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お絵描きツールにM1チップの「iPad Air」(第5世代)を選んだ理由

【iPad Air(第5世代)】

iPad Air(第5世代)を買った

 人生で初めてiPadを購入した。M1チップを搭載したiPad Air(第5世代)だ。Apple Pencil(第2世代)とペーパーライクフィルム、そしてサードパーティ製のキーボードカバーも一緒に買ったので、合計金額は軽く10万円を超えた。タブレット端末として見るとやはり高額。だけれども、そこにはiPadを選ぶしかない事情があった。

 そもそもiPad Airを購入することになった理由は、子供たち(と妻)の「お絵描きがしたい」という希望が一番大きい。すなわち未来への投資である(言い訳)。メインで使うツールはCLIP STUDIO PAINT、いわゆる「クリスタ」だ。それまでは妻の2008年型MacBookに、たしか10年くらい前に数千円で購入した外付けペンタブレット(通称板タブ)を接続して使っていたが、画面に直接手描きしたいのだと。

 画面に直接手描きしやすいタイプのデバイスとなると、選択肢はだいたい2つに絞られる。パソコンに接続する液晶ペンタブレット(液タブ)か、iPadのようなタブレットデバイスか。液タブは、ワコム製のエントリーモデル(Wacom One)なら3万円台から手に入る。より安価な海外製の液タブもあるが、性能、サポート、ブランドの信頼感などを考えるとワコム一択だろう。念のため店頭で別メーカーの液タブにも触れてみたが、筆圧検知はともかく傾き検知の精度に難を感じたので、候補から外した。

 3万円だとしてもまあまあな出費だが、これはあくまでもペンタブレット部分だけの値段で、さらにパソコンを組み合わせる必要もある。今までのボロいMacBook(と言うと、まだバリバリ現役だし、と妻にどやされるのだが)に接続するのでは、さすがにお絵描きデバイスとして快適とは言いがたいのでなんとかしたい。運良く、今はあまり使っていないそこそこの性能のデスクトップPCがあるので追加費用なく対応できるが、ミドルタワーのデカい筐体を子供に操作してもらうのは厳しいのでは、という別の問題が出てくる。

妻のMacBookと板タブ。一部のキートップはなくなり、押せないキーもある。SSD化で延命処置もしたが、もう十分働いたでしょう

 また、店頭でワコムの液タブ数種類を試してみた限りでは、エントリーモデルは描き味やレスポンスは十分に満足できる感触だったものの、画面の暗さが気になった(店頭の照明の影響もあるかもしれない)。せめて「Wacom Cintiq 16」くらいのミドルクラスのモデルが妥当なラインだろうな、と結論付けるも、そうすると6~7万円台という価格帯になってきて、お絵描き専用デバイスにこの値段はちょっと……という気分になってくる。

 もし子供たちが「お絵描き、もう飽きちゃった」となったときに「潰しがきかない」のが一番の問題だ。液タブは言ってみれば外部ディスプレイなので、パソコンのモニターとして使えなくもないけれど、あくまでもお絵描き用のディスプレイであって、たとえば動画を見るような用途には、映像の見栄えや使い勝手などの面で、当たり前だが向いていない。有線接続だから好きな場所で見たいときはパソコンも一緒に移動させる必要があり、恐ろしく不便なのは容易に想像できる。

 というわけで、結果的に選んだのはiPadだった。チップが近頃話題のM1だから、という考えはなく、より性能の高いApple Pencil(第2世代)に対応していることからiPad Air(第5世代)にした。ペイントアプリのAdobe Frescoでは、ほとんど遅延なく紙に描いているような感覚が得られるのはちょっと感動もの。クリスタだとやや遅延が発生してしまうが、子供にとってはあまり気にならないようだ。

クリスタでお絵描きする娘

 しかし、冒頭でも書いたように合計金額は10万円超で、小学生の子供にはあまりにも贅沢すぎる。なので、建て付けとしては、ボロいMacBookに代わる妻用のマシン兼筆者の検証用マシンということにして、子供がお絵描きしたいときに貸し出す体裁にした。

 文字入力に便利なキーボードカバーも追加したので、もし子供らがお絵描きに飽きてしまっても、妻がパソコン代わりにできる。液タブなどと違って持ち運びつついろいろな用途に使えるので、無駄な買い物にはならないはずだ。まあでも、せっかく大きな投資をしたのだから、ちゃんとお絵描きにフル活用してくれよ、と祈っているところ。

お値段の面からサードパーティ製のキーボードカバーを選択。もし子供が飽きても大人がパソコン代わりに使うのだ