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スポーツ&エンタメで新しいライフスタイルを提案するau
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中


巻き返しを狙う充実のラインナップ

auの春のラインナップは、発表済みのAQUOSケータイ「W61SH」を合わせて全11機種

 2008年1月28日、auは2008年の春商戦向けモデルとして、10機種を発表した。昨年10月に発表した2007年秋冬モデルは、一部のモデルの開発が遅れたが、今回はハイエンドからエントリーモデルまで、幅広いバリエーションをしっかりと揃えてきた。発表会の内容については、詳細な記事が掲載されているので、そちらを参照していただきたいが、ここではauが狙う今後の方向性なども含め、発表会での印象をお伝えしよう。

 現在、国内のケータイ市場は契約数が1億を突破し、実働年代ということを考慮すれば、実質的な普及率も80%を軽く超えるところまで来たと言われている。そんなケータイ市場において、auは昨年来、「人々のライフスタイルに合ったケータイを提案したい」という姿勢を打ち出している。『すべて入っているから大丈夫』といった最大公約数的な作り方ではなく、必要な機能が揃ったうえで、それぞれの人の個性や楽しみ方に合ったケータイを提供しようとしている。

 また、auのもうひとつの流れとして、忘れてはならないのが昨年10月に発表された新プラットフォームの「KCP+(KDDI Common Platform Plus)」だ。従来のモデルでは米クアルコム社製「MSM6550」というベースバンドチップセットを採用していたが、KCP+ではその後継となる「MSM7500」を採用する。KCP+採用端末では通信方式として、「CDMA2000 1xEV-DO Rev.A」に対応するほか、待受画面に設定できるアクセサリーアプリケーションの「au oneガジェット」、ワイヤレスで他の機器と接続する「Bluetooth」、ネットジュークやウォークマンとの連携できる「ウォークマン連携」、待受画面からの「Google検索」などが利用できる。従来のau端末では対応が不十分だった複数の機能を同時に利用する「マルチタスク」的な使い方も実現している。

 auでは従来から共通プラットフォームの「KCP」を提供し、アプリケーションや機能、対応サービスなどを揃える形で展開してきたが、KCP+はその上位バージョン、後継バージョンに位置付けられる。共通化はOSやアプリケーションなど、かなり広範にわたり、開発コストの削減や統一されたサービス環境を実現する。ただ、端末そのものに着目した場合、差別化できる要素は、当面、ディスプレイやカメラ、形状などのハードウェアに限られるため、各メーカーがどのような端末を開発してくるのかなど、各開発メーカーの企画力にも注目が集まる。

 KCP+を採用した新プラットフォームの端末は、昨年10月に「W56T」「W54S」「W54SA」が発表されたが、開発の遅れから発売が延期されていた。昨年11月~12月のauの販売状況が芳しくないと一部で報道されたが、その原因はKCP+採用端末の発売が遅れ、店頭に並ぶ端末が通常よりも少なかったことが大きく影響している。その後、年が明けた1月16日には報道関係者向けにデモンストレーションが行なわれ、今回の記者発表で、2月1日から順次、販売が開始される旨がアナウンスされた。今回の2008年春モデルの発表では、KCP+採用端末として、さらに3モデルが追加されたため、春商戦では合計6モデルのKCP+採用端末が店頭に並ぶことになる。


左が従来のKCP、右がKCP+

 さて、auの2008年春モデルだが、プラットフォームで見ると、KCP+採用端末が3機種、従来プラットフォームのCDMA 1X WIN対応端末が7機種という構成になっている。CDMA 1X WIN対応端末は7機種に加え、昨年末に前倒しで発表され、すでに販売が開始されている「W61SH」のカラーバリエーションも追加された。

 ボディ形状としては、通常の折りたたみデザインが4機種、二軸回転式が3機種、スライド式が3機種となっており、バリエーションを取り揃えている。昨年来、NTTドコモのμシリーズをはじめ、薄型端末が注目を集めているが、auは2007年秋冬モデルのW55Tに続き、今回は薄さ12.9mmでワンセグを搭載したW61Pが発表されたほか、全体でも1機種を除き、全機種が薄さ20mm以下に抑えている。単に薄型化を追求するだけでなく、ワンセグを搭載したり、使いやすいサイズ感を考えるなど、他社とは少し違った方向性を見せている。

 機能面及びサービス面では、ライフスタイルへのアプローチということで、まず、「au Smart Sports」が発表された。具体的には、KCP+採用端末のBluetooth機能を利用した「ワイヤレスミュージック」、そして、EZアプリの「au Smart Sports Run&Walk」をプリインストールしたモデルをラインナップする。Bluetoothについては、従来から普及が期待されていたが、なかなか対応機種が増えず、Bluetoothヘッドセットなどの対応製品が増えつつも今ひとつ盛り上がらない印象があったが、auが主力モデルでBluetooth対応端末を投入することで、ワイヤレスで音楽やワンセグを楽しむといったスタイルが定着することが期待される。


画面上に移動距離や速度、消費カロリーが表示される メニュー画面

 「au Smart Sports Run&Walk」は今回発表されたKCP+採用端末の3機種と防水モデルの2機種にプリインストールされ、その他の機種についてはEZアプリをダウンロードする必要がある。昨年発売された大半のモデルでもEZアプリをダウンロードして利用できるのはうれしい点だ。「au Smart Sports Run&Walk」は基本的に端末で受信したGPSの信号を記録し、それを基にアプリ上で情報を表示したり、サーバーに登録するというしくみを採用している。加速度センサーを搭載した端末のように、歩数計などの機能はないが、トレーニングに音楽を組み合わせたり、アップロードしたデータをパソコンで確認できるようにするなど、auらしいアプローチが見られる。

 そして、今回の発表された中で、あまり詳細が明らかにされなかったものの、今後が非常に期待できそうなのが今春サービス開始とアナウンスされた「LISMO Video」だ。auでは従来から音楽に積極的に取り組み、ミュージッククリップの配信なども提供してきたが、LISMO Videoはどうもこれを進化させた形で提供されるようだ。デモンストレーションのコーナーでは、KCP+採用端末で「スパイダーマン」などの映画を流しており、QVGAサイズで30fpsのムービーが楽しめることがアナウンスされている。簡単に言ってしまえば、これはワンセグ以上の画質の映像をケータイで楽しめることを意味する。

 ただ、数分のビデオクリップと違い、1~2時間の映画や海外ドラマともなれば、ファイルサイズがかなり大きくなることが予想される。KDDIがFMBC(Fixd Mobile Broadcast Convergence)構想を掲げていることを考慮すれば、おそらくブロードバンド回線経由で端末にダウンロードし、端末上で認証キーだけを購入するなどの形で、映画や海外ドラマなどを見られるようにするのではないだろうか。auは2007年秋冬モデル以降、有機ELディスプレイを積極的に採用し、映像(動画)に力を入れている姿勢とも密接に関わることなのかもしれない。いずれにせよ、ケータイで映画や海外ドラマが普通に見られる環境が実現できるのであれば、今春のサービス開始はかなり期待できそうだ。


 さて、発表会後に行なわれたタッチ&トライでのインプレッションを簡単にお伝えしよう。各機種のスペックや詳細な情報については、各機種の記事などをご覧いただきたい。また、いつものことではあるが、今回試用できたのはいずれも開発中のものであり、試用時間も短かったことから、実際の製品とは印象が異なる可能性があることはご理解いただきたい。


W61SA(三洋電機製)

 
 3.0インチの有機ELディスプレイを採用したスライド式ボディの端末だ。プラットフォームはKCP+を採用する。ソフトバンクの913SHのように、ダイヤルボタンや方向キーをボタン部にまとめ、前面にはディスプレイのみが露出する「Full Frontスタイル」を採用している。ディスプレイが3.0インチということもあり、ボディサイズはやや大きめで、重量もややヘビー級の印象だ。ディスプレイ部横にはタッチセンサーが内蔵されており、その部分を触るだけで、ワンセグなどの操作が可能なのだが、タッチしたときのレスポンスが今ひとつで、振動などの反応もないため、使い始めは触ったのかどうかが今ひとつつかみにくい印象だった。逆に、通常のボタン部はスペースが十分確保され、キートップも中央が盛り上がった形状のため、意外に操作しやすいという印象だった。


W61T(東芝)

 
 かつてのau design project端末のneonを彷彿させるスクエアなボディを採用した折りたたみデザインの端末だ。プラットフォームはKCP+を採用するが、他の端末と比べるとコンパクトで、女性でも持ちやすいサイズにまとめられている。特徴的なのはW56Tと共通のトップパネルに装備されたLED、そして、本体の角を45度にカットして、装着されたクリスタルイルミだ。従来にもLEDによるイルミネーションは数多く採用されてきたが、W61Tのクリスタルイルミは光る部分のサイズも大きく、印象的だ。また、ボタン部はシートキーでありながら、各ボタンを丸くデザインすることで、視覚的にもわかりやすく見せている。ボディの仕上げはクリアで、ボディカラーによっては指紋が目立つが、ボタン部はマットな仕上げで、指紋がつきにくくなっている。


Cyber-shotケータイ W61S

 
 海外や他事業者向けに続き、au向けにも供給される「Cyber-shot」の名を冠したモデルだ。カメラ付きケータイとしては最高峰となる511万画素で光学3倍ズームというスペックを実現している。KCP+を採用した最後発のモデルということもあり、今回発表された端末の中で、唯一、完全な実機が展示されず、一部の機能が実装された開発中のモデルが説明員によって、デモンストレーションが行なわれた。他事業者向けもそうだったが、手に取ったときのサイズはやや大きめで、コンパクトサイズのデジタルカメラに近いサイズという印象だ。レンズカバー部は他事業者向けがCyber-shot Tシリーズのようなスライド式カバーを採用しているのに対し、こちらはカメラ機能のON/OFFに連動し、レンズ部の内側でレンズカバーが開閉する仕組みを採用する。起動音はCyber-shotでおなじみの音が使われているようだ。カメラのレンズは35mm換算で35~105mm、F2.8~F5.4という仕様で、コンパクトサイズのデジタルカメラの普及機と比べても遜色のないものとなっている。


W61CA(カシオ計算機)

 
 昨年夏、好調な売れ行きを記録したW52CAに引き続き、IPX5/IPX7の防水機能を実現したワンセグケータイだ。「au Smart Sports Run&Walk」がプリインストールされる。サイズとしてはW52CAよりも薄く、W53CAに近いレベルまでスリム化されている。トップパネル表面にディンプル加工が施し、指紋の跡を付きにくくしたり、W41CAやW51CAで好評を得たステップキーを復活させるなど、一段と完成度を高めている。カメラはW53CAと同じ仕様で、515万画素のカメラに広角28mmのレンズ、オートフォーカス、手ブレ補正などを組み合わせる。


W62SA(三洋電機)

 
 W53SAに引き続き、IPX5/IPX7の防水機能を実現したワンセグ対応端末だが、丸みを帯びた二軸回転式ボディを採用する。トップパネルのイルミネーションと癒しのサウンドを組み合わせたヒーリングイルミネーション機能は、防水機能を活かし、半身浴をするときなどにも役立つ。FMトランスミッターも搭載するが、FM波で伝送できるのはLISMOでリッピングした楽曲、着うたフル及び着うた、SD-Audioなどに限られる。ボディ周りでユニークなのはボタンデザインで、シートキーを採用しながら、凹凸のあるシートを貼り合わせることで、通常のボタンデザインに似せた操作感を実現している。最近のシートキーの中でも意外に操作感のいい印象を持った。ただ、EZ FeliCaに対応していないのは、やや残念な仕様だ。


W61H(日立製作所)

 
 世界初の電子ペーパーをトップパネル側に内蔵した端末だ。「シルエットスクリーン」と呼ばれる電子ペーパーを使い、アニメーションや静止画を合わせ、95種類のグラフィックを表示することができる。トップパネルなどを着せ替えられる端末があるが、電子ペーパーで多彩なグラフィックを表示しようというわけだ。残念ながら、ユーザー自身によるカスタマイズやデータのダウンロードには対応しないが、通話中や着信時など、さまざまなシーンでケータイの表情が変わるという演出は、今までのケータイにはない新鮮さが感じられる。基本的なハードウェアはW53Hをベースにしているが、ディスプレイがQVGA表示のIPS液晶に変更されている点などが異なる。ボタン部はシートキーを採用しており、各キーの間にリブを付けることで、キーを判別しやすくしている。


W61K(京セラ)

 
 今回発表された端末の中で、もっともコンパクトなサイズを実現した端末だ。47mmという幅は華奢な女性の手にも収まるほどのコンパクトさで、全体的にスッキリとしたデザインにまとめられている。特長はトップパネルに内蔵されたカービングイルミネーションで、通話中や音楽再生中、おサイフケータイ利用時などに光らせることができる。ワンセグは搭載していないが、それ以外の機能はひと通り揃えており、W44Kのような堅実なヒット作になりそうな端末だ。


W61P(パナソニック)

 
 薄さ12.9mmを実現したワンセグ対応端末だ。パナソニック製端末ではおなじみのワンプッシュオープンを採用し、ワンセグのアンテナも本体に内蔵することで、スッキリとしたデザインに仕上げている。「レリーフキー」と呼ばれるシートキーは、数字や記号、アイコンの部分だけがレリーフのように盛り上がった形状になっているため、フラットな見た目の割に押しやすい印象だ。ディスプレイサイズも2.9インチと大きく、au端末では数少ない薄さを実感できるサイズにまとまっている。スタンダードなモデルながら、市場での好評が期待できる端末だ。


W62S(ソニー・エリクソン)

 
 CDMA 1X WIN端末に、GSMを組み合わせたデュアルモード端末だ。国内ではauのCDMAのネットワークを利用し、海外では広く利用されているGSMのネットワークを使うことができる国際ローミング端末で、現時点でももっとも広いエリアで快適に利用できるケータイと言って、差し支えないだろう。ワンセグは搭載されていないものの、デュアルモード端末のわりには、ボディもスリム&コンパクトにまとめられており、トップパネルに採用されているジュラルミンの質感もなかなか良い。海外で利用するための機能として、携帯ゲーム機のPSPでおなじみの「TalkMan」をベースにした「TalkManFlash」がプリセットされている。同社製端末の文字入力と言えば、予測変換のPOBox Proが知られているが、W62Sには日本語入力だけでなく、英語の予測入力にも対応した「POBox Pro E」が採用されている。海外で利用するときだけでなく、外資系企業に勤めているユーザーなど、頻繁に英語のメールをやり取りすることが多い人にも便利な機能だ。


W61PT(パンテック&キュリテル)

 
 簡単ケータイでおなじみのパンテック&キュリテルとして初のWIN端末だ。スライド式のボディを採用しているが、ディスプレイ部横の方向キー周辺をダイヤモンド形状のキーパターンでまとめるなど、個性的なデザインが印象的だ。ボディそのものも少し幅広な印象があるものの、スリムにまとめられており、女性にも持ちやすいサイズに仕上げられている。ワンセグは搭載していないが、EZ・FMやLISMOビデオクリップなどのエンターテインメント、EZナビウォークやEZ助手席ナビなどの実用機能もきちんと揃えている。意外に面白いのは197万画素カメラのエフェクトで、手書き風の色鉛筆や鉛筆といった特殊効果で撮影ができる。人の顔なども面白いが、風景なども独特の雰囲気に仕上がる。EZ FeliCaに対応していないのは惜しいが、若年層の女性を中心に支持されそうな端末だ。


AQUOSケータイ W61SH(シャープ)

 
 昨年12月末に発表され、年明けから販売が開始されていたAQUOSケータイ W61SHに、新色として、「マリンブルー」と「フレッシュグリーン」が追加された。すでにレビューなども掲載されているため、詳細は省くが、トップパネル部に内蔵されたLEDのアニメーション、W51SHよりもひと回りコンパクトなボディは、鮮やかなボディカラーとも相まって、女性ユーザーにも持ちやすいAQUOSケータイとして、仕上げられている。サイクロイドスタイルのボディは厚くなる傾向にあるが、W61SHは最厚部でも20mmを切り、最薄部は16.9mmまで、スリム化されている。


完成されたMSM6550世代、新しい時代に挑むKCP+採用端末

春モデルを手にするKDDIの小野寺氏
 以上が今回発表された10機種と追加カラー1機種の合計11機種だ。これに2007年秋冬モデルとして発表されたKCP+採用端末の3機種が加わり、14機種が2~3月に掛けて、店頭に並ぶことになる。

 今回のラインナップを見て、気づくことは、従来のMSM6550を採用したプラットフォームの端末が、ほぼ完成の領域に近づきつつあるということだ。たとえば、ワンセグについてはW61SHを含む8機種中5機種が対応しているが、いずれも番組表からの予約録画、ワンセグ視聴中の着信時のタイムシフト再生に対応しており、視聴することに限れば、ほとんど差がなくなりつつある。開発メーカーとしての腕の見せどころは、ディスプレイなどのデバイスと高画質に再生を可能にする画像処理エンジンなどに限られてきている。ワンセグを視聴することだけに着目すれば、どの機種を選んでもそれほど大きな失敗はないというレベルに仕上がっているというわけだ。

 その他のサービスについても同様で、auの人気サービスであるEZナビウォークやEZ助手席ナビなどのGPSを利用した位置情報系サービス、LISMOや着うたフル対応などの音楽系サービス、EZニュースフラッシュなどのコンテンツサービス、デコレーションメールなどのコミュニケーションサービスなども全機種がサポートしている。EZ FeliCaだけは8機種中6機種に限られているが、それでもほぼ全機種が搭載していると言っても差し支えないレベルまで、ラインナップが充実している。

 また、従来からauの弱点とも言われてきた国際ローミングについてもCDMA/GSMという海外でもあまり例が多くない組み合わせの端末をラインナップに加えている。ちなみに、会見後の質疑応答では、GLOBAL PASSPORT GSMの対応端末はこの1機種に限らず、ある程度、ラインナップを拡充していくことが明らかにされている。


 一方、KCP+採用端末については、au oneガジェットやマルチプレイウィンドウという端末の実用上の機能に加え、今春以降、「LISMO Video」で映画や海外ドラマが見られるという新しい楽しみが用意されたことで、今後の期待が一段と高まった印象だ。対応サービスについては、EZ FeliCaやワンセグ、EZ・FMで若干の差があるものの、Bluetoothなどは標準でサポートされている。特に、Bluetoothについては、ユーザーの期待も高く、今後、対応機器の拡充が期待される。KCP+のプラットフォーム向けのサービスについては、今後も新しいものがいくつも登場すると予想されるが、当然のことながら、それらの内のいくつかは従来のMSM6550を採用したプラットフォームでは楽しめないものもあるかもしれない。

 これらのことを考慮すると、auの2008年春モデルは、安定感や堅実さを重視するならMSM6550世代の端末、将来的な発展や新サービスに期待するならKCP+採用端末という選択になる。また、au Smart Sportsや自分のライフスタイルに合わせ、防水モデルやGLOBAL PASSPORT GSM端末などを指名買いというのもありだろう。いずれの場合もau買い方セレクトで設定される2年間という利用期間を考慮する必要があるが、KCP+の対応サービスを見てもわかるように、比較的、従来モデルでも利用できるように作り込まれているため、無理に今後のモデルを待たなくてもいいとも言えそうだ。

 今回発表されたモデルは一部のモデルを除き、本日から東京・原宿のKDDI DESIGNING STUDIOで展示が開始され、2月1日から順次、販売も開始される予定だ。購入時には本誌の開発者インタビューやレビューなどを参照し、ぜひ自分のライフスタイルに合う1台を選んで欲しい。



URL
  ニュースリリース
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2008/0128/

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(法林岳之)
2008/01/29 19:17

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