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背面カラー液晶で楽しさ倍増の写メール対応端末「J-SH08」
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ベストセラーを記録した「J-SH07」の正統派後継モデル
昨年、携帯電話市場において、最も人気を得たサービスと言えば、文句なしに「写メール」が挙げられるだろう。中でもシャープが開発した「J-SH07」は、携帯電話市場全体でトップクラスにランクされるベストセラーを記録したが、その後継モデルとなる「J-SH08」が発売された。筆者も機種変更で実機を入手することができたので、レポートをお送りしよう。
2001年の携帯電話市場をリードした「写メール」
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J-フォン/シャープ『J-SH08』。サイズ:49(W)×93(H)×25(D)mm(折りたたみ時)、102g。オーキッドシルバー(写真)、アイリスブルー、リリーピンクをラインアップ。
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今さら説明するまでもないが、国内の携帯電話市場はNTTドコモが最大シェアを確保し、J-フォンとauがこれに続いている。筆者の周りの携帯電話所有状況もほぼシェアに準じているが、昨年来、それが少しずつ崩れ始めているように見受けられる。その立役者と言えそうなのがJ-フォンの「写メール」だ。「写メールしたいから買い換えたの」というセリフを耳にすることは多いが、最近では「間違い写メール」が届くこともある(笑)。
今やすっかり市民権を得た感のある写メールだが、実はここまでの道のりは意外に長かったと言える。はじめてモバイルカメラが搭載されたのは2000年11月に登場した「J-SH04」であり、その後、GFカラー液晶搭載の「J-SH06」などを経て、2001年夏に発売されたTFTカラー液晶搭載の「J-SH07」で一気にブレイクした。つまり、「撮る」「見る」「送る」という使い方が定着するまで、およそ1年以上を費やしたわけだ。そのブレイクのきっかけとなったのが2001年5月から使われた「写メール」というネーミングであり、もうひとつが写メール対応端末としてのひとつの完成形を示したシャープ製端末「J-SH07」だったと言えるだろう。
今回紹介する「J-SH08」は、ベストセラーを記録したJ-SH07の正統派後継モデルであり、現時点で最も強力な写メール対応端末のひとつだ。J-フォンは3月1日にサービスが開始されたパケット通信対応の「51シリーズ」、従来と同じ疑似パケット通信対応「0xシリーズ」という2つのラインアップ構成に変更しており、J-SH08はその名の通り、パケット通信には非対応ということになる。
ところで、J-SH08が発表されるよりも前の昨年末には、同じシャープ製端末「J-SH51」が発表されている。J-SH51については、後日、改めてレビューを掲載する予定だが、筆者は今年1月の時点で、「J-SH51が絶対的本命、J-SH08はJ-SH07のリファインモデルでしかない」などと勝手に決めつけていた。果たして、その判断が正しかったのかどうかなども踏まえながら、J-SH08のデキを見てみよう。
丸みを持たせた柔らかなデザイン
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J-SH08(右)とJ-SH07を並べてみると、そのデザインの違いがよくわかる。全体的に丸みを持たせているのが特長だ。
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製品の細かい仕様などについては、J-フォンやシャープの製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただきたい。ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心にお伝えしよう。
まず、ボディについては、従来のJ-SH07がややスクエアな折りたたみデザインだったのに対し、J-SH08では周囲に丸みを持たせた柔らかなデザインを採用している。折りたたみデザインの端末としてはあまりクセがなく、万人ウケするデザインに仕上がったと言えそうだ。液晶ディスプレイ背面側にはおなじみのモバイルカメラを内蔵し、その隣にミラー、中央にはJ-SH08の特長でもある背面カラー液晶ディスプレイが搭載されている。アンテナ側の側面にはサイドキーも備えられており、折りたたみ時の背面ディスプレイのバックライト点灯、モバイルカメラでの撮影時のシャッターなどの機能が割り当てられている。細かいところではJ-SH07で蝶つがい部に備えられていたマイクがテンキー下の標準的な部分に移動している。
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液晶ディスプレイは1677万色相当の表示が可能なTFTカラー液晶ディスプレイを搭載。明るさも十分すぎるほどだ。
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液晶ディスプレイはメインに1677万色相当の表示が可能なTFTカラー液晶、背面に256色表示が可能なSTNカラー液晶を採用している。メインディスプレイの「1677万色相当」という表記だが、液晶パネルそのものの発色が6万5536色対応であるものの、ソフトウェア処理などにより、1677万色表示と変わらない高品位な表示が可能であることを意味する。ちなみに、液晶パネルそのものはJ-SH51のものと共通となっている。また、J-SH07の液晶パネルよりもバックライトの明るさやパネルの透過率などを高めており、全体的な視認性は一段、向上している。ただ、正直に言ってしまえば、このレベルまで来てしまうと、表示する画像の種類によって、J-SH07とハッキリ違うようにも見えたり、同じように見えてしまうこともある。
背面液晶は26×96ドット表示が可能なもので、モバイルカメラで撮影するときにはファインダーとしても利用できる。ちなみに、液晶パネルが表裏2枚、しかも共にカラーになったことで、消費電力が気になるところだが、シャープによれば、液晶パネルや周辺回路の構成なども異なり、電力的にはあまり大差がないとのことだ。
ボタン類は中央にマルチガイドボタン、左右上にはJ-スカイボタンとメールボタン、左右下に発話ボタンと終話ボタンというJ-SH07とほぼ同じレイアウトを採用している。ただし、マルチガイドボタンの形状が大きく変更されており、かなり操作性が向上している。J-SH07のマルチガイドボタンはデザイン的に優れていたものの、今ひとつ押しにくく、撮影時のシャッターに使う中央の[F]ボタンなどは間違って押してしまうことが多かった。これに対し、J-SH08ではマルチガイドボタンを楕円形のデザインに変更し、中央の[F]ボタンも手応えのあるしっかりしたものを採用している。テンキーは見た目にあまり変わらないが、実はボタン周囲を削って、丸みを付けることにより、手で触ったときの凹凸感をハッキリさせている。
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背面液晶は256色表示のSTNカラー液晶を採用。表示方向を変えられるなど、細かい設定もできる。
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ボタン類は一新されている。特に、マルチガイドボタンは凹凸がハッキリして、操作感が向上している。
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4倍ズームにも対応したモバイルカメラ
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モバイルカメラは31万画素のCMOSイメージセンサーにグレードアップ。イヤホンマイク端子の横にはシャッターも装備。
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続いて、機能面について見てみよう。J-SH08はJ-SH07の後継モデルと位置付けられているため、基本的な機能は変わらないように受け取られがちだが、さまざまな面で機能向上が図られている。
まず、写メール対応端末の要とも言えるモバイルカメラは31万画素CMOSイメージセンサーが採用されており、J-SH07の11万画素から大きく向上している。モバイルカメラの強化により、撮影時に2倍/4倍のズームができるようになり、撮影画像を120×128ドットと120×160ドットの2段階から選ぶことが可能だ。撮影後の画像はJPEG形式で保存されるが、180度回転させたり、PNG形式に変換することもできる。J-SH07から搭載されていた画像サイズ修正機能については、新たに背面ディスプレイに表示するためのフォーマットが追加されている。ただ、背面ディスプレイ用はやや細長いサイズになるため、通常の縦長フォーマットで撮影してしまうと、顔などが今ひとつ上手に切り抜けないのが残念だ。できれば、撮影画像は180度回転だけでなく、90度回転もできるようにして欲しかった。
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「標準」で撮影
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「ズーム1」で撮影
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「ズーム2」で撮影。「標準」「ズーム1」ともに2m程度離れた同じ場所から撮影している。
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横にして撮影。端末上では90度回転できないので、画像編集ソフトで反時計回りに90度回転させてある。
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画像サイズ修正のメニューには新たに「サブディスプレイ表示用」が加わった。
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ちなみに、J-SH08で採用された31万画素のCMOSイメージセンサーはJ-SH51でも採用されている。J-SH51ではVGA撮影が可能なデジタルカメラモードやムービー写メールにより、その性能を十分に引き出しているが、J-SH08は事実上、デジタルズームしか大きなアドバンテージがなく、やや過剰装備という印象もなくはない。しかし、J-SH07のときに比べれば、格段に明るくなり、質のいい写真が撮れることは確かだ。
Javaについては従来通り、3Dポリゴンとスプライト機能による豊かな表現を可能で、Javaライブラリの容量は1MBに増えており、多くのJavaアプリを保存できるようになっている。ちなみに、J-SH07でもプリインストールされていた「通話シチョーリツ」はJ-SH08ではバージョンが1.6.3となり、内容も新しくなっている。ただし、J-SH51に搭載されている「通話シチョーリツ Ver.2」よりは前のバージョンということになる。
また、メール作成などで利用する文字入力の機能も強化されている。なかでも面白いのが「学習1文字変換」という機能だ。たとえば、「えきしょう→液晶」と一度変換すれば、次回は最初の1文字である「え」を入力すれば、「液晶」に変換する。POBoxの推測変換などとは違うアプローチだが、文字入力の省力化という点ではなかなか使い勝手のいい機能だ。さらに、J-SH07では文字入力の未確定時にメールボタンを押すと、カナや数字に変換することができたが、J-SH08ではさらにアルファベットにも変換できるようになっている。少し慣れが必要だが、アルファベットを頻繁に入力するユーザーにはありがたい機能だ。ちなみに、「ラツヒサフラメ」と入力すれば、「WINDOWS」に変換できる(笑)。
着信メロディは基本的にFM16和音対応となっているが、オリジナル着信音は最大32和音の自作メロディを作成できる。ADPCM音源にも対応しており、これを活かした着信メロディも収録されている。
J-SH51との微妙な機能差に悩む
最後に、J-SH08「買い」指数を診断してみよう。J-SH08は写メールを一気にブレイクさせたJ-SH07の正統派後継モデルとして設計されており、機能、デザインともに申し分のない仕上りだと言える。特に、31万画素のモバイルカメラ、1677万色相当の表示が可能なカラー液晶ディスプレイ、背面カラー液晶ディスプレイなど、J-SH08ならではの機能も充実しており、ユーザーとしても所有欲をそそられる端末だ。
まず、素直におすすめできるのは、これから写メールを楽しんでみたいというユーザーだろう。シャープ製のモバイルカメラ内蔵端末としてはすでに4代目となっており、全体的な完成度も高められ、安定度も増している。今まで「写メールは面白そうだけど、どれが買いの時期なのかなぁ」と躊躇していたユーザーにも安心しておすすめできる端末と言えるだろう。
また、すでに写メール対応端末を持っているユーザーでは、J-SH06以前のユーザーが対象になりそうだ。TFT液晶ディスプレイになることで、バッテリー駆動時間などは多少短くなるかもしれないが、予備バッテリーもそれほど高くない上、最近は外出先での充電環境も少しずつ整い始めている。こうした環境面を考えても「買い」の時期に来たと言えそうだ。また、他社の携帯電話への写メール送信についてもJ-フォンが提供する「@sha-mail」、シャープがスペースタウンで提供している「ぎゃらも!ラボ」などを利用すれば、手軽に実現することが可能だ。ちなみに、他社の端末ではNTTドコモのiモード端末(PDC)は添付ファイル付きメールに対応していないため、これらのサービスを利用するしかないが、auやツーカーはPNG形式に対応しており、J-フォン端末上でPNG形式に変換すれば、画像付きメールを送信することができる。auのC500x/C300x/C100xシリーズはPNG形式に加え、JPEG形式に対応しているため、J-フォン端末同士のときと同じように、JPEG形式の画像を送信することが可能だ。
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J-SH08(左)とJ-SH51。スペック的に似通っているため、ユーザーとしては非常に迷うところだ。
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ただ、J-SH08の購入を考える上で、どうしても悩ましいのがJ-SH51の存在だ。J-SH51の詳細についてはいずれレポートを掲載する予定だが、J-SH08とスペック的にも非常に似通っている。両モデルの主な違いとしては、パケット通信対応、SDメモリカードスロット、音楽再生機能などが挙げられるが、その他の部分はJ-SH08とほぼ共通だ。もちろん、将来性を考えれば、J-SH51の方がパケット通信対応で魅力的だが、パケット通信の環境ではJ-フォンのメールのセールスポイントでもある「一部のメールは受信が無料」というアドバンテージが失われており(5月31日までは受信通知も無料)、利用状況によっては割高になるケースも出てくる。つまり、高速パケット通信を取るか、通信コストを重視するという選択をしなければならないわけだ。
これらの点を鑑みた場合、最終的にはSDメモリカードスロット関係の機能をどう見るか、端末の購入予算をどれだけ用意できるか、ランニングコストをどれくらい重視するかなどで判断するしかなさそうだ。つまり、移動中に音楽をウォークマン的に楽しみたかったり、モバイルカメラをデジタルカメラ的に活用したいときはJ-SH51、写メールをはじめ、メールとコンテンツをたくさん使いたいコスト重視派ならJ-SH08ということになる。ある意味、非常に「贅沢な悩み」でもあるが、今のところの判断はこれしかなさそうだ。
・ ニュースリリース(J-フォン)
http://www.j-phone.com/h/from/topics/20110.html
・ 製品情報(J-フォン)
http://www.j-phone-east.com/p_and_s/products/be/htmllib/index.htm?d=SHARP&f=J-SH08
・ 製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/jsh08/index.html
・ J-SH08(アイリスブルー)
・ J-フォン、写メール対応の新機種「J-SH08」「J-NM02」
・ J-フォンのパケット通信サービスと従来サービスを比較
(法林岳之)
2002/03/07 12:19
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