ニュース

これが「グーグルのある生活」、台湾で見たその内容は

 グーグルは、19日、アジア・パシフィック地域のメディアを対象にしたプレス向けイベント「A Day with Google」を開催した。このイベントは、グーグルの製品を日々の生活における各シーンごとに紹介するというもの。「Chrome」「Googleマップ」「YouTube」「Googleドライブ」「Google Now」「Google翻訳」「Google Keep」「Google+」「ハングアウト」といった各サービスを、具体的な生活の場面に落とし込み、それらがどのように役に立つのかを見せていくスタイルのイベントとなっていた。

イベントは台北市内の「HUASHAN CULTURE PARK」で行われた。生活の具体的な場面で役立つグーグルのサービスを紹介するといった演出で、凝ったセットも組まれていた。写真はキッチンでYouTubeを紹介したときのもの

利用シーンごとに紹介されたGoogleのサービス

スポーツジムのコーナー

 たとえば、スポーツジムを再現したエリアでは、“健康とGoogle”をテーマに、役立ちそうなサービスが横断的に紹介された。音声検索で食材のカロリーや成分が分かる機能(残念ながら日本語には未対応)に加え、トレーニングの際にはフィットネスを解説したYouTubeの動画をまとめて見るためのプレイリストが活用できるという。こうした解説の合間に、各サービスの新機能も披露された。YouTubeは、再生中の動画を小窓で表示できるようになっており、ほかの動画を探しながらの視聴が可能になった。

スポーツジムのコーナーでは、検索やYouTubeを使った健康管理やトレーニングの方法が紹介された

 モバイルと関連の深いテーマとして取り上げられていたのが、トラベルのコーナー。ここでは、Google翻訳やGoogle Nowを使って、旅行をいかに楽しくするかといったプレゼンテーションが行われた。旅行の前にはGoogle Nowがフライトの情報を教えてくれる。これは、Gmailから情報を取得しているためで、航空会社からのメールを判別してプッシュで通知が送られてくる。遅延など、フライトに変更があったときも、Google Nowからお知らせが届く。Google Nowは、端末が国際ローミングしている場合、現地の通貨や翻訳などまで表示される。現地についたら、その場にふさわしい情報を自動的に得られるというわけだ。

トラベルのコーナーでは、旅に役立つサービスをアピール。Google Nowの機能が解説された

 言葉が分からないときに役立つのが、Google翻訳アプリ。入力方法に工夫がされているのが特徴で、翻訳したい言語を文字で打つだけでなく、カメラで撮って文字を認識させることも可能だ。グーグルの担当者によると、なじみのない言語や、そもそもキーボードに表示させる言語を翻訳する際に、この機能が役立つという。このコーナーでは、ほかにも、Google+に写真が自動で保存される機能や、Google Playで書籍が購入できることが紹介された。

Google翻訳は、入力した言葉を翻訳できるだけでなく、カメラで撮った画像内にある文字を認識して翻訳することもできる
Play Booksや、Google+に写真を自動アップロードする機能も、旅を楽しくしてくれるという

 Google Nowはベッドルームのコーナーでも、改めて解説された。Google Nowは「人とコンテクスト(文脈)が合えば、いつも同じようなことが検索される。であれば、聞かれる前に答えを出せば、より検索の理想に近づく」(担当者)という発想から生まれたもの。たとえば、ベッドから起き、最初に検索される情報が天気予報という情報に基づき、その時間帯には天気と気温がトップに表示されるようになっているという。直近では、新機能として電車の遅延情報も配信されるようになった。

Android端末のほか、iOSでもアプリで利用できるGoogle Now。新たに、電車の遅延情報も表示されるようになった
リマインダー機能は、まだ日本語に対応していない。時間と場所で、あらかじめ登録した情報をお知らせしてくれる

 また、英語版のGoogle Nowには、リマインダー機能が搭載されている。リマインダーは、あらかじめ指定した場所や時間に近づくと、Google Nowが登録した情報をプッシュでお知らせしてくれるサービス。日本での登場も期待される機能だ。Googleアカウントにひも付き、他のサービスと同様、マルチデバイス対応だ。「家でタブレットを使って設定した情報が、出先のスマートフォンで表示される」(同)。

 地下鉄のコーナーでは、リニューアルされたGoogleマップについての説明があった。PC、Android、iOSなど、すべてのマップが新しくなったが、これは「できるだけ地図を大きく見せるようにするため」(マップ プロダクトマネージャー Nabil Naghdy氏)。周囲にあるショップを検索すると画面下に情報が表示され、そこをフリックしていくと結果が切り替わっていくというユーザーインターフェイス(UI)が、共通で採用された。経路検索のUIも統一され、画面下に表示された情報をフリックで切り替える形となっている。

Googleマップの機能は、台湾の地下鉄を再現したセットの会場で解説された。機能の詳細はプロダクトマネージャーのNabil Naghdy氏(手前)が語った
地図を広く見せるため、シンプルさを強調した新しいGoogleマップ。現在、PC向けにはβ版が提供されている。AndroidやiOSのアプリも、テイストが統一された
衛星写真を3D化して表示できる。PC向けのChromeなど、一部のブラウザに対応。「Google Earth」とシームレスにすることを目指し、地図をズームアウトしていくと最終的には地球が表示される

 お気に入りとして星をつけた情報は、デバイスをまたがって表示される。これも、各種データがGoogleアカウントに紐づいているためだ。ただし、新しいGoogleマップは、以前、PCやAndroidのアプリで利用できた「マイマップ」に非対応となっている。これについてNaghdy氏は、「非常に愛されている機能で、よくお問い合わせをいただいている」と述べ、現在開発中であることを明かした。同様に要望の多かったペグマン(ストリートビューを表示させたい場所にドロップする人型のアイコン)も、PC版のGoogleマップで復活した。

検索して、店舗の情報をチェックし、お気に入りに登録するといった操作は、モバイルでも行える。ここで登録した情報は、PCやタブレットで閲覧する際にも共有される

“Google純正”のデバイスも展示

日本でもグーグルとイー・アクセス、それぞれから発売されたNexus 5。Google Playで販売されるバンパーケースも紹介されていた

 プレスルームには、グーグルブランドで販売されるデバイスも展示されていた。日本でも発売されたばかりの「Nexus 5」は、周辺機器も合わせて紹介されていた。新たに発売があきらかになったのは、「Qi」対応のワイヤレスチャージャー。マグネットでNexus 5を近づけるとピタッと止まる形になっており、サイズも非常にコンパクトだ。この充電器の販売は米国で始まったばかりだが、「アジアでも来年1月に発売を開始する」(担当者)という。担当者によると、日本での発売も予定しているという。

コンパクトなサイズのQi対応ワイヤレスチャージャー。小型だが、マグネットでNexus 5がピタッと止まる

 日本では未発売の製品だが、テレビ用端末の「Chrome Cast」も展示されていた。Chrome Castは、テレビのHDMI端子に接続するスティック型の製品で、ドコモが発売している「dstick」や、ソフトバンクが発売している「SmartTV」に役割は近い。Android端末と連携し、表示中の動画をテレビに映すことが可能となる。アプリ側の対応が必要で、現時点ではYouTubeやNetflix、Play movieなどを利用できる。

テレビに接続するスティック型端末のChrome Cast。操作はスマートフォンやタブレットで行う
Chrome Castを使い、タブレットで再生している映像をテレビに転送しているところ。ワンタッチでテレビとタブレットを切り替えられる。設定は、タブレット側にインストールされたアプリで行う。

 このほか、既存の製品にグーグル純正のUIを搭載した「GALAXY S4」と「HTC One」も展示されていた。これらは「Google Edition」と呼ばれる製品で、GALAXY S4が5月に開催されたイベント「Google I/O」で発表されていた。その後、HTC OneのGoogle Editionも発売されている。

Google EditionのGALAXY S4とHTC One。ホームアプリがAndroid標準のものになっているほか、SIMロックもかけられていない

 また、グーグル傘下の端末メーカー、モトローラの「Moto X」も展示コーナーに置かれていた。Moto Xは、筐体のカラーや背面のカバーを組み合わせることができ、2000種類以上のカスタマイズパターンを誇るスマートフォン。同社がグーグル傘下になってから設計されたといい、OSのUIもNexusシリーズに近くなっている。Android 4.4で取り入れられた音声操作がいち早く採用されたほか、省電力な状態で画面を点灯させて通知を表示する「Active Display」といった独自機能も搭載する。

モトローラが開発したMoto X。音声によるタッチレス操作などの機能を備える
筐体カラーはカバーのカラーに加え、カメラのリングやキーの色まで変えられる。会場にもさまざまなパターンのMoto Xが展示されていた

石野 純也