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Wi-Fi 6移行が全然進まない筆者のWi-Fi 6ルーター選び

いまだにWi-Fi 5環境から抜け出せない筆者宅

 スマートフォンのWi-Fi 6機能がいまだくすぶっている。Wi-Fi 6というのは、ご存じの通り、現在のところ最も高速に通信できる無線LAN規格だ。筆者がメインで使っているarrows 5G F-51Aだと、Wi-Fi 6接続時は最大で1201Mbpsというギガビットを超える通信速度になる。サブ端末のiPhone SE第2世代もそうだし、もっと新しい端末だと2402Mbpsなどより高速に通信できるものもある。

 単純に最大速度が上がるだけでなく、複数端末の同時通信時にパフォーマンスが落ちにくいとか、セキュリティが向上するとか、端末側の消費電力を抑えられるとか、Wi-Fi 6にはさまざまなメリットがある。また、従来のWi-Fi 5は5GHz帯のみで、電波が届きにくいと2.4GHz帯のWi-Fi 4に切り替わってしまい、通信が極端に遅くなることもある。しかし、Wi-Fi 6は5GHz帯と2.4GHz帯の両方があり、2.4GHz帯になってもWi-Fi 4ほどの極端な速度低下は起きにくい(印象)。Wi-Fi 4やWi-Fi 5の環境からWi-Fi 6に移行するのはメリットだらけなのだ。

現在はWi-Fi 5のメッシュネットワーク対応ルーターを使っているが、Wi-Fi 4になってしまうことがよくある

 Wi-Fi 6環境に変えるのも簡単だ。ただWi-Fi 6対応ルーターに交換すればいい。最近では多くのメーカーから対応ルーターが登場していて、エントリー向けの安価なモデルからハイエンドの高価なモデルまで、よりどりみどりと言っていいほど。なのに、筆者宅ではいまだWi-Fi 6環境に移行できずにいる。変えたい気持ちは満々なんだけれども……。

 移行していない理由はいくつかあるが、どのルーターも決定的な一打が(筆者的に)足りていない、と感じているのが大きい。まず自宅では最大5Gbpsのインターネット回線を使っているので、その速度をスマートフォンでも活かしたい。そう考えるとWi-Fi 6ルーターは必須だが、大半のWi-Fi 6ルーターはインターネットの接続口となる有線LAN(WAN)ポートが1Gbps止まり。スマートフォンからルーターまではギガビットを超えていても、WANで1Gbpsに制限されてしまうのでは意味がない(実効速度がそもそも1Gbpsを超えないのでは? というのは置いておくとして)。

 インターネットに1Gbps超で通信するには、少なくとも2.5Gbps以上のLANポートをもつルーターが必要だ。この時点で対応機種は大幅に絞られる。そして、個人的には現在のメッシュネットワーク環境の快適さを知ってしまっている以上、メッシュ対応のWi-Fi 6ルーターであることもできれば外したくない。となれば、選べる機種はごくごくわずか。

 仕事柄、ありがたいことにいろいろなWi-Fi 6ルーターを試す機会がある。上記の条件に合う高性能なルーターももちろんあったが、自宅に常設することを考えると、あまりに筐体が大きいものは避けたい。コンパクトで、2.5GbEかつメッシュ対応で、なんていう都合のいい製品はなかなか出てこないものだ。

 ただ、これまでに試したり見たりしてきたなかで、これなら満足度の高いWi-Fi 6環境にできるかも、と思える機種もある。ここでその気になっている3機種を簡単に紹介してみたい。

 1機種目はネットギアの「WAX218」。既存のルーターに有線接続して使うWi-Fiアクセスポイントで、2.5GbEのLANポートを1つ備えている。Wi-Fi 6での最大通信速度は2402Mbps。メッシュには対応していないが、壁掛けや天井固定などがしやすい構造で、設置方法を工夫すれば木造2階建ての筆者宅くらいならうまく電波を届かせられそうにも思う。

 インターネット回線の都合上、プロバイダーから貸与されているルーター(ゲートウェイ)は置き換えられないので、さらにルーターを追加したとしてもWi-Fiアクセスポイントとして利用するしかない。その点、最初からアクセスポイントとしての機能しかないWAX218は筆者としてはむしろ都合がいい。ただこの製品、基本的にはLANケーブル経由で給電するPoE+対応が最大の肝なので、ネットワークスイッチもPoE+かつマルチギガ対応のもの(だいたい10万円)にアップグレードしないと本当の良さを発揮できない、というのが悩ましいところ。

ネットギアの「WAX218」

 次はQNAPの「QHora-301W」。マルチギガにも対応する10GbEポート×2と、ギガビットポート×4を搭載するWi-Fi 6ルーターだ。こちらもメッシュには非対応だが、筐体としては小型であるにもかかわらず、今まで自宅で数々のWi-Fi 6ルーターを試してきたなかでは最も電波の届く範囲が広く、動作も安定していた。

 ただ、VPNなどより高度なネットワークを構築するのに向いた「SD-WANルーター」と呼ばれる製品であることから、単純にアクセスポイントとして使うのはもったいないな、と感じているのが導入を躊躇している理由である。

QNAP「QHora-301W」

 最後はASUSの「RT-AX86U」。2.5GbEのWAN / LANポートを搭載し、Wi-Fi 6接続時は最大4804Mbpsでの無線通信が可能なスペックをもつ。複数のASUSルーターを組み合わせたメッシュの構築も可能で、そのバックホール(ルーター間)の通信に2.5GbEポートを利用することもできる。RT-AX86Uを2台以上使うことで2.5Gbpsのメッシュ環境を構築できるというかなり強力な製品なのだ。

 問題は、外部アンテナを含めたサイズがそこそこ大きく設置場所に困りそうなところ。2台揃えるとなると金額的にも大きい。とりあえず1台導入して、様子を見ながらもう1台追加する、という考え方もあるけれど……。

ASUS「RT-AX86U」
ガンダムコラボモデルの「RT-AX86U」も存在する

 というわけで、悩めば悩むほど選びきれず、Wi-Fi 6化はいっこうに進まないのである。そうこうしているうちにWi-Fi 6の次の規格であるWi-Fi 6Eの日本導入が見えてきたし、さらにその次のWi-Fi 7の影までちらついてきた。このままWi-Fi 6へ移行できずにずるずるいってしまうことのないよう、そろそろ決断したいのだが、果たして。

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