【MEDIAS X N-07D】

ドコモの「うつして翻訳」を試してみる

2012年10月26日 06:00
(関口聖)

 さまざまな企業、人に取材していく中で、最近「スマートフォン時代になってアプリの開発がスピーディになった」と耳にすることが増えてきた。たとえば従来型のフィーチャーフォンであれば、組込ソフトとして開発しなければならなかったであろう機能が、1つのアプリとして提供できるようになった、というケースもある。全てのコンテンツに当てはまる話ではないだろうが、携帯電話会社が提供するアプリは、従来よりスピーディに提供できるようになった事例の1つと言えるだろう。

 そうしたキャリア独自アプリで、10月11日から利用できるようになったのが、NTTドコモの「うつして翻訳」だ。ドコモでは、試験的な形でアプリを公開し、その後、ブラッシュアップしたものをローンチする、という流れでサービスを開発することがある。「しゃべってコンシェル」もそうだし、今回紹介する「うつして翻訳」もまた、これまで提供されていたアプリ「料理メニュー翻訳」の正式版という位置付けだ。

 「うつして翻訳」では、外国語で記された料理のメニュー、街中の看板などをカメラで捉えて、リアルタイムで翻訳する。事前に辞書データをダウンロードしておくため、翻訳する際には通信せず、海外渡航時にもローミングのデータ通信を気にせず利用できる。そこで実際に使ってみようと、アプリを早速ダウンロード。しかし海外に行く予定はないので、編集部近隣にある中華料理店を訪れ、簡体字で記されていたメニューで試してみることに。メニューを見ると「茄子」「海鮮」といった言葉はわざわざ翻訳しなくてもわかるが、「什錦炒飯(錦は簡体字)」は“チャーハン”ということはわかっても、どういった中身かピンとこない。ところが「うつして翻訳」を使ってみると「五目めし」と表示され、五目チャーハンだと理解できた。

翻訳後のワードは、背景色をあわせて原文の上に重ねる。炒飯は「めし」と翻訳してくれたが、別の言葉(このスクリーンショットでは世帯)になることもあったカード内の全てのハングルを翻訳するわけではないが、なんとなく中身を把握できた

 さらに編集部内で、韓国土産として置かれていたお菓子に付属していたカードの翻訳にもチャレンジしてみた。地図らしきイラストが掲載されており、おそらく店舗の情報が掲載されているのだろうが、ハングルはさっぱりわからない。「うつして翻訳」で見てみると、一部の表記を「クルミのベビーカステラ風菓子」「キョンギ道」などと翻訳。なるほど、お店の情報を記したものと判断できた。

 なかなか便利なように思えるが、編集部の近くにあるハングル表記の店舗名などは、フォントが手書き風だったためか、数秒おきに異なる文字と判定して、翻訳できないようだった。また中華料理のメニューも、ハングル表記の店舗カードも、全ての文字を一度に翻訳するのは難しかったり、一度は正しく翻訳できても数秒後、違う訳を示したりするような言葉もあったので、翻訳精度の向上には期待したい。ちなみに翻訳用の辞書データは、1つのアプリとして「Google Play」からダウンロードする。そこにも注意書きはあるが、辞書データ単体では翻訳機能は利用できない。レビュー欄を見ると、勘違いする人もいるようだが、これは勘違いしやすいのではないか。辞書データからアプリ本体のダウンロードに繋げる、あるいは「Google Play」で配布するのではなくアプリ上で辞書データを追加するといった形になるなど、より使いやすい形になって欲しいところだ。