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Siriと相性抜群な「Powerbeats Pro」と「HomePod」

 7月に「Powerbeats Pro」、8月に「HomePod」と、アップルのデバイスや音声アシスタント「Siri」と相性の良いオーディオ機器を立て続けに購入した。

Powerbeats Pro。イヤーフックがあるタイプで、激しく動いてもまず外れないが、筆者のようなメガネっ子は長時間着用してると耳が痛くなりがちなので、イヤーフックの調整が必須

 「Powerbeats Pro」は左右分離型のワイヤレスイヤホンだ。Beatsはアップル傘下ということもあり、この製品には3月発売の第2世代「AirPods」と同じApple H1チップが採用されている。

 このH1チップのおかげで、第2世代AirPods同様、Powerbeats Proも「Hey Siri」が使える。実はこれ、他社のBluetoothヘッドフォンにはあまりない、珍しい特徴だったりする。

 一般的なBluetoothヘッドフォンだと、「長押し」→(数秒の接続待ち)→(ボイスコマンド受け付け開始の電子音)→「ボイスコマンド」という順番になってしまうのだが、第2世代AirPodsやPowerbeats Proの場合、全部すっ飛ばして「Hey Siri+ボイスコマンド」と呼びかけるで済む。これだけの話なのだが、音声アシスタントの使い勝手は天地ほどの違いがある。

充電ケースは若干大きい。Lightningケーブルで充電するので、持ち歩くケーブル種類が増えないのは地味に嬉しい

 たとえば移動中など、立ち止まってスマホを取り出すのが面倒な場面でも、歩きながらハンズフリーでSiriを使って簡単な用事が済ませられる(運転中はダメだが)。今後の予定や天気を確認したり、スケジュールを入力したり、iMessageを送ったり、帰り道のナビを開始したり、対応家電を起動したりできる。利用頻度はそれほど高くないが、スマホを取り出してアプリを起動してタップ操作をして、という流れが省略できるメリットは果てしなく大きい。

 AirPodsなどと同じく、純粋なBluetoothではなくアップル独自の接続方式を使っていて、同じApple IDを使っている複数のデバイスなら、Powerbeats Pro側の操作なしに簡単に接続先を変更できる。たとえば外出時はメインのiPhoneにつないでおいて、iPadで動画を見たりゲームをするときはつなぎなおす、というような使い分けも簡単だ。

「Hey Siri」と話しかけるだけで音声アシスタントが使えるのは便利だ
iPhoneとiPadで使う場合も、簡単に接続先を変更できる

 同じH1チップを搭載する第2世代AirPodsでは、今秋登場のiOS 13で受信メッセージを自動読み上げする機能が追加されるとアナウンスされている。Powerbeats Proも同じチップを搭載しているので、この機能に対応する可能性は高いだろう。

左からXperia Ear Duo、Powerbeats Pro、AirPods。それぞれにそれぞの特徴があり、場面ごとに使い分けている

 といっても、通知読み上げ機能はすでにソニーの「Xperia Ear Duo」で実現していて、常時着用しやすいデザインもあって、日常での利便性はXperia Ear Duoの方が高いと感じる。ただ、Xperia Ear Duoはハンズフリーでの音声アシスタント起動に対応しておらず、遮音性も皆無で音楽の鑑賞には不向きなので、筆者は場面ごとに使い分けている。

HomePod。比較対象にiPhone XSを置いているが、見ての通り結構デカい。アップル製品の定番どおり、ACアダプタなしなので太いACケーブルが伸びている

 「HomePod」もHey Siriの呼びかけでSiriを使えるスマートスピーカーだ。価格も重さも音質も重量級の製品で、持ち歩けるような製品ではないが、家で音楽をがっちり楽しむといった用途に向いている。

 筆者の家では照明や扇風機、エアコンのオン・オフに音声アシスタントを使えるようにしているので、自宅に居るとき、指先すら動かさずに音声アシスタントをスムーズに使えるというのはメリットが大きい。また、たとえば原稿を書きながら「あーそういえば××日に横浜スタジアムに行くけど天気どうかなー」というときも、キーボードから指を離さず、天気予報を聞くことができる。

 何かの作業中にも調べ物ができるのは、「スマホを取り出したけど何を調べようと思ってたか忘れた」ということの多いオッサンにとってはありがたい。ありがたいけど、ちょっと最近、物忘れヤバくないか筆者。あと××日は雷雨ってマジかよ勘弁してよ。

 HomePodも同じApple IDを使っているさまざまなアップルデバイスから接続し、ワイヤレススピーカーとして使えるのだが、「AirPlay 2」という独自の接続方式を使うので、iPhone/iPadから使うときはちょっとクセがある。音楽や映像のアプリならほぼ問題ないが、たとえば筆者手持ちのアプリだと、汎用ビデオプレーヤーの「VLC」で致命的なレベルでの音ずれが発生していた。また、ゲームアプリなどもHomePodから音声出力できないものが多いように感じる。Bluetoothスピーカーほどの汎用性がないことには注意が必要だ。

iPhoneでの接続先選択画面。「中央」というのが我が家のHomePodの置き場所の呼称。下側にはHomePodがスタンドアロンで再生中の曲も表示される。それにしてもウチのライブラリはアニソンばかりである

 一方、Macからつなぐとすべての音声をHomePodから出せるようなので(全部は確認してないけど)、Macユーザーにとっては地味に便利だったりする。

 音質に関しては、Powerbeats Proも低音が強めだが、HomePodはさらに低音が強く、逆にボーカルなど中音域に物足りなさを感じる。しかしHomePodは音質を自己調整するらしいので、しばらく使ってみて馴らしていこうと思う。

 どちらの製品も単なる音響機器としてはやや高価で、やはりSiriを使いこなしてこそ真価を発揮する製品だと思う。しかしSiriは何ができるかはわかりにくいので、ユーザーの慣れが必要な部分が多い。OSのアップデートや機器の追加でできることが増えたりするので、そのあたりを含め、もっとSiriの使いこなしを学んでいきたい。