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京セラが「URBANO」「DIGNO R」の説明会、使いやすさを訴求

 京セラは、同社夏モデルとなるスマートフォン2モデルの説明会を開催した。

URBANO
DIGNO R

 2013年の夏、京セラはauとソフトバンクにAndroid端末を送り出す。au向けには「URBANO PROGRESSO」を進化させた「URBANO」(L01)を、ソフトバンク向けには、世界最軽量防水スマホをうたう「DIGNO R 202K」を投入する計画だ。両モデルともにハイエンド向けモデルではないが、京セラらしい特徴づけと使いやすさへの配慮が感じられるモデルとなっている。「URBANO」は6月上旬、「DIGNO R」は7月中旬発売予定。

大人のURBANO

 URBANOは、「上質感」や「使いやすさ」をキーコンセプトとした、auの“大人”のケータイブランドとなる。2008年に初代モデルが登場して以来、今回の夏モデルが5代目にあたる。京セラはURBANOブランド初のスマートフォンとなった「URBANO PROGRESSO」から、同シリーズを供給している。

大西氏

 京セラの携帯部門で商品企画を担当する大西克明氏によれば、URBANO PROGRESSOは、ディスプレイを振動させて音を出す「スマートソニックレシーバー」機能や端末の持ちやすさが評価され、40代を中心としたユーザーに支持されたという。

 夏モデルのURBANOは、ブランド名のみのシンプルな名称となり、フィーチャーフォンから買い換えるユーザーをメインターゲットに据えたモデルとなる。コンセプトは「Premium but Friendly.」で、そのまま訳せば「上質だが、親しみのある」となる。

 背面に丸みを持たせ持ちやすさを踏襲するとともに、金属を削り出したハードウェアキーを搭載し、落ち着きのある高級感を演出している。4色のカラーバリエーションが用意され、ブルーとブラックについては指紋が目立たないソフトフィール仕上げを採用する。

バッテリーの大容量化

 URBANO PROGRESSOから大きく変更された仕様の1つが、バッテリーだ。バッテリー容量は1500mAhから、2700mAhへと大きくなった。また、ディスプレイも4インチから4.7インチと大型化している。その一方で重量は139gから140gとほとんど変わらない。重さを維持できた背景には、基板の小型軽量化があるという。

 京セラの省電力機能「省電力ナビ」も用意されており、新たに「オート通信制御」機能と「タイマー設定」機能が追加された。スマートフォンでは、定期的にクラウドサービスなどの情報をチェックするといったように、多くのアプリがバックグラウンドで起動されている場合がある。

 「オート通信制御」機能では、1週間以上利用していないアプリについて自動的にバックグラウンドでの起動を停止し、無駄な電力消費をカットする。家庭内に言い換えれば、誰もいない部屋の電気を消したり、使わない家電のコンセントを抜いたりといった行為に近いと言えるかもしれない。「タイマー設定」では、就寝中や仕事中など、端末を使わない時間帯を設定しておくことで、その間は省電力モードになるというもの。

 なお、バッテリーの大容量化に伴い、同梱の卓上ホルダは急速充電に対応している。大西氏は30分の充電で約1日できると話していた。なお、この卓上ホルダはスマートフォンカバーを装着したままでも充電できるという。

 バッテリー関連では、オプションで非接触充電規格「Qi」(チー)に対応したバッテリーと充電台もラインナップする。非接触充電は急速充電に対応していないものの、バッテリー単体での充電もサポートしている。Qi対応バッテリーを装着して端末に同梱されている卓上ホルダを利用すれば、急速充電も可能となっている。

使いやすさ、楽しさへの工夫

 このほか、通話音質を調整して聞き取りやすくする機能や、ノイズキャンセル機能、相手の話す言葉がゆっくり聞こえる機能なども利用可能。カメラ関連では、従来よりもシャッター速度が最大2倍高速化したほか、夜景のノイズリダクション機能や一眼レフカメラのような背景ボケが楽しめる機能も用意される。

 生活ログ関連の機能としては、気圧センサーを搭載し歩数だけでなく高低差も記録できるようになったほか、消費カロリーの計算も可能。タニタの健康管理アプリ「Health Planet」とも連携する。

 フィーチャーフォンから買い換えるユーザーをターゲットとしており、「エントリーホーム」と呼ばれるシンプルなユーザーインターフェイスもプリセットされている。不在着信や新着メールがホーム画面ですぐに確認可能で、メニュー画面もフィーチャーフォンを意識したものが設定できる。

店頭では機能が体験できるアプリが用意される。

世界最軽量防水スマホ「DIGNO R」

川居氏

 ソフトバンク向けのDIGNO Rの最大のポイントは、防水モデルでありながら94gという軽さを実現したことだろう。京セラでは、世界最軽量の防水スマートフォンとしてアピールしている。

 スマートフォンが大型ディスプレイや、大容量のバッテリーを搭載する中で、端末の重さも増していった。DIGNO Rはそういったトレンドのアンチテーゼとも言えるモデルだ。フィーチャーフォンからの乗り替えユーザーをターゲットに据えたDIGNO Rは、とにかく軽い。重さや大きさが気になってスマートフォンに二の足を踏むユーザーに、コンパクトかつ軽量な上に防水対応であることを訴求していくという。

 京セラの商品企画担当である川居伸男氏によれば、軽さへのニーズはほとんどの世代で8割を超える高い評価を得るという。特に、年齢の高い世代や女性層ではその傾向が顕著で、フィーチャーフォンと同じような重さのスマートフォンにニーズがあるとする。

軽量化は「努力の積み重ね」

 軽量かつコンパクトで、しかも防水を実現するため、京セラでは基板のレイアウトを見直し、面積の小型を実現したという。また、端末内部のフレームをステンレスから超軽量マグネシウムに変更することで、従来の約半分の重さになった。

 さらに、ディスプレイを覆う強化ガラスは、AGC旭硝子の「Dragontrail」を採用し、それを加工して0.4mmまで薄型化。内蔵のリチウムポリマーバッテリーも一体成型としたことで、バッテリーカバーは外せないものの、コンパクトなモデルに仕上げられたという。

 細かいところでは、イヤホン端子だけでなくmicroUSB端子も防水対応としたことでキャップレス化し、iPhone 5などと同様にnanoSIMカードを採用するなど、軽量化した。一般に、防水モデルは放熱対策が課題になる。DIGNO Rは、CPUを制御することで必要以上に温度が上がらないよう設計されているという。川居氏は、軽量化やコンパクト化について「努力の積み重ね」と語った。

 幅60mmのDIGNO Rは、片手での操作を強く意識したモデルとなっている。たとえば、電車のつり革に捕まりながら、また、子供を抱きかかえながらの操作などの利用シーンを想定したという。

 しかし、コンパクトモデルでありながら4.3インチのHDサイズの液晶を搭載しており、小さすぎるといった印象は薄い。解像度は340ppiとなる。狭額縁設計で気になる端末の剛性についても、これまでの京セラの剛性基準を落としていないという。

ユニークなロック解除画面

 このほか、ソフトバンクでは初のスマートソニックレシーバーに対応し、フィーチャーフォンからの乗り替えを想定した「エントリーホーム」も用意されている。

 説明会後のタッチ&トライで印象的だったのは、ロック解除画面だ。一般的に、ロック解除画面は、ディスプレイの決まったところをタッチして、スライドさせて解除する方法が多い。DIGNO Rでは、ディスプレイのどこをタッチしても解除画面が表示され、そのまま指を滑らせるだけだ。ロック解除のみならず通話やカメラなどもすぐに呼び出せるため、利便性が高いと感じた。

 説明会では、DIGNO Rの重さを表すために、キュウリやナス、おにぎり、石けん、新聞などが用意されており、いずれもDIGNO Rの方が軽かった。ただし、用意された中では、グリコのポッキー(極細)だけはDIGNO Rよりも軽かった。

津田 啓夢