レビュー
海外でもかざして支払える
海外でもかざして支払える
ドコモの「iD/PayPass」を体験!【後編】
(2014/1/27 12:05)
おサイフケータイ対応スマートフォンを海外のショッピングでも使えるという、NTTドコモの「iD/PayPass」。国内のiDと同じように、かざすだけで支払えるポストペイ型のモバイル決済手段として普及が期待されるこのサービスが、2月5日から正式に始まる。
前編では「iD/PayPass」の概要をご紹介したが、後編の今回は、すでにサービスが先行スタートしているハワイのオアフ島にて、実際にどんな感じでショッピングなどに利用できるのか試した様子をレポートしたい。なお、「iD/PayPass」の利用条件について改めて整理すると以下の通りだ。
- DCMXのクレジットカードを所有しているユーザーが対象
- おサイフケータイ(FeliCaとNFCの両方)に対応しているスマートフォンが必要
- 対応店舗であれば、スマホをかざして、国内ではiD、海外ではPayPassで支払える
1月いっぱいは先行トライアル用のiDアプリがダウンロードでき、専用サイトで利用方法などをチェックできる。まだDCMXのクレジットカードを持っていないという人は、ひとまず正式サービス開始の2月5日までに申し込みを済ませておこう。
「iD/PayPass」体験一発目はマクドナルドで
ハワイと言えば、今回まで一度も行ったことのない筆者としては、単純に「海がきれいで暖かい南の島」とか「芸能人がバカンスに訪れるところ」といったイメージしかなかった。しかし実際に訪れてみると、オアフ島のワイキキビーチ周辺に数多くのお店やホテルが建ち並び、少し離れた所には「アラモアナセンター」という巨大ショッピングモールなどもあり、海水浴だけでなく買い物もバッチリ楽しめる場所だ。一方で、内陸の山間部には壮大な自然も残っており、トレッキングや動植物の観察など、アウトドアアクティビティも盛んだ。
世界的な観光地で、あらゆる国の人々が訪れる中、日本人観光客の割合はかなり高く、誇張ではなしに、すれ違う2~3人に1人は日本人ではないか、と思われるほど。そういうこともあって、大きなお店やホテルでは日本語がある程度通じる場合もあり、英語が全くわからなくても戸惑うことは少ない。“初海外”の人にもお勧めできる旅行先だろう。
街中はアロハやTシャツ、短パンにサンダルといったラフな格好の人ばかり。サーフボードを抱えている人はいるけれど、それ以外の荷物やカバンを持っているビジネス風の人はまず見ない。ビーチを歩くにしてもショッピングするにしても、防犯や落とし物対策を考えれば、レジャーで訪れたハワイではできるだけ余計な荷物は持ち歩きたくないものだ。そういう点では、スマートフォンが財布代わりになる「iD/PayPass」はハワイにうってつけと言える。
そんなわけで、日本時間の夜に成田を出発。時差の関係から同じ日の早朝にハワイに到着した後、最初に訪れたのは充実のモーニングセットがラインナップしているマクドナルド。ワイキキビーチから徒歩5分程度のクヒオ・アベニュー沿いに位置していて、すぐ近くには大きな免税店「DUTY FREE SHOPPERS(DFS)」もあり、買い物で歩き疲れてちょっと休憩したい時にも便利な立地だ。
このマクドナルドの店頭の端末にはPayPassのマークがなかったため、店員に念のため尋ねたところ、問題なくPayPassが使えるとの回答。メニューから注文して店員が指示したタイミングでかざすだけで、すんなり支払いを完了できた。場合によっては、スマートフォンをかざしても反応しにくい時があるとのことだったが、筆者が支払った時は一発で処理され、普段よく使う電子マネーと比べても違和感は全くない。
このように店頭や店頭端末にPayPassのマークがなくても、実際には使えることがある。マクドナルドに限らず、本当に使用可能かどうかは、一言、店員に確認してみてもいいだろう。
「ドコモ ワールドカウンターハワイ」はドコモユーザーの強い味方
次に向かったのは、DFSの向かいにあるワイキキ・ショッピング・プラザ内の「ドコモ ワールドカウンターハワイ」。ここはハワイに存在するキャリア運営のショップで、ユーザーサポートまでカバーしている。同店舗ではハワイ在住者向けの端末を数種類販売しているが、どちらかというと旅行者のサポート業務がメイン。困ったことがあった時はとりあえずここに駆け込めば、日本語で丁寧に対応してくれる。
取材したタイミングは12月中旬の平日だったものの、相談に訪れる客はほとんど途切れることがなかった。端末の使い方に関する一般的な疑問を聞きに来る人はもちろん、海外でのパケット定額サービスが正しく設定されているかどうかを念のため確認するために来店する人も少なくないとのこと。設定を1つ間違えれば“パケ死”してしまう海外で、きちんとしたキャリアショップで気兼ねなく相談できる点は、やはり心強い。
また、ドコモ ワールドカウンターハワイでは、「iD/PayPass ハワイマップ」なる案内チラシを配布している。ハワイで「iD/PayPass」が使える主要なお店を地図付きで紹介しているので、「iD/PayPass」を使ってショッピングしたいと思っているなら必ずゲットしておこう。地図には付近の施設などもあわせて表示されているので、ガイドマップとしても参考になるはずだ。
さらに「iD/PayPass ハワイマップ」であわせて紹介されている、ワイキキビーチ付近やアラモアナセンターを周回する「ドコモダケトロリー」の無料乗車券も要チェック。QRコードを読み込んで専用サイトにアクセスすると無料乗車券が表示され、それをドコモダケトロリーの運転手に提示すれば無料で乗車できるというものだ(3月30日まで)。
ドコモダケがラッピングされているトロリーでのみ有効となり、他のトロリーには使えないので注意しなければならないが、同サイトでは現在走っているドコモダケトロリーの位置をほぼリアルタイムで把握できる仕組みになっていて、タイミングをあわせて乗車するのは容易。筆者もすかさずドコモダケトロリーに乗り込んで、次なる目的地「アラモアナセンター」を目指した。
なお、「iD/PayPass」で支払うだけならデータ通信は発生しないのでパケット代はかからないが、モバイルネットワークでWebサイトにアクセスする場合は国際ローミングサービスでデータ通信するため、その分、パケット代がかかる。ちなみに「海外1dayパケ」のハワイでの料金は24時間定額で1580円、「海外パケ・ホーダイ」は1日最大2980円だ。それぞれ適用条件や設定方法を、ドコモのWebサイトなどで確認しておくといいだろう。
お土産を買うならクッキーがベスト!?
アラモアナセンターは、290以上の店舗が集まる“ハワイ最大の総合ショッピングセンター”。ワイキキビーチからは離れているが、トロリーに乗れば、一番離れた場所からでもせいぜい20~30分ほどで到着する。各種ブランドショップや露店風のアクセサリーショップ、イベントスペースのほか、各国の料理が集まるフードコートなどがあり、「iD/PayPass」が使える店舗ももちろん入居している。
中でも、お土産に最適なファッション・アクセサリーなどを取り扱っている「Macy's(メイシーズ)」が「iD/PayPass」に対応する一番大きなデパートになる。ただ、すでにさんざん歩き回って疲労を回復したかった筆者は、トロピカル感たっぷりのスムージーを販売している「JambaJuice(ジャンバジュース)」で喉を潤すことにした。ここでは店頭端末にPayPassのマークがしっかり表示されており、店員に確認するまでもなく、まさにスムーズに「iD/PayPass」で購入できた。
ところで、最近のハワイの流行はどうやら“クッキー”らしい。JambaJuiceでも販売しているが、ハワイの各所で見受けられる「The Cookie Corner」や「Honolulu Cookie Company」というお店が人気で、クッキーブームを巻き起こしているとか、いないとか。残念ながらHonolulu Cookie Companyは、確認した限りでは「iD/PayPass」を利用できなかったものの、ワイキキビーチ近くにあるシェラトン・ワイキキ・ホテル内のThe Cookie Cornerは「iD/PayPass」に対応している。
一般的な小さく歯ごたえのあるクッキーや、しっとりとした柔らかめの大きなクッキーなどがあり、それぞれで多彩なフレーバーを楽しめる。ハワイのお土産といえばマカダミアナッツチョコが定番中の定番だったけれど、The Cookie Cornerは店構えやパッケージがオシャレなこともあって女性受けも良さそうだし、お土産に買って帰れば少しばかり“通”を気取れるかもしれない。ちなみにここで購入したクッキーは、お土産にすることなく、その場で胃袋に収まった。
アウトドアアクティビティも「iD/PayPass」で
ここまでは「iD/PayPass」をほとんど“食”にしか使ってきていないが、もちろん他のジャンルのお店でも利用できる。たとえばハワイの名所を楽しめるツアーの料金も「iD/PayPass」で支払えるのだ。ワイキキ・ショッピング・プラザの隣の建物に窓口を構える「Affordable Tours」では、ハワイの人気スポットをガイド付きで巡るツアーのほか、ダイビング、スノーケリング、クルージングなどさまざまなアクティビティプランを用意。ハワイの魅力をとことん満喫できる。
丸1日遊べるプランのほか、半日で済むプランもあって、お試し程度にサクッと見て回りたいという人にもぴったりだろう。筆者は前日のうちに「MANOA WATERFALL HIKING ADVENTURE」を予約。今回は残念ながら時間の余裕がなかったため、翌朝8時にホテル前でツアーバスにピックアップしてもらい、昼の12時には戻れるプランをチョイスした。
内容としては、映画「ロストワールド」のロケ地にもなったという密林の中を歩き、高さ46mのマノアフォールと呼ばれる滝を目指すもの。歩く距離は往復数km、時間にして2時間ほどと長くはないものの、行程のほとんどがぬかるんだ道。短時間に雨と晴れがめまぐるしく移り変わるやっかいなコンディションが“冒険感”をちょっぴり刺激する。とはいえ、急な登りはないので、山登りが苦手な人でも全く問題ない。
最低限、歩きやすいようにスニーカーは必須だが、持っていると便利な虫除けスプレーやストック代わりの棒はガイドが用意してくれる。すれ違った人の中には雨に備えてカッパを羽織っている人もいたけれど、引率してくれたガイドによれば「晴れた時に蒸し暑くなるから軽装が一番いい」とのこと。その他、オアフ島の植生や地形、地下水流を随時詳しく説明してもらいながら無理のないペースで移動しつつ、参加者全員が無事滝にたどり着くことができ、値段に見合う満足度の高いツアーになった。
ちょっとした買い物でも小銭を増やさず身軽でいられる「iD/PayPass」
これ以外にも、スポーツシューズを販売している「Foot Locker(フット・ロッカー)」や、現地にあるセブン-イレブンでも「iD/PayPass」を利用できる。食事も、日用品も、観光も、スマートフォン1台でカバーできてしまうわけだ。しかし今のところは、ハワイのあらゆるお店が対応している、とまでは言えない状況であることは確か。ホテルやタクシーでは使えないし、クレジットカードを扱っているお店でも古い読み取り機をずっと使い続けているパターンが多く、比較的新しいサービスであるPayPass対応の読み取り機を設置できていないところも少なくない。
そのため、現金もクレジットカードも持たず、旅行中スマートフォン1台だけで過ごす、というのはさすがに厳しい。普段の支払いに使うクレジットカード、チップや緊急時用としての現金、ちょっとした買い物で小銭を増やしたくない時のための「iD/PayPass」、というように、用途やシチュエーションに応じて使い分けるのが賢い活用方法だと思う。
というわけで、いよいよ2月5日からはアジアや北米、ヨーロッパなど世界60カ国約160万カ所でも「iD/PayPass」を使えるようになる。海外での支払い方法の選択肢が1つ増えることになるわけだが、国内でiDを使ったことがあるなら、同じ感覚、同じ使い勝手で、身軽に買い物を楽しめる「iD/PayPass」を、ぜひ一度体験してみてほしい。