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ソフトバンク、気球を使った無線中継システムの実験結果を報告

ソフトバンク、気球を使った無線中継システムの実験結果を報告

 ソフトバンクモバイルは、災害時などに通信障害が発生したエリアを迅速に復旧させることを目的とした、係留気球を利用した臨時の無線中継システム「気球無線中継システム」について、実証実験の結果を報告した。実証実験は2013年6月末で引き続き実施されるほか、実験された気球無線中継システムは全国の主要拠点に配備される予定となっている。

 「気球無線中継システム」は同社が2012年5月より実証実験を行っているもので、係留型の気球に無線中継局とアンテナを搭載し、高度100mに係留して臨時のサービスエリアを構築するというシステム。実験時の仕様は、2.1GHz帯で、3G端末向けに5MHz幅の電波が用いられており、郊外で半径3kmのエリアを構築可能となっている。

 実験が進む中で気球自体も小型化され、実験開始当初から比べると、重さは30kgから20kgに、体積は90立方メートルから40立方メートルに小型化されている。また、係留装置も簡素化された。

 これまでの実験では、地上では、気球に搭載の無線中継局(子機)から電波を受ける中継元基地局(親機)が、既存の基地局設備などを介する形で移動体通信網に接続されている必要があった。つまり、災害の被害を免れた通常の基地局が必要で、被害のあった基地局とそのエリアに対し、隣のエリアの基地局を利用して気球でアンテナを伸ばしエリアを臨時に構築する、というイメージだった。

 実証実験の中ではこうした構成に加えて、中継元基地局(親機)で通信回線が確保できない場合でも対応できるよう、地上の移動無線車に衛星通信回線の設備を追加。中継元基地局(親機)が衛星通信回線を介して移動体通信網に接続できるようになった。通信速度は衛星通信回線の仕様に制限されるものの、地上の基地局設備の被災状況に囚われない復旧が可能になったという。

衛星通信回線を介して移動体通信網に接続する構成

太田 亮三