器によっては内部で高電圧が発生しているかもしれないので、電池駆動でもヤバいときはヤバい。カメラのフラッシュとかネ。

 余談ですけど、25年前の平成最初の日、写ルンですのフラッシュ入りタイプを分解してイジってたらアッサリと感電しましたヨ。5分くらい口きけないレベルの衝撃。上記書籍の翻訳を担当しているフニャ田さんも、同じく感電した。ので、我々「プロトタイパーズ」はビビって100Vモノには着手できないのであった。ACアダプタ経由なら手を出しますが。

 まあ感電するほどのリスクはないと思うけど、電気実験上のリスクをイロイロ含む作例が多い本書。非常におもしろいんですけど、「本のとおり試したら煙が出た」とか怒っちゃうような人には全然向いてないと思われ。一方で、「しくみを知りたい、試したい」という人にはかなりオススメと思われ。

「Handmade Electronic Music――手作り電子回路から生まれる音と音楽」(オライリー刊)。352ページで定価3570円。大胆な電子音実験がたっぷり。
たとえば「痙攣するスピーカー」。スピーカーに電池直結して実験しちゃうんである。原点的なレベルから原子音を探ったり楽しんだりする本なのだ。
オニャイニーの本の表紙は動物なのよ。「カンフーマック――猛獣を飼いならす310の技」(http://www.oreilly.co.jp/books/9784873115825/)の表紙は、ぼぼ、ぼくと似てるの。ニャ。ニャ。みたいな。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。