スタパ齋藤のApple野郎

Apple「WWDC22」で俺的にグッと来たポイント

次世代のCarPlay……とな?

 米国時間の2022年6月6日に雨がザーザー降ってきて日本は梅雨入りし……あれ? チガ〜ウ!!! 開催されたのであった、AppleのWWDC(Worldwide Developers Conference)が。開発者向けのイベントですな。

 いろいろな新構想・技術が発表された。ウワサのApple Silicon新バージョン「M2」とソレを搭載した新型「MacBook Air」も公開された。

独自SoCの新型Apple Silicon「M2」を搭載したMacBook Air。価格は16万4800円からで、7月発売となっている。M1チップを搭載した旧モデルも併売され、こちらは13万4800円から

 で、俺的にいちばんグッとキたのはこのM2 MacBook Air、と思われがちだがしかし!!! ヒジョーに気になったのは次世代「Apple CarPlay」。

 Apple CarPlayは、クルマに搭載されたディスプレイやオーディオ機器とiPhoneがつながる機能。現実的な使われ方をザックリ言うと、iPhoneとカーナビを接続できる機能で、カーナビ画面・クルマのスピーカーでiPhoneのコンテンツを再生したりコントロールしたり、あるいはカーナビ上でいくつかのiPhoneアプリを使えたりするというものだ。

 俺もけっこう使う。とくに俺の最強に強まったカーナビとiPhoneをLightning-USB接続すると、iPhoneの音楽がかなり高音質で鳴るので愛用中(無線っていうかBluetooth経由だと、音が、ネ)。あと、ときどきなんとなくGoogleマップを表示させたり、なーんとなくSiriに質問して大した回答が得られずイラッとしたりして遊んでいる。

多くのケースでCarPlayはiPhoneとカーナビ専用機を接続して機能させることになる
CarPlay対応ナビとiPhoneを接続すると、こんなふうなホーム画面が表示される。iPhone上の一部アプリをカーナビ画面で操作・表示できるようになる。ただしこの写真は以前のものなので、現在は少し表示が変わったかもしれない
カーナビアプリとしては実用性が高い「Yahoo!カーナビ」も使えるっていうか……あ〜っZoomも使えたんスね!
Appleのマップアプリでナビを使っている様子。フツーに実用レベルだ
Googleマップで航空写真を表示している様子。機能は限定的だが、助手席に乗っている人はこういう表示だとより楽しめるように思う
画面が大きく表示が見やすく操作性も平易なので、iPhone内の音楽をより快適に聴ける。iPhoneとカーナビを有線接続すると、単純にiPhoneとカーナビをBluetooth接続したときよりずっと音がいい。なお、iPhoneとカーナビをWi-Fi接続してCarPlayを使うこともできる(カーナビ機種による)

 使うと便利で楽しげなCarPlay。ただ、現在のCarPlayは、俺にとって「iPhoneのサブスクを含めた音楽をけっこうイイ音で流せて移動中はiPhoneの充電もできる」くらいのもの。なくても困らないのだ。

 CarPlayがあればiPhoneのマップやGoogleマップをカーナビとして使える。しかし、いまどきのクルマに積まれるクルマメーカー純正な感じのカーナビは、AppleやGoogleのマップよりもずーっと実用的。クルマをよく使い、ナビに頼りまくって運転している俺の場合、非常に強い理由がない限り、クルマに搭載されているカーナビ専用機を選ぶ。

 だが、先日のWWDCで発表された“次世代のCarPlay”は、現在のものとけっこう違うっぽい。詳しいことはわからないが、も〜しかしたら、運転席から見える光景がズギャッと大変化するのかも……と想像し妄想し、次世代CarPlayにワクワクしているのであった。

次世代CarPlayでiPhoneはクルマと融合する! のかもしれない

 WWDCのCarPlay関連の発表を見て思うに、現在のCarPlayと次世代CarPlayは大きく変わりそうだ。想像力と妄想力を発揮しつつ考えると、次世代CarPlayは現在のCarPlayの一部機能を引き継ぐものの、ドライバーにとっても自動車メーカーにとっても別物になる気がする。

 ぶっちゃけた話、現在CarPlayはiPhoneとカーナビがつながっている程度のもの。ナビ画面上でiPhoneを楽しく使えるので「あーはいはいカーでiPhoneをプレイですねはいはい」って感じの納得感はあるものの、そのためにCarPlay対応のナビを選ぶだろうか……いや、どうせナビつけるならCarPlay対応ナビにしたいというのはあるとは思う。もしかしたら「23万円のCarPlay対応純正ナビとか要らないし、それよりiPad mini 6買ってダッシュボードに置いたほうがいい」と思う人の方が多い……かどうかわからないが、ドライバーにとって現在のCarPlayは必要不可欠ってほどじゃないと思う。

 だが、次世代CarPlayの表示を見(て想像し妄想す)ると、「こーゆー機能が複数ありまくりだと、次世代CarPlay対応をクルマ購入の前提とする人(俺とか)が増えるかも!」と思う。WWDCで示された次世代CarPlayの表示例とともに俺の想像&妄想を見ていこう。

現在クルマのメーターパネルは液晶表示化・大画面化が進んでいるが、次世代CarPlayではそのメーターパネルを使っての表示も可能になるっぽい。オリジナルの並びのメーターパネルをデザインできる感じ? ガソリン残量とかも次世代CarPlayで表示されるっぽい。もしかして、クルマの各種データをOBD(故障診断などのためのクルマからのデータ読み出しのしくみ / 日本国内では2009年以降の新型車へのOBD2搭載が義務化されている)経由でiPhoneに読み出して次世代CarPlay経由でメーターパネルに表示する?
各種情報も正確そう。次世代CarPlayではiPhoneとクルマの融合度というかつながりの深さが大きく増すのかもしれない。こうなってくると、「iPhoneとカーナビがつながっただけ」っつーのとはワケが違う
むむむ。次世代CarPlayではクルマに搭載された各種装置をコントロールできるっぽい。「Hey Siri、シートヒーターをオンにして!」「このクルマにはシートヒーターが装備されていません」「イラッ」みたいなやりとりができる? でもエアコンのオンオフや吹き出し口の切り替えや外気導入・車内循環を音声でコントロールできたら安全そう。ん〜? SYNCってナニ!? 前後席のエアコンのSYNC運転? iPhone上の次世代CarPlay表示設定をクルマに転送するSYNCだと、「いつもの表示設定で走りたいからレンタカーは次世代CarPlay対応のにしよう」みたいなコトになるのかも
「32 mpg Fuel Economy」って燃費だと思うが、これってやっぱりクルマから走行速度や距離や燃料残量などの情報をiPhoneが得ているってコト? クルマのコンピュータがそーゆーの計算してるとしても、それをiPhoneが受け取ってる? 「Monday 6」の“Sync”って打ち合わせ(擦り合わせ)? あっ「My Home」の「Garage Door Closed」ってこれホームアプリ? クルマからホームアプリで家電とかコントロールできたら嬉しい人いるかも
これはカーナビアプリ? デザイン先走りで地図として見づらそう〜、とか言ったりして
かつてカーナビメーカーと自動車メーカーが「ダッシュボード付近の奪い合い」をしたとか聞いたが、それ以上のことが起きそうな……
でも次世代CarPlayってホンダとか日産とかも参加するんでしょ? ということは……

またもやスマートフォンがハードウェアを“吸収”してしまう! のかもしれない

 次世代CarPlayにホンダが参加するという点で、個人的にはワクワクしている。というのは、ホンダ車好きなもんで。さらには、現在のホンダのカーナビって、クラウド指向でありつつ、スマートフォン連携もなかなか良く、便利&愉快に使えるからだ。まあほかのメーカーも同様ではあるが。

 ホンダのカーナビおよびHonda Total Careサービスについては上のリンク先の記事をお読みいただきたいが、パソコン・スマートフォン指向のユーザーにとってナニカと便利。パソコンやスマートフォンアプリ上で車両点検の予約ができたり、通ったルートを振り返ったり、目的地やルートの設定ができたり。給油記録を行うと、燃費や年間 / 月間にかかった燃料費なども細かくチェックできる。

パソコン版Honda Total Care(Webサイト)の表示例。たとえば走行距離や燃費などのデータを見られる
こちらはスマートフォン版Honda Total Care(アプリ)の表示例。パソコン版でもスマートフォン版でもできることはだいたい同じ

 Honda Total Careサービスでは、クルマにモバイル回線がつながっていて、クルマの一部のデータをクラウドにアップロードしたり、逆にユーザーが設定した情報をクラウドからクルマにダウンロードしている。クルマ側(カーナビ)でもそこそこ通信しているようで、ホンダから案内メールが来たり、目的地の天気予報が表示されたりする。渋滞情報なんかも通信で得ているようだ。

 で、これまた想像であり妄想なんだが、純正カーナビをHonda Total Care対応にしたり、あるいは専用Webサイトやスマートフォンアプリを作成・運営したりするのって、なかなかタイヘンなのではないか、と。高機能化してくれるのは便利ではあるが、そういう開発ってユーザーへコストというカタチでそこそこ跳ね返っているのでは、とも。

 ツイデに言うと、スマートフォン版Honda Total Careアプリはツッコミどころも少々あって、給油記録とかは手入力(自動入力の車種もある?)。クルマは満タン給油ごとにトリップメーターが0kmリセットされる機能があったり、そもそもリアルタイムで燃費が出ていたり、さらにはクラウドへ走行情報をアップロードしているんだから、給油記録とか自動化してよぉ〜、とか思ったりする。まあガソリン価格とか正確な給油量は手入力の必要があるとは思うが。

 でまあ、ともあれ、Honda Total Careは便利だが、「すごいっ!」ってほどではない。もしかしたらホンダとしても「こういうホンダだけのスタンドアロンな情報サービスはそのうちヤメたい」と思っているのかもしれないが、これは俺の想像であって妄想である。

 で、次世代CarPlayにホンダが参加する。クルマの情報がビシバシとiPhoneに送られるとしたら、次世代CarPlayではiPhoneのヘルスケアアプリのように「CarPlayアプリ」みたいなクルマの情報を網羅・分析してアドバイスまで与えるアプリが登場したりして。そーゆーアプリがHonda Total Careの役目を受け継いだりしつつ、Honda Total Care対応カーナビのようなハードウェアもiPhoneに吸収されるのではないか、と想像&妄想するのであった。

 そうなるとホレ、給油後に「Hey Siri、いまレギュラー19リットル給油して2945円だったから給油記録して」言えば次世代CarPlayで正確な燃費ログが自動生成されるっていうか。いやもうガソリンスタンドで給油してApple Payで払えば油種も油量も金額も全部自動で次世代CarPlayに送られるので超絶便利になると想像&妄想する俺だが、あーでもそろそろ給油じゃなくて給電の時代か〜などと脳内で話が脱線する俺でもあった。

 だが想像&妄想はやめない。最近は自動車メーカーのディーラーがフツーに自動車保険などを請け負っているが、次世代CarPlayとなると、iPhoneが使われるわけで、iPhoneは本人性を証明しやすい通信端末でもあるので、ホレ、事故ったら速攻でドライブレコーダー映像を保険会社担当者に送信したと思ったら電話でつながって事故後のアレコレを保険会社がヤッてくれる的なサービスも、次世代CarPlayでできまくるハズ。もークルマとコネクトしまくりの次世代CarPlayだけに、ドライブレコーダーと直結してるわ保険会社とはビデオ会議状態だわ警察は速攻で到着するわの大騒ぎだが、あーでもそろそろ自動運転でそーゆー事故も激減な時代になるんだろうなーと思う脳内脱線野郎の俺である。

 俺の想像と妄想によると、最後に残った自動車メーカー純正カーナビもすごい勢いでiPhoneに吸収されるという結論になる。だが、それってそう悪くない未来なんじゃないかとも思う。

 これもやっぱり想像と妄想ではあるのだが、Appleは使いやすく連携性に優れたアプリとクラウドを自動車メーカーに売ることができ、自動車メーカーはこれまでかったりい思いをしつつお金もかけて負担にもなっていたカーナビとかそれに関わるサービスを切り捨ててコスト減につなげられる。両者ともお得。さらに純正カーナビを高価格で買ってそんなに使いやすくなーい的な鬱憤も、ユーザーから消える。Win-Win-Winじゃないですか〜3者がWinなのってナンて言うの?

 でもまあ、カーナビのハードウェアやソフトウェアを作ってきたメーカーは一時的に困るのかもしれない。でもでも、優れたカーナビゲーションを行うソフトウェアはAppleが根こそぎ会社ごと買ってくれるのかもしれないので、もしかしたらWin-Win-Win-Winをもたらす次世代CarPlayなのかもしれないが、まだ実物は全然ナイしわからないので、とりあえずはM2搭載MacBook Airを買いてえなと思った。色はシルバーで容量は24GB / 1TBにすると30万円弱になるな〜でもFinal Cut Proも欲しいから結局30万オーバーにな(以下略)。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。