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一歩進んだムービーメールが楽しめる「A5301T」
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CDMA2000 1x対応端末フラッグシップモデル登場
9月からカメラ付きケータイ4機種を投入したau。なかでもフラッグシップモデルに位置付けられる「A5301T」は、ezmovie対応のムービーメールが楽しめる期待のモデルだ。実機を試用することができたので、早速、レポートをお送りしよう。
カメラ付きケータイで実現したezmovie対応端末
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au/東芝『A5301T』。サイズ:48×96×28mm(折りたたみ時)、119g。ラベンダーピンク(写真)、スノーシルバー、ソリッドネイビーをラインアップ。
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昨年末、auは「次世代サービス」と銘打った「eznavigation」や「ezmovie」の提供を開始し、「C5000シリーズ」「C3000シリーズ」「C1000シリーズ」という3つのラインアップを展開してきた。今年4月からは新たにCDMA2000 1xに対応した「A3000シリーズ」「A1000シリーズ」を投入し、順調に契約者数を伸ばしてきたが、なぜか「A5000シリーズ」が欠番という状態が続いていた。つまり、ezmovieが利用できるCDMA2000 1x対応端末は投入が見送られてきたわけだ。
CDMA2000 1xに対応した端末のラインアップに、A5000シリーズがすぐに加えられなかった背景には、急速に普及し始めたカメラ付きケータイの存在が挙げられる。おそらくauとしては、J-フォンの写メール端末の充実ぶりを見て、急遽、カメラを搭載していないモデルの開発を取りやめ、A5000シリーズ投入を見送ったのだろう。ちなみに、現在、CDMA2000 1x対応端末で最も人気の高いのは、唯一、カメラを搭載した「A3012CA」であり、CDMA2000 1x対応端末の半数近いシェアを獲得している模様だ。
今回発売された東芝製端末「A5301T」は、auとして満を持して投入するカメラ付きのezmovie対応端末だ。東芝は昨年の次世代サービス対応端末でも唯一、ezmovieに対応した「C5001T」を開発しており、これに続いて、ezmovie対応カメラ付きケータイの先陣を切ることになる。
また、A5301Tのもうひとつのトピックとして挙げられるのがSDメモリカードへの対応だ。SDメモリカードスロットを装備した端末は、すでにシャープ製の写メール端末「J-SH51」及び「J-SH52」、九州松下電器製のH"端末「KX-HV200」及び「KX-HV210」などが投入されているが、CDMA2000 1x対応端末としては初搭載ということになる。SDメモリカードにはA5301Tで扱うことができるムービー、カメラで撮影した画像、送受信メール、アドレス帳などを保存することが可能だ。
この他にもeznavigationやezplusに対応するなど、現時点で提供されているauのサービスにすべて対応し、求められる機能をひと通りサポートしたフラッグシップの名にふさわしいスペックを実現している。実機を触りながら、その実力を見てみよう。
2.1インチのポリシリコンTFTカラー液晶を搭載
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背面液晶ディスプレイやカメラを装備したためか、ディスプレイ側がやや分厚い印象。
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製品のスペックや細かい仕様については、auや東芝の製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただくとして、ここでは筆者が試用した端末で得られた印象を中心に紹介しよう。
ボディは折りたたみデザインを採用し、液晶ディスプレイ背面に「カラフルウィンドウ」と呼ばれるサブディスプレイ、SDメモリカードスロット、カメラを装備している。SDメモリカードスロットを装備したこともあり、ボディはC5001Tと比較して約4mmほど厚くなっているが、ボディシェイプが幅広くなったため、全体的に分厚く、大きくなった印象だ。液晶ディスプレイ側が重装備であることを考慮すれば、しかたないのかもしれないが、C5001Tのシャープな印象が失われたのは残念だ。ちなみに、背面液晶ディスプレイの両脇のスリット部は赤と緑の2色に光るようになっており、着信やメール受信などの情報を知ることができる。
液晶ディスプレイは144×176ドット表示が可能な約2.1インチのTFTポリシリコン液晶を採用する。ポリシリコン液晶は東芝のお家芸とも言えるもので、トランジスタの小型化などにより、明るくきれいな画像を表示することが可能だ。背面液晶のカラフルウィンドウは80×60ドット表示が可能な約1インチの液晶パネルを採用する。カメラ撮影時にファインダーとして利用できるほか、待受時にオリジナルの壁紙を表示したり、着信時の相手の顔写真などを表示させることも可能だ。
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メインのディスプレイは東芝のお家芸とも言えるポリシリコン液晶を採用。
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背面ディスプレイには時計やバッテリーアイコンの他に、壁紙なども表示可能。
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中央のワープアクションキーの操作性はC5001T同様、今ひとつ。[終話]と[機能]、[3]も間違えやすい。
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ボタン類はC5001Tのレイアウトを踏襲しているが、最上段キーの割り当て機能が左から順に、メール、EZweb、カメラに変更されている。カメラボタンは通常の押下でムービー撮影、長押しで静止画撮影を呼び出せるようになっている。ムービーケータイという位置付けを考慮すれば、正しい割り当て方なのだろうが、実質的な利用頻度は静止画の方が多いので、別のボタン静止画撮影モードを呼び出せるようにしても良かったのではないだろうか。また、中央のワープアクションキーはC5001Tのものから丸みを帯びたデザインに変更されたが、操作性は他製品のものに比べると今ひとつだ。特に、上方向や中央ボタンの操作感が良くなく、慣れないと誤操作をしてしまうことが多い。
31万画素CCDでムービーメールを実現
機能面については、基本的にC5001Tのスタイルを踏襲しているが、新たにムービーメールに対応するなど、さまざまな改良が図られている。
まず、日本語入力では東芝のワープロ専用機「Rupo」で培われたカナ漢字変換エンジン「Mobile Rupo」を採用し、約12万1000語の大容量辞書を搭載している。なかでも面白いのが「英数カナ変換機能」だ。たとえば、「TEL」と入力したいとき、通常ならば、英語モードに切り替える必要があるが、A5301Tでは日本語入力モードのまま、[8][3][3][5][5][5](画面には「やしぬ」と表示される)と入力しても変換することが可能だ。また、過去の変換履歴から候補を推測する入力予測機能も備える。メール機能ではフォルダによる管理と自動振り分けに対応している。
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[機能]キーで呼び出されるMenu画面。左右でアイコンがアニメーションするが、動きが早すぎて、アニメーションと認識できない。
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中央ボタンを押したときに表示されるアイコン画面。カスタマイズもできるので、通常はこちらの方が使いやすいだろう。
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SDメモリカードについては、前述のように、J-フォン向けシャープ製端末、DDIポケット向け九州松下電器製端末に次ぐ採用となっている。液晶ディスプレイ側面にSDメモリカードスロットを備えており、カバーはメインディスプレイ側に開く構造になっている。SDメモリカードにはムービーや写真、送受信メール、アドレス帳やスケジュールのバックアップデータなどを保存でき、パッケージには16MBのSDメモリカードが同梱されている。SDメモリカードそのものの機能ではないが、個人的に非常に気になったのがカードの脱着だ。SDメモリカードはスロットに挿してある状態なら、ワンプッシュでカードが少し外部に飛び出し、それをつまんで取り出すことができる。しかし、A5301Tではやや奥まった場所にSDメモリカードスロットが装着され、カバーも十分に開かないため、カードの抜き差しがやりにくい。KX-HV210やJ-SH51/52などに比べると、やや使い勝手が悪い印象だ。
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SDカードスロット装備はうれしいが、カードは着脱しにくい。
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SDメモリカードにはメールやアドレス帳もバックアップできる。
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内蔵カメラは31万画素CCDを採用。他製品に比べ、あまりカメラを強調しないデザイン。
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カメラは31万画素のCCDを採用しており、最大6.6倍のデジタルズームに対応する。ムービーメールはA5301Tから新たにサポートされた機能だが、基本的には昨年、C5001Tで採用されたものに準拠しており、5/10/15秒のいずれかの時間で撮影が可能だ。撮影した画像にはテロップを入れたり、音声を追加するアフレコ機能、位置情報を付加する機能を搭載するなど、ムービー写メールなどよりも一歩進んだ使い方を可能にしている。
ところで、auでは今回のムービーメール対応端末登場に合わせ、Adobeの画像編集ソフト「Premiere」に対応した「ezmovie作成ソフトLite for Adobe Premiere」の提供を開始している。従来から無償で提供されていた「ezmovie作成ソフトLite」は各種フォーマットの動画を読み込めるなど、かなり秀逸なソフトだったが、コンバートできる動画の長さ(秒数)などに制限があった。画像編集の定番ソフトとも言える「Adobe Premiere」向けのプラグインソフトが提供されたことで、動画ファイルの編集をしながら、最終的にezmovie対応のファイルを出力できる環境が整ったことになる。
ちなみに、プラグインが対応するバージョンはAdobe Premiere Ver.5.1以上で、安価なAdobe Premiere LE版での動作は保証外とされている。しかし、筆者が試したところ、Adobe Premiere LE Ver.6.1で動作が確認できた。保証外ではあるが、安価なLE版でも動作するのは多くのユーザーにとって、うれしいことだ。ただ、SDメモリカードに保存して再生できるサイズに制限があるようで、約1分強のムービーは再生できるものの、約3分程度になるとSDメモリカード上で再生できなかった。時間的にはあまり長くないが、映画の予告編などのちょっとしたムービーをコンバートして見る程度なら、実用になりそうだ。
通常の静止画モードの撮影については、フレーム撮影やセルフタイマー、セピア調/ネガ反転、コメント貼り付けなどの機能が搭載されており、最新のカメラ付きケータイならではの使い方が楽しめる。ただ、J-SH52やJ-SH09で採用されているようなマクロ撮影やQRコード対応などはなく、今ひとつ目新しさに欠ける感も残る。
フラッグシップの名に相応しいか?
最後に、A5301Tの「買い」について考えてみよう。A5301Tはauが新たに提供を開始したムービーメールに対応したCDMA2000 1xのフラッグシップモデルだ。昨年12月に登場した次世代サービス対応端末「C5001T」の後継モデルという位置付けにもあり、早くからMPEG-4に関連する技術発表を行なってきた東芝の面目躍如という印象だ。
ただ、端末として見た場合、細かい点に不満が残ったのも事実だ。たとえば、中央のワープアクションキーが他社の端末に比べて、今ひとつ操作しづらかったり、SDメモリカードのカバーが扱いにくいなど、ハードウェアとしての作り込みに甘さが感じられる。サービスとしてのムービーメールは非常に面白く、これを活かすためのアフレコやテロップといった機能が用意され、SDメモリカードにも対応しているが、携帯電話としてのごく基本的な部分に若干の疑問符が残るのだ。以前、iショット対応端末のレビューで、「端末は素晴らしいが、サービスは今ひとつ」という話を書いたが、A5301Tの場合は逆に「サービスは素晴らしいが、端末は今ひとつ」という印象だ。auとしてはA5301Tをフラッグシップモデルと位置付けているが、個人的には「本当にフラッグシップの名に相応しい端末なのか?」と疑問を持ったのも事実だ。
最終的な「買い」の判断だが、ムービーメールをはじめ、ezmovieで遊んでみたいというユーザーなら、検討する価値は十分にあるだろう。ただ、前述のように、端末の細かい部分の作り込みに甘さがあり、今後、A5300シリーズに新端末が出ないとは言い切れないので、その点は十分に考慮しておく必要がある。逆に、カメラ付きのCDMA2000 1x対応端末が欲しいということであれば、今年春から販売されているA3012CAも含め、各機種を十分に比較する必要があるだろう。
また、auのラインアップとして見た場合、昨年に引き続いて、ムービー対応モデルが東芝製端末のみというのも厳しいのではないだろうか。できることなら、東芝製端末と競争するような立場の強力なライバルの登場を期待したい。
・ ニュースリリース(au)
http://www.kddi.com/release/2002/0826/
・ 製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/a5301/a5301.html
・ 製品情報(東芝)
http://www.toshiba.co.jp/product/etsg/cmt/au/a5301t.htm
・ A5301T(ソリッドネイビー)
・ au、動画メール対応機などカメラ搭載4機種を発表
・ au、1パケット0.1円になるオプションパックなどのサービスを追加
・ ムービーケータイ向け動画コンテンツ作成ソフトの新バージョン
(法林岳之)
2002/10/09 14:29
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