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セカンドモデル「N503iS」は何が進化したのか?
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


定番モデルのセカンドモデル

 NTTドコモのiモード端末で最も高い人気を得ているN503i。そのセカンドモデルとなる「N503iS」がいよいよ登場した。外見上はイルミネーションウィンドウくらいしか違いがないようだが、従来モデルに比べ、どのあたりが変わっているのだろうか。筆者も早速、機種変更で購入したので、レポートをお送りしよう。


「セカンドモデル」という位置付け

NTTドコモ『デジタル・ムーバN503iS HYPER』サイズ:48×93×24mm、105g。エトワールゴールド(写真)、ソワールチタン、グランブルーをラインアップ
 今年2月に発売されたNTTドコモのNEC製端末「N503i」は、史上最強と言われたN502itを継承しながら、iアプリへの対応、4096色TFDカラー液晶の搭載など、503i世代へのジャンプアップを果たし、高い支持を集めている。今年前半に限れば、文句なしのベストセラーモデルであり、iモード端末のラインアップだけでなく、国内で販売されているケータイの中で、最も人気の高い端末と言っても過言ではない。個人的にはN503iのレビューでも紹介したように、ボディ材質などで今ひとつ納得できない面もあったのだが、「折りたたみのN」に対する信頼と支持は揺るぎなかったようだ。

 しかし、その一方で、iモード端末では「SO503i」や「P503iS」などが着実に売り上げを伸ばしており、先月登場した「F503iS」も好調な売れ行きだと聞く。その他のキャリア向けではauの「C406S」やJ-フォンの「J-SH07」など、ベストセラーモデルを急追するモデルも登場してきている。なかでもシャープ製のJ-SH07はお家芸とも言える高品質な液晶に加え、モバイルカメラ内蔵や優れたJava環境、折りたたみデザインにより、「最強」の名に相応しいスペックを実現し、非常に高い支持を得ている。

 そんな中、N503iのセカンドモデルとして、「N503iS」が発売された。関東・甲信越地区では夏休み中であったことも影響し、N502itやN503iのときのような行列はできなかったそうだが、それでも発売日には朝早くから来店する人が多かったという。今回発売されたN503iSはN503iのセカンドモデルであり、基本的には両モデルともしばらくは併売されるようだ。NTTドコモはすでにP503iS、F503iSというセカンドモデルを販売しているが、これらのセカンドモデルはファーストモデルから大きくデザインを変更する「デザインバリエーションモデル」的な位置付けであるのに対し、今回のN503iSはどちらかと言えば、ファーストモデルをリファインしたという印象が強い。NTTドコモとして、セカンドモデルをどう位置付けているのかはわからないが、他のセカンドモデルと少し位置付けが異なるということは理解しておいた方がいいだろう。


強烈に明るいTFTカラー液晶ディスプレイ

ボタン類は基本的にN503iを継承。赤外線ポートをうまく一体化したデザインを採用している
 製品の細かいスペックなどについては、いつものようにNTTドコモやNECの製品情報ページ、ケータイ新製品SHOWCASEを参考にしていただきたい。ここでは筆者が実際に購入した端末を触り、得られた印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディはおなじみの折りたたみデザインを採用しているが、細かい部分に違いが見られる。N503iSでは液晶ディスプレイ周りの処理が変更され、周囲がやや角張った印象で仕上げられている。液晶ディスプレイ側とボタン側のバランスも若干変更されており、折りたたみボディを開いた状態でも液晶ディスプレイ側に倒れないようになっている。液晶ディスプレイの背面側にイルミネーションウィンドウを搭載したにも関わらず、厚さも2mmしか増えていないのは見事と言えるだろう。ちなみに、ボディ形状がほぼ同じとなっているため、N503iSではN503iと「卓上ホルダ」「ACアダプタ」が共通となっている。

 ボタン類のレイアウトは基本的にN503iを継承しているが、[クリア]キーがわずかに小さくなり、[メール]キーや[電話帳]キーのデザインも少し変更されている。使い勝手そのものはほとんど変わりなく、「[5]の長押しでバックライト減光/復帰」「[Menu]キーの長押しでサイドボタン有効/無効」なども継承されている。ちなみに、ボディカラーによって、キーデザインは若干異なり、筆者が購入したエトワールゴールドは中央の方向キーの形状も異なる。NECによれば、エトワールゴールドは女性が身につけるアクセサリーをイメージして、デザインしたそうだ。ただ、エトワールゴールドの方向キーの操作性はやや好みが分かれるところかもしれない。


 液晶ディスプレイは最大4096色表示が可能なTFTカラー液晶を採用している。N503iではTFDカラー液晶を採用していたが、N503iSのTFT液晶は一段と明るく、発色も良い。というより、ちょっと明るすぎて、やや輝度を落としたくなるくらいだ。ちなみに、バックライトの輝度は3段階に変更できるが、筆者は明るすぎるため、常に最も暗い設定のまま使っている。TFTカラー液晶になり、バックライトが明るくなったことで、バッテリーの消費が気になるところだが、NECによれば、バックライトが点いた状態だけで比較すると、N503iSで最も輝度を低くした状態なら、N503iよりもバッテリーは長持ちするという。筆者もすでに1週間近く利用したが、N503iのときよりもバッテリーが持たないという印象はない。太陽光の下での視認性はN503iに比べ、一歩譲る感はあるが、SO503iのようにまったく見えなくなるというほどではない。ちなみに、画面の解像度は120×160ドットで、表示エリアの実測値は30.5×40.5mmだ。液晶ディスプレイのセット位置がわずかに右にずれている点も含め、N503iと共通の仕様となっている。


強烈に明るいTFTカラー液晶を搭載。輝度は3段階に調節が可能。JPEG表示にも対応する 背面にはN210でも採用された「イルミネーション・ウィンドウ」を装備

 液晶ディスプレイの背面には、N210iでも採用されて好評の「イルミネーション・ウィンドウ」を搭載している。イルミネーション・ウィンドウはメール着信や不在着信があったときなどに知らせてくれ、待受時にはアナログ/デジタル時計を表示させることもできる。折りたたみデザインの端末の新しいトレンドだが、アナログ時計の表示にもう少し工夫が欲しいところだ。また、イルミネーション・ウィンドウの上部には、赤外線通信ポートを備えており、メモリダイヤルのデータなどを赤外線通信でやり取りすることが可能だ。ただし、データ通信機能は備えていない。


使い勝手も数多くリファイン

 機能や使い勝手の面でも数多くのリファインが加えられているが、その多くは非常に細かい機能改善となっている。

 たとえば、N503iでもユーザーが頻繁に利用する機能を登録しておくことができる「オリジナルメニュー(よく使う機能)」が用意されていたが、MENU画面を呼び出してから方向キーで操作する必要があった。これに対し、N503iSでは[Menu]ボタンを2回押すことで、すぐにオリジナルメニューを呼び出せるようにしている。

 また、N503iでは着信メロディやイメージデータを見るために、「メロディプレーヤー」と「イメージビューア」が用意されていたが、これらはただ単に「見る」「聞く」ためだけのものでしかなかった。しかし、N503iSではメロディプレーヤーやイメージビューアで再生したメロディや画像を着信メロディや待受画面に設定できるようにしている。ちなみに、音源チップはN503iと共通だが、収録されている着信メロディにはADPCMとFM音源をミックスしたものなども含まれており、エレクトリカルパレードは最新バージョンのものになっているそうだ(筆者はディズニーファンじゃないのでわからない(笑))。また、イメージデータの保存件数も20件まで増えている。

 機能面で最も改良されたのは、メール周りだろう。まず、メールのフォルダ管理ができるようになり、受信メールの自動振り分けにも対応している。フォルダを作成し、[Menu]ボタンの「受信一覧メニュー」から[自動振り分け設定]を選び、そのフォルダに振り分けるメールアドレスを設定することができる。また、受信メールの一覧画面では、[#]キーを押すことにより、タイトル、発信者名(メモリダイヤル参照)、メールアドレスを切り替えて表示できるようにしている。

 iアプリについては、セカンドモデルということもあり、基本的な仕様は変更されていない。N503i対応のものであれば、N503iSでも問題なく動作するそうだ。N503iではiアプリをダウンロードした後、[Menu]キーで表示される「ソフト一覧メニュー」から[ソフト有効/無効設定]で[有効]切り替える必要があったが、N503iSでは[有効]が標準設定となっており、ダウンロードすれば、すぐに遊べるようにしている。また、保存件数も最大30件まで増えており、今まで以上にiアプリを楽しめるようにしている。


メールのフォルダ管理に対応。自動振り分けも可能なため、メールの管理はかなりやりやすくなっている デスクトップアイコンはN503iを継承。待受画面で決定キーを押せば、瞬時に各機能を呼び出すことができる

見事な出来だが何か物足りない

「折りたたみのN」の最近の3モデル。「N502it」(左)、「N503iS」(中央)、「N503i」(右)。いずれも好評を得ている
 さて、最後に「買い」の診断をしてみよう。iモード登場以降、常にベストセラーの地位を確保してきたNEC製端末。今回のN503iSは今春発売されたN503iをベースにしながら、液晶ディスプレイや使い勝手の面での改良を受け、完成度を高めている。他社のライバル端末も急追しているが、着実にN503iを進化させた点は高く評価できる。ただ、N503iSを少し違った角度から見ると、N503iのリファインモデルでしかなく、新しい方向性がまったく打ち出せていない。せっかくセカンドモデルとして登場させるのだから、もう少し今までのNではできなかったようなチャレンジも見たかったところだ。

 まず、502iシリーズ以前の端末を所有するユーザーだが、「折りたたみのN」が好きなのであれば、いい買い換えのタイミングだろう。今年はiモード端末の不具合が数多く報じられたが、NEC製端末についてはそうした情報もなく、非常に安定している。N503iで出てきた不満点を着実に解消し、完成度を高めたことを考慮すれば、N503iSは「安心して購入できる端末」ということになるだろう。

 逆に、すでに503iシリーズを所有するユーザーについては、予算次第ということになりそうだ。そもそも503iに何を求めるのかによって、判断が違ってくるのだが、「とにかく明るい液晶が欲しい」「やっぱり、折りたたみじゃなきゃイヤ」という明確なニーズがあれば、完成度の高いN503iSは最有力候補のひとつだ。しかし、順当に行けば、半年後の来春には504iシリーズが登場することが予想されており、来月にはFOMAのiモード端末も登場する。こうした新端末を追いかけたいのであれば、N503iSはタイミングが悪いということになる。ただ、少なくとも筆者が触った限り、N503iのときのような質感や建て付けの悪さは改善されており、現状の503iシリーズでは最も完成度が高い端末のひとつであることは間違いない。

 ただ、最後まで納得がいかなかったのが「何のためのセカンドモデルなのか」という点だ。PシリーズやFシリーズはストレートデザインの端末をリリースしており、それらとはまったく異なる方向性の端末として、P503iSやF503iSを発売している。少し見方を変えれば、「ファーストモデルがスタンダード、セカンドモデルはチャレンジ」ということになるのだろう。しかし、Nに関しては冒頭でも紹介したように、「ファーストモデルの改良版としてのセカンドモデル」でしかない。それはそれでひとつの正しい方向なのかもしれないが、わずか半年で改良版をリリースしてしまうのはどうだろうか。その意味から考えても、もう少しチャレンジが感じられる端末をリリースして欲しかったような気もする。


・ ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/01/whatnew0822a.html
・ ニュースリリース(NEC)
  http://www.nec.co.jp/japanese/today/newsrel/0108/2203.html
・ 製品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/i/lineup/n503is/n503is.html
・ 製品情報(NEC)
  http://www.nec.co.jp/japanese/product/mobile/lineup/n503s/index.html

N503iS(グランブルー)
ドコモ、背面ウインドウ搭載のiアプリ端末「N503iS」
「N503i」はiモード史上最強を超えられたか?


(法林岳之)
2001/09/11 10:12

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