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「これで初めて売上が立つ」~SmartNewsが広告事業、NPOは無償で
DAUは200万人、MAUは400万人に
(2014/12/1 18:41)
ニュースアプリ「SmartNews」を展開するスマートニュースは、12月1日、プライベートイベントを開催、新たに広告ネットワーク事業をスタートすると発表した。あわせてこの広告枠に、無償で非営利団体が出稿できるプログラムも開始する。講演では、デイリーのアクティブユーザー数(DAU)が200万人、月あたり(MAU)が400万人を超えることも明らかにされた。
広告ネットワーク事業を開始、メディアへの還元分も
スマートニュースが今回、始めたのは、動画広告を配信する「SmartNews Premium Movie Ads」と、ネイティブ広告を扱う「SmartNews Standard Ads」の2種類。どちらも「SmartNews」のアプリ上で表示される。また新たにネイティブ広告を複数のWebサービス上で展開する広告ネットワーク「SmartNews Ad Network」もスタート。この広告ネットワークはmixiとともに開発したもので、グリー、DeNA、サイバーエージェント、産経デジタル、毎日新聞も同ネットワークに参加する。
さらに、好みの媒体をユーザーが手動で追加する「チャンネルプラス」内での「SmartNews Premium Movie Ads」と「SmartNews Standard Ads」については、その収益の40%をチャンネルプラス提供元メディアに対して還元する。この仕組みは「SmartNews MediaProsper Program」として提供される。
共同CEOの鈴木健氏は、プレゼンテーションにおいて「これまでほぼ売上がゼロのままやってきた。今日から、広告事業によって収益を立てることができるようになった。これを良質なコンテンツの提供元に還元したい」と語る。また目標の売上高については明言を避けつつ、「広告事業が順調に進めば、月で数億円程度の売上が上がっていくのでは」と予測する。
広告事業を担当する川崎裕一氏によれば、SmartNews上のタブ(チャンネル)の1つ1つに広告枠は2つあるとのこと。スマートニュース内にネイティブ広告のクリエイティブ部門は設けず、出稿主側が素材を用意していく形となる。動画広告は、企業側がもともと持つコンテンツを活用する考え。川崎氏は、知られていないものをSmartNewsを通じて伝えていく、と説明する。
「SmartNewsではユーザーの属性情報は取得していない」とのことだが、たとえば男性や女性では好む記事が異なる、といった傾向があり、普段の利用傾向をもとに属性を想定し、その属性にマッチした広告配信は今後、検討していくという。
NewsPicsと広告分野で協力
このほか、ニュースメディアの「NewsPics」も、新たな広告ネットワークに参画することもあわせて発表された。広告ネットワークだけではなく、さまざまな広告分野で協業する。NewsPicsを運営するUZABASE(ユーザーベース)の梅田優祐社長は、「スマートフォン時代になって、既存のシステムがリセットされた。僕らも社内でいろいろ検討したが、(SmartNewsの)川崎氏と話すなかで、思想が一致すると考えた。今、NewsPicsは独自の広告システムを作り上げたが、これとSmartNewsのシステムを一緒に統合し、繋げて連携していくことで、スマホ時代の新たな仕組みを作り上げていきたい」と意気込む。
プレゼンテーション後の囲み取材で、鈴木氏は「梅田氏と個人的に仲が良いので、可能性を話しながら探究したい。何か始めるかもしれないので楽しみにしていてください」とコメント。なお、SmartNews自身の内部に編集部を設立する計画はないとのこと。
非営利団体向けの無償プログラム
SmartNewsの広告枠で、非営利団体が無償で出稿できるプログラムも用意される。スマートニュース社では、公共に資する、というコンセプトも掲げており、既に政府情報を配信するチャンネルが開設されているほか、地震情報の配信も行っている。今回、そうした取り組みの一貫として、非営利団体が広告枠の一部を無償で活用できる仕組みが提供されることになった。
現在の、そしてこれからのSmartNews
今回、具体的な数字として初めて、DAUが200万人、MAUが400万を超えることが明らかにされた。利用傾向を見ると、7時、12時、19時と1日3回、アクセスのピークがあること、総利用時間が約800万時間に達していることも紹介され、他のニュースアプリよりも人気、かつきちんと利用されている、と鈴木CEOはアピールする。
技術面では、機械学習をポリシーとして、それを支える自然言語処理の研究をさらに進める考え。特に固有表現抽出については、文章の表現や揺れを解析し、より高度にマシンが意味を理解できるよう技術開発を進める。
人がニュースを選び、トップページに反映させるのではなく、機械が自動的に進めるという方針を重きを置くのは、「ニュースは中立でなければならない」「ニュースは多様でなければならない」「ニュースを世界中に届けたい」という考えがあるからだという。共同CEOの浜本階生氏は、データとして公平に扱い、さまざまな観点で記事を組み合わせるのはアルゴリズムの強みであり、世界に向けて配信するというパワーがいる作業もスケーラビリティを持つアルゴリズムだけができることだと説明していた。