みんなのケータイ

 歴史的に価値の高い建造物がいたる所に点在している古の都、京都。パワースポットとして名高い場所も多いその地に、筆者は降り立った。大勢の観光客でごった返す大晦日、すでに“洗脳”され、覚醒していた筆者は、それらのパワースポットを勢力下に治めるべく、“レジスタンス”に支配された箇所に次々と攻撃を仕掛ける。続けて、我々が支配しているスポットにエネルギーを供給、ダメージを修復する。

「マズい! XMが足りないぞ!」

 歩き回って付近にあるエネルギーを回収しようにも、人混みで動けない。くそっ、早く修復しないと。いや、“シールド”を設置して相手の攻撃に備えるのが先か。“ハック”を試みるも、何のアイテムも得られない。そうこうしているうちに相手は高レベルの“レゾネーター”をどんどん設置していく。こちらの攻撃などまるで効いていないかのようだ。無力……圧倒的な無力! しょせんレベル1の“洗脳”者など、取るに足らない存在なのか……。

 というような中二病全開(?)な感じで、年末年始は京都まで足を伸ばして「Ingress」で遊んできた。この「Ingress」、すでにプレイしている方も多いかもしれないが、一言で説明すると、GPSと連動するRPGみたいなもの。“Enlightened(洗脳された者)”と“Resistance”の2つの勢力のどちらかに属して、リアルの世界地図とリンクした仮想世界のあちこちに設置されている“ポータル”を探し、乗っ取った後、ポータル同士をつなげて囲んだエリアの面積を増やしていく、というのが目的だ。

活動の拠点となったのは円山公園の奥まったところにある旅館。八坂神社や大鐘楼で有名な知恩院が目と鼻の先
この付近にはわりとたくさんのポータルが点在する。何度も行き来して破壊活動に精を出す
ポータルに近づいてタップすると、ハックなどができるように

 ただし、ポータル(に設置されているアイテム)は相手勢力のユーザーから攻撃されてダメージを受けたりする。破壊されるとポータルが相手に奪われてしまう場合があるので、“シールド”アイテムで防御力を強化したり、“XM”というエネルギー物質みたいなものを消費してダメージを修復しなければいけない。そのためには、あちこちで小さく光っているXMを集めて(移動して近くに行けばよい)自分のエネルギーを蓄え、ポータルに充填(Recharge)する必要がある、というわけ。

 ポータルのある場所に実際に行って“ハック(Hack)”すると、攻撃用のアイテムや防御用のアイテムなどが手に入ることがあり、“レゾネーター”というアイテムをゲットしたときはポータルに設置すれば、自分の勢力の支配下に置いて、いずれポータル同士をつなぐことができるようになる。もちろんRPGなので、ハックしたり攻撃したりすることで経験値(AP)をゲットし、自身をレベルアップして高レベルのアイテムを使えるようにする、といった要素もある。複雑なルールに感じられるかもしれないが、チュートリアルなどで一度理解してしまえばそれほど難しくはない。

ハックしてアイテムをゲット。何度でもハックできるが、5分ごとに1回まで
攻撃アイテムでレジスタンスのポータルに設置されているレゾネーターにダメージを与えまくるの図
味方のポータルに手持ちのXMでRechargeし、ダメージを修復するの図
シールドでポータルの防御力を強化するのも忘れずに

 ポータルは大きな都市ほどたくさん設置されていて、東京はもちろんのこと、京都付近も名所が多いためかわりとたくさん見つかり、大いに楽しめた。一番のネックだったのはARROWS Xのバッテリー持ち。GPSをオンにし、ディスプレイも点けたままでポータルを探したり、XMを集めたりしなければならないので、そもそもバッテリーの負担が大きいゲームではあるけれども、京都の街を巡りながらプレイするには、モバイルバッテリーが必須だった。スマートフォンとモバイルバッテリーを抱え、夜中の八坂神社付近を徘徊している姿はさぞ奇妙に映ったに違いない。

 現在は筆者の所属するEnlightenedが残念ながら劣勢なのだけれど、興味をもったらぜひみなさんにもチャレンジしていただいて、盛り上げてほしい。ただ、観光しながらのプレイは微妙なところ。名所巡りがポータル探しになってしまって、ろくに景色を楽しめないのだ。一人旅ならまだしも、連れも一緒だと空気が悪くなること必至。いくらXMがたんまりあっても関係の修復にはひとつも役に立たないので注意しよう。