みんなのケータイ

香港の新型コロナウィルス接触確認アプリ「LeaveHomeSafe」を試す

 新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) と類似のサービスが香港でも2020年11月16日から始まりました。

香港の新型コロナウイルス接触確認アプリ「LeaveHomeSafe」

 香港版COCOAの名前は「LeaveHomeSafe」。登録などは手動で行いますが、プライバシー保護を念頭においたサービスになっています。

 LeaveHomeSafeはAndroidとiOS向けのアプリケーション。Google Play、App Storeだけではなく、ファーウェイのAppGalleryにも対応しているのが一つの特徴です。

 COCOAはBluetoothを使って感染者との接触を通知しますが、LeaveHomeSafeは同じ場所に滞在していたことをアプリで通知するサービスとなっています。

使い方

 使い方は、まずショッピングモールなどの商業施設を訪問した時、入り口にあるLeaveHomeSafe案内のQRコードを自分のスマートフォンに入れたアプリから読み取ります。

 そしてそこから離れたときにアプリの「Leave」ボタンを押します。これでアプリにはその商業施設に滞在した日時・滞在時間が記録されます。

なおタクシーに乗った場合はアプリからタクシーの登録番号をスキャン、または手入力して登録、降りるときは同様に「Leave」を押します。

一方、新型コロナウィルスの感染者はLeaveHomeSafeのアプリに感染情報が登録されます。

 これにより、過去にさかのぼって感染者と同じ日時に同じ場所を訪問したかどうかをアプリが通知してくれます。

香港政府によるLeaveHomeSafeアプリの案内

 このアプリはユーザー登録が不要で、場所の登録情報もサーバーには送られずアプリ内のみに留まるとのこと。アプリ登録者の行動記録を政府側が一切記録することはありません。

 LeaveHomeSafeは、このように個人情報を取得しないことを大きな特徴にして、香港居住者の登録・利用を促そうとしています。とはいえCOCOAのような自動通知型ではなく、商業施設に入るときに入り口で自分でQRコードを読まなくてはなりません。

実際に使ってみた

 筆者は11月20日に某商業ビルを訪問しました。

 入り口にはQRコードがあります。さっそくアプリを起動して読み込んでみると、一瞬で読み取りが終了します。あとは特に通知が出るわけでもなく、アプリの画面にはその商業施設に滞在中であることが表示されます。

商業施設入り口にあるQRコード
(左)アプリでQRコードを読み取る→
(右)チェックイン情報が表示される

 さて商業施設に滞在後、そこから離れる時は自分でアプリから「Leave」をタップします。そして「Yes, I’m leaving now」を押せばこれで終了と簡単です。

 アプリでは自分の過去の滞在記録を見ることはできず、あくまでも感染者が出たときに通知するために自分で訪問先情報を記録させておく、というものなのです。

 なお「Leave」押し忘れて外に出てしまったときは、あとからアプリを立ち上げLeaveを押し、「I’ve already left」をタップして手動で日時を入力します。

 恐らく押し忘れて出てしまう人は多いでしょうから「後から入力」もできるのですが、入るとき、出るとき、どちらも手作業が必要なのはやや面倒だと感じました。

(左)アプリを開けば「Leave」ボタン→(右)「I’m leaving now」を押して出る

筆者が訪問する商業施設のいくつかはサービス開始当日から入り口にLeaveHomeSafeのQRコードが表示されていました。

 ある場所で5分ほど観察していたのですが、その間に入場した100名ほどの人は誰もこの案内に気が付いていませんでした。まだサービスが始まったばかりで全く認知されていないということなのでしょう。

QRコードは大きいものの、これが何を意味するかの周知徹底が必要だろう

 また週末は他のショッピングモールに行きましたが、入り口が広すぎてQRコードがどこにあるかわからず、友人と話をしながら訪問したのでそもそもQRコードを読むことすら忘れていました。

 このようにLeaveHomeSafeの利用が日常生活の一部になるにはまだ時間がかかりそうです。その点、COCOAはアプリをインストールしておけば自動通知なので日々その存在を気にする必要はありません。

 とはいえLeaveHomeSafeは広い商業設備の中で、同じ時間に滞在していれば距離は無関係に後から通知されます。香港は窓の開かない(あるいは窓のない)商業施設が多く、同じ空間にいるだけで感染する確率は他の国より高いかもしれません。

 COCOAは1m以内、15分の接触で通知があるようですが、2003年のSARSを経験したこともある香港の居民にとってはLeaveHomeSafeのようなサービスのほうが安心できるかもしれません。

 LeaveHomeSafeはサービス開始時点で約6000カ所で利用できます。飲食店は2020年12月2日までに登録し2日以内にQRコードの表示が義務付けられています。一方タクシーは1万8000台が対応していますが、全タクシーの2割程度。こちらも今後は全タクシーで利用できるようになるでしょう。

 サービスが始まったばかりのLeaveHomeSafeですが、今後市内のあちこちでQRコードの表示が目立てば香港居住者の利用も増得ていくでしょう。店の出入り時はスマートフォンを出す、そんな姿が当たり前のものになりそうです。

【お詫びと訂正 2020/11/30 11:07】
 記事初出時、アプリ名と筆者名が誤っておりました。お詫びして訂正いたします。