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Bluetooth&エンターテインメント機能で楽しく使える「W21T」
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au/東芝『W21T』。サイズ:50×99×26mm(折りたたみ時)、126g。サンライズイエロー(写真)、ブリーズグリーン、ライトニングシルバーをラインアップ
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auの端末ラインアップにおいて、強烈な個性はないものの、安定した支持を得ている東芝製端末。カシオ製端末と並び、CDMA 1X WIN対応への参入は最後発となったが、WIN端末「W21T」が発売された。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。
【この端末のチェックポイント】
- Bluetooth対応
- エンターテイメント
- 基本機能
- こんなユーザーにおすすめ
■ アドレス帳送信などにも対応したBluetooth
ここ何年も普及すると言われながら、なかなか普及しなかったBluetooth。昨年、auから東芝製端末「A5504T」、NTTドコモから富士通製端末「F900iT」が登場し、国内でもようやく普及の兆しが見えてきた。特に、Bluetoothヘッドセットは道路交通法の罰則強化でハンズフリー環境が注目されたこともあり、国内でも製品が増え、Bluetooth非対応端末に装着できるアダプタなども販売されている。
今回紹介する東芝製端末「W21T」は、昨年発売されたA5504Tに引き続き、Bluetooth対応端末となっている。細かい部分に違いはあるが、基本的にはA5504TをCDMA 1X WIN対応にした端末と考えれば、わかりやすいだろう。筆者も手持ちのプラントロニクス製ヘッドセット「M3000」、本日の一品で紹介したアイワブランドのデジタルオーディオプレーヤー「XDM-S710BT」などと接続し、問題なく、利用できている。A5504T発表当時に比べ、Bluetoothヘッドセットもかなりバリエーションが増え、価格も1万円前後のものが主流になっているため、ハンズフリー環境はかなり利用しやすくなったと言えそうだ。
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Bluetoothヘッドセットも問題なく登録できる
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サムネイル画面からBIPに対応した機器にBluetoothで画像を送信可能。プリンターにも出力できる
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Bluetoothには利用できる環境に応じて、サポートするプロファイルが決められている。W21Tは「SPP(Serial Port Profile)」、「HFP(Hands-Free Profile)」、「DUN(Dial-Up Networking Profile)」、「BIP(Basic Imaging Profile)」、「OPP(Object Push Profile)」、「OBEX(OBject EXchange)」の6つのプロファイルがサポートされており、基本的にはA5504Tと変わりない。
ただ、A5504Tではアドレス帳やプロフィールの転送、データフォルダやminiSDカードに保存されている画像の転送がいずれも片方向(A5504TからPCなど)に限られていたのに対し、W21Tでは双方向でやり取りできるようなっている。つまり、W21T同士でアドレス帳データや画像データなどをBluetooth経由で送受信できるわけだ。
同様のデータ転送は赤外線通信などでも実現されているが、端末の特定の場所(赤外線通信ポート)を向き合わせる必要がない点などが異なる。もっとも、W21TがWIN端末であり、ダブル定額に入っているのであれば、これらのデータもメールに添付して送信した方がわかりやすいかもしれないが……。
ちなみに、W21T以外のBluetooth対応機器(端末を含む)でも同じプロファイルをサポートしていれば、データを送受信することが可能だが、機器によっては転送するファイルのサイズなどを制限していることもあるので、注意が必要だ。
また、同じBluetooth環境では、BIPを利用し、W21Tで撮影した画像をBluetooth対応プリンタに出力したり、パソコンにデータを転送することも可能だ。プリンタで出力する場合、プリンタにBluetoothアダプタ(プリンターのオプション品)を装着しなければならないが、端末側でメモリカードを着脱する必要がないのはメリットだろう。Bluetoothにも対応した汎用的なプリントサーバーでも登場してくれば、面白いのだが……。
パソコン環境についてはUSBポートに接続するBluetoothアダプタが数多く出荷されているが、BIPをサポートしていないものもあるので、注意が必要だ。パソコンとの接続については、この他にDUNでの接続できるが、その他のプロファイルも含め、市販の電話帳ソフトは利用できないので、この点も気をつけた方がいいだろう。
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メディアプレーヤーではサブメニューから「Eメールメニュー」を呼び出し可能。再生したまま、メールの作成や閲覧もできる
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■ 充実のエンターテインメント機能
W21TのBluetoothに続く、もうひとつの注目ポイントはエンターテインメント系の機能が充実している点だ。具体的には、auが昨年秋から提供している「着うたフル」も楽しめる「メディアプレーヤー」、3Dグラフィックに対応したEZアプリ(BREW)による「ゲーム」、撮影したムービーや録画した番組を楽しめる「テレビ連携」が挙げられる。
まず、メディアプレーヤーはダウンロードした「着うた」「着うたフル」を楽しむためのもので、プレイリストを作成して、お気に入りの曲順で再生することができる。プレーヤーとしての機能もひと通り揃っており、複数楽曲の連続再生、1曲/全曲/ランダム再生、前後の曲へのスキップに対応する。端末を閉じた状態での再生もできる。再生中に着信に応答することも可能だが、中断後はプレイリストの最初から再生しなければならない。再生中にコンテンツ閲覧やEZアプリ(BREW)の起動はできないが、メールのバックグラウンド受信に対応しており、受信したメール内容も確認できる。メールの作成、編集、送信はメディアプレーヤーから「Eメールメニュー」を呼び出すと利用可能だ。
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左側面にはminiSDカードスロットとイヤホンマイク端子を装備。端末を閉じていると、miniSDカードスロットのカバーは開けにくい
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ACアダプタや通信ケーブルを接続する外部接続端子は右側面に装備。こちらもちょっとカバーが開けにくい気がするのだが
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ちなみに、W21Tは着うたフルをサポートしている関係上、iTunesで作成したAAC形式の音楽データを再生することもできる。ビットレートを40kbps以下に設定し、ファイルサイズを1.5MB以下に収めなければならないなどの制約があるため、万人におすすめできる機能とは言い難いが、ちょっとしたシリコンオーディオプレーヤー的な活用が可能だ。より高音質な音楽データを再生したいときは、QuickTime Proで3GPP2形式に変換するという方法もあるが、いずれにせよ、これらは抜け道的、あるいは副産物的な方法でしかない。他の一部のau端末でも同様のことができるが、先日発売されたW31SAでセキュアMP3(AAC)による「SD-Audio」形式がサポートされていることを考えると、今後はこちらの方法が主流になる可能性が高い。
次に、ゲームだが、W21Tには3Dグラフィックエンジン「T4G」が搭載されており、三次元的に表現されたゲームなどを楽しむことができる。アプリが対応していれば、後述する付属のTV出力ケーブルを利用し、家庭用テレビに映し出すことも可能だ。パッケージにはゲームでの操作性向上を狙い、中央のワープファンクションキー(方向キー)に装着できる「ゲームポインタ」が付属している。ただ、ゲームポインタの操作性は、やや判断の分かれるところだ。本体には「セガラリー 1st stage」がプリインストールされており、1st stageのみを制限なく楽しめるが、どうしても操作性が今ひとつのため、その昔、家庭用ゲーム機で遊んだときのような楽しさはない。
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テレビ出力時は画像を回転させたり、順次、画像を表示させることも可能
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3つめのエンターテインメントは、テレビとの連携だ。W21Tは前述のように、パッケージにTV出力ケーブルが付属しており、カメラで撮影した静止画やムービーをテレビ画面に映し出すことができる。ダウンロードしたEZムービーやグラフィックは表示できないが、撮影した画像を家族などに見せたいときには便利な機能だ。従来のA5504Tでは横向きに撮った画像が横向きのまま表示されてしまうなどの問題があったが、今回は[開始]キーで回転表示させることができ、実用的になっている。また、利用シーンは限られるが、TV出力ケーブルを接続した状態でカメラを起動すると、テレビ画面にファインダーが映し出され、シャッターを切れば、そのまま撮影することが可能だ。ホームパーティなどで記念撮影をするときなどにも便利そうだ。
W21Tではこうした出力先としてのテレビとの連携に加え、テレビで録画した番組を再生する機能も用意されている。これには2つの方法が用意されている。ひとつはDynabookなどのパソコンで録画した番組を付属の「Ulead Video ToolBox 2」で3GPP/3GPP2形式などに変換する方法、もうひとつは東芝の液晶テレビ「face」のLZ150シリーズで録画した番組を保存する方法だ。いずれもminiSDカードに保存して、W21T上で再生する。
Ulead Video ToolBox 2は利用期間がインストールから1カ月に限られているが、MPEG-2形式やWMV形式などに加え、DVDビデオ(コピープロテクトのないもの)からの読み込みにも対応しており、幅広いデータを利用することが可能だ。これに対し、faceで録画する方法は一般的なASF形式のSD-Videoと異なり、SDVという拡張子のファイルを利用する。このSDV形式のファイルがどういうフォーマットのものなのかといった情報は、取扱説明書にも記載されておらず、非常に不親切だ。すでに、W21CAやW22Hなどがサポートしていることを考慮すれば、一般的なASF形式のSD-Videoに対応して欲しいところだ。
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付属CD-ROMには「Video ToolBox 2」などが収録されている。取扱説明書もPDF形式のファイルが提供されている
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■ 基本機能もチェック
au向けに供給される東芝製端末は、新サービスにいち早く対応することが多い半面、ユーザーインターフェイスについては独特のクセがある印象だった。しかし、最近は一般的なユーザーインターフェイスを採用するようになり、他機種との差も少なくなっている。つまり、他メーカー製端末からの乗り換えもしやすい状況にあるわけだ。
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QVGAサイズの表示が可能な2.4インチ液晶ディスプレイは高品質で、視認性も良い
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メニュー画面は12分割のアイコン表示が可能だが、クイックアイコン登録でカスタマイズも可能
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クイックアイコン登録ではアドレス帳やデータフォルダの内容を登録できる。よく連絡する相手を登録しておくと便利だ
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上下方法を押すと表示される「ライブメニュー」。できれば、この列の並びもカスタマイズしたかった
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まず、メニュー画面は12分割のアイコン表示を基本としており、メニュー画面で[カメラ]キーを押すことで、少し趣の違ったメニュー画面に切り替えることができる。メニュー画面に表示される各機能もカスタマイズすることができ、ユーザーが選択したEZアプリ(BREW)や写真及びムービー、電話帳データなどを割り当てることも可能だ。待受画面で上下方向を押せば、EZチャンネルやEZナビウォークを呼び出せるライブメニューが表示される。
メールはフォルダによる管理に対応し、自動振り分けも可能だ。ただし、自動振り分けの条件はメールアドレスに限られており、題名などによる振り分けは設定できない。
スケジュールは最大100件まで登録することができ、月単位、週単位、用件単位で表示することが可能だ。カレンダー画面にはスケジュールのほか、アドレス帳に登録した誕生日データ、アイコンなどを表示したり、日付や曜日の表示色を切り替えるなどの設定もできる。意外に便利なのが電卓で、通常の電卓のほか、「割カン」「ゴチ割」で計算ができる。従来から存在する機能なのだが、他社製端末ではあまり採用例が多くない。
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VGA以上のサイズではファインダーが横向きになる。撮影モードはメールボタンで切り替え可能
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カメラ起動時、[開始]ボタンで表示されるヘルプ画面。こういうサポートはユーザーとしてもうれしい
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撮影画像はサムネイル表示が可能。読み出しも速いが、ファイルサイズ以外の情報が表示されない
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ヨコ撮りしたSXGAサイズの画像も回転させて、切り抜くことが可能
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SXGAサイズで撮影したサンプル画像。JPEG回転させている。リンク先は無加工。(モデル:篠崎ゆき/スーパーウイング所属)
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カメラは130万画素CCDによるカメラを本体背面のヒンジ部側に備え、最大1280×960ドットの静止画、320×230ドットの動画を撮影することが可能だ。オートフォーカスには対応していないが、左側面の切り替えスイッチで接写にも対応する。従来のA5504Tでは、せっかくメガピクセルカメラを搭載しているのに、編集機能が貧弱なうえ、ヨコ撮りした静止画をサイズによっては回転できないなどの不満点があった。その後、発売されたA5506Tではこれらの不満点が解消されていたが、W21Tも同様に最大サイズで撮影した画像を切り抜いたり、ヨコ撮りした画像を回転して編集する機能などが搭載されている。
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使い始めると、意外に便利な「辞スパ」。いつでも辞書が簡単に参照できるのはうれしい
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miniSDカードを買い換えたときは、付属CD-ROMから再インストールが可能
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また、miniSDカードに関連する機能としては、従来に引き続き、英和・和英・国語辞書を収録した「辞スパ」が搭載されている。出荷時に付属する16MBのminiSDカードに保存されているが、より大容量のminiSDカードに交換したときは付属CD-ROMから再インストールできるようにしている。ちなみに、辞書データは約5.5MBなので、それほど大きくないが、前述のオーディオプレーヤーとしての活用やカメラで撮影した画像の保存を考えると、より大容量のminiSDカードを用意したいところだ。筆者の環境では、グリーンハウス製の512MBのminiSDカードも問題なく、利用できている。
Bluetoothでハンズフリーなら「買い」
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WIN端末の中で、もっともクセが少ないスッキリしたデザインが特徴。こういうスタンスを求めるユーザーも多いだろう
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さて、最後にW21Tの「買い」について、考えてみよう。主力をCDMA 1X WINに移行しつつあるauのラインアップにおいて、唯一のBluetooth対応端末が「W21T」だ。昨年発売された同じBluetooth搭載端末であるA5504Tの仕様を継承しながら、従来モデルで不満とされた部分を改善している。テレビ出力時の画像の向き、カメラで撮影した画像の編集機能などは、使いやすさも考慮されており、他のトップクラスのカメラ付きケータイと比べても遜色ない仕上りとなっている。Bluetooth以外の個性については、あまりなく、ボディもシンプルな折りたたみデザインを採用しているが、2.4インチのQVGA対応液晶ディスプレイも非常に高精細で、性能的には申し分ない。
これらのことを総合すると、W21TをおすすめできるのはBluetoothでワイヤレスハンズフリー環境を実現したいユーザー、デザイン的にあまりクセの強くないWIN端末が欲しいユーザーということになる。前者の要素はA5504Tと同様だが、Bluetooth対応製品もかなり増えており、昨年よりも一段と利用しやすくなっている。ただ、欲を言えば、もう少しキャリアやメーカーによる動作確認の情報提供、具体的な活用例の提案が欲しいところだ。後者はauのWIN端末のラインアップにスライド式や二軸回転式など、ボディデザインが個性的な端末が多く、スタンダードな折りたたみデザインの選択肢がそれほど多くないからだ。miniSDカードを必須と考えれば、W21Tは有力な候補になるだろう。気になるのは、ややインパクトが強めのボディカラーをどう受け取るかだ。しかし、機能面の実用性は十分なレベルに達しており、幅広いユーザー層に安心してオススメできる端末だ。
■ ニュースリリース(au)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/1013a/
■ ニュースリリース(東芝)
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2004_10/pr_j1301.htm
■ 製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w21t/
■ 製品情報(東芝)
http://www.toshiba.co.jp/product/etsg/cmt/au/w21t.htm
■ W21T Bluetooth接続機器一覧
http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w21t/bluetooth_ichiran.html
・ Bluetoothに対応した「W21T」
・ au、フルブラウザ搭載端末など1X WINの冬モデル4機種
・ au、音楽を1曲丸ごと楽しめるEZ「着うたフル」
・ W21T(ブリーズグリーン)
・ Bluetooth搭載でハンズフリーが使える「A5504T」
(法林岳之)
2005/03/02 18:27
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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