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カメラとJavaで遊べる「J-SH07」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


この夏、最も注目度の高い端末

 携帯電話の次なるトレンドとして、Javaが注目を集めているが、NTTドコモに続き、J-フォンもJavaアプリの提供を開始した。その対応端末第1弾として発売されたのがシャープ製「J-SH07」だ。Java対応に加え、昨年来、人気を集めているモバイルカメラも搭載し、この夏の新製品で最も注目度が高い端末のひとつと言えそうだ。筆者も早速、機種変更で入手したので、レポートをお送りしよう。


Java搭載端末第一弾がいよいよ登場

J-SH07

 J-フォン『J-SH07』。サイズ:48(W)×93(H)×24(D)mm、99g。ホワイトビーチ(写真)、サーフィスシルバー、シースターピンクをラインアップ。
 次々とユニークな展開を見せてくれるJ-フォン。地域コンテンツを配信するステーションも全国展開が開始され、他社とはひと味違った楽しさを提供している。なかでも昨年末に発売されたシャープ製端末「J-SH04」では、モバイルカメラを内蔵することにより、デジタルカメラの原点とも言える「手軽に撮る楽しさ」を再認識させてくれた。ここ1年で筆者が購入した端末の内、最も「遊べる端末」だったことは言うまでもない。

 今回発売されたJ-SH07も同じくモバイルカメラを内蔵した端末だが、それ以上に注目されるのがJ-フォンが新たにJ-スカイでサービスを開始した「Javaアプリ」に対応している点だ。Javaを利用したコンテンツサービスとしては、すでにNTTドコモが今年1月から「iアプリ」と名付けてサービスを開始しているが、J-フォンのJavaアプリはこれに続くものだ。ちなみに、auも7月からサービス開始を予定しており、今夏以降、携帯電話はJavaが新しいトレンドになりそうだ。

 また、J-SH07は人気の折りたたみ式デザインを採用している。シャープのJ-フォン向け端末はJ-SH04までがストレート式だったのに対し、J-SH05で折りたたみ式、J-SH06で再びストレート式というように、双方のデザインを交互にリリースしている。さらに、J-SH07はJ-SH05に続いて、液晶ディスプレイにTFTカラー液晶を採用しており、「Java」「折りたたみ」「TFTカラー液晶」という売れ筋のトレンドをしっかりと押えている。発売から間もないため、まだ十分な試用ができたとは言えないが、Javaアプリなどを中心に、J-SH07の出来映えをチェックしてみよう。


J-SH05のデザインをそのまま踏襲

カメラ

 液晶パネルの背面にはモバイルカメラを内蔵。すぐ隣にポジショニングミラーも備える。
 製品の細かいスペックなどについては、J-フォン各社の製品情報ページや近日掲載予定のケータイ新製品SHOW CASEを参考にしていただくとして、ここでは実際の端末を触った筆者なりの印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディ。繰り返しになるが、J-SH05同様の折りたたみ式デザインを採用している。「同様」とは書いてみたが、実際には限りなく「まったく同じ」に近いデザインで、サイズや重量もまったく同じだ。ただ、後述するモバイルカメラを内蔵したため、液晶ディスプレイの背面側のデザインが少し変更されている。折りたたみ式デザインを採用した端末は各社から販売されているが、シャープのデザインはN503iやC406S、SO503iなどに比べると、全体的に薄く、やや角張ったボディになっている。とは言え、同じJ-フォンのラインアップにあるJ-K04ほど、角張ったデザインではない。個人的には、持ちやすく使いやすいデザインと見ている。


ボタン

 ボタン類はJ-SH05を踏襲したレイアウト。全体的にキータッチは軽く、ストロークも短い。
 液晶パネルの背面側にはモバイルカメラを内蔵し、その横にはおなじみのポジショニングミラーを備える。折りたたみ式でカメラを内蔵した端末としては、J-SA03やJ-NM01があるが、J-SH07のモバイルカメラは液晶パネルとほぼ平行(わずかに上向き)の位置に取り付けられているため、液晶ディスプレイがきちんとファインダーの役目を果たす。背面の中央に備えられているLEDは「着信/充電ランプ」だ。J-SH05では背面側がツートーンカラーになっていたが、J-SH07ではいずれのカラーも1色で統一されている。

 ボタン類は上部に4方向の操作ができるマルチガイドキー、その左右にメールボタンとJ-スカイボタンを備え、マルチガイドキーの中央には決定操作などに利用する[F]キーがレイアウトされている。基本的にはJ-SH05と同じレイアウトだ。ボタン類のカラーはボディカラーに合わせてあるのだが、唯一、シースターピンクのみがボタンの文字部分が透けるようになっているようだ(確定的な話ではなくて申し訳ない)。ちなみに、[F]キーの長押しは簡易ロック、メールボタンの長押しがステーションのメニュー、J-スカイボタンの長押しがJ-スカイのメニューに割り当てられている。


液晶

 120×160ドット/6万5536色表示が可能なTFTカラー液晶を採用。明るさや視認性はトップクラスだ。
 液晶ディスプレイもJ-SH05同様、最大6万5536色表示が可能なTFTカラー液晶を採用する。解像度は120×160ドットで、表示エリアのサイズは実測値で30×39.5mmとなっている。国内で販売されている携帯電話の中では、P503iSやSO503i、N503iに次ぐ大画面だ。TFT液晶ということもあり、発色は非常に良好で、視認性も申し分ない。太陽光の下でもそれほど視認性が損なわれることもない。フォントはシャープ製端末でおなじみの「LCフォント」を採用しているが、太字を加えた3種類のフォントが選べるようになっている。

 操作メニューや機能面も基本的にはJ-SH05を継承している。マナーモードの細かい設定や電卓などが目新しいところだが、最大100件まで登録できるスケジュール機能や壁紙を利用したカレンダー表示などの便利な機能も増えている。

 また、最近では電車の中をはじめ、携帯電話を使えない(使うべきではない)場所が増えているが、こうした場所でもメールを作成したり、後述するJavaアプリでゲームを楽しむといったことができるように、電波を出さない「オフラインモード」もサポートされている。ちなみに、メールは手動で操作しなければならないが、フォルダに振り分けて保存することができる。新たに、消したくないメールを保護する機能も追加されている。


3Dポリゴンとスプライトで武装したJavaアプリ

 前述のように、J-SH07にはJ-SH04/06に続いて、11万画素CMOSイメージセンサーを採用したモバイルカメラが内蔵されている。スペック的にはJ-SH06と同等のようだが、液晶ディスプレイが大きくなった分、撮影した画像は見やすい。撮影はいたって簡単で、待受画面で[F]キー、[メール]ボタンの順に押せば、撮影画面に切り替わる。マルチガイドキーの上下が明るさの変更、[F]キーがシャッターに割り当てられており、気に入ったシーンで[F]キーを押すだけで撮影できる。撮影時にはいたずら防止のためか、従来同様、チャイムが鳴る。


ディスプレイ上で表示 サンプル
 撮影した画像を液晶ディスプレイ上で表示。  撮影した画像のサンプル。液晶ディスプレイで見たものよりも若干、全体が濃くなる印象だ。

フレーム

 撮影した画像にフレームを付けてみた。ハートの他に、星や円などのフレームもある。
 撮影した画像は壁紙用やアラーム用、着信用など、合計9種類のサイズに変更することができ、セピアカラーなどへのレタッチ、フレームの追加なども可能だ。画像の保存形式はJPEG形式が標準だが、PNG形式(ソフト及びノーマル)での保存も可能だ。また、撮影した画像はメモリダイヤルにも登録できるのだが、発売されたばかりということもあり、画像まで対応したメモリダイヤル編集ソフトはない。この部分だけでも仕様を公開して、各社のメモリダイヤル編集ソフトで対応してもらいたいところだ。

 J-SH04のレビューでも紹介したことだが、カメラと並ぶポジショニングミラーは『自分撮り』や異性と並んでのツーショットを撮りやすくしている。ただ、自分撮りをする場合、[F]キーの位置が今ひとつわかりにくいため、あらかじめ指を当ててから、自分に向ける必要がある。別にシャッターを用意するか、[F]キーの周りに小さな突起を付けるといった工夫はできないだろうか。筆者は忙しさのあまり、ポジショニングミラーを活用する機会に恵まれていないが、従来モデル同様、モバイルカメラ機能で格好の『飲み屋アイテム』『お近づきアイテム』になりそうだ(誰か、いっしょに写真撮りましょ~(笑)。もちろん、女性限定ね)。


ツーショット1 ツーショット2
 女性とのツーショット写真もご覧の通り。  撮ってて楽しいのはオヤジになった証拠か?

 さて、J-SH07で最も注目されるのがJavaアプリだ。Javaを搭載した携帯電話としては、すでにNTTドコモが「iアプリ」の提供を今年1月から開始しているが、J-フォンのJavaは少し環境が異なる。まず、Java環境のベースとなるプロファイルは独自方式のNTTドコモと違い、米サン・マイクロシステムズや米モトローラなどが定義した業界標準仕様の「MIDP(Mobile Information Device Profile)」を採用し、これにJ-フォン独自の「JSCL(J-PHONE Specific Class Libraries)」を組み合わせている。ちなみに、先日発表されたauのJava「ezplus」もプロファイルにMIDPを採用し、KDDIで拡張したAPIを組み合わせている。

 J-フォンのJavaで注目すべき点は、独自拡張機能として、3Dポリゴンエンジンとスプライト機能をサポートしている点だ。MIDPは業界標準仕様だが、あまり高機能ではなく、ゲームのようなビジュアルなアプリケーションを開発するには力不足だ。そこで、J-フォンではゲーム開発などでプログラマーに慣れ親しまれている3Dポリゴンエンジンとスプライト機能を搭載し、より開発しやすい環境を提供しているわけだ。

 また、アプリケーションの扱いについてもiアプリと異なる点がある。NTTドコモではいち早くiアプリの仕様を公開し、ユーザーが自由に開発できる環境を提供したが、J-フォンではセキュリティに配慮し、JavaアプリをJ-フォンのサイトからしかダウンロードできないようにしている。その代わり、Javaアプリ側からメモリダイヤルを参照し、画面に表示できる機能なども提供している。つまり、配布先を制限する代わりに、より高度な機能を実現できるようにしているわけだ。


 J-SH07にはセガの「スペースチャンネル5」に登場する「うらら」を使った「通話シチョーリツ」というJavaアプリが標準でインストールされている。この「通話シチョーリツ」は、かかってきた通話やメールを評価し、テレビの視聴率のようにランキングするというアプリケーションで、待受画面では3Dポリゴンで描かれたキャラクターが「これでもか」と言わんばかりに歩き、踊る。この他にもJ-スカイのサイトにはゲームやユーティリティなどのJavaアプリが提供されており、その内のいくつかは無料で楽しむことが可能だ(一部、登録が必要なものもある)。

 実際に、Javaアプリで遊んでみた感想だが、見た目も含め、iアプリとは格段の差がある。3Dポリゴンエンジンとスプライト機能が搭載されたこと、J-SH07はTFTカラー液晶であることなど、さまざまな要因があるが、ゲーム機にたとえると、一世代くらい違う感すらある。処理速度についてはそれほど不満もなく、起動もストレスを感じさせない。今後、他の端末のJavaアプリの動作や本格的なJavaアプリを使ってみなければ、確定的なことは言えないが、J-フォンのJavaアプリはかなり遊べると言えそうだ。もちろん、遊び以外の要素も忘れないで欲しいが……。

 ただ、必ずしもいいことばかりではない。J-SH07はJavaアプリ対応とTFTカラー液晶のおかげで、今までの端末に比べ、かなりバッテリーを消費する。筆者が所有する端末の範囲で言えば、比較的バッテリー駆動時間が短いとされるcdmaOneよりもバッテリー駆動時間が短い。特に、Java待受設定をONにして、うららを歩かせて(踊らせて)いたり、Javaアプリでしばらく遊んでみると、予想外にバッテリーのゲージが下がっていることに驚かされる。人によって使用頻度が異なるため、一概には言えないが、今まで2日くらいは充電しないでも使えていた程度の人が空き時間にJavaアプリで遊ぶ程度だと、おそらく1日持つかどうかというレベルだろう。会社勤めをしているのなら、自宅と会社の両方に充電できる環境を用意しておく方が望ましいし、本誌でも紹介した『充電一直線』のような充電アイテムを持ち歩くのも手だ。実際に使ってみて、「これはちょっとバッテリーが持たないな」というときは、値段的にもそれほど高くないので、予備バッテリーの購入した方がいいだろう。


モバイルカメラとJavaで思い切り遊べる!?

 さて、最後にいつものように「買い」の診断をしてみよう。J-フォンの数あるラインアップの中でも常に先端をリードしてきたシャープ製端末。その最新モデルであるJ-SH07は、「Javaアプリ対応」「折りたたみ式」「モバイルカメラ内蔵」「TFTカラー液晶」と、数多くのセールスポイントを持ち合わせている。

 まず、J-フォン端末の買い換えを検討しているユーザー全般だが、これは文句なしに候補の筆頭に挙げてもいいだろう。他の端末に比べ、価格的にはやや高くなるが、このスペックのものが2万円台で購入できるのであれば、かなり「買い」指数は高い。ちなみに、筆者は6カ月の利用後、約3万円弱でJ-SH07に機種変更している。

 一方、モバイルカメラ内蔵端末を検討しているユーザーも基本的には同様で、「買い」の候補に挙げてもいいだろう。ただし、ストレートタイプのJ-SH06も併売されているため、Javaアプリが不要というのであれば、そちらを選ぶのも手だ。モバイルカメラ内蔵端末としては「J-SA03」や「J-NM01」なども販売されているが、J-SH07なら、撮影した画像を高品質なTFTカラー液晶の画面で確認できる。「撮った画像を他人に見せる」という広野氏的な『イバリ度』で言えば、J-SH07の方が一枚上手だ。

 また、Javaアプリ対応端末を狙っているユーザーは、J-フォン西日本で発表された「J-T06」や「J-D05」を7月下旬まで待ってみるのも悪くない。J-フォンのJava環境を強力なものにしている3Dポリゴンエンジンとスプライト機能は共通の仕様であり、機種による処理速度の違いもそれほど大きくならないと見られるからだ(断言はできないが……)。

 ただ、いずれの場合も注意が必要なのは、バッテリー駆動時間だろう。とにかく、今までと同じ感覚で使うには、あまりにも短すぎる。端末の出来がいいだけに、残念な点だ。これからJ-SH07を購入するユーザーは、予備バッテリーや充電器を含め、充電対策をしっかり考えておくことを強くおすすめしたい。


・ Javaサービスニュースリリース(J-フォン東日本)
  http://www.j-phone-east.com/company/n/2001/010417b.htm

3Dキャラもぎゅんぎゅん動く!
「J-フォンのJavaアプリ」

第41回:MIDP(Mobile Information Device Profile)とは
シャープ、携帯向け新フォント「LCフォント.C」を「J-SH07」に搭載
J-フォン、J-SH07にセガのゲームキャラのJavaプログラムを搭載
今年の冬はカメラでケータイしよう「J-SH04」


(法林岳之)
2001/06/28 00:00

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