不当廉売、総務省回答に不服の日本通信が行政文書開示請求


 日本通信は、総務省に対して行政文書開示請求したと発表した。

 日本通信では4月19日、NTTドコモが法人向けの相対取引で提示している料金について、MVNO向けの卸値より著しく低廉かつ原価を下回る可能性が高いとして、総務省に意見を提出していた。

 6月18日、日本通信は総務省より、ドコモの提示した料金が極めて廉価であるとは必ずしも認められない、原価よりも相当に低いとは必ずしも認められない、とする回答を得た。これに対し日本通信では、この回答は総務省としてなすべき役割を果たしておらず、ドコモの法人向け相対料金と卸値の比較、および原価との比較は数値的に比較可能と主張、今回の意見申出の処理に関する省内会議の議事録および意思決定に関する文書など、全ての行政文書の開示を請求した。

 日本通信では、「電気通信事業分野は、事業の特質上、独占の弊害が顕在化しやすい分野であり、その根幹は料金問題」と認識。さらに、「MVNOとMNOとが公正に競争できない環境を放置してきた責任、明確な判断を回避した責任は監督官庁の不作為」として、総務省の怠慢であると指摘している。日本通信は、「ドコモの不当廉売に対する認識が変わっていない中、その他の手段の適用も視野に入れながら、問題の徹底的な解明に努める」としている。

 なお、NTTドコモでは、日本通信が4月に提出した意見に対して真っ向から反論しており、5月に説明会を開催した。「不当廉売」と指摘されたことについては、日本通信側が矛盾しているとし、対象となった法人の利用実態を考慮していないため比較対象が不適切であるとの見解を示している。

 また、ドコモには存在しない架空の料金プランと比較を行っている可能性も示唆したほか、MVNO向けの卸値との比較についても比較対象が不適切、ドコモが提案した料金が原価割れしていないことなどを説明した。日本通信側がした指摘した対象法人との取引についても、「失注」つまり取引が成立しなかったことを明らかにしている。

 なお、総務省では、情報公開法など関係する法律に照らし合わせ、今後30日以内に日本通信の求める情報の開示可否を判断するとしている。

 



(津田 啓夢)

2010/6/22 14:00