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ezplus対応端末第1弾「C451H」で誰と遊ぶ?
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


ezplus対応端末第1弾

 今年のケータイのトレンドと言えば、やはり「Java」が筆頭に挙げられる。NTTドコモ、J-フォンに続き、auでもJavaサービス「ezplus(イージープラス)」が開始された。その対応端末第1弾となるのが日立製「C451H」だ。日立と言えば、cdmaOneのサービス開始当初から端末のトレンドをリードしてきたメーカーとしても知られている。筆者も機種変更で端末を入手したので、レポートをお送りしよう。


auのJavaサービス「ezplus」スタート!

C451H

 au『C451H』。サイズ:45(W)×130(H)×20(D)mm、87g。バイオレット(写真)、シルバーをラインアップ。
 サイトからアプリケーションをダウンロードして、端末で実行する。いわば、パソコン的な使い方を実現するのが携帯電話のJava環境だ。すでにNTTドコモが「iアプリ」、J-フォンが「Javaアプリ」のサービスを提供しているが、これに続き、auもJavaを利用したコンテンツサービス「ezplus(イージープラス)」のサービスを開始している。

 auのJavaは、Javaの実効環境としてアプリックスの「JBlend」を採用し、プロファイルとして、米サン・マイクロシステムズや米モトローラなどが定義した業界標準仕様の「MIDP(Mobile Information Device Profile)」、KDDIが独自に拡張した「KDDI-P」を組み合わせている。ちなみに、JBlend及びMIDPはJ-フォンのJavaアプリ環境でも採用されており、MIDP準拠であれば、基本的に互換性は保たれる。

 また、auのJavaにはいくつかの特長がある。ひとつはアプリケーションサイズが最大50KBと大容量であることだ。この点はezplusの発表会でもコンテンツプロバイダが「開発しやすい」と明言しており、10KBという非常に制約のキツいiアプリと対照的な仕様になっている。

 2つ目のポイントはJavaが動作する端末間での通信が可能な「ezplus通信」という機能を持たせたことだ。詳しくは後述するが、端末同士の情報やメッセージがやり取りできるため、コミュニケーションのためのJavaアプリを楽しむことができる。

 3つ目はORB(Object Request Broker)機能及びモバイルエージェント機能を搭載している点だ。ezplusではJavaのクラスライブラリの一部として、オムロンが開発した「Jumon」を採用し、ORB機能とモバイルエージェント機能を実現している。

 ORB機能はAという端末からBという端末内のキャラクターにプレゼントを贈るといったことができる機能のことだ。モバイルエージェント機能は、端末Aからエージェントを端末Bに移動させ、端末Bで何か動作をした後、端末Aにその結果を返信するといったことができる。


 もう少し具体的にいえば、伝言ゲームやアンケートなどにも利用できるわけだ。このORB機能とモバイルエージェント機能は2番目に紹介したezplus通信による端末間の情報交換とも密接に関わっており、現時点ではezplusの特徴的な要素のひとつとなっている。

 また、ezplusでは端末に保存されているユーザーのデータや機能を利用できるようにしている。ここで言うところのユーザーのデータとは、メモリダイヤルやユーザーが登録したプロフィール、通話データ(時間及び料金)、電界強度、バッテリー残量、現在時刻などが含まれている。ただ、セキュリティ確保のため、現段階でのezplusはサーバとの相互通信ができない仕様になっており、これらの情報がまったく知らない人間に公開されてしまう危険性はない。年内にも登場する予定のezplusのPhase2では、サーバとの相互通信も可能になる予定だが、その段階でauがどのようなセキュリティを設定するのかは策定中となっている。

 こうした特長を持つezplusに対応した端末の第1弾として登場したのが今回紹介する日立製「C451H」だ。日立と言えば、cdmaOneがスタートした当時の唯一のEZweb対応端末「C201H」、PacketOne対応の第1弾「C302H」、カラー液晶を搭載したcdmaOne端末第1弾の「C309H」と、常に最新の機能を搭載してきたことでも知られている。筆者もcdmaOneの進化とともに、これらの端末を購入してきたが、EZweb@mail対応のC4xxシリーズではやや発売が遅かったため、ソニー製端末に移行することになった。おそらくシェアも一時期に比べれば、ソニーや三洋電機に奪われているはずだ。ezplus対応第1弾となるC451Hで、どこまで巻き返すことができるのかが興味深いところだ。


C407Hのデザインを継承

 製品の細かいスペックなどについては、auや日立の製品情報ページ、ケータイ新製品SHOW CASEを参考にしていただくとして、ここでは実際の端末を触った印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディのデザインだが、これは基本的に今年3月に発売された日立製端末「C407H」を継承したストレートデザインとなっており、外見上の違いはほとんど見あたらない。最近ではストレートデザインの端末が少なくなっているが、C451Hは非常にソツなくまとめられており、デザイン的なクセも少ない。ただ、背面のスピーカーは着信メロディのためとは言え、ちょっと目立ちすぎる気もしなくはない。

 ボタン類はスティック式のマルチセンターキーを中心に、その左右にメールボタンとEZボタン、上に3つのソフトキーを配している。3つのソフトキーの内、中央にデータフォルダが設定されており、そのメニュー内の下に「ezplus」へのメニューが割り当てられている。EZボタンの長押しは「日立ケイタイFanサイト」にダイレクトにアクセスすることが可能だ。この長押しの割り当てをするくらいなら、ezplusのメニューももう少し簡単に呼び出せるようにして欲しかったところだ。マルチセンターキーは好き嫌いがあるだろうが、他社のものに比べると、比較的操作はしやすい。また、従来の日立製端末でも採用されていたが、左側面にはスライド式の「気くばりスイッチ」が装備されており、簡単にマナーモードに切り替えられる。従来の日立製端末を利用したときにも感じたことだが、このスイッチは他社端末にはない非常に便利な機構と言えるだろう。


背面 側面
 背面に大きな内蔵スピーカーと着信イルミネーションランプを装備。着信メロディの響きは良好だが、やや目立ち過ぎか?  左側面に装備された「気くばりスイッチ」は意外に便利。

ディスプレイ

 液晶ディスプレイは120×143ドット表示のSTNカラー液晶を採用。折りたたみ式に比べれば、やや小さめだが、ストレートタイプではかなり大きい部類に入る。
 液晶ディスプレイは120×143ドット/256色表示が可能なSTNカラー液晶を採用している。液晶パネルそのものはC407Hと変わっていないようだが、STNカラー液晶としては比較的明るく、発色もまずまずといった印象だ。ちなみに、液晶ディスプレイの表示エリアは、実測値で29×36mmとなっている。ストレートデザインの端末としては、大きい部類に入るだろう。

 また、日立製端末は従来から周囲の明るさによって、照明の有無などを切り替える「光センサー」機能を搭載しているが、このC451Hにも受け継がれている。Javaアプリの実行などでバッテリーを消費する場合でも、光センサー/節約モードなどに設定すれば、バッテリー駆動時間を多少は延ばすことができるはずだ。


ezplusを誰と遊ぶ?

データフォルダ

 ezplus対応機種ではデータフォルダ内にJavaアプリが格納される。
 機能面については、ezplus以外の部分はほぼC407Hと変わらない。日本語入力にATOK Pocketを採用し、着信メロディは16和音対応。日立製端末ではお約束の「この木何の木」も収録され、ハムスターを使ったアニメーションやゲームも提供されている。ちなみに、ゲームや着信メロディなどについては、「日立ケイタイFanサイト」からも無料で入手することができる。

 さて、注目のezplusだが、今回はいくつかのゲームをダウンロードして遊んでみた。今年のビジネスシヨウではじめてezplus対応端末が参考出品されたときは、起動が遅く、やや仕上りを心配していたのだが、製品版では改善され、起動にそれほどストレスを感じなくなっている。ただ、他社のJava環境に比べると、若干、遅い感も残る。おそらくアプリケーションのサイズも関係しているのだろうが、今後のチューンアップを期待したい。

 ゲームなどの動作についても同様で、特に画面描画が今ひとつ速くないという印象が残った。特に、J-フォンのJavaアプリでも提供されているゲームをezplusで遊んでみると、その差はハッキリと体感できるほどの違いがある。3Dポリゴンやスプライト機能を搭載したJ-フォンのJava環境を比較するのはあまり公平ではないが、もう少し処理速度の速い環境が欲しい気もする。

 また、ezplusは冒頭でも紹介したように、NTTドコモのiアプリやJ-フォンのJavaアプリと違い、サーバとの相互通信ができない。その代わりというわけではないが、端末同士ではさまざまな情報を活用して、相互に通信ができる。一見、サーバと通信ができないことはかなり致命的のようにも見えるが、いくつかのゲームを遊んでみると、「将来的にはできた方がベターだけど、現時点ではサポートされていなくてもそれほど大きなマイナスではない」という気がする。

 むしろ、筆者が気になったのはezplus通信の活用方法だ。これは発表会のときから感じていたことなのだが、ezplus通信を利用したアプリケーションは、そのいずれもが友だちのezplus対応端末とやり取りをすることが前提となっている。たとえば、バンダイネットワークスは「スキスキペアキャラ!」というアプリケーションを提供しているが、これはエージェント(秘書)を利用して、友だち(相手は主に異性)との間でコミュニケーションの仲立ちのようなことをしてくれる。

 たしかに、これはこれで面白いアプリケーションなのだが、ezplus通信ができるのはメモリダイヤルに登録できる相手であり、恋愛、もしくはその少し前の状態を想定したコミュニケーションをベースにしていることを考慮すると、今ひとつユーザー層が狭いように感じられる。ましてや相手がezplus対応端末を持っていなければ、楽しめないのだから……。「スキスキペアキャラ!」に限ったことではないが、ezplus通信を利用したJavaアプリは男女間のコミュニケーションのためのものが多く、もう少しそれ以外の活用スタイルは考えられなかったのだろうかという気もする。


鉄拳コマンドバトル

 あの「鉄拳」をコマンドで楽しむことができる「鉄拳コマンドバトル」。
 唯一というわけではないが、男女間コミュニケーションを前提とせず、ezplus通信を利用したアプリケーションとして、ナムコの「鉄拳コマンドバトル」が提供されている。これも実際に編集スタッフYと対決をしたのだが、文字を入力して技を決めるという面白さはあるものの、グラフィックやサウンドを含めた全体的な面白さやインパクトが今ひとつだった感は否めない。また、ezplus通信は1通信あたり3円の料金が掛かるのだが、実際にバトルをしたとき(他のアプリケーションならコミュニケーションをしたとき)、最終的にどれくらいの通信料金が掛かったのかがわからないのも気になる。

 結局のところ、ezplusは大容量のメモリが使えるというメリットを持ちながら、その特長をまだ十分に生かし切れていないという印象が残った。本命は年内にもスタートするPhase2なのかもしれないが、コンテンツプロバイダにはもう一息、頑張って面白いJavaアプリを提供してもらいたいところだ。


C451Hは買い?

 さて、最後にいつものように「買い」の診断をしてみよう。cdmaOne端末の先端をリードしてきた日立の最新端末「C451H」は、auのJavaコンテンツサービス「ezplus」対応第1弾端末として登場した。端末そのものは従来のC407Hと同じコンセプトに基づいて設計されているため、外見上の違いはほとんど見られないが、やはり、ezplusに対応した最初の端末であることは魅力のひとつだろう。

 まず、ezplusをいち早く利用したいユーザーに対してだが、急がないのであれば、8月に発売される予定のC452CAを見てからでもいいだろう。現在、明らかになっているスペックの範囲では、おそらくC451Hの方が画面も広く、やや上回っている感もあるのだが、個性という点においてはC452CAの方が一枚上手であり、実機を見てから判断した方が望ましい。また、あまり急がないというのであれば、年内にも登場すると見られるPhase2のezplus対応端末を待つというのも手だ。

 次に、C3xxシリーズ以前の端末を持つユーザーだが、これは検討の対象に加えてもいいだろう。特に、メールの部分については、C4xxシリーズとC3xxシリーズでは大きな違いがあり、乗り換える価値は十分あるからだ。ただ、auは今後、gpsOneや音楽配信端末など、期待のサービスがいくつも控えている。これらが予定通り、年内に登場するのであれば、それらに対応した端末の登場を待ってみるのも悪くないだろう。

 いずれにせよ、ezplusというサービスをどう捉えるかが最終的な判断のポイントだ。正直に言わせてもらえば、Java対応コンテンツはまだまだ発展途上中の感は強く、ezplusの特長をもっと活かしたコンテンツやアプリケーションの登場が期待される。ezplusが先行する2グループ(NTTドコモとJ-フォン)のJavaサービス並みに人気が出るかどうかは、ezplusの特長をどれだけ生かせるかに掛かっていると言えそうだ。


・ C451Hニュースリリース(au)
  http://www.kddi.com/release/2001/0625/index.html
・ Javaサービスニュースリリース(au)
  http://www.kddi.com/release/2001/0625/
・ C451H商品情報(au)
  http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/c451/c451.html
・ C451H商品情報(日立)
  http://www.hitachi.co.jp/Prod/vims/mobilephone/index2.html

C451H(シルバー)
第41回:MIDP(Mobile Information Device Profile)とは
au、Java対応の新端末「C451H」を7月4日発売
au、ezplus向けに32コンテンツ・92アプリを発表


(法林岳之)
2001/07/24 00:00

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