みんなのケータイ
欧州周遊に便利なローミングSIMとWi-Fiルーター
【iPhone 6s Plus】
法林岳之
(2016/1/12 06:00)
国内でもSIMフリー端末が入手しやすくなったことで、最近は海外旅行や出張などで、現地の携帯電話事業者のプリペイドSIMカードを購入することが身近になってきた。本コーナーでも多くの著者陣がその手の話題を書いているし、ボク自身も渡航先で購入するのが定番となっている。
ただ、海外渡航といってもひとつの国や地域に行くのであれば、1枚のSIMカードで済むはずだけど、複数の国と地域を移動するようなケースでは、基本的にそれぞれの国と地域に入るたびに、SIMカードを調達しなくちゃいけない。たとえば、ヨーロッパのように、鉄道や自動車で複数の国と地域を容易に行き来できるようなエリアだと、入国した場所が必ずしも大きな都市じゃなくて、プリペイドSIMカードがすぐに入手できなかったり、到着時刻が遅くて、店が開いていないということもある。
昨年末、筆者は年内の仕事を引きずりつつ(笑)、以前から予定していた欧州旅行に出かけた。フランス・ストラスブール、ドイツ・ケルン、オランダ・マーストリヒトとアムステルダムなどを順に回る予定にしていた。これらの渡航先の内、ドイツについては例年9月にIFAで出かけているため、有効なプリペイドSIMカードをキープしてあるけど、その他の国については個別に通信手段が必要。しかも今回は家族といっしょなので、行く先々でプリペイドSIMカードを調達するのか……ということになってしまう。
そこで、今回は『複数の国や地域を周遊する』をキーワードにいくつかの通信手段を試してみた。
まず、定番としては、本誌でも何度か取り上げられているビジョンが提供する海外用レンタルWi-Fiルーターの「グローバルWi-Fi」。こちらではヨーロッパ49カ国で利用できるヨーロッパ周遊プランが用意されていて、今回、渡航するフランスやドイツ、オランダもカバーされている。もっとも安価なのは3Gプランの日額1180円だが、今回は旅行中に引きずっている仕事を片付けるためにパソコンも利用するので、1日あたり最大500MBまで使える4G LTE大容量プラン(日額1680円)を選んだ。「パソコンなんて、ホテルのWi-Fiで十分じゃないの?」という声があるかもしれないが、ホテルのWi-Fiは十分な速度が出ないことも多いので、仕事を抱えているときは、念のため、モバイルWi-Fiルーターを持っていくというのがボク自身のポリシー。幸か不幸か、今回はこのポリシーが見事に的中してしまい、ストラスブールで宿泊したホテルのWi-Fiが100kbps以下で使い物にならず、随分とWi-Fiルーターに助けられた。
次に、Apple Watchと連携するiPhoneについては、Vodafoneアイルランドの「REDローミング」というサービスを利用した。これはVodafoneアイルランドのプリペイドSIMカードのオプションサービスで、EU内は1日あたり2.99ユーロで最大200MBまでデータ通信が利用することが可能。SIMカードはeBayに出店している業者から購入できるので、今回は1枚あたり18米ドルで、自分と家族のiPhone用に2枚をゲット。
VodafoneアイルランドのREDローミングの場合、データ通信量が1日あたり200MBを超えると、自動的に従量課金に切り替わるため、チャージ分を使い切ってしまうリスクがあるが、200MBを超えると、SMSが届くので、ローミングをオフにすれば、それ以上、使ってしまう心配はない。今回は筆者のiPhoneで2回ほど、200MB超のSMSを受け取ったけど、それ以外は200MBを超えることもなく、2人とも便利にiPhoneを活用できた。ちなみに、同様の日額のローミングでは、VodafoneイタリアのプリペイドSIMカードもよく知られている。
そして、いつも旅のお供に持っていくiPad miniについては、当初、国内でも販売が開始されたApple SIMを検討したけど、国ごとに契約が必要なので、見送り。前述のグローバルWi-FiやホテルのWi-Fiで使うことにした。ちなみに、アイツーの「トラベルSIM」、ケイ・オプティコムの「mineo海外用プリペイドSIM」、eConnect Japanの「Mighty SIM」、Planetwayの「TAKT」など、最近は国内で手続きができるグローバル対応のプリペイドSIMカードが増えてきているので、次回以降はこれらを試してみたい。
とまあ、周遊をテーマに通信環境を準備しておいたことで、今回の欧州旅行では複数の国と地域を回ったにもかかわらず、スマートフォンやタブレットをストレスなく、利用することができた。一人の旅行で「プリペイドSIMカード探しは大変だけど、楽しい」というノリなら、それもアリだけど、家族との旅行などで周遊するときは、1枚プリペイドSIMカードでカバーしたり、モバイルWi-Fiルーターで利用できた方が手間も少ないし、スマートというのが正直なところ。
「じゃあ、今回は渡航先でプリペイドSIMカードは買わなかったのね」と言われてしまいそうだけど、実は、フランスではブイグテレコム、オランダではKPNとT-mobileのプリペイドSIMカードを購入し、普段、海外渡航用Androidスマートフォンとして使っている「Huawei Mate S」や「ASUS ZenFone 2」などに装着して、利用してました(笑)。やっぱり、ショップを見かけると、つい買ってしまうんですな。
ただ、いずれも渡航先でもキャリアショップ探しに苦労したり、「プリペイドSIMカードはないの?」と聞いたら、「ウチは扱ってない。少し先の店にあるかもしれないから、そっちで聞いてみて」と言われたりすることもあった。ある場所では、店頭で申し込んだデータ通信のオプションが有効にならず、購入した翌日の夕方くらいにデータ通信が使えなくなってしまった……なんていうことも起きた。こういうことが起きるから、ちゃんとアテにできる通信環境をしっかりと用意しておいた方が確実ということでしょうね。