スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
DJI OM 5を買い、ときどき使い、iPhone用にMagSafe化にもトライ
2022年6月13日 00:00
スマートフォン向けスタビライザー「DJI OM 5」を買ったゼ!!!
DJIのスマートフォン向けジンバル(スタビライザー)こと「DJI OM 5」を買ったのである。今年の春先であるが。やっぱりイイな最新型、小型だし伸びるし、とか思って。
前の機種DJI OM 4からの乗り換えだが、それと比べると最新機種DJI OM 5はよりコンパクトになり、伸縮機構まで備え、実用的で充実度が高い製品となった。スタビライズ性能も相変わらずの安定感と滑らかさがあり、完成度が非常に高い。また、DJI OM 4もDJI OM 5もマグネット式クランプでスマートフォンの着脱ができるので、使用時のお手軽さもトップクラスだと感じる。
ひととおり使ってみると、いや~もう言うことほとんどナシって感じですな。手軽だし高性能だし、アプリと組み合わせて使えば非常に高度な撮影を手軽に行えるし。これで実勢価格1万5000円前後って……いい時代になったという感じ。
なのだが、ひととおり使い、このジンバルをそっと箱に戻して仕舞う、今年の春先の俺なのであった。最近引っ張り出してまた使い始めたのは、iPhoneで積極的に4K動画を撮影し始めたので、ジンバルも活躍するかな~と思ったからだ。
だが、しかし……。
ジンバルの完成度が超高まってきたが、ジンバル不要にもなりつつある
引っ張り出したDJI OM 5は、じつはあ~んまり活躍していない。いや、使うとスゴいんだが、そのスゴさを活かす必要性がそ~んなになかったりするのだ。
たとえば、iPhone 13シリーズの広角レンズにはセンサーシフト式の手ブレ補正機構が搭載されている。これがけっこースゴくて、やや注意すれば移動しながらの動画撮影をしても十分に安定した滑らかな動画を撮れるのだ。まあ気を抜くと揺れたり少々ブレたりはするのだが、「iPhoneでここまで撮れるなら、ジンバルとか要らないかもな」と思うレベル。
さらに最近の世代のGoProアクションカムはもっとスゴい。↓このリンク先にある車載動画(モーターサイクルで走行中に撮影)は、実際にはガッタガッタと揺れながら走行中なのだが、撮影結果はほぼ揺れていない。
俺の場合、外に持ち出して動画や静止画を撮影するカメラとしては、EOS R5、PowerShot G7 X Mark III、VLOGCAM ZV-1、DJI POCKET 2、FDR-AX60、GoPro HERO10 Blackを使っている。DJI POCKET 2はそもそもジンバル機構を備えたカメラだが、ほかの機種についてもしっかりした手ぶれ補正機構を備えていて、安定した動画を撮影できたりする。
なので、強い理由がない限り「手持ち撮影でいいかな」となりがち。非常に完成度・性能が高いDJI OM 5といえども、カメラをジンバルにセットして撮影する必要性はそんなに多くないのであった。
カメラというハードウェアが手ぶれに強くなったという点に加え、動画編集アプリ上で「ブレて撮れている動画に後から手ぶれ補正をかける」ということもできる。たとえばAppleのMac版「iMovie」の場合……。
上の動画の場合、iPhone 13 Pro Maxの望遠レンズで手持ちで撮影したのだが、ゆらゆらと揺れていてやや不自然。そこでiMovieの手ぶれ補正効果を100%で適用してみたら、あら不思議! ピタリと安定した動画になった。
ただ、この手ぶれ補正効果の場合、効果を強めるほどに動画がクロップされ、元の動画より狭い範囲の動画になり若干解像感が低減したり。まあでも予めそれを織り込んで撮影するとか、後処理をかけるとか、あるいはフルHD編集をする前提で素材を4K撮影するなどすれば、ジンバルなしでも十分イケちゃう気がする。まあ、どの程度素材の画質を重視するかというのもあるが。
なので、俺の場合は良いジンバルを持っている(しかも複数)ものの、いまひとつジンバルの出番がないのであった。趣味のジンバルですな。ジンバルのマシンとしての動きを見て楽しむ、的な。そうそう、とくにDJI POCKET 2などは電源オン時の動きと音がカワイイので、むやみに電源のオンオフを繰り返(以下略)。
たま~にジンバルを超使いたくなることがある
ジンバルってもう不要なんじゃ~ん? とか思うこと多々の俺ではあるが、ときとして、「ここはジンバルで撮っておきたい!!!」と思うシチュエーションがある。それはパンとティルトが入りがちな動画を撮るとき。
パンはカメラを左右方向に動かしつつ撮影することで、ティルトは上下方向。カメラを手持ちでパンやティルトを行うのはなかなか難しい。安定した動画を撮るのが難しいのだ。
まず動かす速度を一定にするのが意外に難しく、さらに水平を保つことも大切。もちろん手ブレしないことも肝要。そしてパンやティルトの開始時・終了時はスムーズに動かし始めたり動き終える必要まである。
必要っていうか、これら動作のどれかがおろそかになると、なーんかこう、ギクシャクしたヘタクソな感じの動画になってしまうのだ。まあそれも味と言えば味ではあるが、普通は「なんか見づらい動画」って印象にナリガチ。
パンやティルト撮影に限らず、時系列で連続している動画は撮影中につねに映像の安定感が大切になる。静止画は撮影の一瞬だけ安定していればOKだが、動画は一定時間安定させ続ける必要がある。
そこでよく使われるのがビデオ用の三脚など。カメラが乗る雲台部分が非常に滑らかに動くように作られており、パンやティルトの動かし始めや動かし終わりもスーッと自然に加速・減速させられる。三脚なのでブレたりしない。もちろん水平だって容易に保てる。
のだが、ビデオ三脚は重い。「軽めのビデオ用三脚」とか言っても、静止画用三脚と比べるとスゲく重い。動画撮影中に安定性を保つために剛性が高く、雲台は滑らかさなどを生むための機構があってやっぱり頑丈で重いのであった。
俺の場合は趣味の動画撮影なので、アッと思ったときに撮って楽しめることが重要。また、いつも「撮るぜ撮るぜ撮るぜ?」と虎視眈々としてはおらず、「iPhoneなら4K動画もキレイだし」的に、気が向いたときにiPhoneで撮ることが多い。
なのでパンやティルトをしつつ撮りたいことはあっても、ビデオ三脚を持ち歩くなんて有り得ない。でも趣味を楽しむべく、パンやティルトも使いたいし、撮るならきれいにパン・ティルトしたい。
パンやティルトの撮影でちょっとぎこちない結果になっても、動画編集アプリで後から処理してキレイにできるのでは? と思ったりもする。
頑張ればデキはする。のだが、たとえば動かし始めと動かし終わりのスピードを調整しつつ、動かすスピードが不安定になった一瞬のスピードも調整しつつ、画面の傾きを修正しつつ……とかやるのはスゲく面倒臭い。いやそれ以前にうまく処理できる自信がまったくない。
そこで超絶役立つのがジンバル。しっかり水平を保ってくれるし、パンやティルトを行っても非常に滑らかでスムーズな動画を撮れる。動かし始めや動かし終わりの加減速もじつに自然だ。
そして、俺のようなスタンスで撮るヤツのパン・ティルト撮影要望にガッツリ応えてくれるのが、DJI OM 5(やDJI OM 4)である。理由は、比較的にコンパクトに携帯できることがひとつ。それから、「ここはジンバル使って撮ろう」と思ったときに、準備がラクだからだ。
わりと多くのジンバルの場合、スマートフォンやカメラを装着したあと、バランスを取るのに一手間かかる。スマートフォンやカメラの重心位置を探しつつのセット位置微調整が必要になるわけですな。
DJI OM 5もバランスを取る必要があるが、スマートフォンの背面ほぼ中央にリングがくるようにセットする程度で済む。クランプ式なので撮影場所でセットしてもいいし、あらかじめスマートフォンにクランプをセットしておけば、撮影時にスマートフォンとジンバルを磁気吸着させればすぐ使える。この手軽さはDJI OM 4からのものだ。
コンパクトに折り畳めて、スマートフォンの着脱も非常に手軽。撮影前の調整などの手間もほぼかからない。俺の場合はジンバルの使用機会は多くないのだが、DJI OM 5なら「今日はいろいろ撮りそうな気がするからコレも持っていこう」という気になれる。ほかのジンバルも持っているが……相当「撮る気」がない限り、まず持ち出さない感じ。
一部のDJI OM 5/DJI OM 4ユーザーの間で流行る「MagSafe対応化」
DJI OM 5やDJI OM 4は、磁気スマートフォンクランプにより、ジンバルに対してスマートフォンをマグネットで着脱できる。ちなみに、DJI OM 4に付属する磁気リングホルダーを使えば、スマートフォンに磁気吸着の円盤部分を貼り付けることができ、より手軽に着脱を行える。
磁気スマートフォンクランプは手軽で便利なのだが、スマートフォンの背面中央に合わせて装着するのは、一手間と言えばそうだ。もっと簡単にマグネット吸着できないの? ということで一部DJI OM 5/DJI OM 4ユーザーがやっているのが、「MagSafe対応化」である。
便利そうなのでマネしてみた。以下にその結果をご紹介。なお、この方法はメーカー保証外の方法になり、使い方によってはiPhoneの落下・破損につながるので、試す場合は自己責任で。
てな感じで、DJI OM 5の手軽さがさらにアップ。DJI OM 5にiPhone 13 Pro MaxやiPhone 13 miniを吸着させ、ひととおり使ってみたが、なんとなく不安ではあるものの、とくに問題なく使えた。iPhone側のMagSafe吸着部分は端末のほぼ中央にあるようで、バランス的にも問題なさげ。
ただ、iPhone側のケースや重さにより、MagSafe吸着が外れやすいこともある。なので、激しい動きでDJI OM 5を使いたい場合、MagSafe吸着ではなく磁気スマートフォンクランプでの吸着をしたほうが無難だと感じられる。
とかアレコレやりつつも、やっぱりそーんなにDJI OM 5を持ち歩く機会がなかったりする俺なんスけどね。ともあれ、手軽に使えて携帯性も良くて、機能性も充実していて、そこそこ値段も抑えめで、というスマートフォン用ジンバルを買うなら、俺的にはDJI OM 5がイチオシである。興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。