みんなのケータイ

iCloudに依存していたおかげで軽傷で済んだCES取材直前トラブル

CESの西会場Sands Expo

 今年も1月上旬にラスベガスで開催される家電の展示会CESの取材に行ってきた。渡米中は大きなトラブルには見舞われなかったのだが、最大のトラブル(というかミス)は出国前、家を出る直前に発生していた。

 筆者のMacBookは、ドライブを2つのパーティションに分割し、macOSだけでなくBootcamp機能でWindowsも入れている。Windowsでしか開けないファイルやアプリを渡されたときへの対策なのだが、出国の日は朝から荷造りしながら、このWindowsのアップデートを行っていた。しかし、ここで誤操作をしたらしく、macOSのパーティション(もしくは起動に必要なパーティション)を消してしまった。

 つまり何が起きたかというと、取材旅行に携行して作業に使うはずのMacBookが起動しなくなってしまったのだ。言うまでもなく、仕事をする上では致命傷だ。そして、これに気がついたのが、「そろそろ家を出るか」と思っていた20分前とかなのである。

 筆者は「オワタ \(^O^)/」と叫び、3分ほど踊りまわった。しかし、踊っていても仕方ないので、ひとしきり踊って気が済んだところで、1本早く乗ろうと思っていた成田エクスプレスを逆に1本遅らせることにして、復旧を試みることにした。

成田エクスプレス車内で作業環境を構築。いつもコンセント位置がわからなくて迷う

 まずNAS上のバックアップ(Time Machine)からの復旧を試みたが、終了まで4時間とかの表示だったので断念し(帰国後やったら6時間くらいかかった)、macOSの再インストールを試みた。最近のMacは復旧モードからネットワーク経由でmacOSをダウンロードしてインストールできる。ダウンロードには20分ほどかかったが、ダウンロードが終了すると、MacBookをカバンに放り込み、急いで荷造りを仕上げて家を出た。

 成田エクスプレスに乗り込んだ頃にはOSインストールは終了していたので、iPadとiPhoneのテザリング回線を使いつつ、初期設定や必要アプリのインストールを行った。成田エクスプレスの乗車時間は1時間強。いつもなら長いと感じられる時間だが、この日はひどく短く感じられた。

 しかし、遅くて途切れがちな通信回線にわずらわされながらも、成田エクスプレス車内で作業環境は整っていった。容量が大きいAdobe Lightroomだけは、渡米後、高速なネットワークのあるCESのプレスルームでインストールすることにしたが、早めに到着した搭乗ゲート前で、それ以外のアプリはインストールできてしまい、一部アプリの設定についてもiCloud経由で同期できてしまった。

 取材に必要になりそうな書類のPDF、事前に調べた各社のブース情報のテキストメモとPDFなども、不足なくiCloudからダウンロードできた。もともと普段から写真以外の作業ファイルは、2台のMacで共有するためにiCloud同期フォルダに置くようにしているので、足りないファイルはなかった。古い作業ファイルや写真も、リモートで取り出せるようにしているが、その必要もなかった。

 iCloudにパソコン上の作業ファイルを同期するとなると、それなりの容量が必要になりそうなものだが、デジカメで撮った写真を同期しないなら、あとはテキストファイルやPDFファイルばかりなので、実はそれほど容量は消費しない。筆者の場合、Macで同期している作業ファイルは合計しても400MBほどで、iOSバックアップの19GBなどに比べるとかなり小さく済んでいる。そして400MBほどであれば、モバイル回線でもダウンロード可能だ。

取材メモのPDF。事前チェックは機内のMacBookで作業し、iCloud同期してiPhone上で参照・編集した
iCloudのストレージ。バックアップは古いiOSデバイスなどを消せば半分くらいになる

 こんなにすんなりとパソコンに作業環境が復旧できることは、正直言って意外だった。これまで、海外取材はパソコンが最重要機材だと思っていたが、どうやらそうではないようで、パソコンをクラウドに接続するために必要な2段階認証手段が入っているスマートフォンの方がはるかに重要ということになりそうだ。

 筆者は海外取材にはたいてい、複数のスマートフォンやタブレットを持って行くが、今後はこれらの機器がちゃんと使えるかどうか、しっかり管理しておこうと思う。考えてみると2段階認証が使えなくてクラウドに接続できないとか、家を出る20分前にパソコンが起動しなくなるのより絶望的な状況だよな……。