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「mineo」新料金プラン発表、ケイ・オプティコム津田氏一問一答

 18日、ケイ・オプティコムはMVNOサービス「mineo」の新料金プランなどを発表した。同社のモバイル事業戦略グループ グループリーダーの津田和佳氏への囲み取材における、主な内容をお届けする。

――キャンペーンの金額が大きい。収益に影響しないのか。

津田氏
 今回のキャンペーンにはコストを使う。あれくらいやらなければ、楽天など競合のなかで戦うのは厳しい。今回、ドコモ回線の提供開始は、第2のサービスインのようなもの。これで挽回していきたいということで費用をかける。

――10万契約はいつ達成できるか。

津田氏
 できれば、ドコモ回線のサービス開始から1カ月ほどで達成したい。

――計画を前倒しするのか。

津田氏
 当初は「5年で100万契約」を掲げていた。1年経過して蓋を開けてみると、10万件を目標にしていたところ、7万件に留まった。その理由はいくつかあるが、一番大きいのは、競合がここまで増えるとは想定していなかったということ。MVNOへの参入は当初、通信事業者が主体だったが、さまざまな業種から参入が相次いだ。今のままでは(目標達成が)もっと遅れるかなと。ドコモ回線のMVNOを開始することで、なんとか5年(で100万件)を達成したい。想いとしては前倒ししたいが、今回の事業での推移を見ていきたい。

――どちらかと言えば100万件達成のためにドコモ回線も必要だった、ということか。

津田氏
 社内では「ドコモ回線を入れるなら、100万件ではなくもっと上を」という目標はある。まずは(100万件を)達成するために(ドコモ回線の提供を)始めた。

――海外滞在時用のプリペイドも100万件に含まれるのか。

津田氏
 海外用は先を見据えている。まずは利用してもらい、数年後、それなり(の規模)に獲得できればと思うが、100万のなかには含めていない。その形で投資を回収できるようやっている。

――海外用プリペイドの価格設定は、ぎりぎりのラインなのか。

津田氏
 アイルランド企業と提携してサービスを提供することになったが、我々が自由にコントロールできないものになっている。そのなかで、先方とこちらでの取り分を考えている。一般的なモバイルルーターレンタルサービスや、大手キャリアのローミング料金を踏まえて設定した。一般的なモバイルルーターレンタルは、いろんな企業のものをみると、670円程度。海外出張であればレンタルを利用するだろうが、個人での渡航では結構我慢して、無料のWi-Fiでなんとかなるか、ということもある。当社のサービスであれば、そうしたサービスと同等であれば個人でも利用していただけるだろう。もっと下げられないか、というところではまだ余力を持っているのが正直なところ。

――MVNOの料金競争は一巡したとみることもできる。これからは?

津田氏
 あるMVNOでは、業界最安値を追求すると聞いている。我々はあまりそこは目指していない。今回提示した、700円、800円、900円という価格帯は、「それくらいであれば、皆さん使っていただけるかな」と思っている。これ以上、安い料金は考えていない。既存のmineoユーザーからも、料金を下げるよりも品質をしっかりしてほしい、という声が寄せられている。そこをすごく意識して考えたい。これ以上、値下げすることは今のところ考えていない。

――他社のなかには、昼間繋がらない、という話もあるようだが、mineoは品質に自信があると。

津田氏
 我々も、サービス開始から数カ月、利用者が増えてきたときに「昼間、遅い」と言う話があり、特に2ちゃんねるで書かれていたこともあった。社内で検討した結果、そこはしっかり応えていこうと。これまでも関西でFTTHサービスを提供しており、品質には絶対の自信がある。MVNOになったからといって「多少悪くても」ということはなく、しっかりしたものを届けていこうとなった。そこは自信を持っている。

 ただ、大手キャリアとまったく同じように使えるのか、というと、そこはコストの問題もある。みなさんにご理解いただきながら、使える範囲を、まず昼休み(時の利用)はしっかり(品質を)保っていきたい。それ以外の時間は快適に利用できるが、品質にはこだわっていきたい。

――今後は、ドコモプランに注力するのか。

津田氏
 auのMVNOという存在は、我々のほか数社。レッドオーシャンではなく、現状でも戦っていける。気持ちとしてはauプランと均等にやっていきたい。ただ、ドコモ回線でのサービスは後発になるので、どう取り組むべきか。既存ユーザーの間では、mineoというブランドに対して、先進性や親しみやすさが根付いてきていると思う。そこを広めつつ、「同じ使うなら、mineoにしよう」となるよう、相乗効果を狙いたい。

――au回線とドコモ回線のどちらがいいのか、ユーザーにはどう説明していくのか。

津田氏
 現時点で、実際、我々が使ってみて実感するのは、「auのLTEのカバー範囲は広い」ということ。LTEに慣れると3Gには戻れない。“速く、サクサクをより広いエリアで”というユーザーにはau回線がいい、とオススメする。ただ、山間部でも必ず繋がるということを求めるならドコモ回線かなと、今の段階ではそう思う。大手キャリアも今後、設備増強やエリア拡充を実施するだろうが、現時点ではそういう説明になる。また、使いたい端末がある、SIMを挿したい、という声もある。いずれ、auでもドコモでも繋がる機種はもっともっと出てくるだろう。

――iPhone問題が全面解決することへの期待感は?

津田氏
 以前から申し上げている通り、KDDIとアップルに申し入れをしている。具体的に進展があるかというと、まだ申し上げることはできない。解決に向けて、いろいろ取り組みをしているのは確か。プロファイルの話は、我々としてそこまで至らず、ある会社から情報を得てやっているなか、糸口が見えている部分とあきらめざるを得ないところもある。全てのiPhoneでauのSIMが使えることを求めているので、ユーザーの声を吸い上げて、全面解決することを祈っている。

――ドコモ回線は相互接続か。

津田氏
 au回線と同じくL2接続だ。MVNEを介さず、直接やっている。

――ソフトバンク回線はどうか。ソフトバンク版iPhoneのユーザー数は相当数いると思うが。

津田氏
 au、ドコモときたので、次は、ということもあるが、ユーザーへの売り方をまだ考えておらず、今のところ計画にはない。そういう要望があれば考えていきたい。

――即時MNP対応について、競合他社も対応しているが、同じ仕組みか。

津田氏
 おそらく同じ仕組みになるのではないか。

――他社はオンラインでの手続きだが、mineoでは電話受付になる。

津田氏
 ドコモ側の仕組みのため、詳しくは申し上げられないが、我々としては、ドコモの手続き用端末を介している。au回線ではオンラインでの手続きに対応しており、早ければ5分で使えるようにしている。ドコモ回線でも同じようなことを検討していきたい。

――ドコモ回線向けの端末はmineoロゴを入れるのか。

津田氏
 あまりmineoのロゴは入れないかなと思う。我々だけが売っていくのではなく、我々の基盤をさまざまな企業へ展開したいと思っている。そうしたなかで、コストをかけてmineoのロゴを入れるよりも、メーカーブランドのほうが望ましいと思っている。

――ショップは今後拡充するのか。

津田氏
 したいとは思うが、費用がかかる。大阪の店舗がオープンしてから1カ月経ち、手応えはある。もうすぐ社内で検討していく。

――梅田の次は東京か。

津田氏
 そういう声はよく聞く。東京でやるほうがいいのか、あるいは関西が地盤なので、大阪の次は神戸や京都か……今回は大阪のキタに出店したが、ある事業者さんが出店したミナミ(楽天モバイルが心斎橋に出店した)のほうでやると盛り上がるかなとも思う。具体的な計画はこれから。

――mineoの開始当初は、関西色を出さずにいく、という方針だったが関西の出店を強化する可能性があるというのは、方針を変えたのか。

津田氏
 mineoが全国向けという方針は変えていない。ただ、関西が地元で、150万件のFTTHユーザーが存在する。そうしたFTTHユーザー向けの訴求は、全国向けとあまり変わらずやってきたが、今後は足元を固めるという考えは社内でも出てきている。具体的にどうやるかは今後。関西色を押し出すのではなく、関西でもっともっとお客さまにしっかり拡げていきたい。

――UQ mobile登場の影響は?

津田氏
 具体的なUQ mobileさんの契約数は、KDDIさんから教えてもらえないが、ガクッと下がったかというと、そこまでではない。

 むしろ、au回線のMVNOといえば当社かUQ mobileか、という形になって、双方がプロモーションを実施しており、競争の効果、相乗効果が出ていると思っている。

――年度末には20万契約を達成できそうか。

津田氏
 我々としては必須だと思っている。(2015年末はどうか? という問いに)それは9月のドコモ回線の開始による。1年前は、事前予約で1万件を超えた。auのユーザーからももう一度注目してもらい、最低利用期間を先日撤廃したことで、ぜひ一度、mineoを利用してもらい、我々の良さを体験してもらいたい。

――iOS 9は大丈夫そうか?

津田氏
 それはあまり軽く言うとですね(笑)……。ドコモ回線ではなんとかいけると思っている。au回線は登場してから検証したい。

関口 聖