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スリムな折りたたみボディを実現した「P211i」
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211iシリーズ第4弾
昨年から販売が開始されているNTTドコモの211iシリーズ。その第4弾となるP211iが発売された。高品質な液晶ディスプレイ、強力な着信メロディ機能を搭載した注目の端末だ。筆者も実機を機種変更で購入することができたので、レポートをお送りしよう。
P209iSを継承するスタイリッシュデザイン
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NTTドコモ/松下通信工業『ムーバP211i』。サイズ:48(W)×95(H)×22(D)mm(折りたたみ時)、91g。ハードブラック(写真)、ピンクダブル、ハーモニーシルバーをラインアップ。
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NTTドコモの端末ラインアップの中で、Nシリーズと並んで人気を集めている松下通信工業製のPシリーズ。PII HYPERやP101 HYPERのシャンパンゴールドでボディカラーのトレンドを生み出し、各社との小型軽量化競争でも常に先端をリードしてきた。しかし、iモードの登場以降、大画面ディスプレイを採用できる折りたたみデザインが主流になり、長年、折りたたみデザインに取り組んできたNシリーズが人気を集めるようになってきた。
その一方、PシリーズもP209iのセカンドモデルとして、初の折りたたみデザインを採用したP209iSを発売。昨年は50xシリーズでP503iS、FOMAでもP2101Vを発売するなど、積極的に折りたたみデザインに取り組んでいる。なかでもP209iSはスタイリッシュでコンパクトなシェルデザインが受け、女性を中心に非常に高い支持を集めた。発売からすでに1年以上が経過しているが、今でも街中でP209iSをよく見かける。
昨年発売されたP210iではストレートデザインが採用され、期待されたセカンドモデルは発売されなかったが、「P211i」では再び折りたたみデザインを採用している。しかもセカンドモデルではなく、主力モデルとして折りたたみデザインを採用したことは注目に値する。210iシリーズが技術的にもあまり新しいところがなかったことを考え合わせると、今回のP211iがP209iSの事実上の後継モデルという位置付けになるのだろう。
また、P211iは高品質な液晶ディスプレイや強力な着信メロディ機能を搭載するなど、他の211iシリーズに比べ、スペック的にリードしている面も多い。そんなことを踏まえながら、P211iの出来映えをチェックしてみよう。
6万5536色表示が可能な液晶ディスプレイを搭載
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ボディは折りたたみながら22mmという薄さを実現。背面にはおなじみのプライベートウィンドウを装備。
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製品の細かい仕様などについては、NTTドコモや松下通信工業の製品情報ページ、ケータイ新製品SHOW CASEを参考にしていただきたい。ここでは筆者が購入した端末を試用感を中心にお伝えしよう。
まず、ボディは前述のように、折りたたみデザインを採用している。一昨年のP209iSが曲線を活かした「シェルデザイン」を採用していたのに対し、P211iは全体的にスクウェアなデザインを採用しているのが特徴だ。しかもボディがスリムにまとめられており、手に持ったときもボディの薄さに驚かされる。薄いボディの折りたたみデザインとしてはFOMA N2001/N2002が知られているが、これらと比べても遜色のない薄さだ。
液晶ディスプレイは6万5536色表示が可能な1.84インチのGFCカラー液晶を採用している。GFCカラー液晶はSTNカラー液晶をベースに改良したものだが、TFTカラー液晶ほどではないものの、従来のSTNカラー液晶よりもはるかに明るく、発色も良い。背面には「プライベートウィンドウ」と呼ばれるサブディスプレイを装備しており、着信相手やメールの有無、電波状態などを確認することができる。ちなみに、サブディスプレイの周りにある「NTT DoCoMo」「Private Window」のロゴは浮彫りのように処理され、高級感を演出している。
ボタン類は従来のP209iSに比べ、大きく変更されている。中央のコマンドナビゲーションボタンは上下左右の方向操作と奥方向への決定操作を別々のボタンで操作できるようになっており、P503iSの操作感に近い。コマンドナビゲーションボタンの左右上にはソフトキー、左下にメールキー、右下にショートカットキーが配されている。
ボタン類の上にある網目状の枠は、着信音などのためのフロントスピーカーだ。スピーカーそのものは内部にひとつしかないが、背面に加え、前面にも大きな開口部を設けたことにより、折りたたみボディを開いた状態でも迫力あるサウンドを楽しむことが可能だ。ちなみに、フロントスピーカーの内側には防塵・防水シートが備えられているため、通常の端末と同じように使うことが可能だ。
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液晶ディスプレイは6万5536色表示が可能なGFCカラー液晶を搭載。TFDにも引けを取らない出来映え。画像はメーカーサイト「P-SQUARE」からダウンロードしたもの。
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中央のコマンドナビゲーションボタンは、方向操作と決定操作を別ボタンで操作できるため、より確実な操作が可能。
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画面、音、メールを中心に強化
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メールのフォルダ管理はメモリダイヤルを基準にしているため、メモリダイヤルのグループ分けが必須。
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続いて、機能面について見てみよう。他の211iシリーズのレビューでも紹介しているように、P211iも800MHzと1.5GHzのデュアルバンド機となっている。利用できるエリアは限定されるが、恒常的に通話品質の悪さが指摘されているNTTドコモの800MHz帯向け端末に比べ、安定した通話品質が得られるのは大きなメリットだ。
まず、フロントスピーカーで強化されたサウンド機能だが、着信メロディは32和音対応になり、『着声』を実現するためのADPCMにも対応した。32和音の着信メロディは松下通信工業のメーカーサイト「P-SQUARE」で配信される他、着信メロディを提供するコンテンツプロバイダからもすでに配信が始まっている。24和音着信メロディに対応したSO503iが発売された当時、あまりコンテンツが提供されず、十分に楽しめなかったときのようなことはなさそうだ。
メール機能については、フォルダ管理とパスワードによるセキュリティ機能が追加されている。フォルダは自動振り分けにも対応している。いずれもメールを使っていく上で書かせないものであり、もはや定番機能と言えるだろう。ただ、P211iに搭載されているメールのフォルダ管理は、電話帳(メモリダイヤル)のグループ分けをベースにしたものであり、メモリダイヤルに登録されていないものは自動的に受信ボックスに振り分けられる。任意のフォルダを作成して振り分けるスタイルとは異なるので、その点を理解した上で、使いこなす必要があるだろう。
しかし、ユーザーにとって、それ以上にうれしいのは日本語入力が強化されたことだ。P211iにはオムロンソフトウェアが開発した「モバイルWnn Ver.2」が搭載され、インテリジェント変換機能とともに、メール本文の入力をかなり快適にしている。たとえば、過去に「こんしゅうは → 今週は」と変換したことがあれば、次回以降は「こ」を入力して、左上の「候補」ボタンを押せば、「今週は」がすぐに表示される。SOシリーズに搭載されている予測変換入力「POBox」やC3001Hに搭載されている「ATOK for au」の推測変換機能とほぼ同等の環境を実現しているわけだ。
画面周りは前述の通り、液晶ディスプレイが6万5536色表示のGFCカラー液晶に変更されたが、プライベートメニューに最大7件までよく使う機能を割り当てたり、ショートカットを3件まで登録できるようにするなど、使い勝手の面での改良も図られている。画面周りで気になるのは、標準の待受画面が今ひとつインパクトに欠ける点だろう。好みの問題もあるが、Pシリーズは過去の機種でも待受画面があまり面白くない。現在はメーカー公式サイトでもテレビCMの画像などが配信されているが、標準出荷時にもう少し楽しめそうな待受画像を搭載してもらいたいところだ。
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インテリジェント変換では1文字目を入力するだけで、一度、入力した単語が候補に表示される。
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よく使う機能を登録しておくことができるプライベートメニュー。カスタマイズすれば、より使いやすくなる。
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メニューアイコンも2種類から選択ができる。
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メーカーサイトからのダウンロードでも構わないので、もう少しバリエーションが欲しい。
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また、211iシリーズはiアプリに対応していないが、P211iにはおなじみのゲーム「テトリス」が収録されている。あまりにも定番的なゲームだが、やはり、1本くらいはゲームが収録されていると、お得感は高い。
P209iSからの買い換えなら「買い」
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充電台はおなじみのスタンド式を採用。個人的には折りたたみデザインでもこのスタイルの方が机もスッキリして使いやすく感じる。
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さて、最後に「買い」の診断をしてみよう。P211iはPシリーズのPDC端末として、はじめて「ファーストモデル」で折りたたみボディを採用したものであり、一昨年に好評を得たP209iSの事実上の後継機に位置付けられる。メール機能や画面、サウンドなどを中心に強化が図られ、かなり魅力的な端末に仕上げられている。
まず、P211iをおすすめしたいのは、P209iSのユーザーだろう。P209iSと同じ折りたたみデザインを採用し、ボディサイズもそれほど変わりないが、機能的にはさまざまな面で改良が施されており、買い換える価値は十分にある。特に、都内を中心に生活するユーザーは211iシリーズのデュアルバンド機能の恩恵が受けられるので、それだけでも「買い」と言えるはずだ。
また、他の211iシリーズとの比較では、N211iが強力なライバルになると見られるが、N211iが女性を強く意識しているのに対し、P211iはユニセックスなイメージなので、幅広いユーザーにおすすめできる。「あまりにも女のコ向けっぽいのは……」という女性でもP211iなら、きっと満足してもらえるのではないだろうか。ただ、個人的にはもう少し明るくハッキリした色合いの端末も欲しかった気がする。
さらに、iアプリなどには興味がないが、通話とメールを中心に強化された端末が欲しいというユーザーにもおすすめだ。折りたたみ式ボディながら、厚さ22mmにまとめているため、男性がスーツの胸ポケットに入れておいても気にならない。
携帯電話のシェアで松下通信工業がNECに抜かれたというニュースが報じられたが、今回の端末は同社が巻き返しを図る意味でも非常に重要な位置付けの端末であり、その意気込みが十分に感じられる仕上りだ。「多機能でなくてもいいから、そろそろ新しい端末が欲しい」という幅広いユーザーにおすすめできるモノと言えるだろう。
・ ニュースリリース(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/01/whatnew1227.html
・ 商品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/keitai/211i/p211i/p211i.html
・ 製品情報(松下通信工業)
http://www.mci.panasonic.co.jp/pcd/p211i/index.html
・ P211i(ハードブラック)
・ ドコモ、32和音着メロ対応折りたたみ型iモード端末「P211i」
・ iモード初のPDCデュアルバンド対応端末「F211i」
(法林岳之)
2002/02/13 16:09
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