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撮った画像をテレビに映し出せるメガピクセルケータイ「A5501T」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」「できるVAIO 基本編 2003年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


EZナビウォーク対応端末第1弾

 10月に発表されたauの新ラインアップは、個性的なモデルが並び、ユーザーとしても迷ってしまうほどの充実ぶりだ。そんなauの新ラインアップで、まず最初に登場したのが東芝製端末「A5501T」だ。auの新サービス「EZナビウォーク」対応端末第1弾ということになる。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。


拡大するauのラインアップ

EZナビウォーク対応の3モデル

au/東芝『A5501T』。サイズ:49×95×25mm(折りたたみ時)、115g。フォルテオレンジ(写真)、ピアノホワイトをラインアップ
 昨年のCDMA2000 1xのサービス開始以来、着実にシェアを拡大しているau。特に、今年は社団法人電気通信事業者協会(TCA)の集計でもトップシェアを持つNTTドコモと純増数で激しいトップ争いをくり広げており、10月末の集計では純増数で50%を越えるシェアを獲得している。

 そのauがこの年末商戦に向け、新しいラインアップを投入する。10月に行なわれた記者発表では選ぶのに迷ってしまいそうな個性的な端末を並べ、その数週間後に行なわれたCDMA2000 1xEV-DO方式を採用する新サービス「CDMA 1X WIN」ではメールとコンテンツ閲覧に限られるものの、定額制を実現させ、関係者を驚かせた。

 auは現在、高機能モデルのA5000シリーズ、普及モデルのA1000シリーズという2つのラインアップを販売しているが、EZwebのサービスの中でも人気の高い「EZムービー」への対応によって、Sサイズムービーに対応するA5300/A1300シリーズ、Mサイズムービーに対応するA5400/A1400シリーズにラインアップを細分化している。今回発表されたモデルにはCDMA 1X WIN端末の「W11シリーズ」のほかに、新たにA5500シリーズが加わっているが、これはauがサービスを開始した「EZナビウォーク」への対応がキーワードになっている。つまり、A5400/A5300シリーズはEZナビウォークに非対応で、A5500シリーズがEZナビウォーク対応ということになる。

 以前から指摘されていることだが、どうもauのラインアップの名付け方は今ひとつユーザーにとってわかりにくく、余計な混乱を生み出しているように見える。端末のレビューには直接、関係ないが、抜本的な見直しを期待したいところだ。

 今回紹介する東芝製端末「A5501T」は、その名付けのルールからもわかるように、EZナビウォーク対応端末第1弾だ。EZナビウォークの詳細については後述するが、位置情報サービスを利用し、カーナビならぬ「人間ナビ」的な活用を可能にするサービスだ。また、A5501Tは世界で初めて、携帯電話とテレビを接続し、カメラで撮影した画像をテレビに映し出す機能を搭載している。さらに、他のauの新ラインアップ同様、QVGAサイズの表示が可能な液晶ディスプレイを搭載するなど、スペック的にもなかなか期待のできる端末として仕上げられている。実機を見ながら、その出来をチェックしてみよう。


2.2インチQVGA液晶を搭載

 製品のスペックや細かい仕様については、au東芝の製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が購入した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。


ツートンカラーの折りたたみボディを採用。A5304Tよりも高さが短くなり、コンパクトになった印象 miniSDメモリカードスロットは液晶ディスプレイ側の側面に装備される。ヒンジ部の平型コネクタはイヤホンマイクとTV出力用ケーブルが接続できる

 まず、折りたたみデザインのボディは、従来から販売されていた東芝製端末「A5304T」の流れをくむものだ。外見としては、カメラ位置がヒンジ部側に移動し、液晶ディスプレイ側の右側面にminiSDメモリカードスロット、テンキー側の右側面に平型コネクタのイヤホンマイク端子を備えるなどが異なる。イヤホンマイク端子は通常のイヤホンマイクを接続できる他、付属のTV出力ケーブルを接続することにより、内蔵カメラで撮影した静止画や動画をテレビへ出力させることができる。miniSDメモリカードスロットのフタはゴム状のものを採用している。背面には20mmの大口径スピーカーを内蔵している。


メインのディスプレイはQVGAサイズの表示が可能なTFTカラー液晶を採用。高精細で視認性も非常に良好だ 背面液晶はSTNカラー液晶を採用。日時の表示、壁紙の設定が可能

 ディスプレイはメイン側が240×320ドット/65,536色表示が可能な2.2インチTFTカラー液晶、背面側が80×60ドット/65,536色表示が可能な1.1インチSTNカラー液晶を採用する。QVGAサイズの液晶ディスプレイはA5402Sでも採用されていたが、A5501TはフォントなどもQVGAサイズに合わせたものが採用されており、非常に高精細で視認性も良好だ。


従来のA5304Tに比べ、最上段のキーの割り当てやデザインが変更されている 右側面のサイドキーはヨコ撮りスタイルでのシャッターなどに利用できる

 ボタン類は、中央に方向キーと決定ボタンを組み合わせたワープファンクションキー、左上に[フォト]キー、中央上に[アドレス帳]キー、右上に[ムービー]キーを配し、左に[メール]キー、右に[EZ]キーをレイアウトしている。テンキー部の左下には、BREW端末の証でもある[アプリ]キーを備えている。右側面には2つのサイドキーが備えられており、カメラの起動やモバイルライトの設定、シャッター、マナーモードの設定などができる。ワープファンクションキーはA5304Tと若干、デザインが変更されており、決定ボタン部分が少し凹んだデザインになったことで、操作性は従来よりも改善された印象だ。


人間ナビに一歩近づいた「EZナビウォーク」

 次に機能面について見てみよう。A5501Tはシリーズこそ変わったものの、メールやブラウザなどの基本的な仕様は変わっていない。メールはフォルダによる管理に対応し、自動振り分けも可能だ。ただし、振り分けはフォルダごとに対象となるメールアドレスを登録する必要がある。ちょっと不思議なのはメールの返信や転送をしたとき、受信メールの一覧画面ではアイコンが付加されないのに対し、送信メールの一覧画面ではアイコンが付加されるという仕様だ(3行表示にしたときのみ)。本来なら、受信メールの方に何らかのアイコンが付くべきではないだろうか。


メールはフォルダ管理や自動振り分けに対応。ただ、出荷時の受信ボックスにはメインフォルダしか表示されていない メールを送信するときに表示される送信方法の選択メニュー。フォトメール便が選べるのは非常に便利。絵文字系機能はともに有料コンテンツを利用

メニュー画面はA5304Tに比べ、一般的なアイコン表示のものに変更されている
 A5501Tのメール機能で便利なのは、送信時に通常の「送信」「フォトメール便送信」「マイ絵文字送信」「おてがる絵文字送信」が選択できる点だ。フォトメール便は他事業者のユーザーに画像を添付したメールを送るときに利用するサービスだが、送信時に「フォトメール便送信」を選択すれば、メールアドレスを自動的に変換してくれる。「マイ絵文字送信」は他事業者のユーザーに対し、auの携帯電話向けで採用されている絵文字のまま、絵文字メールを送信したいとき、「おてがる絵文字送信」は他事業者で採用されている絵文字に変換して送信したいとき、それぞれメールアドレスを自動変換して送信することが可能だ。

 これらのうち、フォトメール便は通常の送信料のみで利用できるが、「マイ絵文字送信」と「おてがる絵文字送信」はEZwebのコンテンツ「絵文字め~る」(月額105円)に登録する必要がある。有料コンテンツに登録が必要なら、端末上、あるいはマニュアルなどに何らかのガイドが欲しいところだ。とはいえ、絵文字を多用するユーザーには便利な機能だろう。

 日本語入力は東芝製ワープロで培われた技術を活かしたモバイルルポを採用し、入力予測に対応するほか、前後の語句の関係性から最適な単語に変換するAI変換にも対応する。辞書のダウンロード機能も用意されており、「TOSHIBA User Club Site」(EZボタンの長押しで接続可能)でマニアックなものも含め、さまざまな辞書が配布されている。


EZナビウォークの利用は月額210円の有料コンテンツの契約が必要。初回利用時から15日間はお試し期間で情報料無料
 さて、A5501Tで最も気になる「EZナビウォーク」について見てみよう。auでは従来から「EZナビ」(従来のeznavigation)と呼ばれる位置情報サービスを提供していた。EZナビはGPSからの信号と基地局の信号を組み合わせ、緯度経度を含めた現在地の情報を知ることができた。EZナビを利用したコンテンツとして、地図サイトや経路検索、グルメ情報などが提供されている。しかし、EZナビでは測位した位置情報を元に、画面上に地図を表示してもユーザーが移動してしまうと、再測位をしなければならないため、道案内的な使い方は地図上でルートを表記するのみでしか表現できなかった。

 これに対し、EZナビウォークでは現在の位置情報を測位後もGPSの信号を受け続け、地図内に表示される現在位置を移動させながら利用できるようにしている。少し専門的な用語になるが、従来のEZナビで採用されている方式を「サーバーアシスト型」と呼ぶのに対し、EZナビウォークのように最初だけ基地局を組み合わせた測位を行ない、その後はGPSの信号を受け続ける方式を「MS-based」と呼んでいる。このMS-based方式とBREWによる高速動作が可能なアプリケーションを組み合わせることにより、今回の「EZナビウォーク」を実現しているわけだ。

 では、具体的にユーザーにとって、どんな違いがあるのだろうか。従来のEZナビでは移動する度に、測位を行ない、地図を更新しなければならず、パケット通信料もかさんでいた。これに対し、EZナビウォークでは現在地を測位し、目的地を設定すれば、目的地までの道案内を地図上に表示しながら移動することができる。移動中は画面上の人のアイコンが動き、曲がる場所や目印に来れば、バイブレータの動作や音声ガイドによって、ユーザーに知らせてくれる。つまり、カーナビならぬ「人間ナビ」的な活用をより現実的なものにしてくれるわけだ。地図は最初に測位を行なったときに、一定サイズのデータが端末に転送されるため、その範囲から出なければ、パケット通信料はほとんど発生しない。

 ただ、移動中の測位はGPS信号に限られるため、地下街などでは利用できないうえ、道路が狭いビル街などではどうしても正しい位置が確認できないため、最新カーナビ並みのルート案内ができるわけではない。余談になるが、現在の多くのカーナビは現在地の検出にGPS信号をそれほど積極的に利用しておらず(一説には30%)、内蔵したジャイロや方位センサー、車速センサー、マップマッチングなどを組み合わせることで、高精度なルート案内を実現している。


EZナビウォークの地図画面。JR市ヶ谷駅からインプレスへのルートを検索。[MENU]から[ルート案内開始]を選択すれば、音声ガイド付きの案内が開始される
 とは言え、EZナビのときに比べ、一段と実用的になったことは確かで、駅から徒歩で、目的地に向かうようなシチュエーションでは役に立つ。ちなみに、このEZナビウォークの地図データはナビタイムジャパンのベクターデータが採用されており、月額210円を支払えば、トータルナビや地図メール、周辺検索などのコンテンツが利用できる。月額315円の「NAVITIME Pro」に移行すれば、さらに高度なナビゲーションや渋滞情報サービスまで利用することができる。

 基本的には通常の210円コースで十分だろうが、筆者のようにクルマで移動する機会が多いユーザーやPC向けページとの連携を利用したいユーザーは、NAVITIME Proを利用した方がいいだろう。

 実際の利用上で注意すべきことは、ルート案内中の状態だ。MS-basedの場合、最初の測位後はGPS信号を受け続ける必要があるため、端末が信号を受けやすい状態で歩く必要がある。ただ、信号の受けやすさを重視するあまり、道の真ん中を歩いてしまうと、自ずと他の交通の妨げになったり、最悪の場合、事故に巻き込まれかねないので、周囲の状況には十分に気を配る必要がある。また、A5501TはA5502Kや従来のC3003Pのように、電子コンパスを持たないため、画面に表示される地図の向きはユーザーが操作しない限り、固定したままだ。つまり、周囲の様子を見ながら、ある程度、地図を読む力も必要になる。さらに、「新製品SHOW CASE」でも触れられているように、EZナビウォークを操作中は、メールや通話ができないので、その点もよく考えて使う必要があるだろう(着信には応答できる)。

 注意事項をたくさん書いてしまったが、EZナビウォークはなかなか使い応えのあるサービスであり、ケータイの新しい使い道をさらに広げたものと言えるだろう。


次なるステップに期待したいTV出力機能

カメラは100万画素のCCDを採用。A5304Tと比べ、カメラ位置はヒンジ側に移動した

カメラ機能の設定は[サブメニュー]から操作する。画質の階層はこれよりも一段深いところにある
 続いて、A5501Tのもうひとつのセールスポイントであるカメラについて見てみよう。A5501Tには100万画素CCDによるカメラが搭載されており、撮影した画像やムービーをテレビに出力する機能を持つ。

 まず、カメラの撮影できるサイズは、1,144×880ドットの「メガサイズ」、640×480ドットの「VGAサイズ」、240×320ドットの「壁紙サイズ」、144×176ドットの「フォトメールサイズ」の4種類だ。撮影サイズはカメラ起動時のサブメニューからのみ変更できる。画質はVGAサイズとメガサイズを設定した場合のみ、「ファインモード」「ノーマルモード」「メールモード」の3段階から設定することができ、同様にサブメニューからの選択が可能だが、撮影サイズよりも階層がひとつ深い。メールモードはメールに適したサイズに圧縮するモードで、撮影サイズをメガサイズに設定したときでもメールに撮影画像を添付できるようにしている。ただし、ファインモードやノーマルモードも撮影状況によって、メールに添付が可能なサイズになることもある。ムービーの撮影は「S(メール用)」「M(メール用)」「全画面モード」が用意されており、全画面モード以外はメールに添付して送信することが可能だ。

 撮影時の機能としては、最大3.1倍/20段階の「ズーム」、11段階の「明るさ」調整、「フレーム」や「日付スタンプ」の追加、セピアやネガなどの「特殊効果」、2/5/10秒から選択できる「セルフタイマー」などの機能が用意されている。自分撮りなどのために、ファインダーを背面ディスプレイに切り替えることもできるが、操作はサブメニューからのみで、テンキー部の操作などによるワンタッチ切替はない。ただし、カメラを起動した状態で本体を閉じれば、自動的にファインダーは背面ディスプレイ側に切り替わる。

 撮影した画像は本体メモリ、もしくはminiSDメモリカードに保存することが可能で、miniSDメモリカードが装着されているときは、VGAサイズ以上の静止画、全画面モードのムービーがminiSDメモリカード側に保存される。同じフォルダ内に保存されているデータは「オートプレイ」機能を利用し、連続させ椅子ることも可能だ。ちょっとマニアックな使い方だが、パソコンなどで録画した短いデータをezmovieの形式に変換し、ひとつのフォルダ内に保存すれば、オートプレイで通常よりも少し長めのezmovieを楽しむこともできる。


メガサイズでのサンプル画像。東京モーターショーの日産ブースで撮影(リンク先画像は無加工) メガサイズでのサンプル画像。東京モーターショーの三菱ブースで撮影(リンク先画像は無加工)

本体メモリのデータフォルダ。最下段中央のアイコンでどのデータフォルダを開いているかがわかる miniSDメモリカードのデータフォルダ。3つもデータフォルダがあるのは、初心者にちょっとわかりにくい miniSDメモリカードのデジカメフォルダ。DCF形式で保存されている

メガサイズで撮影した画像を開いてもこのサイズの画像しか表示されない 撮影した画像はサムネイル形式での表示が可能 本体メモリに画像をコピーして、編集しようとしてもできない。何のためのメガピクセルなのか?

 ただ、データの管理方法がやや独特で、データフォルダを開き、アドレス帳キーを押す度に、「データフォルダ」→「miniSDメモリカードのデータフォルダ」→「デジカメフォルダ(miniSDメモリカード)」の順に切り替わる仕様になっている。デジカメフォルダにはVGAサイズ以上の静止画が保存される。それぞれのデータフォルダ内で画像やムービーを選べば、再生できるのだが、残念ながらVGAサイズ以上の画像は全画面再生を選んでもサムネイルと同サイズでしか表示できない。A5301TでVGAサイズの画像の読み込みと表示が非常に遅いということを紹介したが、今度は表示こそ瞬時になったものの、QVGAサイズのディスプレイの1/3程度しか使わずに表示するわけだ。まったく不可解な仕様と言わざるを得ない。


同梱されているTV出力ケーブル。ムービーも再生できるため、映像端子だけでなく、ステレオ音声端子も用意される イヤホンマイクを接続する平型コネクタに、TV出力ケーブルを接続し、テレビに映し出す

 次に、A5501Tの売りの機能であるTV出力機能だが、前述のように、本体右側面に装備されているイヤホンマイク端子に付属ケーブルを接続し、ケーブルの反対側のコネクタをテレビなどのAV端子に接続すれば、大画面で画像やムービーが楽しむことができる。ただ、ここにも非常に不可解かつ不親切な仕様が残っている。たとえば、撮影した画像が縦長だった場合、再生時に画像を回転させる機能がないため、90度回転した状態でしか表示できない。この不親切さはムービーでも同様で、テレビに出力することを考慮しているユーザーは、その点を十分に考慮して、撮影する必要があるだろう。


カメラを縦方向で撮ってしまうと、このように、90度回転した状態で再生されてしまう。再生時の回転機能は必須ではないだろうか(画像はパソコンのテレビ機能の外部入力に接続し、キャプチャしたもの) ezmovieをテレビ出力機能で再生(画像はパソコンのテレビ機能の外部入力に接続し、キャプチャしたもの)

 とは言え、テレビに出力するという手法は、デジタルカメラでは初期の頃から継続してサポートされてきた機能であり、カメラ付きケータイの有効なかつ方スタイルとして注目できる。できることなら、一連の不親切さを修正したうえに、EZwebやメールなども出力できるようにして、シニア以上の世代のニーズを訴求してみるというのもいいかもしれない。

 画像編集については、トリミングや文字合成、画像回転、フレームなど、必要十分な機能が用意されているのだが、実用面を考えると、非常に制限が多く、今ひとつ使いにくい。というもこれらの画像編集機能が利用できるのは、壁紙サイズ以下で撮影した画像に限られ、VGAサイズやメガサイズは編集もできなければ、直接、待受画面に設定することもできない。miniSDメモリカードへの保存やテレビ出力という機能はあるものの、これではメガピクセル級のカメラを搭載した意味がまったくない。せっかく壁紙サイズ以下での画像編集ができるのだから、VGAサイズやメガサイズでもそれと同等か、もしくはわずかに制限されるレベルで、画像編集ができるようにすべきではなかったのだろうか。


EZナビウォークをいち早く体験したいのなら「買い」だが……

EZアプリ(BREW)に対応。プリインストールは「EZナビウォーク」のみだが、カタログからEZアプリをダウンロードできるのは便利だ
 さて、最後にA5501Tの買いについて考えてみよう。従来のEZナビを超え、人間ナビを実用レベルにまで引き上げたEZナビウォーク。その対応端末第1弾として登場したA5501Tは、EZアプリ(BREW)対応やメガピクセルカメラの搭載、TV出力機能など、十分すぎるほどの魅力を持ち合わせている。

 EZナビウォークの原動力ともなっているBREWは、高速かつ高度な動作が魅力とされているが、最近では30円アプリキャンペーンの効果もあり、急速にタイトル数が増えている。アプリボタン一発でアプリの選択メニューが表示され、カタログからダウンロードできる環境は、他のアプリ環境よりもダウンロードがしやすく、楽しみやすいという特長を持つ。

 これに対し、メガピクセルカメラやTV出力機能は完成度が今ひとつで、実用面でも不満が残る。メガサイズなどで編集できないこと、TV出力で画像の回転ができないことなど、不親切かつ不可解な仕様は、機能的に十分な吟味がされているのかどうかが非常に疑問だ。

 これらのことを総合すると、A5501Tをおすすめできるのは、EZナビウォークをいち早く使いたいユーザー、カメラで撮影した画像をテレビで楽しみたい、友だちに見せたいユーザーということになる。ただ、A5501TのEZナビウォークは電子コンパスを持たないため、ユーザーは自分がどちらを向いているのかを理解する必要があり、地図を読み解く能力も必要になる。TV出力機能もパソコンを持たないユーザー、もしくはデジタルなことに詳しくないユーザー向けということになる。

 厳しいことを書いたが、今回A5501Tでウリとされている機能以外については、従来の東芝製端末の中でもかなり完成度を高めており、その点については十分に「買い」と言えるだけの要素を持ち合わせている。今回のモデルに搭載された新機能をさらにブラッシュアップし、次期モデルではさらに完成度を高めた端末の登場を期待したい。



URL
  ニュースリリース(au)
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2003/1006/
  製品情報(au)
  http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/a5501t/
  ニュースリリース(東芝)
  http://www.toshiba.co.jp/about/press/2003_10/pr_j0602.htm
  製品情報(東芝)
  http://www.toshiba.co.jp/product/etsg/cmt/au/a5501t.htm

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(法林岳之)
2003/11/20 16:02

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