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Windowsスマホに意欲、フィーチャーフォン不要論――ソフトバンク宮内社長が語る

 「Apple Watch」、そして「Androidスマホの新機種」、隠し球に「WindowsタブレットのSurface」――19日、ソフトバンクモバイルの2015年夏モデルを紹介する中、代表取締役社長の宮内謙氏が触れたのは、現在のスマートフォン/タブレット市場を占有するアップルとグーグル、そして今夏の新製品で一気に注目度が増したマイクロソフトのプラットフォームだ。

Apple Watchを紹介する宮内氏

 さらには、質疑応答を通じて、Windowsスマホやフィーチャーフォンへの考えも宮内社長はコメント。新機種や新サービスの紹介に留まらず、今後のソフトバンクモバイルの製品ラインアップが垣間見える場となった。

3つのプラットフォームを30分で

 宮内氏はプレゼンテーションの冒頭人々のライススタイルがスマートデバイスによって進化してきた、と語る中で、Apple Watchの利便性を紹介する。

 Androidスマートフォンを新機種に添えつつ、アップル製品を最初に紹介するのは、iPhoneをかつて独占的に提供してきたソフトバンクらしいスタイル。だが、実際に新機種を紹介する段になると、「Androidのフルラインアップ」と呼び、ハイエンド機種を取り揃え、さらには、AndroidのマスコットキャラクターとソフトバンクのCMキャラクターを組み合わせた「シラトロイド」まで紹介。Androidへコミットする姿勢を強調する。

AQUOS CRYSTAL 2を手にする宮内氏
シラトロイド

 ヤフーとの新サービスの紹介を挟み、続けて紹介されたのはWindowsタブレットの「Surface 3」のLTE版。ソフトバンクモバイルではなくワイモバイル(Y!mobile)ブランドの製品として取り扱われるものの、プレゼンテーション開始から、ここまでわずか30分。短時間でソフトバンクグループとして、3つのプラットフォームを取り揃えたことをアピールした。

 こうした取り組みの背景について宮内氏は、iPhone登場時はスマートフォンの黎明期で「そのときは一点突破」であり、スマホ市場が成熟してきた現在はラインアップを拡げ、サービスを拡充し、ユーザーに新たな体験を提供することが重要と説明。今回の新商品群は、「(Androidスマートフォンは)ハイエンド路線をどんどん揃えるというメッセージ」と語る。

Windowsスマホ「順次やっていきたい」

 Windowsタブレットの「Surface 3」を手がけることから、質疑応答ではWindows搭載スマートフォンへの考えを問う質問も挙がる。

 これに宮内氏は「今後、順次やっていきたいなと思っている」と前向きな回答。具体的に明らかにできるものは現時点ではないようだが、Surface 3の取り扱いを受けて「マイクロソフトとリンクしているのでやっていける」と期待感を煽るコメントを残した。

フィーチャーフォン「必要ない」

 一方、先んじて発表があったNTTドコモやauの夏モデルでは、Androidベースのフィーチャーフォンが含まれていたところ、ソフトバンクではAndroidベースのものを含めフィーチャーフォンの新機種が今回、案内されなかった。

 果たしてどういった考えか、問われた宮内氏は「順次、少数では出していく。提供しなきゃいけないと思っている」と前向きな姿勢をいったん見せる。

 しかし、続けて「でも本質的に、最終的に必要ないのではないか」と述べて、フィーチャーフォンを提供することに疑問を呈した。宮内氏によれば、60代のスマートフォン利用率は5%に満たないものの、そうしたユーザー層ではスマートフォンを使ってみたいという欲求が高まっているという。ちょっとしたトラブルでフィーチャーフォンに戻る人はいる、としつつも、店頭へスマートフォン、タブレットの扱いに習熟したスタッフの配置を強化していく方針を明らかにした。

サービス面での取り組みは……

 サービス面では、Yahoo!ショッピングとの連携強化が、新たな、そして具体的な取り組みとして紹介された(※詳細記事)。

 また2015年度中には、IBMが開発したディープラーニングによる人工知能「Watson(ワトソン)」を活用したスマートフォン向けサービスの提供も明らかにされた。今回紹介された例は「学習塾で学ぶ学生の適正にあわせた勉強法などのアドバイス」「遺伝子情報、身体の状態から見たヘルスケアのアドバイス」「食生活情報を元にしたアドバイス」といったもので、月額制などサービスの詳細は検討中ながら、具体的なサービスとして提供される予定という。Watsonによるサービスは、ある文章やデータを投げかけると、定型文が返信される、といったものではなく、事前に膨大なデータを学習させておくことで、ユーザーの現況から最適なものを分析して導き出す、という形になる。

 一方、夏モデル発表会に先駆けて案内されていた、ヤマダ電機との提携、あるいは東京電力と電力販売に関する検討といった発表については、今回触れられることはなかった。

ワイモバイルは買いやすい価格帯

 4月から新たな組織となり、ワイモバイルとソフトバンクモバイルが1つの会社になった。宮内氏は「ワイモバイルとソフトバンクの社内組織は分かれている。ワイモバイルのプライシング(値付け)は少し、買いやすく価格帯にする。(ソフトバンクモバイルとは)データ通信が中心という点の違い。2ブランド作戦を続けたい。どちらが強い/弱いということではない」とした。

関口 聖