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第7回:iモード成功の理由
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Felix Mobile 飼い主と一緒に日本へ来た、アメリカはシリコンバレー育ちのシャム猫。現在は横須賀、京浜急行の野比駅近くに住む。育った場所がら、モバイルにはちょっとうるさい“モバイル評論猫”。 |
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2010年への夢トリップでマムと離ればなれになってしまい、非常に寂しい思いをした。そのようなこともあって、ここのところずっと家の中にいる。いつものようにマムといっしょに新聞を読んでいるとiモードが@ニフティーを抜いたと言うではないか。サービス開始から1年間で500万加入を達成したのだから驚異だ。
■ iモード成功の理由を探る
今回は、このFelix Mobileが i モード成功の理由に迫る。
手始めにここ数ヶ月の新聞を調べてみる。NOKIAやTI(Texus Instruments)の社長など多くのオピニオンリーダーが、PCの時代は終わりケータイの時代がくると言っているではないか。それも、まるでケータイはドラエモンのポケットのごとく、何でもできると言わんばかりだ。このような強気な発言もiモードが成功したから出て来たんじゃなかろうか。
さてさてiモードのような携帯インターネットサービスを始めれば、誰でも成功するような意見が多いが、はたしてそうだろうか。疑問だ!! マムの家には日経新聞はあるが、日経コミュニケーションなどの情報誌はないので、インターネットを駆使して調べることにした。
■ なぜiモードだけが成功したのか
その結果わかったことは、iモードが最初の携帯インターネットサービスではなかったということだ。iモード以前に、アメリカではCDPDという無線パケットシステムを利用し、AT&TがPocketNetというサービスを提供していた。やっぱり、オイラの故郷のアメリカが一番最初だ。日本でもアステルがmozioというサービスを提供していた。しかもmozioはPHSの位置検索機能を利用して、自分の所在地近辺の情報表示を可能としている。iモードにもない優れたサービスだ。しかし 、これらのサービスがユーザ数を急速に伸ばし、成功したという話を聞いたことがない。これまでのところiモードだけが成功したと言える。その理由は何だろうか。
サービスを構成する要素としては、
・端末
・通信システム
・コンテンツ
・ビジネスモデル
が考えられる。それぞれについて考察していこう。
■ 「数は力」のネットビジネス
まず、端末だ。PocketNetやEZweb/accessなど、他のサービスの端末に比べてディスプレイが大きい。他サービスの端末は、通常の携帯電話のディスプレイと同じサイズだ。一目で見られる文字数も少ない。gifファイルを見るなんて不可能だ。それに対して、iモード端末、特にN502iなどは、ディスプレイが競合他社の倍ほどもある。簡単なイラストやポートレートを見るぶんには、充分な大きさだ。
次に通信システムだ。PocketNetはパケットシステムだが、mozioは回線交換システムを利用している。回線交換システムは一般的に時間課金だ。アクセスしたサイトの内容を読んでいる間も課金されてはかなわない。携帯インターネットサービスでは、フラット課金あるいは情報量課金でなくては使い物にならない。これはiモードだけでなく、EZweb/accessやJ-Skyサービスも、情報量課金システムを導入していることから見ても、明らかだ。
ただし、J-Skyがパケットシステムであるかは不明だ。一定時間データの送受信が行なわれないと回線を切り離し、再要求があった時点で再び回線接続しているシステムかもしれない。この場合は、夕方など非常に多くの人が利用している時間帯では、一度回線をリリースすると次にアクセスしても回線を確保できないことがあるはずだ。とは言っても情報量課金であることには変わりないので、ダウンロードされたコンテンツをゆっくり読むことができるので問題ないだろう。
3番目の要素であるコンテンツも成功を左右する重要な要素だ。単に、数が揃っていれば良いというものではなく、カバーする領域が広いことの方がより重要だ。さらに各コンテンツの質が高くなければならない。現状はゲーム端末化しつつあるiモードだが、サービス開始当初から全都市銀行がモバイルバンキングを提供していたし、朝日/毎日/日経という全国紙がニュースを提供していた。航空機の予約や各種チケット予約も最初からあり、サービス開始当初から基本となるコンテンツは揃っていた。
じょじょにコンテンツを増やせばよいと考えがちだが、それは間違っている。最初からユーザーが満足感を抱くことが重要だ。短期間にユーザーを増やすためにはある一定以上のコンテンツが必要であり、ユーザーを集められればコンテンツも増える。コンテンツが増えれば、ユーザーも増える。このポジティブスパイラルによってiモードのユーザは急激に増えたといえる。ドコモと関係のないサイト、いわゆる「勝手サイト」も含めるとiモードのサイトは、1万サイトとも言われている。
ネットビジネスでは、「数は力なり」だ。ある一定数以上ユーザが増えれば、金が埋まっているマーケットとして認識される。金を掘り出そうとインフォメーションプロバイダーが集まるわけだ。今のiモードマーケットは、ゴールドラッシュ状態だ。
■ iモードサービスのキーワードは“Win Win”
最後にビジネスモデルだ。新聞等におけるiモード開発担当者への取材記事を読むと“Win Win”という言葉がよく出てくる。これは、ビジネスパートナーが、双方共に利益を分かちあうということだ。パートナーの関係が主従関係でなく、イコールであることが特徴だ。アメリカ生まれのオイラとしては 、モバイルコミュミュニケーションを利用した情報提供サービスといえば、モトローラの“EMBARG”を思い出す。申し訳ないが正確がスペルを忘れてしまったが、ポケベルを利用してUSA Todayの記事を配信したサービスだ。いくら支払ったか知らないが、モトローラがUSA Todayからニュースを買ってボケベルに配信していた。ニュースの購入費に対して、ユーザ数が伸びず、思ったような収益を上げられなかったという話だ。
移動通信を利用した情報提供サービスは通信事業者だけが頑張ってもだめだ。通信事業者と情報提供事業者IPが共に頑張って、はじめて成功する。安易にお金を出してコンテンツを買いたくなるが、それは不毛への道を歩みだしたことを意味する。通信事業者よ、携帯電話やPHSをタダみたいな価格でばらまくような愚行を二度とすべきではない。
くれぐれも言っておきたいのは、iモードみたいなサービスを提供すれば誰でも成功するのではないということ。iモードは 何本もの針に糸をうまく通せたということだ。
■ URL
ドコモiモードサービス情報
http://www.nttdocomo.co.jp/i/
EZwebサービス情報
http://www.ddi.co.jp/cellular/service/ezweb/ezweb.html
EZaccessサービス情報
http://www.ido.co.jp/cdmaone/ez/index.html
J-Skyサービス情報
http://www.j-phone.com/web.html
AT&TのPocketNetサービス情報(英文)
http://www.attws.com/personal/pocketnet/
(Felix Mobile)
2000/05/19 00:00
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