総務省、携帯向けマルチメディア放送に向けた基本方針公表


 総務省は、携帯端末向けマルチメディア放送の制度整備に関する基本方針を明らかにした。

 総務省では、7月11日~8月10日にかけて基本方針案に対する意見募集を実施しており、この意見募集の結果を踏まえ、携帯向けマルチメディア放送実現に向けた制度整備の方針を示した。同省では、携帯向けマルチメディア放送について、多様な事業者が参入し、映像・音響・データなどのさまざまな情報を柔軟に組み合わせ番組を提供できるような枠組みが必要としている。

 放送は全国向け放送と地方ブロック向け放送(北海道/東北/関東・甲信越/東海・北陸/近畿/中国・四国/九州・沖縄)に大別され、いずれも複数の番組提供者が参入できるよう、受託放送・委託放送制度を採用する。利用周波数は、全国向け放送は207.5~222MHz(VHFハイバンド)、地方ブロック向け放送が90~108MHz(VHFローバンド)。

 全国向け放送は、開設計画の認定から5年以内に、全国の世帯カバー率90%以上になるよう基地局を配置する。地方ブロック向け放送は、帯域幅や事業性を踏まえた基準が示される。

 なお、全国向け放送免許の申請者は、地上放送事業者(テレビ局)が1/3以上の議欠権を持った場合、放送法の「表現の自由享有基準に合致しない」と判断される。また、基準を満たす申請者のうち、テレビ局の議決権が1/10以下の申請者が優先される。地方ブロックについても、既存テレビ局の影響力が少ない申請者が優先される。審査ではこのほか、事業計画の確実性や番組の多様性など多方面から検討される。

 総務省では今後、9月~10月に携帯向けマルチメディア放送の参入希望調査を実施する。制度を整備した上で、2010年以降に申請を受け付ける予定。

 なお、携帯向けマルチメディア放送の技術的に条件については、情報通信審議会において検討されている。8月25日まで放送システム委員会報告案の意見募集が行われ、今後報告が取りまとめられる予定となっている。

 



(津田 啓夢)

2009/8/28 16:26