山根康宏の「言っチャイナよ」

3万円を切る5Gスマホが続々登場、レノボのゲーミングスマホも

 スマートフォン市場で勢いを増す中国メーカーの新製品の動きを香港在住の携帯電話研究家、山根康宏がまとめる「言っチャイナよ」。今回は2020年7月に中国で発表された5Gスマートフォンを紹介する。レノボがついにゲーミングスマートフォンに参入したほか、2000元(3万円)を切る低価格モデルが多数登場した。

7.09インチの大画面を搭載した5Gモデル「Honor X10 Max」発表

 ファーウェイのサブブランドであるHonorの最新モデル「Honor X10 Max」はMaxの名が表すように7.09インチの大型ディスプレイを搭載している。5000mAhの大型バッテリーも搭載しながら本体の厚みは8.3mmに抑えられている。ファーウェイの自動車向けインフォテイメントシステム「Hi Car」にも対応し、ダッシュボードのカーオーディオからHonor X10 Max内の音楽などコンテンツ再生操作も可能だ。

Honor X10 Max
主な仕様
発表日2020年7月2日
価格1899元(約2万9000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 800
ディスプレイ7.09インチ2280x1080ピクセル
リアカメラ画素数4800万広角+200万深度測定
インカメラ画素数800万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成6GB+64GB、6GB+128GB、8GB+128GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンドn1 / n38 / n41(2496-2690MHz) / n77 / n78 / n79

Dimensity 800搭載の格安5G機「Honor 30 Youth」

 「Honor 30 Youth」はチップセットにMediaTekのDimensity 800を搭載した低価格モデル。カメラをトリプル仕様とすることでコストをさらに抑えた。Honor 30シリーズは複数のモデルが展開されているが、その中で最下位に位置する入門機となる。

Honor 30 Youth
主な仕様
発表日2020年7月2日
価格1699元(約2万6000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 800
ディスプレイ6.5インチ2400x1080ピクセル
リアカメラ画素数4800万広角+800万画素超広角+200万深度測定
インカメラ画素数1600万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成6GB+64GB、6GB+128GB、8GB+128GB
バッテリー4000mAh
5G NR対応バンド非公開(中国移動、中国電信、中国聯通対応)

Snapdragon 765Gで2万円台の5Gスマホ「Vivo iQoo Z1x」

 1000元台の低価格5GスマートフォンのほとんどがメディアテックのDimensity 800シリーズを搭載しているのに対し、VivoのiQoo Z1xはSnapdragon 765Gを採用しながら1599元という価格を実現した。先に発売された「iQoo Z1」(Dimensity 820搭載)よりカメラ性能も落としている。しかしディスプレイはiQoo Z1と同じ120Hzのリフレッシュレートに対応し、ゲーミングスマートフォンブランド「iQoo」の名に恥じない製品となっている。

Vivo iQoo Z1x
主な仕様
発表日2020年7月9日
価格1598元(約2万4000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 765G
ディスプレイ6.57インチ2408x1080ピクセル
リアカメラ画素数4800万広角+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数1600万(パンチホール)
RAM/ROM構成6GB+64GB、6GB+128GB、8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n41 / n77 / n78

低価格5Gスマホのラインナップ強化モデル「Vivo Y51s」

 「Vivo Y51s」は5月に発売された「Vivo Y70s」の下位モデルという位置づけでカメラスペックを下げて価格も引き下げ、1000元台の低価格5Gスマートフォンのラインナップを増やす目的で発売される。ゲーム利用も意識し冷却システムを内部に搭載する。なおYシリーズは型番の最後に「s」の付くモデルが5G対応機となっている。

Vivo Y51s
主な仕様
発表日2020年7月24日
価格1798元(約2万7000円)から
チップセットSamsung Exysnos 880
ディスプレイ6.53インチ 2340 x 1080ピクセル
リアカメラ画素数4800万広角+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数800万(パンチホール)
RAM/ROM構成6GB+128GB
バッテリー4500mAh
5G NR対応バンドn1 / n41 / n78

レノボからゲーミング5Gスマホ「Legion Phone Duel」登場

 レノボのゲーミングパソコンブランド「Legion」の名を冠した5Gスマートフォン。本体の横中央にポップアップ式カメラを備え、ゲームプレイ中に自分の顔を撮影するなどゲーム配信に考慮した設計。5000mAhのバッテリーは2つのモジュールからなりUSBケーブル2本をそれぞれに接続することで90Wの超高速充電も可能だ。最上位モデルはRAM 16GBを搭載する。なおグローバル向けには「Legion Phone Pro」の製品名で販売される。

Legion Phone Duel
主な仕様
発表日2020年7月22日
価格3499元(約5万3000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 865 Plus
ディスプレイ6.65インチ2340x1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+1600万超広角
インカメラ画素数2000万(ポップアップ)
RAM/ROM構成8GB+128GB、12GB+128GB、12GB+256GB、16GB+512GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n41 / n78 / n79

冷却効果を高めたヘビーゲーマー向け5G端末「Red Magic 5S」

 3月に発表され日本でも7月から発売となったNubiaのゲーミングスマートフォン「Red Magic 5G」をマイナーチェンジしたモデル。冷却システムを強化し、銀メッキ冷却版の採用や新たにペルチェ素子を使う外付け冷却ユニット「Ice Dock」も提供。ディスプレイのタッチ感度は2Red Magic 5Gの240Hzから320Hzへと感度を高めた。SoCは残念ながらSnapdragon 865 Plusへのアップグレードはされず、Snapdragon 865のまま。なお価格は据え置かれている。

Red Magic 5S
主な仕様
発表日2020年7月28日
価格3799元(約5万8000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 865
ディスプレイ6.65インチ2340x1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+800万超広角+200万深度測定
インカメラ画素数800万
RAM/ROM構成8GB+128GB
バッテリー4500mAh
5G NR対応バンドn41 / n78 / n79

OPPOもエントリーラインの5Gスマホを強化、「A72 5G」を投入

 OPPOのベーシックモデル「Aシリーズ」2機種目となる5Gスマートフォンが「A72 5G」である。4月に発表した4G対応モデル「A72」と同じディスプレイを搭載しつつ、メディアテックが7月23日に発表した低価格5G端末向けチップセット「Dimensity 720」を世界で初採用。カメラも1600万画素を含むトリプル仕上げとして低価格化を図った。

A72 5G
主な仕様
発表日2020年7月31日
価格1899元(約2万9000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 720
ディスプレイ6.5インチ2400x1080ピクセル
リアカメラ画素数1600万広角+800万超広角+200万深度測定
インカメラ画素数800万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB
バッテリー4040mAh
5G NR対応バンドn41 / n77 / n78 / n79

Snapdragon 865 Plus搭載のアップグレードモデル「Black Shark 3S」

 Red Magicの動きに対抗するかのように、こちらも3月に発表された「Black Shark 3」のマイナーチェンジモデル。基本スペックを高めた上位モデルという位置づけになる。SoCはSnapdragon 865 Plusを搭載、ディスプレイのリフレッシュレートは90Hzから120Hzへと引き上げた。またRAM8GBモデルを廃止しRAM12GBモデルのみとした。価格はBlack Shark 3の同メモリ構成より400元(約6000円)高くなっている。

Black Shark 3S
主な仕様
発表日2020年7月31日
価格3999元(約6万1000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 865 Plus
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万広角+1300万超広角+500万深度測定
インカメラ画素数2000万
RAM/ROM構成12GB+128GB、12GB+256GB
バッテリー4040mAh
5G NR対応バンドn41 / n77 / n78 / n79

山根 康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。