スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

スマホとネットとホンダのクルマ

ナビも車両情報もクラウド経由でスマホ連携!

 去年にホンダの「N-BOX+」(関連記事)というクルマを買ってから、ホンダの「Honda Total Care」(公式ページ)というサービスを使っています。ホンダ車オーナーが加入できる統合ケアサービスで、車両の点検や車検、保険、保証、ロードサービスなどに関する情報を一括して閲覧・利用できるというサービスです。

2017年に納車されたホンダ「N-BOX+」。Nシリーズ乗用車のなかで、室内のフルフラット化が容易であるなど、とくにユーティリティ性が高い車種です。右はホンダ車オーナーが利用できる「Honda Total Care」の会員サイト(個人用ウェブサイト)。所有する車両に関する各種情報を一括管理でき、ディーラーや担当営業マン情報まで網羅されています。「クルマ関連のことはとりあえずこのサイト」的に使えます。スマートフォン用アプリもあり、会員サイトと同様の情報を閲覧可能。スマートフォンでアプリを使っていれば、事故や故障のときにアプリからホンダ緊急サポートセンターへ即電話をかけられます。

 Honda Total Careを使い始めた頃は、「へぇ最近のクルマはウェブサイトやアプリで車両情報を管理できるんだ。便利ネ」くらいに思っていました。ところが、今年になってホンダ「S660」(レビュー記事)を買って乗り始めてから、Honda Total Careに対するイメージがガラリと変わりました。

 というのは、インターナビ(公式ページ)を介すると、Honda Total Careの実用性がズギャギャギャ~ッとヤケに高まるから。インターナビというのは、ホンダ純正の通信型カーナビです。リンクアップフリーと呼ばれる無料通信サービスにより、ネットからナビへと各種情報を取り込めたり、ナビ経由で車両の各種情報をHonda Total Careサービスへと送ったりできます。

 やや余談ですが、去年にホンダN-BOX+を買ったときは、ホンダ純正ナビ(インターナビ)を装着せず、社外品のナビを装着しました。なので、上記のナビ・車両情報のネット連携利用ができませんでした。でも、今年買ったホンダS660ではホンダ純正ナビを装着。そこでようやく、Honda Total Careのネット関連の利便を知ったというわけでした。

 まあ、ホンダ車オーナーで、Honda Total Careおよびインターナビを積極的に使っている方にとっては「アタリマエ」のことではあります。ですが、改めて考えてみても「こういうサービスが無料で受けられるのは凄い!」と思えるので、以降にてHonda Total Careの機能性や使用感について書いてみたいと思います。

Honda Total Careで何ができるか?

 まず、Honda Total Careの概要から。詳細はメーカーの公式ページをご覧いただくとして、ホンダ四輪車オーナー専用の会員制サービスです。入会は任意なので、ホンダ車オーナーでも加入していないこともあります。入会するとアカウントが得られて、ディーラー側でオーナーや車両や保険等々の各種情報が会員サイトに入力されます。

 で、そのアカウントを使ってHonda Total Care会員サイトやHonda Total Careアプリにログインすると、入力された各種情報を閲覧したり、登録情報を変更したり、ネット上で車両メンテナンスを予約したり、あるいは走行により変化していく車両情報を見ることができます。以下、筆者のS660を例に、会員サイトやHonda Total Careアプリの機能を見ていきましょう。

Honda Total Care会員サイトの表示例。登録されたクルマの情報や保険関連情報、常用ディーラー詳細などが表示されます。インターナビを使っていれば、インターナビ経由で車両の走行関連情報も自動入力されます。燃費とかチェックできちゃう。設定すれば「クルマで立ち寄った地点」も表示可能です。
こちらはHonda Total Careアプリの表示例(iOS版)。会員サイトでもアプリでも、ほぼ同じ機能・情報を利用できます。右スクリーンショットはインターナビ非搭載のN-BOX+のもの。車両からの情報がHonda Total Careへ送られないなどの理由で、利用できる機能が少なくなっています。

 上のアプリにある各アイコンが主な機能ですが、それぞれザッとご説明。なお、車両に搭載されるインターナビの機種により、利用できる機能が少し変わります。

Myディーラー

常用のディーラーを登録すると、そのディーラーの詳細情報を確認できます。ディーラー担当営業マンの名前を確認できたり、ワンタップでディーラーに電話をかけたりできます。

愛車メモ

車両の型式や車種名、グレードなど、車両情報各種や、車検や保険などの期限を確認できます。ホンダ緊急サポートセンターへワンタップで電話をかけることもできます。

Myスポット

目的地や立ち寄り地をブックマーク的に登録しておけます。Myスポットはインターナビ・アプリ・会員サイトで共有・利用できます。

インターナビ・ルート

別アプリ「internavi POCKET」が起動し、現在の交通情報などを加味した目的地や経由地をルート探索できます。internavi POCKETは単体でも使えるクルマ・バイク用ナビアプリです。

メンテナンス記録

Myディーラーで受けた整備関連情報が表示されます。

給油記録

給油量やオドメーター数値などを入力し、ガソリン代や給油量の合計値を見ることができます。自動では入力されません。

トラブルガイド

車両のトラブルの対処法などを調べることができます。

燃費履歴

車両からアップロードされたデータをもとに、燃料関連の各種データを閲覧できます。

ドライブノート

ドライブごとの燃費や出発点・訪問地、走行距離、平均燃費などを一望できます(インターナビ・プレミアムクラブ対象車のみ対応)。インターナビについてはメーカー公式ページをご覧ください。

目的地クリップ

アプリや会員サイトで設定した目的地までのルートを、日時を指定してインターナビに自動配信できます(インターナビ・プレミアムクラブ対象車のみ対応)。

立ち寄り履歴

過去に立ち寄った地点の履歴を表示できます(インターナビ・プレミアムクラブ対象車のみ対応)。100件までの立ち寄り地点が自動記録されます(カーナビ側で記録開始の設定を行わないと使えません)。

関連サービス

Honda Total Careに関連する各種情報が得られます。

 Honda Total Careのベース部分は、ホンダ四輪車オーナーの安心&安全のためのサービスという感じです。が、インターナビ・プレミアムクラブに対応したホンダ四輪車で、純正ナビのインターナビが車載されていると、いかにも「ネット時代のサービス」という感じで利用できます。

 たとえばオドメーター(積算走行距離計)の数値が、自動的にアプリなどに表示されたり。インターナビ経由でクルマから各種情報がアップロードされ、それら情報を会員サイトやアプリが共有しているというわけです。

アプリ上の積算走行距離は、インターナビを介して定期的に実車の積算走行距離へと書き換えられます。ドライブの休憩時、アプリを見るとだいたい走行距離が一致していたりして。けっこう頻繁にサーバーと通信しているっぽい!?

 あらまぁ~クルマがネットを活用してるぅ! みたいな。車両が算出する平均燃費なんかも同様。立ち寄り地点なんかもそうです。それぞれ、機能的にはちょっとしたコトなんですが、一昔前は車両に乗っていないとできなかったことが、現在ではネット経由であれこれ行えるんですね~。クルマ&ナビと、スマホやPCがつながる感覚。愉快。そして便利。

かなりツカエる通信型ナビ

 Honda Total Careは車載インターナビがあるクルマで使うと愉快&便利! 実際、インターナビは通信型ナビとしてはしっかり先進的で、たとえば各車両が収集したリアルタイム交通情報とVICS情報を併せてルート探索をするので、より空いているルートが案内されたり、到着時間が正確だったりします。

 ちなみにこの「リアルタイム交通情報」とは、インターナビ搭載車がカープローブとなって実際に収集した、道路混雑などに関する情報です。2011年3月11日の東日本大震災で、震災の翌日にホンダが「通行実績情報マップ」を公開した件はよく知られるところ。これもインターナビが収集した交通情報によるものです。

筆者のS660に搭載されている純正ナビ。リンクアップフリーにより無料でネットに接続するインターナビです。「internavi LINC」メニューから、各種通信系サービスを使えます。アプリや会員サイトで登録した情報を読み出せたり、希望条件で駐車場を探せたり。
天気予報なんかも表示できます。メーカーやディーラーからのメッセージ(メール)も読めます。

 てな感じでイロイロと優れた通信型ナビなんですけど、日頃使っていて単純にイイ感じなのは、地点登録やルート設定の便利さ。前述のアプリなどの機能としては「Myスポット」や「インターナビ・ルート」です。

 筆者の場合、仕事でもレジャーでも、どこかに出掛けるとなると「あらかじめ目的地を登録しておきたい」と考えるタイプです。今時のナビで、とりわけ通信型ナビとなれば、出掛ける直前にナビ上で目的地を検索しても、まあだいたい正しい目的地が見つかり、フツーにルート探索できます。

 ですが、うまく行かないことも少なくありません。たとえば山岳方面の有名スポットでも、ナビの探索だとエラく迂回したり、通行止めではないのに通行止めとしたりその逆の判断をしたり、そもそもそういうスポットが探せなかったりします。山岳に限らず、そういう「検索能力の低さ」が意外に少なくありません。出掛ける直前に「あれぇ~このルートおかしくない?」とか「例の場所が全然検索できない!」とかやってるのがイヤなので、事前に目的地やルートを登録しがちな筆者です。

 そんな場合、Honda Total Careのサイトやアプリが好都合。PC(会員サイト)やスマホ(アプリ)で、目的地やルートを設定でき、それらを車載のインターナビと共有できます。PCでマップを見つつドライブの計画を立て、決めた目的地や立ち寄り地やルートを会員サイトで登録し、ドライブ当日にナビ上で読み出す、という感じです。

PC上で地点(Myスポット)を登録し、ナビ上で利用する様子。会員サイトのプランニングで使えるマップから地点を登録・同期すると、その地点がインターナビ本体でも共有されます。
PC上で日時や立ち寄り地まで含めたルートを作成している様子。
作成したルートもインターナビ本体上で利用できます。

 余談ですが、個人的にはMyスポットを登録して利用することが多いです。あまり細かいルート設定はしないタチで、ドライブ当日になって「やっぱりあそこにも寄ろう!」とか「時間ないからあの場所はまた今度」などと気まぐれ&現場でルート設定。そんな場合、状況に応じてインターナビ上に同期したMyスポットから、目的地や立ち寄り地を設定していくのが便利かな、と。

そのほかの実用的な機能

 ほかにもイロイロと「使っていて便利」「使うと楽しい」といった通信系の機能があります。具体的には「立ち寄り履歴」「ドライブノート」「燃費履歴」といったあたり。

 立ち寄り履歴は、文字通りクルマで立ち寄った地点を自動記録する機能です。いったんエンジンを切るとその地点を記録。初期設定はオフになっていますが、オンにすれば地点登録が始まり、最大100件まで・6カ月の間だけ地点が保持されます。これら地点は会員サイトやアプリで地図とともに表示できます。

アプリや会員サイトで立ち寄り履歴を閲覧している様子。地図上での表示もリスト表示も可能です。地点はMyスポットなどに登録することも可能。「そうそう、この日に寄ったココで食べたソフトクリームおいしかったんだ! Myスポットに登録しておいてまた行こう~」的なこともできます。

 ドライブノートでは、ドライブ毎(エンジンを切るまでの走行毎)の「日時」「走行時間」「走行距離」「平均燃費」「ガソリン消費量」などを見ることができます。最後の走行がいちばん上に来る、いわばタイムライン表示。ドライブの記憶を辿ったりして楽しめます。立ち寄り履歴で記録をオンにしていると、ドライブ毎の出発地と訪問地を地図入りで見ることができます。

アプリや会員サイトでドライブノートを表示している様子。

 それから燃費履歴。走行距離、ガソリン消費量、平均燃費を見ることができます。楽しめる、というよりは、興味深く見られる自動記録データという感じですネ。手動でデータ入力する「給油記録」とは違い、クルマが検知した各種データから燃費等々が算出されています。

アプリや会員サイトで燃費履歴を見ている様子。「11月の平均燃費は20.8km/Lかぁ~、先月のマイナス8.6%だったらしい! S660って燃費けっこうイイなぁ」といった感じで興味深くデータを眺められます。

 といった感じで、車体がネット経由でサーバーにアップロードするデータを、会員サイトやアプリであれこれと見られるHonda Total Careサービス&インターナビ。個人的には「どうせならOBD方面データも会員サイトやアプリで見たいかも~」とは思うものの、現状で十分便利に使えています。

 機能的にもイイ感じですが、Honda Total Careの会員サイトもアプリも、それからインターナビ本体の通信についても、どれも無料で使えるのが非常にイイです。まあ、クルマはホンダ車限定で、さらに純正のインターナビも購入すれば、という条件はありますが。個人的には、「こういうシステムやサービスがあるとなると、次のクルマもホンダ車を選んでみたくなる」というような気もしております。ホンダの二輪車にもこういうサービスがあればいいですネ。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。