3800円カーナビ・アプリが気になるぅ~っ!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


3800円カーナビ・アプリが気になるぅ~っ!!

 先週のこの記事で9999円カーナビを試した。予想をズニャーンと超える実用性でカーナビを見る目がチト変わった拙者。安いのでもイケてるのがあるんだなぁ、と。そこで試したのがウワサのカーナビ・アプリ、アイシン・エイ・ダブリュのNAVIeliteである。

アイシン・エイ・ダブリュのNAVIelite。iPhone 3GS/4(iOS4.1以降)用のカーナビアプリ。アプリ価格3800円。利用期間制限があり、購入後1年間利用可能

 NAVIelite(ナビエリート)はiPhone 3GSとiPhone 4で使えるカーナビ・アプリで、価格は3800円(購入後1年間利用可能)だ。1年の利用期間制限があるのは、たぶん、1年に6回の地図データ更新が行われるからですな。

 ともあれ、iPhone用アプリとしてはかなり高価な部類になるが、しかし、カーナビとしてシッカリ使えたりしちゃうと「iPhone 3GS/4ユーザーなら3800円でカーナビを1年使える」てなことにもなる。このアプリ、発売は2011年1月17日で、既にレビューもけっこー上がっていて、なんか、かなり評判イイみたいですな。ちなみにこの「アイシン・エイ・ダブリュ」という会社、Wikipediaによるとカーナビゲーションシステムの世界シェア2位だそうで。そのあたりまで含め、期待しつつ購入してみた。

 てコトで今回は、このNAVIeliteについてレポートしてみたい。でも結論から言っちゃえば、かな~り実用的。価格を考えたら(既にiPhone 3GS/4を持っているなら)大したコストパフォーマンスと言えるレベルだ。ただし、快適に使うには少々クリアしたい要素もあるので、そのあたりまで視野に入れてレポートしてみよう。

詳細地図格納OKでVICSにも対応

 NAVIeliteは地図をiPhone内に格納でき、また、VICS道路交通情報(渋滞情報)も利用できるアプリだ。iPhone内に地図が全部入るので、通信エリア圏外でも(iPhoneのGPSが機能すれば)スタンドアロンで動作する。VICS情報は3GもしくはWi-Fiでリアルタイムに得るので、通信エリア圏外だとVICS非対応カーナビになってしまう。

 ちなみにこのアプリのサイズは1.8GBほど。なのでWi-Fi経由もしくはPC上のiTunes経由での購入/ダウンロードとなる。また、この1.8GB程度というサイズは標準地図が入った状態でのサイズ。詳細地図(別途ダウンロードが必要/追加料金などは不要)も含めると合計で4GB程度の容量となる。空き容量に余裕のないiPhoneで使うには厳しいアプリサイズですな。

最小縮尺にしたところ。あまり意味のない表示だが、日本全国の地図がiPhone内に格納さるわけですな徐々に縮尺を大きくすると、カーナビに適した表示になる。たとえばこの縮尺なら国道などがよくわかるさらに縮尺を大きくしたところ。800~50mあたりがナビゲーション中によく使う縮尺となる感じ
400mの縮尺にしたところ。画面は小さいものの、カーナビ使用時に必要な情報を一望可能。閲覧性が良い50mの縮尺にするとこんな感じ。カーナビの地図として余分な情報が少なくて見やすい詳細地図をダウンロードしたうえで最大縮尺にした様子。建物のカタチまでわかる地図表示だ
VICS道路交通情報(渋滞情報)も利用できる。道路横に赤や黄色で引かれた矢印が渋滞情報だ50m縮尺にしたところ。左中央に見える「11:17」はVICS道路交通情報を受信した時刻最大縮尺にしたところ。VICS情報が道のどちら側のものなのかもシッカリわかったりする

 てな感じで、地図の見え方はカーナビ利用に特化したものという印象。拙者はNAVIeliteをiPhone 4で使っているが、3.5インチという画面サイズは、さずがにカーナビとしては少々見にくい。が、NAVIeliteの情報表示はカーナビ用地図として最適化されていて、パッと見で現在位置や周辺道路/施設などを把握できるのが好印象。

 ちなみに、細かい話なんですけど、この原稿を書き始めた直後にNAVIeliteの最新版(Ver.1.5.2)がリリースされ、iPhone 4での地図表示が高精細化した。iPhone 4のRetinaディスプレイ(960×640ピクセル)の実力が発揮できるようになったわけですな。

 ぶっちゃけた話、前バージョンをiPhone 4上で使っていると、妙に地図表示が粗くて「なんかショボい見栄えだな」と感じていた。が、最新版では「キレイ♪」と喜べるレベルまで美しい表示になったと思う。なお、以降に掲載するスクリーンショットは、残念ながら前バージョンのもの(上のスクリーンショットは最新版のもの)。最新版を使えばもっとキレイな表示になるので、そのあたり、お含み置きを。

3800円なら大満足の実使用感

 NAVIeliteの使用感は、率直な拙者的結論を言えば、安価方面のPNDの追従を許さない実力&快適さで、一部機能はカーナビ専用機の中~上位機種のそれに近いかも、てなイメージだ。

 NAVIeliteの残念感を言えば、車速パルスやジャイロセンサなど自車位置精度を高めるセンサ類がないので、たとえばトンネル内やビルの谷間で自車位置がズレることがある。iPhoneアプリとしての残念感っていうか違和感を言えば、ほかのアプリとは異なる「独特の使用感」があること──地図拡大縮小時にいちいち[詳細]/[広域]をタップする必要があるとか、縦画面表示に非対応とか。それから、じつはかなり多機能なNAVIeliteなので、設定画面の項目が多く、これを画面の小さいiPhoneで設定していると煩雑な感じがしたりも。

ナビゲーション中の表示例。NAVIeliteの基本的な操作は、画面上の定位置に並んだボタンやアイコンにタッチして行う。iPhoneアプリを操作感というより、タッチパネル式カーナビの操作感に近い2画面表示、2D表示、3D表示、ノースアップ表示、ヘディングアップ表示などを細かく設定できる。2画面表示の左右それぞれの表示設定を自由に行えるあたりは本格的カーナビよりも高機能かも!?画面に並ぶアイコンやボタンで左画面の表示を設定でき、右画面をタッチすると右画面表示設定を行える。地図の向きはコンパスをタッチ。全体的にコナレ感の高いユーザーインターフェースですな

 ただ、3800円で買えるカーナビ・アプリとして考えたら、マトモに使えるし、今時のカーナビとしての実用性も高いので、拙者的には大満足である。

 具体的にどういった部分で満足感が高いのかと言えば、たとえば案内の丁寧さ。ルート探索やリルートなんかもマトモ感が高いが、どのレーンを走ればいいのか、曲がり角はどんな状態かをちゃんとグラフィック表示してくれる。音声も然りで、専用レーンや合流地点まで案内されるので安心してナビゲーションに従える。

 こういった緻密な情報を都度提示してくれるので、ドライバーが自力でルート関連情報を補う必要がない──単に「○メートル先を右」とだけ言われたりすると、実際は「交差点はアソコにあるから、もう少ししてから右レーンに寄って……えーと、2個目の信号を」てな感じで、結局、地図表示を何度も目で確認する必要が出る。まあこういう状況、イマイチなPNDにアリガチだったりもするが、危険だし疲れる。NAVIeliteを使っていると、明らかにそういう苦労が少ないと感じるのだ。

ナビ中。高速道路走行中はこんな表示にもできる。細かな情報(到着予想時刻やPAの設備など)はより小さく表示されている表示スタイルはいくつかある。中~上位機種のカーナビと同様、多彩な表示スタイルから好みのものを選んでいける感じですな分岐などのグラフィック表示も今時的なカーナビと同様に視認性が高くわかりやすい。分岐までの距離表示(ゲージ)も直感的で良い
複雑な分岐や交差点などは、このように非常にリアルなグラフィックが表示される。パッと見でどこを走ればいいのかを把握できる走るべきレーンを詳細に表示させることもできる。情報表示が綿密なのでドライバー側はラク。安心してナビに頼って走れる感じ進行ルートを間違いやすい交差点などでも、このように信号、目印、進行方向などを明示してくれる。表示がシンプルなのも好印象だ

 てな感じで、iPhone上で使うカーナビ・アプリとしてはヒッジョーによくデキている。大したモンだと思う。のだが、iPhone用アプリであるがための使いにくさが残る。以降、その使いにくさを軽減する工夫を少々。

車内で見づらいiPhone&NAVIelite

 NAVIelite自体が使いにくいわけではない。「iPhoneをクルマの車内でカーナビとして」ってトコロが使いにくいのだ。具体的には、iPhone自体の画面サイズとNAVIeliteのやや緻密な情報表示、それからiPhoneの画面表面がグレア(ツルテカ)であること。要はカーナビゲーション・ハードウェアとして使うには画面が小さくて表示が見にくく、画面に光沢があるため外光などの写り込みが激しくてやはり見づらいのである。

車内にはハンドル右側のカップホルダーにセットした。操作に専念するぶんには使いにくさはない住所検索時の表示。ボタン類も適切な大きさでタッチしやすい。あまりストレスなく使えますなナビゲートの様子。視認性は十分高い。だが実際は、顔から遠いと細かな情報が見えなかったりもする
セットする角度や外光の状態によっては、このように画面表面への写り込みが生じて見えにくくなる状況によっては写り込みで全然見えないことも。ノングレアフィルムを貼れば抑えられるだろうか?こちらは夜間の視認性。写真のイメージと近く、視認性は十分高い。しかし画面サイズ的難点は変わらず

 この見づらさを回避するため、やはりもーちょっと顔に近い位置にiPhoneをセットしたい。また、写り込みが少なくなるようにもしたい。なお、上の写真で拙者が使っているホルダー類は、サンワサプライのゲル吸盤車載ホルダーCAR-HLD5BKとBracketronのUniversal Cup Holder Mount For GPS Window Mount

サンワサプライのゲル吸盤車載ホルダーCAR-HLD5BK。粘着力のある吸盤を持った汎用のホルダーだ底面にはネバネバの吸盤。これをダッシュボードなどに押しつけ、台座部を回して締めれば固定できるBracketronのUniversal Cup Holder Mount For GPS Window Mount。カップホルダーに強固に固定できるベースだ
まずベースをカップホルダーに。回転させると下部が広がり、カップホルダーにガッチリと固定できるベースの上にゲル吸盤車載ホルダーCAR-HLD5BKをセット。ベースもホルダーもシッカリと固定されたホルダーにiPhone 4をセット。走行中も安心できる程度、十分安定的に固定された

 ホルダーもベースも使いやすく、またホルダーへのiPhone 4の固定感も十分。なのだが、iPhone 4がある位置が少々低い。もう少し高い位置にセットすることにした。

完璧を期すなら、やはり、RAMマウント

 クルマのなかのもう少し高い位置にiPhone 4を固定したい~、ということで、ほかのホルダー類も使ってみた。要は、iPhone 4をより顔に近づけてNAVIeliteの表示を見やすくしつつ、できれば写り込みも抑えたいってコトですな。モノとしては、ドリンクホルダー固定型車載ホルダーCAR-HLD4BKデスクトップホルダーPDA-STN1BKを試した。両方ともサンワサプライの汎用ホルダーである。

サンワサプライのドリンクホルダー固定型車載ホルダーCAR-HLD4BKドリンクホルダーにセット&強固に固定できる。アームはプチ長めセットした状態。ドリンクホルダーに対してガッチリと装着できる
さらにiPhone 4をセット。安定的に固定できる。が、まだ少々低い!?ちなみにこのホルダー、汎用なのでもっと大きな端末も固定できるアーム部分は硬めのフレキシブル素材。自由な角度で固定できる
サンワサプライのデスクトップホルダーPDA-STN1BK。机上固定用だベースは机面などに粘着テープで固定できる。クルマにもイケそう!?前述のカップホルダーベースにセット。高さは良いがやや不安定。

 上記、両ホルダーとも使用感は悪くない。のだが、短いほうはiPhone 4位置がやや低く、長いほうは快適に画面を参照できるが走行時にiPhone 4が少々不安定(もともと机面用のホルダーだしネ)。ある程度予想してはいたが、どうも中途半端な結果に。

 となればアレしかない。RAM社のRAMマウント。電子機器などをいろいろな場所に自由自在に取り付けられるシステマチックな汎用固定具である。最近ではiPhone 4用iPad用のホルダーも出ているし、RAMマウントの固定力や自由度はよく知っているので、これを使うゼ、と。

iPhone 4用のRAMホルダー。iPhone 4を各種RAMマウント製品と組み合わせて自由に固定することができるこちらはiPad用のRAMホルダー。実際に使用してみたが、iPadをシッカリと固定できた。出っ張りも僅少吸盤などのRAMマウント製品と組み合わせてダッシュボードにiPhone 4を固定した様子。超安定するゼ!!
前述のカップホルダーベースの上にセット。画面向きの自由度が非常に高いので写り込みを容易に減らせる後ろから見た様子。RAMマウントは台座、アーム、ホルダー関節部(ボール)で構成され、各種組合せ可能自由雲台のように、向きや角度を自由自在に変えられる。関節部などの固定力も非常に強くて安心だ

 てな感じで使うRAMマウントだが、先日、RAMマウントのおもしろい仕様を発見した。RAMハンドルバーボールというパーツなどのネジ径が、ちょうどカメラの三脚ネジ穴と同じなのだ。つまり、RAMハンドルバーボールは、市販の雲台の上に装着できる。って、細かいコトを書いてますけど、つまりこういうコトであった。

RAMハンドルバーボール。本来はオートバイにRAMマウントを装着するときのアクセサリだ三脚の雲台にあるネジと、このRAMハンドルバーボールのネジ穴がピッタリと合致するこのように、市販の三脚をRAMマウントシステムの一部として使えるようになるのだ
ちなみに、ボールの根本にオスネジが出ている部品もあるオスネジのボールはカメラの三脚ネジ穴にピッタリとセットできるつまりRAMマウントでカメラやビデオカメラを支えられる

 RAMマウントの一部部品のネジ径が三脚ネジ径と同じである件、周知のことかもしれないが、拙者的には一大事。何しろ、全てのカメラ用雲台に、RAMマウントのボールが取り付けられる。すなわち雲台があればその上にRAMマウントのシステムを展開できる!! てなわけで早速。

ケンコーのクリップホルダー。わりと強い力の大型クリップに小型自由雲台が付いた製品だそのクリップホルダーをメーターパネル上部に固定してみた。なかなかシッカリ固定できたさらに、クリップホルダーの自由雲台の上に、にRAMハンドルバーボールをねじ込んで固定
そこにiPhone 4用RAMホルダーを。このようにiPhone 4をクリップで手軽に車載できるように前から見たところ。これだと、運転中に視界が遮られて、ちょっと危険かもしれない……しかしRAMマウントの自由度もあるし、自由雲台も使えるので、iPhone位置は自由自在
クリップホルダーの固定位置を変更。視界を確保しつつ、iPhone 4を適切な位置にセットできたクリップホルダーの自由雲台がやや非力である点が微妙に心配。まあ、一応、固定できているがなお、iPhone 4用RAMホルダーは、iPhone 4の脱着が容易でありつつ、固定力は十分ある
使っているパーツがRAMマウントなので、もちろん、ほかのRAMホルダーも使えるGARMINのハンディGPSマップ機器もこのように装着可能。クリップで簡単取り付けは便利っスお気に入りのGARMIN Oregon450TCも楽勝で車載可能。RAMハンドルバーボールはイカス!!

 このように、RAMマウントを使えばiPhone&NAVIeliteを快適に使える。見やすい位置にiPhoneをセットできたし、画面角度の微調整も可能なので写り込みを最小限に抑えられた。ともあれNAVIelite、アプリとしてもよくできているし、iPhone 3GS/4ユーザーならコストパフォーマンスの高いカーナビ・アプリですな。

 ……そして、以下、オマケ。「iPadもRAMマウントで車載してみた!!」の巻。

こちらはサンコーのCAR LAPTOP HOLDER for iPad。詳細はこの記事(http://k-tai.impress.co.jp/docs/column/stapa/20110131_423882.html)をどうぞこのようにシート部などにアームを取り付けてiPadを車載するための器具だ付属台座(天板)を使って、こんなふうにiPadを車載することができる
天板を外したところ。アーム先端は自由雲台。ネジはカメラの三脚ネジ穴と合致するというわけでアームの先端にRAMハンドルバーボールを装着することができるサンコーのiPad用ホルダーがRAMマウントと合体。iPad用RAMホルダーも装着可能に
iPadをセットしたところ。雲台部分をしっかり締めれば、非常に安定して車載できる向きや傾きも自由自在。iPad用RAMホルダーはiPadをシッカリ固定でき、脱着も容易だiPad用RAMホルダーの背面。林檎マークがこのように見えるようになっていたりする

 

2011/3/14 06:00