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Wi-Fi 7認可のタイミングながらWi-Fi 6E対応無線LANルーターを導入

 2023年12月に、最新の無線LAN規格「Wi-Fi 7」こと「IEEE 802.11be」が国内で認可されました。

 Wi-Fi 7では、新たに6GHz帯域において320MHz幅(16チャネル)と非常に広帯域での通信に対応。また、複数の帯域の同時通信といった機能も追加されています。

 これによって、2.4GHz、5GHz、6GHzの3帯域同時通信で最大約36Gbps(理論値)と非常に高速な通信速度を実現できるようになりました。この他にも、伝送効率を高めたり、低遅延、混雑時の効率向上などの新機能も追加されていますので、無線LANをより高速、かつ快適に利用できるようになります。

 とはいえ、現時点ではWi-Fi 7対応の無線LANルーターはごくわずか販売されているだけで、対応のPCやスマホはまだ存在していません。今後徐々に増えていくことになると思いますが、まだ数年はWi-Fi 6/6Eが主流となるでしょう。

 そういった中、これまで筆者の自宅で使っていた無線LANルーターは、Wi-Fi 6対応にとどまる、TP-Link「Deco X90 AX6600」でした。その理由は、メインで利用しているPCがWi-Fi 6対応だったことや、Wi-Fi 7の登場が比較的間近に見えていたことなどです。

 ただ、Pixel 7/8シリーズなど実際に利用しているスマホでは、6GHz帯域での通信が可能な「Wi-Fi 6E」に対応するものが増えていました。

 同時に、2023年後半には、Wi-Fi 6E対応の無線LANルーターの価格がかなりこなれてきました。そこで、Wi-Fi 7が認可されたタイミングではありますが、Wi-Fi 6E対応ルーターを導入することにしました。

筆者宅では、これまでWi-Fi 6対応の無線LANルーター、TP-Link「Deco X90 AX6600」を使っていたが、価格が手ごろになってきたWi-Fi 6E対応無線LANルーターへの交換を実施

 今回導入した製品は、TP-Linkの「Archer AXE5400」です。購入価格は1万1781円でした。

 この製品を選んだ最大の理由は、WAN/LANのどちらにも利用できるポートとして2.5GbE LANポートを採用していることでした。

 筆者宅のLAN環境は基本的に10GbE LANに対応済みで、10GbE LAN対応の有線ルーターを利用してインターネット接続を行うとともに、その下に無線LANルーターをアクセスポイントモードに設定して接続、利用しています。

 10GbE LAN対応の機器はデスクトップPCが1台接続されているだけですし、インターネット側も最大1Gbpsの契約ですので、現時点では10GbE LANの恩恵は全くない状況ではあります。

 ただ、2.5GbE LAN対応機器としてはNASや他のPCなどいくつか存在しています。特にNASは全てのPCやスマホからアクセスする機会が多いため、無線LAN接続であるとしても、NASへのアクセス速度はなるべく犠牲にしたくないと考えていました。

 Wi-Fi 6/6E対応のPCやスマホは、無線LANの最大通信速度が2,401Mbpsとなっている場合がほとんどです。

 これは、有線の2.5GbE LANに近い速度ですが、無線ルーターの有線LANがギガビットイーサネットでは、そこがボトルネックとなりNASにアクセスした場合の速度が最大限引き出せないことになります。

 つまり、無線LANルーターに2.5GbE LANポートが備わっていることは製品選択の必須条件だったわけです。

 以上のポイントを押さえつつ、価格も安価だったことが、購入の決め手となりました。

新たに購入したWi-Fi 6E対応無線LANルーター、TP-Linkの「Archer AXE5400」
WAN/LAN共有ポートに2.5GbE LANを備えている点が選択した最大の理由だった
動作モードをアクセスポイントモードに設定後、自宅のLAN配下に接続し運用を開始

 さて、製品を導入して何か変わったか、と言われると、Pixel 8シリーズなど対応スマホで6GHz帯域が利用可能になったぐらいで、それ以外に体感では大きな変化は感じられない、というのが正直なところです。

 実際に、これまでのルーターでPCとスマホを5GHz帯域で接続して同時にNASにデータを転送した場合と、新しいルーターでPCを5GHz帯域、スマホを6GHz帯域に接続してNASにデータを転送した場合とで、転送時間にほとんど違いは見られませんでした。

Pixel 8シリーズで6GHz帯域の利用が可能となったが、速度的には特に体感で変化は感じなかった

 そもそも、PC、スマホとも、無線LANの速度は5GHz帯域または6GHz帯域いずれも最大で2401Mbpsです。

 つまり、帯域が変わったからといって最大の速度は変わりませんし、複数の機器が高速で同時アクセスしてしまうと、有線LANの2.5GbE LANがボトルネックとなってしまいます。そのため、速度に変化が見られなくても不思議ではないでしょう。

 もちろん、一部スマホを6GHzで通信させることで、2.4GHzや5GHz帯域の混雑が減って、全体的な通信効率は間違いなく高まっているはずです。

 ただ、筆者宅は集合住宅ではありますが、5GHz帯域はそれほど混雑していませんので、スマホを6GHz帯域に接続したとしても5GHz帯域の混雑状況はほとんど変わらず、速度の変化が見られなかった、ということも考えられます。

 それでも、手持ちのWi-Fi 6E対応スマホを6GHz帯域に接続して利用できるようになった点は大きな進化です。今回は価格も安かったですし、なにより近い将来Wi-Fi 7対応機器の導入も見据えていますので、とりあえずは満足することにしておこうと思います。