イケてる小型電子辞書、SII SR-G7001M

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


イケてる小型電子辞書、SII SR-G7001M

 SII(セイコーインスツル)から新型の電子辞書2機種が発表された。SR-G7001MSR-G6001Mですな。11月下旬発売なので、この記事が掲載される頃には発売されているかもしれない。

SIIのSR-G7001M。ポケットサイズの電子辞書で、豊富で専門的な英語コンテンツが特徴的。PC連携機能PASORAMAにも対応している。ほぼ同様の仕様で一般コンテンツを持つSR-G6001Mもある。両機種とも2009年11月下旬発売

 発表後、メーカーの製品紹介ページを見ていたら「むむ!!」とか思ったので、発売前のSR-G7001Mを借りて使ってみた。ら、かなりデキがイイっていうか実用的っていうか予約購入したくなる使用感だった。本体サイズ、表示や打鍵感などを含む使用感、PASORAMA機能の実用性など、どれも非常に好印象だったのだ。

 ちなみに、SR-G7001MやSR-G6001Mは、電子辞書として初の名刺ビューワ機能搭載機。もちろんこの機能が大きなウリとなっている。んだが、拙者には全然刺さらなかった。既に名刺データはPC上で管理しており、また、名刺~アドレスデータの管理/利用方法も使い慣れたスタイルのものがあったりする。ので、SR-G7001M上で敢えて名刺情報を使うという方向性にピンと来なかった。

 てなわけで、本稿にてSR-G7001MやSR-G6001Mの名刺ビューワー機能については触れていない。SR-G7001M名刺ビューワー機能を含む各種機能についてはPC Watchの『山口真弘の電子辞書最前線 第36回 セイコーインスツル「SR-G7001M」名刺データを取り込んで持ち歩けるコンパクトモデル』が詳しいので、そちらをご参照いただきたい。

携帯性も打鍵感もナイス!! でもキーが……

 SR-G7001Mは非常にコンパクトな電子辞書だ。ポケッタブルですな。このなかに計8種類の英和大辞典や英英辞典に加え、日常的に活用できる辞書などがた~くさん入っている。

ポケッタブルなSR-G7001M。小型だが、20種類以上のコンテンツが使えるあたりが今時的コンパクト機らしいところサイズは幅116.2×奥行78.2×厚さ(最薄部/最厚部)11.0/19.5mm。質量は約152g(充電式リチウムイオン電池含む)。携帯感はデジカメ未満でケータイ並みって感じSR-G7001Mは英語に強いコンテンツ構成になっている。含まれるコンテンツがビジネス&プライベートな感じのSR-G6001Mもある。両機のサイズなどは同じっス

 SR-G7001Mを使ってみてまず感じるのは、その携帯性の良さと、意外なほど良い打鍵感だ。軽くて薄くて小さいので常時携帯にはよく向くし、かな~り小さな電子辞書なのにキーを打ちやすい。単に打ちやすいだけではなく、気持ちイイ打鍵感だったりするあたり、さすがSII製電子辞書って感じである。

わりとビッシリ並んだキー群。でも、新開発のキー機構ことカイテキーミニを採用したため、意外なほど打鍵しやすいキーを斜め横から見たところ打鍵したところ。このように、キーの手前側が下に沈む。わずかなクリック感があるので、入力の瞬間も認識しやすい

 SIIの電子辞書にはパンタグラフ機構の“カイテキー”が採用されているが、これが非常に打ちやすい。その打鍵感のよさについては本連載のバックナンバーのココココでも書いたが、カイテキーの使用感からSII製電子辞書を選ぶ向きも少なくないと思う。

 で、SR-G7001MやSR-G6001Mには、その小型版である“カイテキーミニ”が採用されている。カイテキーとは少し機構が異なるが、ぶっちゃけ「こんなに小さいのにシッカリした打鍵感があるしミスタイプも起きにくくて不思議」てな印象。小さい電子辞書はキーボードがナニだから使いモンに……という違和感はない。

 ただ、拙者的には、キー数が多いことと、キーサイズのメリハリの面で若干の不満が残った。たとえばキーボード上部の辞書選択関連キーを整理して、もうちょっと大きめのカイテキーミニにしたり、あるいはキー間隔を広げられなかったのかニャ、的な。多用するカーソルキーや決定キー、クリアキーなどは、より大きめにして押し間違いを減らす方向で作って欲しかった、みたいな。

SR-G7001Mのキーボード。カイテキーミニが採用されている。本体サイズからすると非常に使いやすいキーだが、キー数が多くキーサイズにメリハリがないため、キー機構本来の快適さが十分発揮されていないようにも感じるSR-G9001に採用されているカイテキー。本体サイズがSR-G7001Mなどより大きいので、キー配列/サイズにも余裕がある。非常に扱いやすいキーボードなのだSR-G6100にもカイテキーが採用されている。こちらも本体がSR-G7001Mより大きいため、余裕のあるキー配列/サイズになっている。SR-G9001と同様、非常に扱いやすい

 SR-G7001Mのキー配列は、SII製のほかの(より大きいサイズの)電子辞書とほぼ同じになっている。ので、ほかの機種と平行して使う場合、キー配列の面ではほとんど違和感がない。その点は評価すべきところだ。が、SR-G7001Mほど小さな電子辞書にまでキー配列を継承しちゃうと、キーサイズなどからくる使いにくさも出てきてしまうなぁ、と。

 個人的には、たとえばキーボード上部に並ぶキーはあまり多用しない。一度設定したり使用スタイルが決まれば使わなくなりがちなキーだからですな。こういうキーを必要最小限にしつつ、多用するキーは大きめにするなどすれば、SR-G7001Mはポケッタブルだけど最高に使いやすいキーボードを持つ電子辞書になったような気がしたりする。

PASORAMAが購入の決め手か!?

 拙者、SR-G7001MかSR-G6001Mのどちらかをマジで買おうかニャと考え中である。電子辞書としてイイ感じなんですよ。前述の携帯性やキーの押下感、それからレスポンス。あとネイティブ発音機能とか後述のテキストビューワやMP3再生機能。ディスプレイがTFT-VGA(640×480ドット)のくっきリアル液晶───高コントラストで視野角も広く、暗めの環境でもハッキリ見えるってのも非常に快適だ。

非常に見やすい“くっきリアル液晶”を搭載。暗めの環境でも表示がよく見えるので、バックライトが欲しいと思うシチュエーションが非常に少ないキーボード下部にスピーカーを搭載。ここからネイティブ発音がなされたりする。ステレオイヤホンジャック(3.5φ)があるので、フツーのステレオイヤホンをつないでも使えるSDカードスロットも搭載。SDHCでもmicroSDでもないあたりは若干中途半端だが、シルカカードやシルカカードレッドプラスに加え、音楽やテキスト入りのSDカードを使えるのが便利(SDカードなので容量の上限は2GBまで)

 実際に実機に触れるとよくわかるのだが、SR-G7001Mには大きな問題がナイってゅーか、このサイズの電子辞書としては非の打ち所がヤケに僅少だと感じられる。

 でも、実際に店頭でコレに触れたりすると、「イイんだけど、使用中の電子辞書があるしなぁ……また今度だネ」的な気分になるようにも思う。そりゃ新型はイイけど、敢えて買い換えるって感じでもないかな、みたいな。

 拙者などは何台も電子辞書持ってたりして、どれも全然壊れなかったりもする。SII製の(カイテキーとかPASORAMAとかを搭載した世代の)電子辞書を何台か試してきて、その都度「これイイ!!」とか思ったんだが、手持ち電子辞書があるので「また今度ネ」的に買わなかった。が、今回は買おうかナ、と。理由はPASORAMAの使用感。

 PASORAMAは、SII製PASORAMA対応電子辞書をPC上から使えるようにするというもの。電子辞書とPCをUSB接続すると、PC上のPASORAMAソフトウェアから電子辞書コンテンツを検索できる=単体の電子辞書がPC上の電子辞書ソフトにもなるという便利なシステムだ。

 従来のPASORAMA対応機種でも便利だと感じていたのだが、最新のPASORAMAソフトウェアの実用性がわりとキてる。ぶっちゃけ、これまでのPASORAMAソフトウェアに対しては若干「まだβ版っぽい!?」的な使用感があった──PASORAMAならハードウェアの電子辞書を電子辞書ソフト的に使えるものの、既存の電子辞書ソフトと比べると細かなコナレ感がイマイチって感じだった。

 でも、最新のPASORAMAソフトウェア&SR-G7001Mには(たぶんSR-G6001Mにも)、そういうプチ残念感がない。表示フォントをメイリオにしたい~とかいった細かな要望はあるものの、フツーに実用的な電子辞書ソフトの使用感なのである。

PASORAMAでデキること

 ともあれ、PASORAMAではどんなコトがデキるのか? いくつか例を挙げつつ最新のPASORAMAの使用感を書いてみたい。

PASORAMAソフトウェアはPASORAMA対応電子辞書本体内に入っている。SR-G7001MをPCに接続するとリムーバブルドライブとして認識され、このようにセットアップソフトウェアにアクセスできるSETUP.EXEをダブルクリックすればPASORAMAソフトウェアなどがインストールされるPASORAMAソフトウェアでSR-G7001Mのコンテンツを検索したところ
一括検索はもちろん、辞書個別の検索も行える。検索~表示速度はPC上の電子辞書ソフトウェア類よりは少し遅いものの、十分実用に耐える速さだと感じられる文字サイズは4段階に変更可能。この表示は「中」サイズですな。フォントは変更できないようだ「小」サイズで表示したところ
「大」サイズでの表示「最大」サイズだとこうなるある程度は表示のカスタマイズを行える

 てな感じで、まずはフツーの電子辞書ソフト的に使えるわけですな。電子辞書専用機のリソースをPC上でも使えるので、経済的とも言えよう。

 あと、SR-G7001MのPASORAMA機能では、デジタル大辞泉のURLがリンク表示されたり(つまりクリックすればウェブサイトに飛べる)、ブリタニカ国際大百科事典内の図版のカラー表示にも対応している。

デジタル大辞泉での検索結果にはURLが含まれることがある。PASORAMAソフトウェア上でURLはリンク表示され、クリックすればそのウェブページが(既定のブラウザで)表示される。
ブリタニカ国際大百科事典の検索結果では、図版がカラー表示されたりする

 PASORAMA機能があるからSR-G7001MかSR-G6001Mのどっちかを買おうかニャ、と思った大きなポイントは、クリップボード検索。これまでのPASORAMAソフトウェアにはなかった機能ですな。ともあれ、コレがあるとも~SR-G7001MをPCから使い倒したくなる気分に。

クリップボードに書き込まれた文字列をキーワードとして、自動的に辞書検索するという、まあフツーの機能ではあるウェブページ上の文字列をコピーすると、PASORAMAソフトウェア上で自動的に検索される

 機能としては大したコトない、とも、言える。んだが、クリップボード検索においては、文字列をコピーすれば、すぐ、SR-G7001Mという信頼できるソースから意味を調べられる、というのが痛快である。てか安心。ついでにお得感みたいなモンも。

 要は、外出時もPCの前に座っているときでも、同じ電子辞書内のコンテンツを検索できるというメリットですな。もはやPCに電子辞書ソフト入れる必要ないとか、ミョーに疑わしいネット上の辞書方面情報に頼らなくてもいいとか、ネ。ちなみに、PASORAMAソフトウェアが占有するメモリ容量は、拙宅マシンで8MB程度だった。わりと軽いソフトですな。

 こうなってくると、後押しされがちなんですよ、拙者。携帯性が高く、コンテンツも豊富で、外でもリビングでもPCのある場所でも使いまくれるSR-G7001M。USB接続時は充電され、満充電から約25時間の連続表示ができるという細かい部分も、な~んか有り難い仕様に思えてきたりする。

 ん~む、欲しい。でも、買うならSR-G7001MじゃなくてSR-G6001Mかな、とか。英語に強いSR-G7001Mの市場予想価格は3万8000円あたり。一般利用にも向くSR-G6001Mは3万円前後。SR-G6001Mの方が手を出しやすい価格になっている。

オマケ/便利機能も試してみた

 SR-G7001Mとかは名刺ビューアー機能がウリなんだが、俺に刺さらないんだが、自分に対する後押し理由がモチッとないかニャとSR-G7001Mをイジってみたら、細かな便利機能が案外イケてることを発見した。具体的には、テキストビューワーとMP3プレーヤーである。

メニューの役立つールのなかにいくつか便利系機能があるテキストビューアー機能。本体内メモリもしくはSDカードにあるテキストファイルを閲覧できる機能だフツーのテキストファイルを表示してみた。文字サイズを変えたりしおりを設定したりすることも可能
MP3プレイヤー。本体内やSDカード内に入れたMP3サウンドを再生できる再生画面。じつはバックグラウンド再生にも対応しているので、音楽を聴きながら辞書を引いたりテキストを読んだりデキちゃう本体/SDカード間でのファイルコピーなども行える

 本体内メモリ(ユーザー領域)が約128MBで、SDカード容量上限が2GB。名刺データを入れるために使うような気がするものの、お気に入りの音楽を少々入れつつ、ちょっとしたテキスト資料~メモ書き~テキストコンテンツを入れて楽しむのもイイですな。

 てなわけで、電子辞書として十分な基礎体力があり、画面の見やすさやキーボードの打ちやすさなども魅力で、さらにPCと接続しても実用的なSR-G7001M。携帯可能なコンパクト電子辞書としてはそーとー強いヒキがあると思われるので、ぜひ実機に触れてみて欲しい。

2009/11/30 06:00