【[国際]電子出版EXPO】

電子書籍タブレットや電子ペーパー、電子書籍自販機など展示


 7月7日~9日の3日間、東京ビッグサイトにおいて、電子書籍関連の展示会「[国際]電子出版EXPO」が開催されている。タブレット型端末や電子ペーパー端末などが並んだ。

読書好きの里田まいが「LISMO BOOK STORE」アピール

 KDDIブースでは、LISMO BOOK STOREのリアル書店をイメージしたブースが展開された。auの最新Androidスマートフォンや電子書籍専用端末となる「biblio leaf SP02」などが並び、電子書籍コンテンツが自由に楽しめるようになっていた。

 なお、午前中には報道関係者向けのイベントが実施され、タレントの里田まいが登場した。浴衣姿で夏を彩った里田は、会場の熱気に「暖かいですねぇ」と連呼していた。里田曰く、「暑い」ではネガティブな印象があるので「暖かい」のだという。

 「意外と言われるんですけど、実は読書が趣味なんです」と話す里田。今年に入ってから特に集中的に読むようになり、カバンにはいつも本が入っているという。イベントは、電子書籍未体験の里田に、司会者がレクチャーしていく形で進んだ。「INFOBAR A01」を手にLISMO BOOK STOREを体験した里田は、「本屋では探しきれないこともあるが、これなら探しやすい」と話したほか、「biblio leaf SP02」については読みやすいなどと語っていた。



パナソニック、開発中の電子書籍端末

 パナソニックのブースでは、開発中のAndroidベースの電子書籍端末「UT-PB1」が参考出品として展示された。製品投入時期など詳細については未定だが、楽天より、パナソニック製専用端末向けの電子書籍ストアを配信すると案内されている。

 端末は、7インチのタッチ式液晶ディスプレイを搭載。Androidベースのタブレット型端末となるが、Android Marketには対応しない予定。今回参考出品されたモデルはAndroid 2.2で動作していた。なお、パナソニックのデジタルメディアプレーヤーなどの開発部隊が手がけたモデルとなる。

 楽天ブックスと連携して電子書籍がダウンロード可能で、楽天ポイントも利用できる。電子書籍専用端末に位置付けられ、「マイデスクトップ」からすぐにコンテンツがダウンロードできる。

 Wi-Fiに対応し、3Gには非対応。カメラ機能やラジオ機能(radiko.jp)のほか、DIGAのリモコンアプリなどがプリセットされる電子書籍の閲覧で、約6時間利用できる。重さは400g。

 このほか、パナソニックは、併設されたイベント「教育ITソリューションEXPO
において、10インチのAndroidタブレッド「VIERA Tablet」を展示していた。動画教材コンテンツの受信端末の一例として、NTTドコモ向けのスマートフォン「P-07C」とともに展示されており、ブースでは開発中のタブレット端末と案内されていた。



「REGZA Tablet」が人気の東芝ブース

 東芝 デジタルプロダクツ&サービス社のブースでは、10.1インチのAndroid 3.1搭載タブレット型端末「REGZA Tablet AT300」のタッチ&トライコーナーが注目を集めていた。

 「AT300」は、NVIDIA製の1GHz、Tegra2チップセットを搭載したAndroidタブレット。7月下旬発売予定となっている。今回ブースでは、東芝のポータル「東芝プレイス」内の電子書籍配信コーナー「ブックプレイス」などが紹介されていた。「AT300」の背面に取り付けられるオプションパーツなども紹介されていた。



NEC、「LifeTouch」シリーズ展示

 NECブースでは、Androidタブレット「LifeTouch」シリーズのタッチ&トライコーナーが充実していた。

 ブースでは、2画面ディスプレイを採用したブックスタイル端末「LifeTouch W」や、ネットブック型の「LifeTouch NOTE」、そして、タッチパネル方式が静電容量式(従来は感圧式)に変更された「LifeTouch」などが並んでおり、使用感を確かめることができた。なお、「LifeTouch NOTE」は個人ユースを想定したモデルだが、「LifeTouch」と「LifeTouch W」はBtoB向け端末となっている。



電子ペーパー端末

 イベントでは、電子ペーパー関連の展示も充実していた。ブリヂストンのブースでは、未発表の13インチ、フルカラー電子ペーパー端末が、富士通フロンテックのブースでは、Windows CEベースの電子ペーパー端末がそれぞれ参考出品された。

 「AeroBee」と名付けられたブリヂストンの電子ペーパー端末は、感圧式タッチセンサーを内蔵した電子ペーパー端末。会場説明員によると、7月中にも正式に発表される予定で、当初はフルカラー版、その後モノクロ版が登場するという。

 ディスプレイは13.1インチとなり、フルカラー版は4096色表示の800×600ドット、モノクロ版が1600×1200ドットとなる。Linux OSを採用する。通信機能としてWi-FiおよびBlueoothをサポートしている。大きさは303×245×13mmで、重さは660g。手にしてみると、大きさから想像する重さよりもかなり軽く感じる印象だ。

 製品の詳細について会場では明らかにされなかったが、BtoB向け端末としてソリューション展開されるものとみられる。



 富士通フロンテックでは、電子ペーパー端末「FLEPia」シリーズを手がけている。今回参考出品された端末は「FLEPia」シリーズの後継として開発中のものとなる。現行シリーズ同様にカラー電子ペーパー端末となっている。

 ディスプレイは8インチ、768×1024ドット、4096色表示のコレステリック液晶型電子ペーパーとなる。従来モデルよりも書替速度が向上しているという。なお、開発中のモデルとあって、タッチ操作はできなかった。大きさは162×245×5.9(最薄部)mmで、重さは約280g。

 このほか、富士通研究所ではさらに薄型化を追求した電子ペーパー端末を参考出品していた。8インチの電子ペーパー端末となり、ベースは「FLEPia」シリーズと同じだが、コチラは5.5mmと非常に薄い。

 今回参考出品された「FLEPia」シリーズは、バッテリー部分が張り出した形状だが、同じバッテリー容量ながら電子ペーパーの形状の中にバッテリーがすっきりと収まっている。これは新開発の電子ペーパーモジュールによるもの。ただし、仮に製品として提供する場合は、強度を保つためのフレームなどが必要になるという。



プラットフォームに縛られない電子書籍用本棚アプリ

 大日本印刷(DNP)のブースでは、本日発表されたばかりの電子書籍用書籍管理ソフトウェア「オープン本棚(仮称)」が参考出品された。なお、ソフトウェアはインプレスR&Dと共同開発されたものとなる。イベントでは、インプレスグループも大きなブースを構えているものの、デモはDNPのブースのみで展開されている。

 「オープン本棚」は、電子書籍のフォーマットやビューワー、サービスプラットドームを意識することなく、電子書籍配信サイトで購入したコンテンツを一元的に管理できる本棚型のソフトウェア。無償で提供される予定で、今回発表されたAndroid版のほか、iPhoneなども用意される予定。

 なお、ソフトウェアの仕様をオープン化し、電子書籍ビューワーの提供元や電子書籍配信サイトなどへ広く採用を呼びかけていくという。デモでは、実際の本棚のように背表紙が並ぶようなインターフェイスが採用されてはいるが、DNPのスタッフよると表示方法も含めてカスタマイズができるという。「オープン本棚」自体にビューワー機能はなく、コンテンツをタッチすると、対応するビューワーが起動する仕組み。Android版は9月に公開される予定。



人を介したクラウドサービス

 オーリッドのブースでは、デジタルペンとスマートフォン、そして同社のデジタル変換ソリューションを絡めたクラウドサービス「KYBER」(カイバー)が展示された。ブースでは、アノト方式のデジタルペンでメモ帳に書き込んだ内容をBlutooth経由で「GALAXY Tab」に送信し、さらにそのデータをオーリッドのソリューションでテキスト変換するデモが行われた。

 オーリッドでは、名刺や写真などの文字情報をテキスト変換するクラウドソリューションを展開している。同社のシステムのユニークな点は、単にOCRで文字情報をテキスト化するだけでなく、人を介している点だ。中国に2000名近いスタッフを抱えており、名刺ではOCR処理後のチェックを中国のスタッフが行い、また、写真や今回のような手書きの文字については直接スタッフがデジタルのテキストに変換する。

 デジタル変換されるまでの時間は、通常サービスでは24時間以内、エクスプレスサービスで10分以内となる。ブースで「ケータイ Watch」と手書きで書いてみると、1分程度(エクスプレスサービス)でテキスト変換された。オーリッドでは、元々データ入力業務を展開しており、2000名からなる中国のスタッフを抱えているのもこの業務があるためだ。日本語が読めるスタッフは1%足らずだが、スタッフはひらがなやカタカナを文字ではなく画として認識することで処理しているという。そのための入力システムを導入しており、「書かれている内容ではなく、書かれているそのままをテキストに変換する」(会場担当者)ことで、むしろ精度の高い処理が実現できるという。



電子書籍の自販機

 このほかグローリーのブースでは、電子書籍の自動販売機システムが参考出品された。

 キヨスク端末型のベンダーで、タッチパネルを電子書籍を購入し、現金や電子マネーなどで支払う。すると、ベンダーからQRコードとアクセスコードが記載された購入券が発券される。このQRコードを携帯電話やスマートフォンで読み込んで、コンテンツをダウンロードする仕組みだ。会員登録などは必要なく、気軽に電子書籍を利用できる環境になりそうだ。なおグローリーでは、今回のイベントで来場者の反応を見て、本格的な導入に向けて準備していくという。


 




(津田 啓夢)

2011/7/7 18:27