みんなのケータイ

約2年ぶりの米国出張でeSIMの便利さを実感、でも無料の「アメリカ放題」には難点も

【iPhone 13 Pro】

 先日、開催されたアップル開発者向けイベント「WWDC」を3 年ぶりに現地で取材した。

 アメリカ出張は2020年1月にラスベガスで取材した「CES」以来。現地での取材活動をするには通信環境を用意しなくてはいけないが、2年半でローミング環境は大きく変わった。

 普段、名刺に刷っている携帯電話番号はau回線となっている。アップルのイベントを現地で取材しているとテレビ局関連から結構、電話で問い合わせがあったりと長電話になってしまっていた。国際ローミング時は音声の着信にもお金がかかる。それも1分165円と高額だ。

 そこで数年前までは、au回線にかかってきた音声通話はすべてソフトバンク回線に転送し、「アメリカ放題」として、現地で着信、通話していた。

 この際、1台のiPhoneでSIM を差し替えてもいいのだが、飛行機に乗っている間にSIMカードを差し替えるというのが結構、面倒くさかったりする。暗い機内でSIMカードを入れ替えている際に何度か、SIMカードをなくしかけたことがある。

 そこで、2台のiPhoneを駆使し、1台目はau回線、2台目はソフトバンク回線にしておき、アメリカ滞在時は2台目のiPhone を頻繁に使うということをしていた。

 あれから2年半が経過し、何が変わったか。

 総務省のおかげにより、各キャリアでeSIMの導入が進んだ。

 そこで、同じ環境を構築するのに、ソフトバンク回線はeSIMで契約することで、1台の「iPhone 13 Pro」で済むことになったのだ。これにより、普段持ち歩いているiPhone13 Proで、アメリカ滞在中はau回線からソフトバンク回線に転送された音声通話を着信することができた。さらに、データ通信もauの「世界データ定額」ではなく、ソフトバンクの「アメリカ放題」でネットに接続ができたのだ。

 とはいえ、やっぱり「アメリカ放題」はネットワークのクオリティ面で「難あり」と言わざるを得ない。

 ソフトバンクが買収したSprintはT-Mobileと一緒になり、アメリカ放題ではSprint のCDMAネットワークにはつながらなくなる一方で、T-MobileとAT&Tに接続できるはずが、どうにもネットワーク品質はイマイチであった。「(配車アプリの)Lyftを呼びたい」をアプリを起動しても、ネットワークには「E」という表示でデータがまともに流れない。無料で使えてとても便利なのだが、品質もそれなりという感じというのは2年半前と変わらなかった。

 また、データ通信をソフトバンク回線にしていたため、普段、auの電話番号でやりとりしている「iMessage」において、なぜかiPhoneユーザー相手に「青」の吹き出しになるはずが「緑」の吹き出しになってしまっていた。青であれば無料で送受信できるのだが、緑表示となると通常のSMSと同じになるため送信料が発生するのだ。

 現地ではアップルの人とiMessage でやりとりすることも多い。これが緑表示だと長文のメッセージや画像などが受け取れず不便極まりないのであった。

 しかたなく、auの「世界データ定額」を契約したら、すぐに青の吹き出しに変わったのであった。もちろん、通信品質も安定して、ストレスがなくなった。

 WWDCが始まる直前、アップルパーク内からYouTubeのライブ配信を行ったのだが、そこに使ったiPhoneは、ahamo回線を入れた「iPhone 13 Pro Max」だった。ahamoは海外でも20GB、使えるし、人で混雑するアップルパーク内からライブ配信しても、かなり安定した通信が可能であった。

 結局、2台のiPhone を駆使する出張というのは変わらなかった。

 ちなみにアメリカへの機内では、前回の連載で紹介した「Nreal Air」でNetflix を見まくっていた。注文していた補正レンズを装着し、とても快適に大画面で映像を楽しめたのであった。