法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
ドコモの新機種と新サービスから見えてきた「Realize」に挑戦する姿勢とは
2017年11月10日 13:20
10月18日、NTTドコモは2017年冬から2018年春の商戦期へ向けた「2017-2018冬春 新サービス・新商品発表会」を開催した。発表会の内容を振り返りながら、NTTドコモの取り組みと方向性について、チェックしてみよう。
スマートフォン時代の次を模索する携帯各社
ここ数年、国内のモバイル業界のトレンドと言えば、やはり、「格安SIM」「格安スマホ」に代表されるMVNO各社の成長だろう。振り返ってみれば、2014年4月にイオンと日本通信がLGエレクトロニクス製「Nexus 4」とSIMカードをセットしたパッケージを8000台限定で発売して以来(※関連記事)、各社が相次いでMVNO事業に参入し、わずか3年ほどの間で、多くのユーザーに認知されるようになった。市場規模は国内のモバイル市場の10%程度に過ぎないとも言われるが、SIMフリースマートフォンもさまざまなメーカーから発売され、活況を示している。
そんな中、昨年後半から今年にかけて、大手の携帯電話事業者(キャリア)各社は「格安SIM&格安スマホ対抗」とも言える施策を次々と打ち出し、反撃に転じつつある。たとえば、NTTドコモは今年はじめに割引後の実質価格が1000円を切るオリジナルモデル「MONO」を発売したり、今年の夏モデルからは対象機種の月々サポート割引をなくす代わりに、月々の利用料金を従来より1500円割り引く「docomo with」をスタートし、今回の発表会時点ではすでに70万契約を獲得している。auも新しい料金プラン「auピタットプラン」「auフラットプラン」を発表し、こちらも順調に契約数を伸ばしているという。こうした対抗策が徐々に効果を発揮してきたこともあり、主要3社からMVNO各社へのMNPによる転出は少しずつ歯止めがかかってきたとされる。
とは言うものの、国内のモバイル市場の全体的な流れとして、人口から考えても1人1台の需要をベースにした契約数はほぼ頭打ちと言われ、モバイルデータ通信のトラフィックも爆発的に伸びているものの、データ通信料は単価が割安な大容量の定額プランへ移行しつつあるため、通信トラフィックで稼ぐことは難しい。携帯各社にとって、これまでの事業の延長線上だけでは、なかなか成長戦略が描きにくいとされている。
そこで、主要3社はここ数年、将来へ向けた新しい成長戦略をそれぞれに示し、事業を拡大しようとしている。たとえば、auは数年前から「ライフデザイン」というキーワードを掲げ、auショップやオンラインでの物販に加え、auでんきやauのほけん・ローンなど、人々の生活に近いサービスを展開している。ソフトバンクはよく知られているように、携帯電話事業などで得られた資金をベースに、日本だけでなく、世界各国のさまざまな事業に投資し、グループ全体としての成長と拡大を続けようとしている。
こうした各社の動きに対し、国内最大シェアを持つNTTドコモはどう取り組んでいくのか。そのキーワードとなるのが同社が今年4月に発表した中期戦略2020「beyond宣言」になる。beyond宣言の内容については、発表時の記事などを参照していただきたいが、5GやIoTの時代へ向けて、パートナー企業と共に新しい事業を創出したり、一般ユーザーには新しい価値や感動を提案することなどを挙げている。やや抽象的なイメージもあるが、携帯電話事業者の本分である端末やネットワーク、サービスなどをしっかりと充実させながら、新しい時代へ向けて、さまざまな産業、人々の生活環境に対して、新しい付加価値を提供し、貢献していく存在を目指しているようだ。ある意味、奇をてらわず、NTTドコモらしい堅実かつ王道の方向性を打ち出していると見ていいだろう。
そんなNTTドコモは、今回の「2017-2018冬春 新サービス・新商品発表会」において、冬春商戦で発売するスマートフォンやタブレット13機種、既存モデルの新色2機種の合計15機種を発表した。これに加え、同社が販売する端末に搭載される独自の便利機能、好評のdマーケットの新サービス、dポイントクラブの刷新なども発表され、かなりボリューム感のある内容だった。各携帯電話会社の発表会については、昨年あたりから端末のモデル数が一時期よりも少なくなり、なかには各商戦期向けの端末を数機種、ニュースリリースで発表するのみということもあり、ユーザーとしても取材する側としてもやや物足りない印象を受けることもあるが、今回のNTTドコモはユーザーの多様なニーズを踏まえ、しっかりとラインアップを拡充してきた格好だ。
docomo with対応端末のラインアップを拡充
今回の発表では既存モデルの新色追加を含め、合計15機種が発表されたが、その内容を見てみると、スマートフォンのラインアップが非常に豊富であり、個性的なオリジナルモデルが存在することが目を引く。
まず、スマートフォンについては新機種が11機種、カラー追加が2機種という構成だが、新機種のスマートフォンの内、Galaxy Note 8やXperia XZ1などは今年8月~9月にかけて、グローバル向けに発表された日本向けモデルという位置付けになる。こうした流れはここ数年、継続しているものだが、今年、やや異色だったのは2画面を採用した「M Z-01K」だ。NTTドコモの発表会が行なわれた10月18日の半日ほど前に、米国・ニューヨークでZTEが発表会を開催しており、その直後に日本でお披露目という形となった。もっともM Z-01Kについては発表会のプレゼンテーションで代表取締役社長の吉澤和宏氏が語っていたように、ZTEのグローバル向けモデルということではなく、NTTドコモが企画して、ZTEが製造したオリジナルモデルで、これを米AT&Tや英Vodafoneなど、他の携帯電話事業者にも供給するという。しかもM Z-01Kの他事業者向けの販売については、NTTドコモがロイヤリティを得るというビジネスモデルを採用している。ケータイ時代にさまざまなオリジナルモデルを手がけてきたNTTドコモのノウハウがグローバル向けのスマートフォン市場にどのように行かされていくのかが注目される。
また、今回のスマートフォンのラインアップでは、今年の夏モデルからスタートしたdocomo with対象端末として、新たに3機種が加わり、合計5機種から選べる環境が整ったことになる。前述のように、docomo withは対象機種を購入した場合、月々サポート割引を適用しない代わりに、機種変更しない限り、継続して月額1500円を割り引くものになる。単独で利用する場合でも十分に魅力的だが、家族などでシェアパックを利用している場合、子回線をシンプルプランで契約すると、月額280円という安さを実現できるため、MVNO各社で格安SIMを利用するときよりも割安に利用できることになる。
夏モデルの段階では選択肢が2機種に限られていたこともあり、NTTドコモとしても契約の伸びが想定より緩やかだったという印象を持っているそうだが、今回のラインアップ拡充により、早々に100万台を突破すると推測される。ちなみに、発表会が行なわれる前、「docomo with対象端末にiPhone SEが加わるのではないか」という噂があったが、発表会後の囲み取材で吉澤社長は「4万円を超えるものは難しいのでは? 調達価格以下では販売できないので、ないと思う」と否定していた。この4万円というのは、実際に店頭で販売されるときの一括価格で、この価格を実現できない納入価格の端末は、docomo withの対象端末にはならないわけだ。今後、NTTドコモのラインアップとしては、この4万円以下で購入できるdocomo with対象端末とハイエンドの端末に二極化していくことが予想される。
dカーシェア、dTVチャンネル、ひかりTV for docomoの提供を開始
10月18日の発表会後、10月26日に行なわれた決算発表でも取り上げられていたが、ここ数年、NTTドコモが着実に利益を伸ばしているのがスマートライフ領域だ。スマートライフ領域はNTTドコモのモバイル通信サービスや光通信サービスなど以外のコンテンツサービスや金融・決済サービス、ライフスタイルサービスを指すもので、具体的なものとしてはdTVやDAZN for docomo、dマガジン、dカード、dグルメなどがあり、グループ企業のオークローンマーケティングやABCクッキングスタジオなどの事業もこの領域に含まれる。こうした通信サービス以外の領域の事業については、他社も同様の取り組みを行なっているが、サービス内容やネット上の反響などを見てもNTTドコモのサービスは他社をリードしている印象が強い。NTTドコモ以外のユーザーがdアカウントを作成し、契約することもできるため、auやソフトバンクと契約しながら、dマガジンやdTVなどを契約するユーザーも見かけるくらいだ。
こうした意味からもNTTドコモがdマーケットに展開するサービスやスマートライフ領域のサービスをどのように取り揃えていくのかが注目されるが、今回は新たに「dカーシェア」「dTVチャンネル」「ひかりTV for docomo」などのサービスが発表された。
まず、dカーシェアは最近増えてきたカーシェアリングをはじめ、レンタカーなど、クルマを借りるサービスを提供するものだが、これに加え、一般ユーザーのマイカーをシェアするマイカーシェアもサービス内容に含まれている。カーシェアリングについてはすでにいくつもの企業がサービスを提供しているが、dカーシェアであれば、dアカウントのみで予約から決済ができ、複数の企業のサービスから自分のニーズに合ったものを選べるという特長を持つ。
一方、マイカーシェアはその名の通り、一般ユーザーのマイカーを貸したり、借りたりできるというサービスで、NTTドコモ自身がマッチングを提供するサービスになる。カーシェアリングはなかなかユニークな取り組みとして、注目されるが、マイカーのシェアについては、おそらくクルマを持つ多くのオーナーは抵抗感を持っているはずだ。筆者自身もクルマを持っているが、とても他人にクルマを貸す勇気はない。保険については1日自動車保険への加入が義務づけられているため、事故などにも対応できるとしている。ただ、カーナビなど、クルマの中の備品類の扱いなど、オーナー側としては事故以外の部分でも気になる要素が多い。NTTドコモではオーナー向けサービス説明会の開催を予定しており、オーナーの疑問に答えていきたいとしているが、実際にサービスがどのように受け入れられるのか、あるいは受け入れられないのか、今ひとつ見えにくい印象だ。人によって、クルマに対する考え方はさまざまなので、一概に否定的なことは言えないが、マイカーシェアを本格的な展開と浸透には、かなり時間がかかりそうな印象は否めない。
次に、dTVチャンネルについては、映画やドラマ、アニメ、趣味などの30以上の専門チャンネルをリアルタイムで視聴できるサービスになる。dTVが映画やドラマなどをオンデマンドで視聴できるのに対し、dTVチャンネルはCATVやスカパーなどで放送されているチャンネルをスマートフォンや後述するSTB「ドコモテレビターミナル」で視聴するものというイメージに近い。月額料金は780円で、dTVやDAZN for docomoとのセット料金も用意され、2018年1月からサービスの提供が開始される。
もうひとつのひかりTV for docomoは、現在、NTTぷららが提供するIPテレビサービス「ひかりTV」をNTTドコモ向けに提供するもので、さまざまなジャンルの多チャンネル放送をはじめ、地上デジタル放送、BSデジタル放送、dTVのコンテンツを含む映像コンテンツのオンデマンド視聴などを楽しむことができる。視聴するためのデバイスとしては、NTTドコモが提供するSTB「ドコモテレビターミナル」を利用し、月額料金は通常価格で3500円、2年契約で2500円という設定で、DAZN for docomoとのセット割引も提供される。ひかりTVについてはこれまでも一部のドコモショップで取り扱われてきたが、ひかりTV for docomoのサービス提供開始に伴い、すべての店舗で取り扱うことになる。ひかりTVはIPネットワークを利用した放送波の再送信サービスだが、映像コンテンツの視聴はHuluやNetflix、Amazonプライムといった映像配信サービスが提供され、競争環境が激しくなってきている中、NTTぷららとしてはNTTドコモのブランド力やドコモショップでの販売力などに期待して、提供することになったのではないかと推察される。
2017年冬~2018年春モデル13機種をラインアップ
さて、ここからは今回発表された各機種について、個々の内容を解説していこう。すでに発売されている機種もあるが、いずれも発表時点での印象に基づいてまとめたもので、最終的な製品版で仕様が変更されているかもしれないことはお断りしておく。
Galaxy Note8(サムスン電子)
昨年のGalaxy Note7のリコールを乗り越え、Galaxy Noteシリーズのユーザーが待ちに待った一台。2014年のGALAXY Note Edge以来、3年ぶりに新製品となるGalaxy Noteシリーズの最新モデル。Sペンを使った手書き入力は、快適な操作性もさることながら、待機状態からSペンを引き抜いてのメモなど、格段の進歩を遂げている。Galaxy S8/S8+と同じ縦横比18.5:9のInfinity Display、Galaxyシリーズ初のデュアルカメラ搭載など、ハードウェアのスペックは最高峰であり、この秋、もっとも注目される一台。docomo Onlineshopでの価格は通常の機種変更に比べ、MNPが約5万円も割安に設定されており、乗り換えユーザーには見逃せない存在でもある。
AQUOS sense SH-01K(シャープ)
docomo withの対象端末ながら、5インチのフルHD対応IGZO液晶、3GB RAM、32GB ROMを搭載し、防水防塵に対応するなど、基本機能を充実させたコストパフォーマンスの高い一台。コンパクトで持ちやすいボディはクセのないデザインで、幅広いユーザー層に受け入れられやすいモデルに仕上げられている。販売価格が約3万円とリーズナブルなのも魅力。
Xperia XZ1 SO-01K(ソニーモバイル)
IFA 2017で発表されたXperia XZシリーズの最新モデル。従来Xperia XZsの仕様を継承しながら、新たにカメラを使って、人物や食べ物などの3Dモデリングを作成し、3Dキャラクターを作成できる機能などを搭載。Motion Eyeと呼ばれるカメラ機能も連写時のオートフォーカスや先読み撮影時の笑顔検知などが強化された。ディスプレイはフルHD対応で、HDRコンテンツの再生にも対応する。デザインなどは若干、リファインされているが、基本的にこれまでのXperiaシリーズの流れを受け継いでいる。他機種に比べ、やや新鮮味が薄れた感は否めないが、定番の安心感を持つ一台と言えそうだ。
Xperia XZ1 Compact SO-02K(ソニーモバイル)
Xperiaシリーズとしては昨年のXperia X Compact以来、1年ぶりのコンパクトモデル。4.6インチのHD対応ディスプレイを搭載し、コンパクトで持ちやすい形状に仕上げている。基本仕様はXperia XZ1と共通で、3Dクリエイターなどの機能も搭載される。800万画素イメージセンサーを採用したインカメラは、120度の広角撮影に対応し、セルフィーを取りやすくしている。こちらもデザインはこれまでのXperiaシリーズの流れを受け継いだもので、安心感のある仕上がり。ただ、これだけハイスペックのカメラを搭載しながら、ディスプレイがHD対応に抑えられているのは、やや残念な感を否めない。
MONO MO-01K(ZTE)
昨年、実質価格648円で注目を集めたMONOシリーズの第2弾。今回はdocomo withの対象端末になり、一括価格は2万5000円程度に設定されている。製品はNTTドコモが企画し、製造をZTEが担当する。基本的なデザインのコンセプトは継承し、従来モデルで好評を得たマナーモードスイッチなども受け継がれているが、背面に描かれていたロゴをなくすなど、全体的にすっきりしたデザインに仕上げられている。ディスプレイは従来モデルの4.7インチから5インチに大型化したが、ボディ幅は同じ69mmに仕上げられており、コンパクトで持ちやすい。RAMを3GB、バッテリーも2800mAhに増やすなど、全体的なスペックは従来モデルよりも向上している。スタンダードでシンプルなデザインの端末を求めるユーザー向けの一台。
arrows NX F-01K(富士通)
昨年のarrows NX F-01Jの後継モデルで、従来モデルに引き続き、画面割れに強く、長く美しく使えるように仕上げられている。MIL規格の23項目に準拠し、さまざまなシーンにおいて、安心して使うことができる。今回のモデルでは新たに右側面に「Exlider(エクスライダー)」と呼ばれるスライド操作が可能な指紋センサーを搭載しており、ブラウザ画面のスクロールや停止、カメラのズーム、文字サイズの変更などの操作を簡単にできるようにしている。ブラウザやSNSの画面のオートスクロールは、ちょうどパソコンのマウスのホイールのような感覚で使える印象だ。操作にはやや慣れが必要な印象だが、担当者によれば、数日で慣れるとのことだ。従来モデルに引き続き、虹彩認証にも対応する。
M Z-01K(ZTE)
5.2インチのフルHD対応ディスプレイを2つ搭載した二画面スマートフォン。NTTドコモとしては2013年に発売したNECカシオ製(当時)のMEDIAS W N-05E以来の二画面スマートフォン。製造メーカーが異なるため、仕様はまったく違うが、MEDIAS Wに比べ、ディスプレイが狭額縁で仕上げられ、開いたときの二画面の継ぎ目も狭くなり、自然に利用できるようになった。当時のMEDIAS WはAndroidプラットフォームがサポートしていない二画面での動作を実現するため、さまざまな独自の実装が行なわれたが、Android 7.0以降ではマルチウィンドウ機能がサポートされたこともあり、二画面での動作はそれほど制約がなく、自然に使える印象だ。表示モードの切り替えも二画面の左側下に表示される「M」のアイコンをタップして、簡単に切り替えることができる。カメラがディスプレイ側の前面のみに備えられるなど、他製品とは違った仕様を採用しているため、実際の利用シーンでは慣れや注意が必要になりそうだが、斬新な形状で話題性の高い一台と言えそうだ。
V30+ L-01K(LGエレクトロニクス)
IFA 2017で発表されたグローバル向けのフラッグシップモデルV30シリーズをベースにした日本向けモデル。シリーズとしては昨年発表されたV20 PRO L-01Jの後継モデルに位置付けられるが、縦横比18:9の6.0インチクアッドHD対応有機ELディスプレイが本体前面のほとんどを占めるデザインを採用し、GoogleのVRプラットフォーム「Daydream」に対応するなど、内容は一新されている。注目は背面に搭載されたデュアルカメラで、広角と標準で構成されているが、レンズにガラス製のクリスタルクリアレンズを採用するほか、映画のような撮影を可能にする「Cine Video」と呼ばれる動画撮影機能を搭載し、ファインダー内の特定の場所に向かってズームする機能などもサポートされる。購入ユーザーを対象にVRヘッドセット「Daydream View」をプレゼントするキャンペーンが予定されている。映像や音楽を楽しみたいユーザーにとっては気になる一台。
Disney Mobile on docomo DM-01K(LGエレクトロニクス)
2018年がミッキーマウスのスクリーンデビュー90周年、ウォルト・ディズニー設立95周年を記念した特別モデル。製造はLGエレクトロニクスが担当するが、特定のベースモデルはなく、このモデルのために開発されたとしている。ディスプレイは5.5インチのフルHD+対応の液晶ディスプレイを搭載し、V30+ L-01Kなどと同じように、本体前面のほとんどをディスプレイが占めるデザインを採用する。背面にはミッキーとミニーのグラフィックが描かれ、パッケージに付属の手帳型カバーにはスワロフスキークリスタルがあしらわれるなど、ディズニーファンに喜ばれる豊富な演出が用意されている。
JOJO L-02K(LGエレクトロニクス)
人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を題材にしたスマートフォン。2012年に発売されたL-06D JOJO以来、5年ぶりの企画で、背面にイラストがあしらわれるほか、原作者の荒木飛呂彦氏による監修が行なわれる。ベースはV30+ L-01Kでスペック的には十分なモデル。12月に詳細な内容が発表されるとのことで、ファンには待ち遠しい一台と言えそうだ。
らくらくスマートフォン me F-03K(富士通)
docomo with初のらくらくスマートフォン。2016年に発売されたらくらくスマートフォン4をベースに、docomo with対象端末の条件に合うように、いくつかの機能が省かれ、コストダウンが図られている。たとえば、防犯ブザースイッチがなくなり、タッチパネルを押し込むように操作するらくらくタッチも廃止されている。プラットフォームはAndroid 7.1を採用し、新たに迷惑メール判定機能も搭載される。今回はモックアップのみの展示だったが、ボディカラーも4色展開にするなど、幅広いニーズに応えられるようにしている。既存のらくらくホン、らくらくスマートフォンユーザーの乗り換えに適した一台と言えそうだ。
arrows Tab F-02K(富士通)
arrows Tabとしては2016年7月発売のarrows Tab F-04H以来のAndroidタブレット。10.1インチのWQXGA対応ディスプレイを搭載し、防水防じんにも対応するが、なかでも特徴的なのが付属のスタイラスペンによる手書き入力。ワコムのアクティブ静電結合方式(AES)の技術を利用しており、4096段階の筆圧を感知し、細かい線から太い線まで、自由に書き分けることができる。ペン入力に対応したものとしては、SurfaceやiPad Proが知られており、ワコムの技術を採用したペン入力は各方面で高い評価を受けているが、Androidタブレットでは対応製品があまりなかったことから、その意味でも注目に値する製品と言えるだろう。
「Realize=実現させる」を期待させる新ラインアップ&新サービス
NTTドコモは国内最大シェアを持つ携帯電話事業者で、出自が国営の旧電電公社だったこともあり、もともと保守的なイメージのブランドとして認知されてきた。我々ユーザーもおそらくカタいイメージを持っていたような気がする。
しかし、近年のNTTドコモを見ていると、保守的な一面も残しているものの、新しいサービスや取り組みにも積極的で、他社にはない楽しさや面白さが見えてきたような印象を受ける。たとえば、今回、発表された製品で言えば、かつて一度、発売して、あまり成功を収められなかった二画面スマートフォンをあらためて出すようなことはなかっただろうし、キャラクターを利用したスマートフォンはかなり当たり外れがあると言われる状況下でも担当者の熱い思い入れを活かしたJOJOスマホを企画した。サービスにおいてもdカーシェアのように、他社が取り組んでいないような新しいものを打ち出してきている。もちろん、それらのすべてが大ヒット、大成功に結び付くわけでもないだろうが、5G/IoT時代へ向けて、新しいことにどんどんチャレンジしていこう、ユーザーに提案していこうというNTTドコモの積極的な姿勢が見える発表内容だったと言えるだろう。今回の発表会の冒頭、吉澤社長は「Realize」という言葉を掲げ、新しい時代へ向けて、さまざまなことを実現していく旨を語っていたが、まさにその姿勢が製品にもサービスにも表われており、今後の展開が楽しみになってきたというのが率直な感想だ。
今回発表された製品の一部は、すでに販売が開始され、その他の製品も年末から来春にかけて、順次、発売がアナウンスされる予定だ。本誌ではそれぞれの製品やサービスのレビューなども掲載する予定なので、それらを参照しながら、NTTドコモの新しいラインアップ、新しいサービスをぜひチェックしていただきたい。
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